Safety-net
セイフティネット/現代の貧困

“In Japan the poverty rate is higher for single parent families that work than for those that do not work.”

■Source: Voice of America (VOA) (July 20, 2006)
■OECDリポート:米国に次ぎ2番目に高い日本の相対的貧困率

The world's second largest economy is not usually associated with poverty.(世界第2位の経済大国は、普通貧困と結び付けて考えられることはありません。)
But growing numbers of poor in Japan are worrying the Organization for Economic Cooperation and Development.(しかし、日本での貧困者の数の増加が、経済協力開発機構を心配させています。)

The policy coordination group for advanced economies announced that Japan ranks second worst in relative poverty -- only behind the United States -- among the 30 OECD nations.(先進国向けの政策調整グループは、OECD加盟30カ国の中で、相対的貧困について、日本が米国に次いで2番目に悪いと発表しました。)

The organization's senior economist Randall Jones says that traditional prescriptions to combat poverty do not seem to apply to Japan.(団体のシニアエコノミスト、ランドール・ジョーンズ氏は、貧困と闘うための従来の処方せんは、日本には当てはまらないようだと述べました。)

Jones: In Japan the poverty rate is higher for single parent families that work than for those that do not work.(日本では働くひとり親の世帯の貧困率が、働かない世帯よりも高いのです。)

In Germany the solution is, get those single families to work and then they can escape poverty.(ドイツでは、解決法は、そうしたひとり親世帯に仕事を与えることで、それで貧困から脱出できます。)
In Japan they're already working.(日本では人々はすでに働いているのです。)
The problem is their income is too low. So there's not the easy solution to say "Let's just find them jobs."(問題は、所得が低過ぎることです。ですから、「仕事を見つけてあげよう」というような簡単な解決法はないのです。)

The OECD report cautions that rising poverty and income inequality could weaken the public will for further economic reforms.(このOECDリポートは、貧困の増加と所得の不平等は、さらなる経済改革を進めるための大衆の意志を弱める可能性があると注意を促しています。)
Pressures on economic growth will also come from Japan's aging population, the Japanese aversion to foreign workers and the country's poor climate for foreign investment.(経済成長への圧力は、さらに日本の高齢化、日本人の外国人労働者に対する反感、貧しい外国投資の環境からももたらされます。)

Jones says Japan should look at alternatives to its traditional lifetime employment system.(ジョーンズ氏は、日本は伝統的な終身雇用制度に代わるものを見つけなければならないと言います。)

Jones: One is the U.S. approach where it's very relaxed.(一つは非常に緩やかな米国のアプローチです。)
It's ironic, but if it's easy to lose your job it's easy to get another one.(皮肉なことですが、仕事を失いやすいということは、それだけほかの仕事に就きやすいということでもあります。)
The other model is the Nordic model, and in Denmark, for example, it's very easy to lose your job as well, but then they have a social safety net that takes care of you after you lose your job.(もう一つは北欧モデルです。例えばデンマークでは、同様に非常に簡単に失業しますが、その後は社会的セーフティネットがあって、失業後の面倒を見てくれるのです。)



米国の生活困窮者、史上最悪の4360万人 人種で格差

2010
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 【ニューヨーク=田中光】米国勢調査局は16日、2009年の生活困窮者が史上最悪の4360万人にのぼったと発表した。米国全体に占める貧困率も08年の13.2%から14.3%に悪化、1994年以来の高水準に達した。

 長引く不況の影響が響いており、10年はさらに悪化すると指摘する専門家は少なくない。中間選挙を前に、オバマ政権と与党民主党に一層、厳しい風が吹きそうだ。

 統計の貧困ラインは毎年、変わる。09年は、4人家族の世帯収入で2万1954ドル(約187万円)、1人の場合で1万956ドル(約93万円)と設定されている。

 統計によると、生活困窮者は3年連続の増加で、08年より380万人増えたという。

 貧困率を人種別でみると、白人が12.3%だったのに対し、アフリカ系(黒人)は25.8%、中南米系(ヒスパニック)は25.3%と、人種間格差は小さくない。


子どもに貧困を背負わせないで! 集会宣言

 今日、私たちは「子育てを応援してください 子どもに貧困を背負わせないで」と題する緊急集会を開きました。ここでは子どもにかかわる深刻な生活実態が訴えられました。生活保護を受給している母子世帯からは母子加算を削減された窮状、あるいは生活保護を受けていない親がダブル・トリプルワークをして健康を害している状況、あるいは授業料の支払いにも困難を抱えるなどさまざまな状況が訴えられました。

 日本の子どもたちの貧困はがけっぷちに来ています。日本の子どもの貧困率は15%であり、先進国の中でも非常に高く、特にその中でも母子世帯の子どもの貧困率は66%と深刻な数字となっています。母子世帯は8割以上が就労しているにもかかわらず、この間の雇用状況の悪化で、非正規で低賃金に追いやられ貧困に陥っています。そして本来これを緩和するはずの税や社会保障が逆に機能しています。貧困にさらされる子どもたちは十分な教育を受けるチャンスも与えられないまま不利が積み重なり、貧困の再生産が起こっています。

 ところが、この間、日本の社会保障政策は、深刻化する子どもの貧困をさらに深刻化させる政策をとり続けてきました。生活保護の母子加算は骨太の方針に基づき2005年から段階的に廃止となり、とうとう本年4月をもって全廃させられました。家計に余裕のない生活保護受給母子世帯では、進学・入学・修学旅行・卒業などのための費用を捻出することすら困難に陥っています。また、代わりに就労している家庭には就労支援促進費を支給したから十分だとされていますが、より低い額であり、またDVや病気や過労などで働けない世帯には無縁です。生活保護を受給していない母子家庭がより低い消費水準にあるからと母子加算は削られましたが、受給していない母子家庭の困窮は子どもの育ちを保証できる状況にはありません。そもそも生活保護の申請が非常に困難であること、車など生活上の必需品を手放さざるを得ないために申請をあきらめる人も多いことから言えば、生活保護制度の改善を行うべきです。

 さらに一般母子世帯が頼りにする児童扶養手当制度は、2002年に5年間で半額を限度に支給停止となり、手続きすれば継続できますが法改正されていないため受給世帯はいつまた手当が切られるか戦々恐々としています。この児童扶養手当の削減を法律で撤回をすべきであり、さらには困窮する父子世帯への支給も行うべきです。

 子どもたちは、いずれ大人になります。貧困を背負わされ、自分の可能性を開花させられない大人が増えていけば、社会が疲弊し、先細っていくでしょう。子どもの育ちを応援することは、今の大人たちの未来を支えることでもあります。また子育てが親を始めとした社会の責任である以上、大人たちの貧困の悪化が、子どもの育ちに悪影響を及ぼすことも、いうまでもありません。

 子どもの貧困ゼロをめざすために、まず、生活保護の母子加算を復活すべきです。同時に受けやすい生活保護制度を実現し、児童扶養手当の削減を撤回すべきです。さらに、教育の充実、就学援助や授業料の減免、高等教育の無償化など子どもたちの育ちを応援し、十分な教育を受けられる施策を実現するべきです。そしてそれを、社会全体の貧困解消へと結び付けていくべきです。

 貧困を子どもたちに負わせてはなりません。そのために、私たちは政府に最大の努力をするよう求めます。

 2009年6月9日 子育てを応援してください ~子どもに貧困を背負わせないで! 緊急集会参加者一同

NPO IDO-Shien Forum