Mobility in the Media
移動と交通に関するメディア報道


タクシー:乗務距離250キロに制限 国交省近畿運輸局

20091216 1254分 更新:1216 1256

 国土交通省近畿運輸局は16日、タクシー運転手が1日に客を乗せて走行できる「最高乗務距離」を250キロに制限すると告示した。大阪市▽北摂(大阪府)▽河北(同)▽河南(同)▽京都市(一部除く)▽神戸市--の6交通圏で、1月から適用する。過剰な長距離運転をさせる事業者を排除し、過労運転による事故から利用者を守ることが目的だが、収入減を補うため事業者が運賃を値上げする可能性もある。

 同省によると、タクシー運転手の最高乗務距離は、タクシー事業の適正化を目的とした特別措置法の施行(今年10月)に伴い、全国の各運輸局で順次規定している。最大は北海道の280キロ、近畿は北陸信越と並び最小。

 タクシー業界は規制緩和や不況で供給過剰傾向で、過労運転を防ぐため、労働基準法の1日最高16時間勤務に加え、距離も制限した。

 大阪市内のサンプル調査では、1日250キロ以上走行している運転手は全体の5%という。【田中龍士】

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500円タクシー:初の値上げ通知 国交省近畿運輸局

 国土交通省近畿運輸局は、大阪府内で「初乗り500円」の認可継続を申請した個人タクシー業者8人に対し、値上げを通知した。国交省によると、10月に施行されたタクシー適正化・活性化法で割安運賃の規制が強化されて以来、申請通りの運賃が認められなかったのは全国で初めて。

 今回審査されたのは、7~10月に申請した個人業者9人。近畿運輸局は今月20日付で、1人の継続を認めたが、8人については現状の収益で安全確保に必要な経費が工面できないと判断。550~660円の初乗り料金が妥当と結論付けた。

 同法は規制緩和によるタクシーの供給過剰を解消するのが狙いで、近畿運輸局は施行後、初乗り運賃の下限を府内で50円引き上げ、小型車620円、中型車640円と決定。業者はこの額より低く営業する場合、認可が毎年必要になった。

 府内では現在、法人と個人で計約2000台が、初乗り500円のワンコインタクシーとして営業している。【鳴海崇】

毎日新聞 20091124日 2230


九州整備局:国道新工事承認「勇み足」 凍結対象外

2009710 230分 更新:710 230

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新事業が対象としている区間

 費用対効果が小さいとして国土交通省が凍結した「国道220号青島-日南改良」事業(宮崎県)をめぐり、九州地方整備局の事業評価委員会(委員長=善功企・九州大大学院教授)が、内容も事業費も固まっていない新たな工事を認めていたことが分かった。国交省は近く事業の是非を最終判断するが、今回は着工を認めない可能性が高い。

 同事業は、渋滞対策と災害対策が目的で、宮崎市-日南市の23.5キロが対象。現行計画は72年度に始まり、586億円の事業のうちバイパスやトンネルの建設で既に98%が終了した。しかし、今年3月に国交省が全国の直轄国道の費用対効果を再計算した際、この事業の経済効果が費用を下回り、残る4車線化工事(9億円)が凍結された。これを受け、有識者による九州地整の評価委は8日、4車線化の中止を決めた。

 ところが評価委は同時に、同じ路線内だが現行計画にない2区間(計15.7キロ)で、土砂崩れによる通行止めの頻発を理由に、新たにトンネル建設などを実施すべきだとの結論を出した。

 国交省の基準では、新事業を決める際は費用対効果を計算するルール。しかし、この2区間での新事業は、まだ具体的な計画も事業費も決まっておらず、費用対効果は算出していない。国交省は今後、新事業の扱いを改めて検討する方針だが、現時点で事業着手を認めるのはルール違反と判断するとみられる。

 3月の工事凍結に対しては、東国原英夫宮崎県知事や「いのちの道」議員連盟会長の江藤拓衆院議員(宮崎2区)らが金子一義国交相に解除を要請。国交相は今月5日に現地視察した。こうした政治的な動きも評価委の論議に影響した模様だ。【位川一郎、種市房子、門田陽介】
 ◇72年から必要性、新規事業ではない

 8日の評価委では委員から「ここは新規事業をやるかどうか議論する場ではない」との強い反対意見も出たが、善委員長らが「(通行止め対策が必要との考えは)72年からあった。新規事業ではない」との解釈を主張し、新事業推進派が押し切ったかたちになった。この結論を受けて東国原知事は同日、「地元住民と一体で必要性を訴えたことが評価委員に伝わった」と歓迎コメントを出していた。

 国交省が新事業を認めない見通しになっていることについて、宮崎県道路建設課は9日、「事業はトンネル工事を伴うととらえていただけに驚く。早期の整備を願っている」と話した。


橋老朽化:交通規制必要、25道県で46本 財団法人調査

2009710 230分 更新:710 230

 損傷が激しく、交通規制が必要になった橋が97年以降、少なくとも25道県で46本あることが、財団法人「海洋架橋・橋梁(きょうりょう)調査会」(東京都文京区)の調査で分かった。鋼鉄材の金属疲労以外にも、コンクリート製の橋脚が欠けた事例もある。橋の老朽化が、形や材料を問わず全国に広がっていることが浮かんだ。

 同調査会は、07年に米ミネソタ州ミネアポリスで発生した落橋事故をきっかけに、(1)安全性が低下して交通規制がかけられた(2)放置するといずれ交通規制が必要になると判断された--を基準に調査。鋼鉄製橋▽コンクリート橋▽橋の下部構造▽床板の損傷▽その他--の五つに分類し、今年3月に結果をまとめた。

 その結果、重大な損傷が確認されたのは46本だった。管理者の内訳は、国19本、都道府県9本、政令市1本、市区町村17本。鋼鉄製橋では腐食や亀裂・破断、コンクリート橋では塩害やコンクリート内で化学反応してひびわれを起こすアルカリ骨材反応が目立った。下部構造では、基礎部分の沈下や土台の欠損などが見つかった。

 このうち20本は補修済みで、補修や架け替えなどの対策中か対策を予定している橋も6本あった。一方、14本は橋の寿命を延ばすことなどを目的に、大型車通行規制や片側通行の措置をとって使用を継続し、路線バスに迂回(うかい)を依頼しているケースもあった。6本は全面通行止めとなっている。

 住民の通報で駆け付けた管理担当者が「すぐにも崩落しそうな状態」と驚いたり「軽微なうちに補修を行う方が安価で済むので、こまめに点検・補修が重要」と、反省を口にするケースもあったという。

 同調査会は「道路橋の保守管理担当は参考にしてほしい」としている。【石原聖】

 ◆最近起きた主な橋の重大損傷◆

 橋       所在地      損傷内容    発覚年
君津新橋(72年)千葉県君津市=鋼鉄製つり材が破断=08年
請戸川橋(65年)福島県浪江町=鋼鉄製のけたに穴=04年
山添橋(71年)奈良県山添村=鋼鉄製のけたに1メートルの亀裂=06年
舟戸西橋(68年)徳島県吉野川市=鋼鉄製のけたが亀裂して破断=03年
野辺地橋(55年)青森県野辺地町=塩害でコンクリート製けたにひびわれ=07年
村中橋(59年)石川県穴水町=塩害で床板のコンクリートはく離=08年
法量橋(32年)青森県十和田市=経年劣化でコンクリート製けたの鉄筋が露出=04年
加久藤橋(52年)宮崎県えびの市=経年劣化でコンクリート製けたが欠損=97年
見晴橋(71年)横浜市=鋼鉄製橋脚が腐食し欠損=08年
山崎橋(60年)岐阜県関市=コンクリート製橋脚が欠損=06年
溝橋(52年)広島県廿日市市=塩害でコンクリート製床板の鉄筋が露出し破断=06年
厚木跨道橋(68年)神奈川県厚木市=橋を支える鉄製「支承」が腐食=04年
(海洋架橋・橋梁調査会まとめ、カッコは建設年)


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