STS in the Media
STS移動支援に関するメディア報道


「事業仕分け」 財政支援巡り攻防 「国交省・地域交通分野」

 バス・タクシーなど自動車・地域公共交通分野の財政支援措置をめぐる見直し作業が政府部内で慌ただしくなってきた。2010年度予算概算要求に対する行政刷新会議の「事業仕分け」、09年度第2次補正予算編成による追加の「緊急経済対策」検討、税制調査会の「減税メニュー絞り込み」などが同時並行で展開、攻防が激しさを増している。仕分け対象の地方バス路線維持補助金と地域公共交通活性化・再生総合事業は今週、是非が判定され、税調の論点整理ではタクシーの減車事業者への事業所税免除特例などに不採用の判断が出ている。一方、補正予算でエコカー購入・買い替え補助が再び登場しそうだ。


参院・国土交通委 前原国交相「交通基本法」に意欲

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 前原誠司国土交通相は19日の参院国交委で「交通基本法」制定に向け「高齢化が進む中で移動手段としての公共交通の確保は、地球環境問題も考えると極めて重要な位置付けになる。辻元副大臣を中心にきっちり仕上げたい。すべての政党に協力をお願いしたい」と意欲を示した。渕上貞雄氏(社民)に答えた。同省で「交通基本法検討会」が13日に発足、関係者へのヒアリングなどが始まった。同国交相は「過去2回法案を出したが、成案に至っていない。さまざまな事業者から話を聞くと、ある分野では規制緩和が行き過ぎたとの思いも。交通の基本の考え方をまとめることが大事」と強調。渕上氏は「これまでの運輸行政をたな卸しする気持ちで抜本改革を」とした。


国交省 「バス将来像研」が初会合 来年3月にまとめ

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 国交省は16日、「バスネットワークの将来像研究会」(座長=杉山雅洋早稲田大学教授)の初会合を開き、都市圏と地方部に区分けして事業の連携を探る制度設計の視点を確認した。来年3月に「バス産業将来ビジョン」として報告をまとめる。あいさつした稲葉一雄自交局審議官は「バスの公共性を考えながら都市、地方それぞれの課題を解決、役割を発揮させたい」と協力を求めた。次回は来月下旬の予定で事業者、自治体をヒアリング。


交通基本法案:通常国会に提出へ辻元副国交相が意向

20091014 1855分 更新:1014 1956

 辻元清美副国土交通相は14日の会見で、公共交通の理念を盛り込んだ交通基本法案を、早ければ来年の通常国会にも提出する意向を表明した。辻元副国交相は「今までの交通政策は業界の考えが優先され、利用者側の立場が欠けていた」と述べ、高齢者、障害者らの移動手段の確保に関する規定を中心にする考えを示した。近く有識者も含めた勉強会を発足させて法案をまとめる方針。

 社民党と民主党は野党だった02年と06年、公共交通の環境対策やバリアフリー化などへの国や自治体、事業者の責務を明示する同名の法案を共同で国会に提出したが、いずれも廃案になっている。辻元副国交相はこの法案をテコに、あらゆる公共交通で利用者側に立った交通政策を推進する。【久田宏】


安心・安全ナビ:
死亡事故増加で、高齢ドライバーに義務づけられた「認知機能検査」

 ◆死亡事故増加で、高齢ドライバーに義務づけられた「認知機能検査」とは
 ◇判断力や記憶力、判定 「衰え」認定後、違反あれば専門医受診
 ◇免許取り消しは最終段階/返納なら「経歴証明」交付

 運転免許証を更新する75歳以上の人を対象に、従来の高齢者講習に加え、判断力や記憶力の衰えを判定する「認知機能検査」を受けることが6月1日施行の改正道交法で義務付けられた。警察は「検査結果を家族に伝え、運転すべきかどうかよく話し合ってほしい」と呼びかけている。

   *

 東京都町田市の自動車教習所「町田ドライヴィングスクール」では6月17日、東京都内で初めての検査が実施され、男女6人が参加した。「簡易検査ですので、成績が悪くても直ちに認知症というわけではありません」。検査員の男性が緊張をほぐすように語りかけ、検査が始まった。

 検査項目は(1)検査当日の年月日、曜日、時間を時計などを見ずに記入する(2)ラジオやオルガンなどのイラスト16個を記憶し、別の課題に取り組んだ後に回答する(3)指定された時刻の針を時計盤に描く--の三つだ。

 検査は約20分で終わった。結果は▽記憶力・判断力が低い▽記憶力・判断力が少し低い▽記憶力・判断力に心配ない--の3段階で判定。プライバシーに配慮し、本人だけに書面で通知される。

 検査は手数料650円で、免許の更新期間満了日の6カ月前から受けることができる。タクシーやハイヤーの運転手をしていたという町田市の無職、金子武さん(74)は「8割はできた。他のみなさんより若い分、高得点かな」とほっとした様子。運転歴45年という無職の男性(76)は「記憶力や判断力が落ちていることが分かった。検査は3年に1度なので、時間や料金も負担にならないと思う」と感想を語った。

 「記憶力・判断力が低い」と判定されても免許証は更新され、直ちに取り消されたり停止されることはない。しかし、更新の1年前から次回の更新申請日(3年後)までに信号無視や一時不停止、踏切不停止など15種類の違反歴があった人は専門医による「臨時適性検査」を受けなければならず、診断で認知症とされると免許は取り消される。

   *

 検査が導入された背景には、高齢ドライバーの増加と、死亡事故の多発がある。警察庁によると、08年の75歳以上の免許保有者は304万人で、10年前の2・7倍に急増。08年までの10年間で死亡事故は約4割減少しているにもかかわらず、75歳以上のドライバーの死亡事故は1・36倍に増加している。

 警察庁は試験的に実施した検査から、75歳以上のドライバーの約3%が「記憶力・判断力が低い」と判定され、そのうち2000~3000人が「臨時適性検査」の対象になると推計している。

 警察は、高齢ドライバーの自主的な免許返納を促しており、運転免許試験場や警察署で受け付けている。その際、希望者には、身分証明書としても使える「運転経歴証明書」を交付している。【町田徳丈、内橋寿明】

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 ■「臨時適性検査」の対象になる15種類の交通違反

信号無視

通行帯違反
踏切不停止
一時不停止
徐行場所違反
通行禁止違反
進路変更禁止違反
しゃ断踏切立ち入り
交差点優先車妨害
横断歩行者等妨害
通行区分違反(右側通行等)
転回・後退等禁止違反
指定通行区分違反
優先道路通行車妨害
交差点安全進行義務違反

毎日新聞 200971日 東京朝刊


JTB時刻表:1000号を達成世相映し84年

2009513 1036分 更新:513 1052

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時刻表あれこれ。中央は創刊号(復刻版)=東京都新宿区で、武市公孝撮影

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手作業で確認するJTBパブリッシング時刻情報編集部員=東京都新宿区で、武市公孝撮影

 JTBの時刻表が4月20日発売号で1000号を達成した。記念号は店頭で売り切れが続出し、今月初旬には増刷分も発売された。鉄道マニアの「バイブル」とも呼ばれる、時刻表の魅力を探った。【木村葉子】

 ◇毎月850社に確認


 1925(大正14)年春、JTBの前身の日本旅行文化協会が「汽車時間表 附汽船自動車発着表」(231ページ、50銭)を創刊した。以来、戦時中を含め84年間刊行され、ライバルの「JR時刻表」(5月号で553号)の2倍近い時を重ねた。創刊号の自社広告には「時間表の生命は正確に在り」と、今も引き継がれる精神が記されている。

 時刻表の基となるデータは、すべて紙。現在は「JTBパブリッシング」の編集部員26人が分担し、手作業でパソコンに入力する。JR各本・支社から提供されるダイヤは、路線ごとの表記ではなく、貨物や回送列車も記載され、資料を読み解く技術が要求される。

 私鉄やバス、飛行機、船舶など約850社に毎月、前月号のコピーを送り変更点を確認する。「根拠のない数字は一つもない」と、高山法悦(のりよし)編集長は胸を張る。

 ◇変わらぬ「弁」


 時刻表には創刊以来、さまざまな記号が使われてきた。かつての「赤帽所在駅」「和食堂」などのマークは消えたが、84年間変わらないのが弁当販売駅を示す「弁」の記号だ。

 旅に長い時間がかかり、食品の保存技術も十分でなかった時代、弁当は現地で調達せざるを得なかった。現在も各路線の欄外に駅弁の種類と金額を掲載、毎月製造・販売の約150社に確認する。

 木村嘉男・前編集長は「数字の羅列から想像の旅ができ、全国の駅弁も楽しめる。時刻表を読めば今の日本を知ることができる」と語る。

 ◇人気のクイズ


 時刻表で長年の人気コーナーが「早まわりクイズ」だ。指定駅を最短で回るルートを問うものだが、実は回答は事前に用意されておらず、読者の応募を検証し順位を決める。

 1000号では「千」がつくJR全駅を回る問題が出題された。「これまでのクイズで最も難易度が高い」(編集部)が、既に50通を超える応募が寄せられた。高山編集長は一度もクイズに挑戦したことがないという。「解いていると夢中になり仕事に支障をきたすから」と苦笑する。

 ◇終戦前は紙1枚


 時刻表は世相を映す。戦時中は中国大陸や台湾、朝鮮半島の鉄道網の地図やダイヤを掲載。終戦直前には紙1枚になったこともある。松本清張氏の推理小説「点と線」(58年)は、時刻表を駆使したトリックで話題になった。東海道新幹線が開業(64年10月)すると、0系新幹線が1年間、表紙を飾った。国鉄最後のダイヤ改正となった86年11月号は史上最多の200万部を記録。

 近年はインターネット検索の普及で販売部数は月平均15万部と落ち込む。高山編集長は「1000号は通過点。今後も読者が何を求めるか考えながら、一号一号確実に発行したい」。25日には1001号が発売される。


道路特定財源:一般化へ必要性、判定難しく 特措法成立

2009422 1950分 更新:422 220

 道路特定財源を一般財源化する改正道路整備事業財政特別措置法が22日の参院本会議で可決・成立し、1954年から55年間にわたって道路整備の財政的裏付けとなってきた、道路特定財源制度の歴史に終止符が打たれた。しかし、一般財源化の過程で浮上した問題点が論じ尽くされたとは言えない。特に「必要な道路とは何か」については、国民的合意が得られないまま今日に至っている。

 ガソリン税などの税収の使途を道路整備に限定する道路特定財源制度は、ムダな道路整備を助長するとの批判を浴び、福田康夫内閣が昨年、廃止の方針を決めた。09年度予算は一般財源化を前提に作られ、道路整備費はある程度縮小した。さらに、国土交通省は時間短縮、事故減少など道路整備による経済効果の計算を厳格化し、直轄国道18路線の工事を凍結すると先月末に発表した。

 だが、ここへきて地方では道路整備を求める声が再び強まっている。凍結路線の地元からは国交省に対し凍結解除の陳情が相次いでおり、17日には東国原英夫宮崎県知事が金子一義国交相に「がけ崩れで寸断される現場を見てほしい」と道路整備の遅れを訴えた。

 金子国交相は21日の会見で、「必要な道路をどう造っていくか、新たな枠組みが求められる」と、地方の意向にも配慮して費用対効果の判断基準を見直したい考えを示した。

 ただ、災害対応や緊急輸送、地域経済振興などの「効果」は、数量化が非常に難しい。環境への負荷など道路のマイナス面についても同様だ。道路の必要性や優先順位を判定する手法はまだ確立されていないのが実情と言える。【位川一郎】


JTB時刻表:1000号に 1925年に創刊

2009420 2039分 更新:420 2052

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通算1000号に達した「JTB時刻表」

 鉄道などのダイヤを掲載したJTBグループの「JTB時刻表」が、20日発売された5月号で通算1000号に達した。

 創刊は1925年で、現在国内で発行されている時刻表のうち最も古い。1000号の表紙は、多くの列車のデザインを手がけた水戸岡鋭治氏が担当。創刊当時に走っていたSL8620形から、2011年に九州新幹線で運転開始する新型車両「さくら」まで、鉄道の歴史をたどり五つの車両を掲載した。

 JTBグループは同日、さいたま市の鉄道博物館で1000号記念イベントを開催。インターネットの特設サイト(http://rurubu.com/1000/)も設けた。【位川一郎】

【関連リンク】
JTB時刻表1000号ありがとうキャンペーン


踏切事故:聴覚障害の女性はねられ死亡 広島・福山

2009年4月20日 12時35分

 19日午後6時35分ごろ、広島県福山市御幸町上岩成のJR福塩線小境踏切(警報機、遮断機なし)を自転車で横断していた同市加茂町下加茂、福祉施設作業員、岩川玲子さん(36)が、府中発福山行き普通列車(3両編成、乗客70人)にはねられ死亡した。

 県警福山北署の調べでは、岩川さんは聴覚に障害があり、列車が警笛を鳴らしてブレーキをかけたが間に合わなかったという。

 JR西日本岡山支社によると、事故で上下計5本が運休するなど約900人に影響が出た。【村本聡】


高齢者用自動車:開発と実用化促進に「知事連合」結成

2009416 1934

 高齢者向け自動車の開発と実用化をメーカーに促すため、全国34道府県知事が「知事連合」を結成する。高齢者による事故の原因やニーズを2年かけて分析し、「ブレーキとアクセルを踏み間違えない構造」「体をひねらなくてもバックできる仕組み」などを盛り込んだ「新たな高齢者自動車」を提案する。

 全国知事会長を務める麻生渡・福岡県知事が16日、東京都内で記者会見して発表し、「もみじマークの導入や免許証返上という考え方もあるが、地方では高齢者が車なしで生活することはできない」と述べた。3月上旬に知事会メンバーへ呼び掛け、33人が賛同した。学識経験者や高齢者の代表らでつくる「高齢者にやさしい自動車開発委員会」に高齢ドライバーの特性などを分析してもらう。

 知事連合の発足は全国知事会長選(任期2年)が実施される5月18日。麻生知事は05年、10代目会長に選ばれ、現在2期目。3選出馬は「決めていない。(知事会の)雰囲気次第」と述べた。【沢田石洋史】


運転免許:「日付、曜日は?」75歳以上に認知機能検査

2009326 1333分 更新:326 1345

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講習予備検査の流れ

 6月の改正道交法施行で75歳以上の高齢ドライバーが免許証の更新をする際、講習予備検査(認知機能検査)が義務付けられるのに伴い、警察庁は26日、検査方法や判定基準などを定めた内閣府令案をまとめた。検査で認知症が疑われるドライバーを見つけ、免許更新前後に特定の違反をした場合には専門医の診断を受けてもらい、認知症と判明すれば免許の取り消しや停止になる。

 検査は、免許更新時に受講する高齢者講習の前に行う。内容は(1)検査当日の年月日、曜日、時刻を書かせる(2)動物や果物など16種類のイラストを示して記憶させ、一定時間経過後に書かせる(3)指示した時刻を時計の文字盤に記述させる--の3種類で、約30分間に行う。

 回答に誤りがあると点数を加算する方法(最高は80点)で採点し、36点以上の場合は「記憶力・判断力が低い」と判定される。判定されても免許更新はできるが、過去1年以内か3年後の更新までに信号無視など特定の交通違反があれば、専門医による「臨時適性検査」を受けるか、主治医の診断書を提出しなければならない。ここで「認知症」と診断されると、免許取り消しや停止の対象となる。

 同庁の試算では、75歳以上の免許保有者約283万人(07年末)のうち、約3%が「記憶力・判断力が低い」と判定されるとみられる。臨時適性検査の対象は2000~3000人になる見通し。

 講習予備検査の導入に伴い、75歳以上の高齢者講習は、現行の3時間から2時間半に短縮。検査の結果に基づき、記憶力・判断力が(1)低い(2)少し低い(3)問題なし--と3分類し、課題に合わせて指導する。【長野宏美】


JTB時刻表:
通算999号で表紙に「銀河鉄道999」登場

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「銀河鉄道999」が描かれた「JTB時刻表999号」

 月刊誌「JTB時刻表」(JTBパブリッシング)が25日発売の4月号で通算999号になるのを記念して、松本零士さんのマンガ「銀河鉄道999」の「999号」とヒロイン・メーテルが表紙を飾ることになった。1925(大正14)年の創刊の同誌の表紙にマンガが登場するのは初めて。

 1925年4月、JTBの前身「日本旅行文化協会」が「汽車時間表 附汽船自動車発着表」を創刊し、鉄道や汽船などの交通機関の運転時刻を収録し、巻末に旅館やホテル案内も掲載した。前後の運転時刻を比較できる雑誌ならではの見やすさで、現在でも旅行者や鉄道ファンに親しまれている。

 表紙は、時刻表が刻んできた過去の歴史と現在、未来への夢を、宇宙空間を旅する銀河鉄道のイメージと重ね合わせたという松本さんのオリジナルイラスト。「走り続けて999(スリーナイン)号」というコピーに白煙を出しながら宇宙空間を旅する「999号」とヒロインの「メーテル」が描かれている。【立山夏行】

2009年3月12日


クルマ高齢社会:
70歳以上の運転免許保持者653万人。警察庁が進める支援策とは。

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現在の運転経歴証明書は有効期限がないため身分証明の機能が限定される=09年2月20日、長野宏美撮影

 ◆70歳以上の運転免許保持者653万人。警察庁が進める支援策とは。
 ◇専門講習の負担軽減 能力に応じて実車テスト短縮
 ◇免許返納後の身分証明機能も充実

 警察庁は昨年9月、有識者委員会を設け、高齢ドライバーの支援策を協議してきた。同12月には委員会の報告書を基に重点施策をまとめ、実現に向けた検討を進めている。

 重点施策では、75歳以上に表示を義務付けた「もみじマーク」の罰則廃止や、デザイン変更も含めた検討などが盛り込まれた。さらに「高齢ドライバーの保護」として▽官公庁や福祉施設周辺の道路に高齢者専用の駐車区間を設置▽高齢ドライバーらに対する「あおり行為」の罰則強化▽高齢ドライバーの特性や保護の必要性--を一般ドライバーに教習する。「高齢ドライバーへのきめ細かな対応」としては▽身体機能の低下を個別に評価し高齢者講習を一部簡素化▽教習所などでアドバイスを受ける機会--を提供。「その他」にも、運転経歴証明書の身分証明としての機能充実などを挙げた。

 高齢者講習は70歳以上の運転者が免許を更新する際に義務付けられているが、能力に応じて実車運転を短縮する方針。委員会では「加齢が及ぼす影響は個々人で差がある。チェックの結果に基づき、負担を軽減することが適当」と指摘されていた。

 現在は▽教本やビデオなどによる座学講義▽運転操作や動体視力などの適性検査▽実車による診断--で一律計3時間の講習を行い、更新手数料のほか受講料6150円がかかる。これをシミュレーターなどを使った適性検査の結果に基づいて3分類し、個別の状況に応じて実車テストの時間を短くする方針だ。

 また、運転免許証を返納した人に交付する運転経歴証明書の見直しも検討。08年に運転免許証を自主返納した人は過去最高の2万9150人で、07年(1万9457人)の1・5倍に上った。だが「返納すると身分証明がなくなる」という声も根強い。現在の証明書は有効期限がないため、銀行口座開設などの際は交付から半年間しか本人確認書類として使えず、身分証明書としての用途が限定される。

 そこで、11年1月をめどに▽10年程度の有効期間の設定▽住所変更や再交付ができるようにする▽交付を受けられる期間を取り消し後1カ月以内から5年程度に延長--などを検討している。

 警察庁によると、98年の70歳以上の運転免許保有者数は約313万人で全体の4・3%だったが、08年は約653万人で10年間で8・1%に増えた。原付きバイク以上を運転する75歳以上が第1当事者となった死亡事故は、98年は299件で全体の3・7%だったが、08年は406件で8・7%と占める割合は2倍以上に増加している。

 今後も高齢ドライバーの増加が予想されることから、高齢者を排除するのではなく、安全に運転できる環境作りが求められている。高齢者も自動車教習所や講習会などで自身の運転をチェックすることがお勧めだ。【長野宏美】

毎日新聞 200934日 東京朝刊


客待ちタクシー:行列解消を 都が駐車場待機の実験実施へ
2009113 1025分 更新:113 1045

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待機場となる駐車場の位置

 東京・銀座で交通渋滞の原因となっている客待ちタクシーの行列解消に役立てようと、東京都は26日から来月13日にかけ、JR新橋駅近くの乗り場からあふれたタクシーは別の駐車場に待機させる実証実験を行う。待機用のスペースが限られた場所でも渋滞の解消を目指す初の試みで、都都市整備局の担当者は「今後の対策に応用する基礎資料にしていきたい」と話している。

 実験対象は、新橋駅銀座口にほど近い「銀座1号乗り場」。銀座地区はタクシー業務適正化特措法に基づき、平日午後10時~翌日午前1時は、指定された乗り場以外での乗車が禁止されている。1号乗り場は、高速道路の入り口に近く長距離客が多いため、客待ちタクシーが周辺では最も多い。ピーク時の待機列は800メートル(約150台)を超え、二重、三重に並ぶ個所もあるという。

 実験は期間中の土日祝日を除く14日間、午後10時~翌日午前1時に行う。待機列が1号乗り場から中央通りまでの約200メートル(約20台)を超えた場合、それ以上のタクシーは東約1.5キロにある中央区営の3階建て駐車場(約240台収容)で待機する。

 タクシーは駐車場入り口のETCシステムで客待ちの順番が登録される。1号乗り場で空きが生じると、監視しているスタッフが駐車場に情報を送信。駐車場の専用信号が青になり、登録順に従ってタクシーが乗り場へ向かう。駐車場で待機中はアイドリングを止めさせ、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出削減も狙う。【木村健二】

2兆円あったら:/中 高齢者の「足」守って

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10月1日から民間バス休止に伴いスタートしたコミュニティバス「イナカー」。高齢者の足を支えている=11月27日午後2時、兵庫県豊岡市但東町で板垣博之撮影

 ◆提案
 ◇通院・買い物に、送迎サービス充実を

 終点の停留所は山あいの限界集落にある。兵庫県豊岡市の但東町薬王寺地区。48世帯125人が暮らし、高齢化率は55%。車を持たないお年寄りにとって、路線バスは欠かせない「足」だった。

 そのバスが9月末でなくなった。同県北部で運行していた全但(ぜんたん)バスが4市町の赤字21路線を休止したためだ。豊岡市内にはこのうち11路線が走る。会社が休止を打ち出した昨秋、市には住民からの不安の声が相次いだ。

 自治体は急きょ代替交通手段の確保に奔走し、豊岡市は10月から「イナカー」と名付けたコミュニティーバスを導入。それでも便数減や利便性の低下は避けられなかった。

 「乗り継ぎが悪くなって、2時間待たされたこともある。元気なうちはここで暮らしたいけれど、出かけるのがおっくうになってねえ」。バス停の約300メートル先に住む大月千代さん(79)は畑仕事の手を休め、つぶやいた。1人暮らしで、白内障や歯の治療のため月2回ほどバスで通院している。以前は路線バスで病院まで直行できたが、今は乗り継ぎが必要になり、弱った足腰には応える。

 イナカーは運行を業者に委託しており、委託料は半年間で4600万円。運賃収入を除く半額は国が補助するため、市の実質負担は半年で1800万円程度と見込まれる。しかし、国の補助は3年が限度で、利用者が増えないと廃止される恐れがある。中貝宗治(なかがいむねはる)市長は「高齢者の足は守りたいが、市財政も厳しい。国に2兆円あるのなら、公共交通の充実など、地域の未来につながることに投じてほしい」と語気を強める。

    ◇

 バス業界の規制緩和や自治体の財政難を受け、全国で赤字路線が消えている。国土交通省によると06年度の廃止路線は距離換算で約1万2000キロ、前年度より4000キロ増えた。廃止後のコミュニティーバスすら赤字という所が大半だ。

 高齢者の足を守る方策はあるのか。公共交通に詳しい首都大学東京の秋山哲男教授は「効果の期待できない定額給付金より、2兆円はST(スペシャル・トランスポート)サービスに使えばいい」と提案する。

 STサービスとは、バスや鉄道の利用が難しい高齢者・障害者のために小型車両などを運行し、通院や買い物に利用してもらう施策だ。秋山教授によると、国内ではNPOなど約2000団体が取り組んでいるが、「他の先進国とは対照的に公的な補助がほとんどないため、普及しない。欧米では人口の2~5%が利用している」と指摘する。

 例えば米国のサンフランシスコ市。78年からSTサービスを実施し、配車センターに連絡すると自宅まで迎えに来てもらえる。利用者は人口の約2・3%に当たる約1万7000人。年間の利用回数は1人平均約70回。運営費は約23億円(05年)で、うち9割近くは連邦政府と州政府の負担だ。日本ではほぼ同じ人口の東京都世田谷区でも12団体が実施しているが、区の補助は約2000万円だ。

 秋山教授の試算では、人口の2~3%が移動困難者で、このうち最も移動が困難な1%、約120万人が週1回ペースで3000円分のSTサービスを利用した場合、総額で1800億円かかる。2兆円あれば11年間は全額補助が可能だ。

 介護予防など波及効果も期待できそうだ。兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所の北川博巳(ひろし)主任研究員も「高齢者の外出機会が増えれば生きがい作りになる。地元商店街も活性化し、運転が危なくなった高齢ドライバーによる事故も減るでしょう」と話す。【板垣博之、磯崎由美】

毎日新聞 2008年12月3日 東京朝刊

NPO IDO-Shien Forum