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障がい者制度改革推進会議


震災障害者支援:法改正含め対応へ 「阪神」で後遺症

 阪神大震災(95年)で心身に後遺症が残った「震災障害者」について、中井洽(ひろし)・防災担当相は26日、参院予算委員会で「けがをした方々のその後の気持ちについて、国が配慮するよう関係省庁と協力して取り組みたい」と述べ、現状の法制度改正も含め、支援に向けて対応する考えを示した。

 辻泰弘氏(民主)の質問に答え、「井戸敏三(兵庫県)知事や矢田立郎・神戸市長から陳情があった」とした上で語った。中井担当相は今月17日、神戸市で記者団の質問に「ケアで何かできるのか。一度考えてみたい」と答え、国として支援を検討する意向を示していた。

 震災による重傷者は全体で1万683人(総務省消防庁調べ)に上るが、自然災害で障害を負った人に国などが支給する「災害障害見舞金」は労災1級相当の障害を負った場合に限られ、支給は64人にとどまっている。また、行政が追跡調査をせず、震災障害者の実態は不明のまま。神戸市は昨年末、市内の震災障害者数を少なくとも183人と初めて集計し、実態調査実施を表明。兵庫県も実態調査する方針。【中尾卓英、川口裕之】

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毎日新聞 2010126日 2133


発達障害者:「推進会議」に参加を支援団体が要請

 発達障害者を支援する「日本発達障害ネットワーク」(田中康雄代表)は22日、政府の「障がい者制度改革推進会議」に、発達障害者も参加させるよう政府に申し入れた。

 障害者行政全体を見直すため、政府は先月、全閣僚でつくる「障がい者制度改革推進本部」を設置。その下部組織として、委員の6割を障害者や家族で構成する「推進会議」を今月始動させたが、発達障害者の関係者は委員に選ばれなかった。【野倉恵】

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毎日新聞 2010122日 2327


障害者:政府が定義見直し 「社会の制約」考慮

2010111 230分 更新:111 1752

 政府は、身体障害など「障害者」の定義について、抜本的な見直しに乗り出す。従来は個人の問題として心身の機能に注目する「医学モデル」だったが、社会参加を難しくしている社会の側の問題を重視し、必要な支援を把握する「社会モデル」への転換が狙い。「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)内に設置され、12日に初会合を開く「推進会議」で議論に入る。

 障害者については、障害者基本法で「身体障害、知的障害、精神障害があるため、日常生活または社会生活に制限を受ける者」と定める。さらに、身体障害者福祉法など障害ごとに福祉法令があり、それに基づき障害者自立支援法や障害者雇用促進法などが運用されてきた。例えば身体障害では、視覚や聴覚、肢体のほか、腎臓や心臓の障害、HIVは対象だが、他の多くの内臓や免疫系などの障害は対象外だ。

 しかし、対象外の人でも社会参加が難しい例は少なくない。見直しでは、障害者は「社会参加に支援やサービスが必要な人」との考え方を基に、一人一人の経済状況や住環境などを踏まえて障害者として認定する定義のあり方を検討する。

 政府が07年に署名した国連障害者権利条約は障害者について、「障害のある人であって、さまざまな障壁との相互作用で、平等に完全に参加するのを妨げられる」状態などととらえる。日本は条約を批准していないが、鳩山首相は昨年12月の改革推進本部設置の際、批准へ向け法整備を急ぐよう指示した。

 見直しは、障害福祉だけでなく雇用や教育など国内法全体に影響する。「推進会議」メンバーで車椅子を使う尾上浩二・DPI日本会議事務局長は「障害を個人の問題でなく、移動や就労など参加を難しくしている社会の制約の面からみる。参加に必要な支援を促すもので、大きな転換となる」と指摘している。【野倉恵】

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政府:障がい者制度改革推進本部が初会合

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障がい者制度改革推進本部の第1回会合であいさつする鳩山由紀夫首相(中央)と平野博文官房長官(右)、福島瑞穂特命担当相=首相官邸で2009年12月15日午前10時32分、藤井太郎撮影

 政府は15日午前、障害者政策全般を見直すため、全閣僚で構成する「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)の第1回会合を開いた。下部組織に委員の半数以上を障害者や障害者団体幹部とする「障がい者制度改革推進会議」を設置。当事者が政策作りに直接参加し、障害者自立支援法廃止後の新たな障害者福祉サービスなど制度全体を検討する。

 本部は、福島瑞穂特命担当相と平野博文官房長官が副本部長を務める。会合で鳩山首相は「推進本部の『障がい』の害はひらがなで、このこと自体意味がある。けん引役として制度改革に当たり、国連障害者権利条約の批准を急ぎたい」と述べた。「推進会議」を担当する内閣府参与には、国連障害者権利条約(08年発効)を検討した国連特別委員会の政府代表団顧問を務め、車椅子を使用する東俊裕弁護士(熊本弁護士会)が21日付で就任する。【野倉恵、鈴木直】

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毎日新聞 20091215日 1207分(最終更新 1215日 1337分)


障害者:制度改革へ自ら政策立案 新組織のメンバーに

2009127 230分 更新:127 230

 障害者自立支援法廃止後の法制度全体に当事者の声を直接反映させるため、政府は近く「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を設置し、本部内にメンバー20人中11人を障害者や障害者団体幹部とする「制度改革推進委員会」を設けることを決めた。障害者が議論・調査して政策作りに直接参加し、責任も持つ初の仕組みで、支援法に代わる新法など法制度全般を協議。発達障害も対象とするなど障害範囲の見直しや現制度に代わるサービス給付体系の検討も進める。

 障害者団体代表らは「責任は重いが、主体となる意味は大きい」と受け止める。01年設置の従来の政府の障害者施策推進本部では、中心は省庁職員らの「課長会議」などで、障害者が主体となる受け皿はなかった。新政権の「本部」に置く推進委は、「ヒアリング対象でなく、政策決定のエンジン役」(民主党議員)を目指す。推進委の下には専門チームを設け▽支援法に代わる「障がい者総合福祉法」▽虐待の早期発見・救済を図る障害者虐待防止法▽08年5月発効の国連障害者権利条約の締結に向けた障害者基本法改正--などを検討する。

 障害者福祉サービスを巡っては、利用料の原則1割を負担(応益負担)する現行の自立支援法は長妻昭厚生労働相が廃止を明言。民主党は総合福祉法で所得に応じた応能負担とするとしている。推進委では、制度利用の谷間が生じないよう、対象に発達障害や難病、内部障害などを含めることを検討。6段階の「障害程度区分」に基づきサービス内容を決める現行の仕組みについては、現場から「障害実態や個人の状況を反映しづらい」との訴えが強いのを受け、個々のニーズを反映した認定方法に見直す。

 障害者の人権問題に詳しい障害者団体代表の一人は「今までは政府と対立する構図だったが、政府に参画すればどれだけのものができるか。次世代に大きな責任を負うことになる」と話す。【野倉恵】

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自立支援法:施行後に障害者負担増87%平均8518円

 障害者の福祉サービス利用に原則1割の自己負担を課す障害者自立支援法施行前月の06年3月と今年7月を比べたところ、87.2%の障害者が負担増となったことが厚生労働省の調査でわかった。鳩山内閣は4年以内に新制度を設計し同法を廃止する方針。

 札幌、川崎など5政令市の身体障害者、知的障害者ら1827人を対象にサンプル調査した結果、1593人が負担額が増えた。負担の平均増加額は8518円。市町村民税非課税の低所得者では、1551人中1452人(93.6%)で負担が増え、平均増加額は8452円。特に、家庭で介助が必要なホームヘルプサービスでは負担額が126円から2240円に、自宅から通う通所施設利用では75円から6355円にはね上がった。

 また、通所や入所で授産施設で働く625人のうち、負担額が工賃を上回る人の割合は法施行前が31.4%だったのに、施行後は52.5%。施行前は工賃が負担額を1651円上回っていたが、施行後は7097円下回った。

 鳩山政権で初めて行われた実態調査で、長妻昭厚生労働相は「予想以上に負担が増えた方が多かった。来年度予算で負担軽減をしなければならない」と話した。【野倉恵】

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毎日新聞 20091126日 2240




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