Overcome a Disability
障害を越えて・・


ツイッター、聴覚障害者にも 要約筆記、瞬時に発信

20107211428

 耳の不自由な人に瞬時に文字情報を流す手段として、インターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」を活用しようと、聴覚障害者支援のボランティアをしている男性が、パソコンで要約筆記した内容をツイッターに投稿できるプログラムを開発した。野外イベントなど広い会場での利用に期待されている。

 現在、イベント会場などで聴覚障害者向けに文字情報を送る場合、複数の要約筆記者が連携してパソコンに専用ソフトで入力し、スクリーンに映す場合が多い。無線LANを通じて、受け手の手元のパソコンや携帯ゲーム機に表示させる方法もあるが、いずれも機器の配線や設定に手間がかかる。情報の届く距離も限られている。

 そこで、静岡県裾野市の会社員森直之さん(29)が、短いメッセージをリアルタイムで発信できるツイッターの仕組みに着目。既存の要約筆記専用ソフトに、入力内容が自動的にツイッターに投稿できるプログラムを組み込んだ。

 発信者側はこのソフトを用いて、要約筆記に使うツイッターの投稿者名(アカウント)をあらかじめ指定。複数の要約筆記者の入力した内容がこのアカウントに表示されるよう設定したうえで、聞き取ったイベントの内容を短文で次々に投稿する。聴覚障害者は携帯電話などで、このアカウントを指定して一連の「つぶやき」をフォローすれば、情報を受け取れる。特別な設定の必要もない。

 距離を気にせず、大勢に同時発信できるため、屋外のスポーツイベントでは場内アナウンスのように使える。講演会や演劇では主催者の許可を得られれば、どの座席でも利用できる。広い会場に複数のブースがあるフェアなどで、ブースごとに告知する使い方も可能だ。文字画面が次々に更新されるスクリーンと違い、受け手が前の情報をさかのぼれるのも利点だ。

 11日に広島県であった要約筆記の研究大会で実際に使われた。森さんは「これまで難しかった環境での聴覚障害者への情報提供の可能性が広がる。ただ、携帯電話が使えない劇場やホールもあり、会場に適した提供手段を考える必要がある」と話す。(千葉雄高)


自閉症:感情の神経機能低下が関係 脳断層撮影で浜松医大

201015 150分 更新:15 1728

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健康な人(上)と自閉症患者の脳の断面を写したPET画像。それぞれのグループの平均値を表し、脳を上部から8断面写した。健康な人の脳では、セロトニン神経のたんぱく質がより多く働いているため明るく見える=浜松医科大精神神経医学講座提供

 自閉症患者の脳では、感情などをつかさどる神経が十分に機能していないことを、浜松医科大などが陽電子放射断層撮影(PET)を使って初めて明らかにした。自閉症の治療や予防に役立つ成果として注目される。5日、米専門誌「精神医学アーカイブス」に発表した。

 自閉症は発達障害の一つで、「相手の気持ちが読めない」「自分の気持ちを伝えられない」「強いこだわりを持つ」などコミュニケーションや社会性の低下が特徴。程度や症状には幅があるが、小学生以下では50~100人に1人の割合で患者がいると推定される。原因は特定されておらず治療法もないため、「育て方が悪い」などの誤解が今も根強い。

 研究チームは、18~26歳の男性自閉症患者20人と健康な男性20人の脳を、研究目的に限定した専用のPETで撮影した。分析の結果、感情などを伝える「セロトニン神経」内部で、神経伝達物質のセロトニンを取り込むたんぱく質の働きが、患者の脳全体で健康な人より、平均で3割低くなっていた。中でも他人の気持ちを推し量る部位などでの機能低下が目立った。

 自閉症の原因については、関連する遺伝子が複数指摘されており、チームはこれらの遺伝子の異常が、今回分かった神経の障害を起こしている可能性があるとみている。

 チームの森則夫・浜松医科大教授(精神神経医学)は「自閉症は育て方とは関係なく、神経に障害が存在することが明確になった。治療・予防につながる標的が見えた意味は大きい」と話す。【永山悦子】

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公務員試験:身障者向け点字実施20道府県のみ 民間調べ

20091221 150分 更新:1221 1542

 身体障害のある受験者に限定した都道府県の公務員採用試験(特別枠)で、点字受験を認めているのは半数以下の20道府県しかないことが、「障害者欠格条項をなくす会」(東京都)の調査で分かった。既に毎日新聞の調査で、政令市と県庁所在市など計51自治体の一般事務職試験で点字受験できるのは6割未満と判明。身体障害者向けに限った試験でも、多くの自治体が視覚・聴覚障害者の受験を制限している実態が明らかになった。

 調査は、各自治体の公式ホームページに公開されている身体障害者対象の職員採用試験案内など(一部に学校事務を含む)を確認する方法で実施。特別枠試験がない群馬、富山両県を除く45都道府県が対象。

 点字受験ができることを明記しているのは、北海道▽青森▽岩手▽宮城▽秋田▽埼玉▽千葉▽神奈川▽静岡▽京都▽大阪▽兵庫▽和歌山▽高知▽福岡▽長崎▽熊本▽宮崎▽鹿児島▽沖縄の計20道府県。一方、東京▽長野▽奈良など多くの自治体が受験資格に「活字印刷文に対応できること」と明記し、視覚障害者を制限している。

 また、手話通訳者の要・不要を問うなどの記述が確認できたのは22道府県のみ。徳島、愛媛両県は受験資格に「口頭による試験に対応できること」などと明記して手話通訳を認めず、それ以外の自治体も大半は手話通訳を想定していない。

 同会事務局長で聴覚障害のある臼井久実子さんは「活字の文字や音声の言語を扱えなければ、仕事ができないという思い込みが極めて強いのではないか。明らかに差別で、是正すべきだ」と話している。【遠藤哲也】

点字受験できると明記、手話通訳者に関する記述がある道府県◆
 点字  手話
北海道  北海道
青森   岩手
岩手   宮城
宮城   秋田
秋田   福島
埼玉   栃木
千葉   千葉
神奈川  神奈川
静岡   長野
京都   愛知
大阪   三重
兵庫   滋賀
和歌山  大阪
高知   兵庫
福岡   奈良
長崎   和歌山
熊本   島根
宮崎   福岡
鹿児島  長崎
沖縄   熊本
     大分
     宮崎
(障害者欠格条項をなくす会調べ。一部に学校事務を含む)

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精神障害者:「幻聴妄想かるた」ユーモア交え理解促す

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「幻聴妄想かるた」を持つハーモニーの新澤克憲施設長。患者の体験をプリントしたTシャツ(右)も作った=東京都世田谷区で前谷宏撮影

 東京都世田谷区の精神障害者共同作業所「ハーモニー」が障害者の幻聴や妄想の体験を理解してもらおうと、昨年10月に製作・販売した「幻聴妄想かるた」が評判を呼んでいる。「星が人々だと思って叫んでいた」「コンビニに入るとみんな友達だった」などの幻聴や妄想をユーモラスな読み句にし、1年で約250セットが売れ、18日から区内で展覧会も開かれる。作業所は「かるたを通じて精神障害者のことをもっと多くの人に知ってほしい」と話している。

 ハーモニーは、地域で孤立しがちな在宅の障害者に居場所や軽作業などを提供する施設。集団精神療法士の藤田貴士さんが中心となり、利用者同士でお互いの体験を話し合うグループ療法を開いており、精神障害者の体験談を一般の人にも分かりやすく発信しようと、かるたを作った。

 かるたは「弟を犬にしてしまった」という読み句に「弟が犬に見えて、左側をずっと歩かせていたそうです。それにしてもやさしい弟さんですね」という解説文を付けるなど、幻聴や妄想をユーモアで包み、親しみやすい形にした。

 看護の専門誌などで取り上げられ、福祉や看護の大学などから注文が相次ぎ、教材として取り入れる学校もあった。学生からは「幻聴がどんなものか楽しみながら学べた」などの感想が寄せられた。

 かるたづくりにかかわった統合失調症の男性(54)も、しばしば謎の集団に地面を揺らされているように感じることがあり、苦しめられてきた。しかし、かるたをきっかけに施設の障害者同士で体験を語り合うようになり「初めて理解された気がした」という。

 ハーモニーの新澤克憲施設長は「幻聴や妄想がよく現れるのは、孤独感や疲労感が強いとき。体験を話し合い、時に笑い合える居場所があることが、障害者が地域で暮らす上で重要」と話す。

 展示会は18~20日、世田谷文化生活情報センターで開かれる。

 問い合わせはハーモニー(03・5477・3225)へ。【前谷宏】

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毎日新聞 2009128日 1113分(最終更新 128日 1223分)


点字受験:4割不可 公務員採用51自治体調査

 地方公務員採用試験(一般事務職)で点字による受験を認めている自治体は、障害者対象の特別枠試験を含めても56.8%に過ぎないことが、県庁所在市などを対象にした毎日新聞の調査で分かった。全盲の女性保育士(31)の受験を大阪市が門前払いしたことが明らかになった保育士採用試験ではわずか7.8%だった。就労機会が十分に保障されていない実態が浮き彫りになった。【遠藤哲也】

 調査は12月初めまでに、保育士採用試験を担当する県庁所在市と東京都(特別区人事委)、18の政令市の計51の自治体を対象に実施、すべてが回答した。

 一般事務職で点字受験を認めているのは29自治体。うち、障害のない人が主に受ける通常の試験での許可は、札幌▽山形▽前橋▽川崎▽京都▽大阪▽堺▽福岡▽長崎▽大分▽宮崎の11市と東京特別区。別枠の障害者対象試験で門戸を開いているのは、09年度から始めた、さいたま▽新潟▽神戸など27市だった。

 一方、「認めない」と答えたのは17市。理由は「勤務で一定の配慮が必要な重度視覚障害者の採用は想定していない」(水戸市)、「拡大文字で受験できる障害の程度でなければ、業務遂行に支障がある」(高松市)などで、自治体によって「可否」の判断基準に大きな違いが出た。5市は「未定」だった。

 また保育士採用試験で点字受験を認めたのは、方針を変更した大阪市を含め、山形▽前橋▽山口の4市のみ。

 一方、不可は26市。理由は「配置や業務分担などが困難」(熊本市)など。

 「点字試験の準備が困難」(福島市)との回答もあった。残り21自治体は「未定」や採用試験を現在実施していない。

 障害者雇用促進法で地方自治体などには法定雇用率(2.1%)が定められており、厚生労働省と総務省は同法に基づき、各都道府県などに対して障害者雇用の促進を求める通知を出している。しかし、「地方分権なので、地方自治体を指導する権限は国にない」(同省公務員課)と強制力のない助言にとどまっている。

英訳

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毎日新聞 20091211日 230分(最終更新 1211日 230分)


40 percent of local governments don't let Braille users sit job exams

More than 40 percent of local governments across the nation do not allow Braille users to sit for their employment exams, the Mainichi has learned.

According to a recent survey by the Mainichi Shimbun, only 56.8 percent of local governments across the country accept applications from Braille users in their employment exams for regular clerical posts. The figure includes special admission quotas for the disabled.

When it came to nursery school teachers, the percentage further dropped to 7.8 percent. The finding came on the heels of an incident in which a 31-year-old blind woman was denied a chance to sit for an exam for a nursery staff post by the city of Osaka.

The survey, that was concluded earlier this month, covered a total of 51 municipalities, including Tokyo, prefectural capitals that hold employment exams for nursery teachers and 18 government-decreed cities, of which all responded.

Among them, 29 municipalities allowed Braille users to sit for employment exams for regular clerical posts. Of them, Tokyo's 23 wards and 11 cities -- Sapporo, Yamagata, Maebashi, Kawasaki, Kyoto, Osaka, Sakai, Fukuoka, Nagasaki, Oita and Miyazaki -- allowed Braille users to take the same exams as those for non-disabled applicants. Twenty-seven other municipalities had special admission quotas for disabled applicants, with Saitama, Niigata and Kobe introducing such systems in fiscal 2009.

On the other hand, 17 municipalities said they do not accept applications from Braille users. The city of Mito said it was not prepared to employ those with serious visual impairment who need special care at work, while the city of Takamatsu said those who cannot read exam papers even with enlarged characters would have difficulties performing their work. Five other cities said they were undecided.

Only four municipalities -- Osaka, Yamagata, Maebashi and Yamaguchi -- accepted applications from Braille users for nursery staff posts. Osaka changed its policy after its denial of a blind applicant stirred controversy.

Twenty-six other cities closed their doors to Braille users, citing such reasons as "difficulties in placing them and assigning them work" (the city of Kumamoto) and "trouble in preparing employment exams in Braille" (the city of Fukushima). Twenty-one other municipalities said they were either undecided or not carrying out employment tests.

Under the Handicapped Persons' Employment Promotion Law, local governing bodies are required to implement an employment rate of 2.1 percent for the disabled. The Health, Labor and Welfare Ministry and the Internal Affairs and Communications Ministry have issued notices to prefectural governments to promote employment of disabled people based on the law. However, the notices are not legally binding since "under the principle of decentralization of power, the central government is not authorized to give instructions to local municipalities," according to a ministry official.

Click here for the original Japanese story

(Mainichi Japan) December 11, 2009


小学教師:病気で失明あきらめるな実践、今春再び教壇に

2009127 1057分 更新:127 1057

 中途失明した京都府福知山市の小学校教師、一井鳴海(いちいなるみ)さん(34)が今春、ハンディを乗り越えて市立雀部(ささべ)小学校(児童545人)の教壇に約4年ぶりに復帰した。小学校では担任が全教科を教えるのが基本だが、担任は持たず、1学期は6年生の社会、2学期は2年生の算数に絞り、同僚に板書してもらいながら授業に取り組んでいる。「健常だったころ、子どもたちに言ってきた『簡単にあきらめるな』の実践です」と笑顔を見せる。【熊谷仁志】

 一井さんは99年に教師になったが、雀部小にいた05年に病気で全盲になった。休職し、リハビリ施設で点字や音声機能付きパソコン操作などを習得。盲学校の全盲教師らの授業に足を運ぶうち、復職の決意が固まった。

 昨年から同小に週1回通って準備。今春、正式に復職し、1学期は6年生3学級で社会を週12時間教えた。授業計画は自分で立てるが、教材作りは他の教師が手伝い、担任が黒板への板書をする。2学期からは2年生2学級に週10時間、算数を教えている。

 先月下旬の九九の授業。「分かった人は手を挙げて」と約30人の児童に大きな声をかける。担任が「(児童は)ほとんど手を挙げていない」「そこに立つと子どもから黒板が見えない」などと小さな声で教室の様子を伝える。一井さんは「全体の理解を確認しながら進めるのは難しい。授業のたびに反省ばかりです」と話す。

 しかし、丸山勇喜校長は「子どもたちは一井先生に接し、多くのことを学んでいる」と話す。一井さんが通勤で学校近くの踏切を渡る時、居合わせた児童が手を引いてくれるようになった。一井さんは「私にしか伝えられないことがきっとあるはず」と力を込める。

 「全国視覚障害教師の会」によると、全盲での復職は、教科指導が中心の中学、高校では少なくないが、普通小学校では極めて珍しいという。


点字器:途上国に寄贈日本盲人会連合など

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全国から寄贈された点字器を点検するスタッフ=東京都新宿区で、内林克行撮影

 発展途上国の視覚障害のある人に、点字を学ぶ機会を--。そんな願いを込めて、会員約5万人の国内最大の視覚障害者団体「日本盲人会連合」(東京都新宿区)などが、点字を書く道具「点字器」や点字用紙を途上国に贈る取り組みを始めた。13日から、フィリピンや東ティモール、カメルーンなど計20カ国に約2100点を郵送する。

 同会会長で全盲の笹川吉彦さん(75)が昨夏にモンゴルを視察・調査した際、「点字器が不足している」と相談を受けた。多くの途上国の障害者施策は不十分で、全盲の子たちは点字を学ぶ機会さえ奪われているという。

 同会などが所属する「日本盲人福祉委員会」(同区)が中心になって作られた、点字の考案者ルイ・ブライユ生誕200年記念の「点字ビッグイベント実行委」が今春から、国内の福祉団体に寄贈を呼びかけたところ、木製やプラスチック製の点字器や点筆など約100点が集まり、新たに製造した機器と合わせて贈ることにした。途上国側では、各国の福祉団体などが窓口になって視覚障害者に渡すという。

毎日新聞 20091112日 1500分(最終更新 1112日 1500分)


第3種郵便:郵政など運用で協議障害者側の要望受け

 総務省、厚生労働省と日本郵政グループの郵便事業会社は5日、障害者団体向け郵便割引制度やその運用の改善策を検討する「心身障害者用低料第3種郵便物関係機関連絡会」の初会合を開いた。

 低料金に目を付け、制度を悪用した郵便法違反事件を機に、再発防止のため利用時の審査が厳格化された。これに対し、障害者団体約1200団体が所属する全国障害者団体定期刊行物協会連合会などは7月、弾力的な運用などを求める要望書を3者に提出していた。連絡会はこの日、障害者団体から意見を聞いた上で、年内をめどに結論を出す方針を決めた。【望月麻紀】

毎日新聞 200986日 230


保育士採用試験:全盲保育士の受験、大阪市長が許可表明

 全盲の女性保育士の小山田みきさん(31)が障害を理由に、大阪市の保育士採用試験の受験を拒否されている問題について、同市の平松邦夫市長は30日の定例記者会見で、今秋の採用試験から点字での受験を認めると正式に表明した。平松市長は「保育士資格をきちんと持つ人に受験の道がなかったのは、反省しなければならない」と陳謝した。

 会見で平松市長は「働きたいという(小山田さんの)思いを無視したことになり、申し訳ない。(働ける)体制を取ることが当たり前のことで、その当たり前のことをしよう、と現場に指示を出した」と説明した。

 担当の同市こども青少年局は「改めて検討した結果、複数担任のクラスなどで職場が確保できると判断した」と言う。

 同市内の私立保育園で8年にわたる実務経験を持つ小山田さんは「受験が認められてうれしい。今後、視覚障害者に限らず、保育士だけにかかわらず、障害者雇用の機会がいち早く広がることを願います」と話している。【遠藤哲也】

毎日新聞 2009731日 大阪朝刊


ついに盲目の人でも運転できる車が作られる
20090725 22:01

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近年、無人で自動的に運転するテクノロジーが研究されていますが、それをを応用して画期的な車が考案されたました。

バージニア工科大学の学生が、目が不自由でも運転できる車を作り上げたそうです。

車にはレーザーや音声その他に反応するセンサーを搭載し、スムーズに動いたそうです。

盲目の人が独立した生活を営むための、きっかけになるのではと車だけでなく、さらなる可能性にも注目しているようです。

もともとは2004年にジェーニガン盲人協会が、目の不自由な人向けの自動車を開発することはできないかと持ちかけたもので、バージニア工科大学がそれに応じて研究が始りました。

開発にあたって3000ドル(約28万円)の融資を受け、新しい挑戦が始まりました。バギーを組み立て、レーザーファインダーから集められた情報をハンドルのモニターにリンクさせ、音声ガイダンスが運転手にどれくらいハンドルを切らなければいけないかを伝えるそうです。

スピードの増減は胴着に振動で伝え、振動箇所によって指示を判別するそうです。

まだ開発の初期段階ではありますが、来年度の学生がこれを受け継いでさらなる改良を加えていく予定です。

現在は法的にも盲人による運転は禁止されていますが、安全性に対する一般の認識などを少しずつ変えていく助けになればと考えているようです。

将来、目の不自由な人が運転可能かどうかはさておき、あえて困難なことにチャレンジする精神こそが、生活を向上させていくことへと繋がっていくのでしょうね。


Students Build a Car the Blind Can Drive
Posted by John in Science & Tech on July 24, 2009 at 2:02 pm

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Engineering students at Virginia Tech have built a car that can be driven by the visually impaired. The vehicle is equipped with laser range finders and a semi-autonomous computer that helps direct drivers around a course that they can’t see:

The steering wheel is hooked up to a distance monitor that gathers information from laser range finders, and it uses voice software to tells the driver how far to turn the wheel. For example, the monitor will tell the driver “turn left three clicks.” As the driver does that, the monitor makes three clicking noises.

A vibrating vest provides cues to follow when accelerating and decelerating. The vest vibrates in different places — the back, the belly and the shoulders — to convey different commands. When the entire vest vibrates, it means, “Slam on the brakes!”


Students Build a Car the Blind Can Drive
By Ben Mack July 23, 2009 | 6:17 pm | Categories: Cool Cars

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The same technology that lets cars drive themselves allows the blind to drive, too.

Virginia Tech undergrads packed an all-terrain buggy with technology lifted from the university’s DARPA Urban Challenge entry to create a car the blind can drive. The semi-autonomous vehicle uses a laser range finder, voice software and other sensory technology, and it worked flawlessly when blind drivers took the wheel on a closed course. Advocates for the blind joined the lead researcher in calling the vehicle a breakthrough in independent living for the visually impaired.

“We are not only excited about the vehicle itself, but also the potential spinoff technologies from this project that could end up helping the blind,” Dennis Hong, the director of the university’s Robotics and Mechanisms Laboratory, told Wired.com.

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Wes Majerus, who is blind, called the car "a great first step" after taking it for a spin.

The car was born of a challenge the National Federation of the Blind’s Jernigan Institute issued in 2004 when it called on universities to develop a vehicle for the blind. Virginia Tech accepted the challenge in 2006 — the only university to do so — and received a $3,000 grant to begin the project.

The Blind Driver Challenge team at Virginia Tech’s Robotics and Mechanisms Laboratory built the buggy. The steering wheel is hooked up to a distance monitor that gathers information from laser range finders, and it uses voice software to tells the driver how far to turn the wheel. For example, the monitor will tell the driver “turn left three clicks.” As the driver does that, the monitor makes three clicking noises.

A vibrating vest provides cues to follow when accelerating and decelerating. The vest vibrates in different places — the back, the belly and the shoulders — to convey different commands. When the entire vest vibrates, it means, “Slam on the brakes!”

“Originally we had a vibrating chair, but the vehicle was also vibrating on account of the motor, so drivers had some difficulty differentiating between the two,” Hong said. “The 2009-2010 team will be applying this technology to an electric vehicle to eliminate the vibration caused by the motor altogether.”

Hong wants to continue working on a tactile map interface. The system, called Airpix, shoots compressed air through tiny holes on a screen in real time, to provide a layout of the area surrounding the vehicle. Drivers can “read” the map with a hand, much like Braille. Hong said he needs more feedback from the blind and visually impaired to refine the system.

All this technology is clearly in its earliest stage,s and we’re a long way from the day when the blind join us in slogging through the morning commute. But the Federation for the Blind hailed the vehicle and the promise it offers.

“It’s a great first step,” Wes Majerus, an access-technology expert for the federation, said in a press release. “As far as the differences between human instructions and those given by the voice in the Blind Driver Challenge car, the car’s instructions are very precise. You use the technology to act on the environment — the driving course — in a very orderly manner.”

Majerus drove the car and said, “It was great.” Mark Riccobono, executive director of the Jernigan Institute, called his test drive historic. “This is sort of our going-to-the-moon project,” he said.

Although the technology is progressing, laws prohibiting the blind from driving — not to mention public perception about that possibility — must be changed, Hong said. That is why the Blind Driver’s Challenge team will be promoting the vehicle’s technology at a National Federation for the Blind–sponsored parade in Washington, D.C.

“People always say, ‘What’s the point of this project?’” Hong said. “But blind people who drive the vehicle always have a big smile on their face afterwards. It’s therapeutic and gives them hope of being entirely independent.”

Photos: Virginia Tech


保育士採用試験:全盲女性を門前払い 大阪市

200977 150分 更新:77 1838

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点字をなぞりながら子供たちに絵本を読み聞かせる全盲の保育士、小山田みきさん=大阪市天王寺区で、幾島健太郎撮影

 大阪市の昨年度の保育士採用試験で、受験資格を満たしている全盲の女性が点字での受験を認められず、門前払いされていたことが、関係者への取材で7日分かった。同市こども青少年局は「特別の配慮はできない」と説明するが、識者から疑問の声が上がっている。女性は国家資格の保育士資格を持ち、私立保育園で8年にわたる実務経験もある。女性は「今秋の試験に挑戦したい。障害を理由に、受験さえ認められないのは納得できない」と訴えている。【遠藤哲也】

 大阪市在住の小山田(おやまだ)みきさん(31)。未熟児網膜症のため全盲になった。幼稚園での楽しい思い出が心に残り、保育士を目指して、京都市の華頂短大幼児教育学科に進学。01年、保育士資格を取得した。小山田さん以外に、全盲の保育士は「聞いたことがない」(厚生労働省)という。同年9月から、大阪市天王寺区の私立「四天王寺夕陽丘保育園」に勤務しているが、契約職員のため、公営保育所を目指すことにした。

 大阪市の昨年度の保育士採用試験(短大卒程度)の受験資格は、74~89年生まれの保育士資格を持つ(見込みを含む)者。条件を満たしている小山田さんは昨年9月、市に点字受験について問い合わせたところ、「視覚障害者が働く職場は確保されていない」などと受験を断られたという。

 市長あてに点字受験を求める嘆願書も提出したが認められず、同市は「視覚障害のある保育士が保育業務に従事するにあたって、どんな課題があるか整理していく」(こども青少年局)と回答した。

 小山田さんは1年待って今年6月、今秋の受験について同市に尋ねたが、同局は「試験は競争なので、働く条件が同じなのが前提。一部の人を特別扱いできず、点字受験の導入は考えていない」と回答し、受験すらできない状態は変わっていない。

 ◇仕草やにおいで園児判別


 小山田さんが勤める大阪市天王寺区の四天王寺夕陽丘保育園。「見て、見て。新しい本持ってきたよ。お話、始まるよ」。小山田さんがよく通る声で呼び掛けると、園児たちが集まってきた。エプロン姿の小山田さんが、点字の透明シールを張った絵本を右手の指先でなぞりながら朗読を始めると、園児たちは食い入るように聴き入った。

 同保育園に勤めて8年目。複数担任制で同僚5人と役割分担し、30人の2歳児の心と体を育てる毎日だ。

 小山田さんは見えない分、会話を多くするように心掛けている。砂場の近くでお漏らしをした男児もいたが、小山田さんがトイレまで連れて行き、シャワーでお尻を洗って着替えを手伝った。

 動き回り、予期せぬ行動もする幼児。小山田さんは、子どもの声や手、髪形はもちろん、しがみついてくる仕草や服に着いているにおいなどで一人一人を判別している。

 同僚の保育士、森山佳代さん(41)は「園児の着替えでも服の着心地が悪くないかなど、一つ一つの動作が丁寧です」と話す。保護者からの不安の声も特にないという。小山田さんは「(大阪市は)私の実際の仕事ぶりを見ることもなく、全盲者は何もできないという机上の空論で判断されているように感じる」と話している。


特集:教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育 心で支え合いを

 東京大学大学院教育学研究科バリアフリー教育開発研究センターの開設を記念する公開フォーラム「教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育」が6月20日、東京都文京区の東大安田講堂で開かれた。視覚・聴覚障害者でバリアフリー研究に取り組んでいる福島智・東大先端科学技術研究センター教授が「教育のバリアフリー化が社会を変える」と題して基調講演した後、「教育のバリアフリー」をテーマに、5人のパネリストが話し合った。会場には車いすの人を含めた800人以上が集まり、熱心に聴き入っていた。
 ◇カンボジアに230校、建設--小山内さん
 ◇パラリンピックを東京で--成田さん
 ◇五感通した「色彩」に感動--木下さん
 ◇障害者に教育の門戸広く--中邑さん
 ◇色弱者が「見える」研究を--伊藤さん

 フォーラムではまず佐藤慎一副学長が「先端科学技術研究センターに加え、バリアフリー教育開発研究センターが作られ、バリアフリー推進の二つの強力なエンジンを持つことになりました。今後の発展に期待します」と祝辞を述べた。

 武藤芳照研究科長は主催者あいさつで「バリアフリーといえば、建物や構造などハード面を思い浮かべることが多いが、心のバリアフリーがより大切で、そこにバリアフリー教育の学術的、社会的意義がある。障害の有無にとどまらず、国や人種、言語、宗教などさまざまな社会的、文化的バリアーを視野に入れています」と語った。

 衞藤隆センター長は「探検に例えると、まだ岩に1本のくさびを打ち込んだにすぎず、テントの中身は不十分です。皆様とともにセンターを充実させていきたい」と述べた。

 この後、川本隆史教授、白石さや教授の司会で、パネルディスカッションをした。パネリストの発言概要は以下の通り。

 ■パネルディスカッション
 ◇妥協点見いだして

 小山内さん 78年に中学を卒業した息子と友人たちとの会話を聞き、「受験戦争でつぶされそうな子どもたちへの応援歌にしよう」と思い、「3年B組金八先生」を書きました。仕事が一段落した90年からヨルダン、イラン、そしてカンボジアで、学校を作る活動を始めました。

 カンボジアには学生たちと一緒に年2回訪れ、これまでに230校を作りました。小児まひの子が少なくないのですが、その子たちが学校に来られるようにボランティア団体が車いすを送り、学校の段差がある所にはスロープを作りました。 

 成田さん 東京や横浜には障害のある人が使えるプールがありますが、そこに行くまでのアクセスが悪いという問題があります。私の通う民間スイミングスクールはプールサイドに段差があるなどバリアフリーは十分ではありませんが、皆が心でカバーしてくれます。それが本当のバリアフリーだと思います。一般の人と泳ぐ年齢別のマスターズ大会に申し込んだら、「前例がない」と断られましたが、何とか認めてもらいました。自分が出ることで、車いすの人でも泳げることを分かってもらいたい。

 私は車で移動していますが、車いす用の駐車場があっても赤い三角のポールが置かれてとめられなかったり、車いす用のトイレに鍵がかかっていて使えないこともあります。いま東京オリンピックの誘致活動をしていますが、パラリンピックが開かれると、障害のある人が住みよい街になると思います。

 木下さん 滋賀県のボーダレス・アートミュージアムで昨年開かれた自閉症や知的障害者の方を含めたプロ4人の展覧会に参加出品しました。障害のある作家の作品の方が強い存在感があることに、がく然としました。作品を作り感動を与えて評価を受けるということを期待するのではなく、生きていく行為としての表現なのですね。とてもかなわないと思いました。僕は目の見えない旅芸人の方を絵に描いてきましたが、その方の話を聞くと、五感を通して色を感じているように思います。

 中邑さん 隣の研究室にいる福島先生とインターネットで何の問題もなく会話できるように、科学技術の進歩は障害の形を変えつつあります。一方、科学技術は新たな障害を生み出しています。世の中の流れが速すぎて、困難を抱える人が増えている。生きにくい社会になっています。学習しても標準レベルにならない読み書き障害の方がいます。コミュニケーションが苦手な人は第3次産業には就職にしにくい。第1次、第2次産業を大切にしないと、人の多様性を吸収できないのです。

 私はDO-ITJapanという障害のある高校生を大学へという活動をしています。日本には障害のある大学生は約5000人いますが、米国には200万人います。障害のある人たちが高等教育を受けられるようにしようという考え方が背景にあります。

 伊藤さん 全員が手話で話す飲み会に参加し、一人で浮いているという経験をしました。バリアーは障害があるから生じるのではなく、多数派の中に少数派が入ることにより発生するのです。私は色弱で、一部の色の違いが見分けられません。かつて色弱者への就職差別がありました。カミングアウト(公表)しても不利にならない社会にするよう、声を上げなければなりません。どんな色やデザインが見えやすいかを研究し、変えていくことも重要です。その際には、ある人には見えやすい色が他の人には見えにくいという場合もあるので、妥協点を見いだす必要があります。

 ■基調講演
 ◇壁を破り人生を開く--福島智・東大先端科学技術研究センター教授

 私がコミュニケーションの手段にしている指点字は母親が81年に思いつきました。点字タイプライターはキーが左右に三つずつ計六つあります。目が見えない、耳も聞こえない盲ろう者になった時、これを使って母と筆談をしていました。しかし、キーを打つ音がうるさいし、持ち歩けない。そこで、これを応用して左右3本ずつの指に触れて、あいうえおを示す指点字を考えたのです。

 ドラマだと指点字の誕生に感激した母子がひしと抱き合うのですが、実はその時、母とけんかしていました。息子に文句を言おうとしても聞こえないので、とっさに指点字を思いついたのです(笑い)。友人が指点字を覚えてくれて、世界が広がる感じがして、これでやっていけるなと思いました。

 進路は非常に不安でした。担任の先生が進路指導で「大学進学が希望なら、チャレンジすればいい」と言ってくれました。大学進学のバリアーはまず、試験です。「そんな学生を受け入れたことはない」などと言われて、1年目は受験ができませんでした。今でも障害を理由に試験が受けられない大学や資格試験があります。

 1年浪人して東京都立大に入学しました。下宿が見つからないことも大きなバリアーでした。何軒も回ってようやく、隣の部屋に友人が住むという条件で認めてもらいました。

 日本は前例主義で、私はどこに行っても、「前例がないから」と言われます。しかし、どんな物事でも最初はあるのです。しり込みしてはいけない、やるだけやってみてだめだったら、その時考えようと思いました。

 その後、大学院に進み、研究者の道を歩むのですが、それぞれのステップで壁にぶつかります。壁を破るしかない。壁の前で進まないでいると、いつまでも自分の人生は開けないと思ってやってきました。

 遊びの部分でも壁があります。少しでも可能性があれば、やってみます。海で水泳をする時は、どちらが沖か分からない。そこで、ゴムボートにつないだ20~30メートルの命綱を体に巻きつけて泳ぐという方法を考えました。

 異質なものがぶつかった時に、摩擦、対立が生じます。一つひとつ解決するために話し合い、心の問題を突破しようとしますが、崩されない壁は残ります。相手の気持ちを完全に理解することはできない。だからこそ、語り合いたい、つながりたいという気持ちが大切です。バリアフリーを実現する究極の方法はコミュニケーションだと思います。

主催 東京大学大学院教育学研究科

共催 毎日新聞社

後援 日本製薬団体連合会

協力 東京大学バリアフリー支援室、ペパーミントウェーブ実行委員会

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 ■人物略歴
 ◇福島智(ふくしま・さとし)さん

 東大先端科学技術研究センター教授

 1962年、兵庫県生まれ。9歳で失明、18歳で聴力を失う。指点字を母親とともに考案、聴覚・視覚障害者として日本初の大学進学を果たし、大学教員になる。08年から現職。バリアフリー論及び障害学の教育研究に取り組んでいる。

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 ■人物略歴
 ◇小山内美江子(おさない・みえこ)さん

 脚本家

 1930年、横浜市生まれ。シナリオライターとして、TBS「3年B組金八先生」シリーズ、NHK「翔ぶが如く」「徳川家康」などを手がける。NPO法人JHP・学校をつくる会代表。東京未来大客員教授。

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 ■人物略歴
 ◇成田真由美(なりた・まゆみ)さん

 パラリンピック水泳金メダリスト

 1970年、神奈川県生まれ。13歳で脊髄炎(せきずいえん)を発症、両下肢まひとなる。アトランタから北京までの4大会連続でパラリンピックに出場、金15個など計20個のメダルを獲得。東京オリンピック・パラリンピック招致委員会アスリート委員会副委員長。

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 ■人物略歴
 ◇木下晋(きのした・すすむ)さん

 画家、金沢美術工芸大大学院教授

 1947年、富山県生まれ。63年に自由美術協会展初入選、69年に初個展を開催。90年、山形・湯殿山注連寺の天井画を描く。08年、滋賀県近江八幡市のボーダレス・アートミュージアムNO-MAの「飛行する記憶」展に参加出品した。

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 ■人物略歴
 ◇中邑賢龍(なかむら・けんりゅう)さん

 東大先端科学技術研究センター教授

 1956年、山口県生まれ。広島大大学院教育学研究科博士課程後期単位取得退学。香川大教育学部助教授などを経て、05年から現職。科学技術の進歩が生み出す障害や困難さを克服する道を研究している。

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 ■人物略歴
 ◇伊藤啓(いとう・けい)さん

 東大分子細胞生物学研究所准教授

 1963年、神奈川県生まれ。東大大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所助手などを経て、02年から現職。色覚バリアフリーの啓発に取り組み、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構を設立、副理事長となる。

毎日新聞 200974日 東京朝刊


車椅子少女:同級生と3カ月ぶり再会 奈良地裁の決定受け

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初登校し、教員と笑顔で手をつなぐ谷口明花さん(左)=奈良県下市町の町立下市中で2009年7月3日午前8時11分、小関勉撮影

 車椅子生活のため、設備不備などを理由に奈良県下市町の町立下市中へ入学を認められなかった同町の谷口明花(めいか)さん(12)が3日朝、初めて同校に登校した。谷口さんを入学させるよう仮の義務付けをした奈良地裁の決定を受け、町教委が入学を認めた。谷口さんは同校で約3カ月ぶりに同級生と再会した。

 谷口さんは午前7時49分、真新しいセーラー服姿で母美保さん(45)に背負われ、自宅前に姿を見せた。「うれしい。友達と話したいです。中学では英語を勉強したい」と語り、制服の着心地について「今はぶかぶかやけど、いつかは合うような気がする」と笑顔で話した。昨晩はなかなか眠れず、美保さんは「遠足の前のようだった」とほほ笑んだ。

 同8時7分、同校に到着すると、生徒たちが教室の窓から手を振った。授業前に体育館で全校集会が開かれ、谷口さんは「よろしくお願いします」とあいさつした。谷口さんは、新設された肢体不自由児学級に在籍し、学級会などの時は1年A組に移動する。【高島博之】

毎日新聞 200973日 1541分(最終更新 73日 1542分)


要介護認定:新基準で4割超軽く 1次判定

2009630 150分 更新:630 2232

Pasted Graphic
新基準による要介護度の判定

 4月から運用が始まった新しい要介護認定の基準について、淑徳大の結城康博准教授(社会保障論)が全国15自治体の約5050人を調べたところ、4割強の人がコンピューターによる1次判定で現在の要介護度より軽くされていることが分かった。新基準は厚生労働省が専門会議を設け検証しているが、調査は利用者の不信感を裏付ける形となり見直し論議に影響しそうだ。

 調査は専門会議メンバーの結城准教授が自治体にデータ提供を要請し、認定更新を申請して5月に新たな認定が出た例を分析した。1次判定では申請者の約43%が現在の要介護度より軽度になり、現在と同じになった人は約37%、重度になった人は約20%だった。

 この結果を踏まえ結論を出す2次判定では、1次の結果をより重度に修正するケースが相次ぎ、最終的に現状より軽度と判定された人は約23%にとどまった。2次判定に携わる各自治体の介護認定審査会メンバーからは「要介護3だった人が非該当にまで下がったケースがある」「1次判定で半分以上の人の要介護度が下がり、吟味して救っている」などの報告があった。

 要介護認定では市区町村ごとのばらつきが大きいとして厚労省は1次判定基準を改定。だが利用者らの批判を受け、経過措置として現在と異なる判定が出た人は希望すれば今と同じサービスが受けられるようにしている。【有田浩子、佐藤浩】

 ◇ことば 要介護認定


 介護の必要な程度に応じて要支援1~2、要介護1~5の7段階と、非該当(自立)に分かれ、サービスの上限額が決まる。市区町村の調査員が申請者の状態を調査。コンピューターの1次判定に主治医の意見書や調査員の特記事項を加味し、審査会が2次判定する。新基準では調査項目が減り、調査員マニュアルも変更。実際の介助の有無が判定に反映されやすく、施設入所者に比べ、1人暮らしの人らが軽度に判定される傾向が指摘されている。


神戸スウィーツ・コンソーシアムin東京:授産所からパティシエを
 ◇障害者にプロが手ほどき

 菓子作りのプロを目指す障害者に一流パティシエ(菓子職人)が作り方を直接伝える「神戸スウィーツ・コンソーシアムin東京」が今月、東京都中央区で開かれた。一線で活躍するプロの技に接し、参加者は名職人への夢を膨らませた。【清水優子】

 スイーツの世界で活躍する障害者を育てようと、社会福祉法人プロップ・ステーション(神戸市)と製粉会社「日清製粉」、製菓・製パン原材料卸会社「日東商会」が主催した。昨年神戸市で初開催し、今回で2回目。

 同法人理事長の竹中ナミさん(60)の呼びかけに、オーストリア政府の認定資格「製菓マイスター」を外国人で初めて受け、洋菓子メーカー「モロゾフ」のテクニカルディレクターを務める八木淳司さん(57)らパティシエ4人がボランティアで協力した。参加者は書類選考で選ばれた23~39歳の知的、精神障害者と作業所職員ら計9人。みな授産施設などで洋菓子やパン作りに携わっている。

 最初に、八木さんがマドレーヌのオリジナルレシピを基に作り方を実演。「生地はツヤが出るまでしっかり混ぜる」「材料の配合分量は正確に」。焼き上がりまで分かりやすく説明を受けた後、参加者らが挑戦した。

 川崎市宮前区の小規模作業所でパン作りをする菊池由香さん(27)は「説明が分かりやすかった。アドバイスを参考に腕前を上げます」。神戸市の喫茶店でケーキを作る内海友人(ともひと)さん(34)は昨年も参加し、前回学んだ菓子を商品化して収益を上げた。「将来は自分の喫茶店を持ちたい」と夢を語った。

 指導にあたった八木さんも三男(13)に軽い知的障害があり、授産施設などの菓子作りに関心があった。「障害者は学ぶ意欲はあっても、専門学校に入学できず、プロに学ぶ機会もない。修了生は学んだ技術をそれぞれの職場で仲間にも伝えてほしい」。11歳の長女がダウン症というフランス菓子店シェフ、永井紀之さん(48)も「技だけでなく、仕事への姿勢もしっかり伝えたい」と話した。

 イベントを企画した竹中さんは24歳の時、重度の脳障害をもつ長女(36)を授かり、91年にプロップ・ステーションを設立、自立と就労を目指してきた。竹中さんは「超一流の技に触れ、本当においしい一流の菓子作りを目指す職人を育てたい」と意気込む。

 参加者は12月まで計6回、ムースやパンなどの作り方を学ぶ。

毎日新聞 2009628日 東京朝刊


車椅子中学生:町立中入学を義務付ける仮決定 奈良地裁

 奈良県下市町の町立下市中への進学を希望したのに、設備の不備などを理由に町教委が進学を認めなかったとして、車椅子生活を送る谷口明花さん(12)=同町在住=が入学を求めて起こした訴訟で、奈良地裁(一谷好文裁判長)は26日、町教委に対し、同校への入学を義務付ける仮決定を出した。谷口さん側の弁護士によると、中学入学を巡る仮決定は異例という。正式な入学を求めた訴訟は続いており、判決までの措置となる。

 一谷裁判長は「町教委の判断は著しく妥当性を欠き、特別支援教育の理念を没却する」と述べた。

 地裁の決定などによると、谷口さんは脳性まひのため、両足と右腕が不自由。手押しの車椅子で日常生活をしているが、字を書いたり、会話することに支障はなく、今年3月まで介助員2人の付き添いを受けて地元の小学校に通っていた。

 同級生と一緒に町立下市中へ進学することを希望したが、町教委は「成長期で体重が増えるため、階段が多い下市中では、本人と介助員の命の保障ができない」などと入学を認めなかった。

 谷口さんと両親は今年4月、同中学への進学を求めて奈良地裁に提訴し、判決が出るまでの間、仮通学ができるよう求めていた。谷口さん宅へは県立明日香養護学校(同県明日香村)の教員が訪問して学習指導している。

 地裁は現地調査をして障害の程度や同中学の設備などを検討。「移動介助が著しく困難とは考えられず、現状でも就学は可能。バリアフリー化には国庫補助もあり、可能な範囲でスロープを設置するなど工夫を試みる余地はある」と判断した。

 下市町の堀光博教育長は「内容を精査したうえで対応を検討していきたい」と話した。【高瀬浩平】

毎日新聞 2009626日 1339分(最終更新 626日 2015分)


福祉ナビ:重度精神障害者の地域生活をケアするACTとは。

 ◆重度精神障害者の地域生活をケアするACTとは。
 ◇専門家が訪問支援、チームで医療・福祉サービス 経営安定化が課題

 重い精神障害のある人たちが地域で安心して暮らせるよう、医師、作業療法士、看護師、精神保健福祉士らがチームを組んで支える精神保健福祉プログラム「ACT(アクト)」。60年代後半に米国で生まれ、日本でも現在約10カ所で取り組みが始まっている。

   *

 千葉県市川市にある訪問看護ステーションACT-J。7人のスタッフが登録した利用者の自宅や病院、職場を訪問し、必要な支援を提供する。利用者は60人。大半が重い統合失調症の人たちだ。

 午前8時半過ぎ、スタッフと医師のミーティングが始まった。1時間ほどをかけて、それぞれが担当する利用者の前日の様子や電話でのやりとりを伝え合う。「掃除機を買いたいが、いくらかかるのか心配していた」という報告に、別のスタッフが「じゃあ金額を確かめて伝えよう」。日々の生活で困ったことがあれば、細やかに対応する。3人のスタッフが1人を担当するが、利用者に何かあれば24時間対応できるよう、個々の情報を全員が把握する。

 午前10時過ぎ。スタッフが利用者の訪問へ。施設長の原子英樹さん(47)が訪ねた50代の男性は数十年に及ぶ入院生活をしていた。退院8カ月前からアクトの支援を受け、買い物や1人の時間の過ごし方などを練習し退院。今は週3日のヘルパー利用に加え、週3日アクトの訪問を受け、薬の管理や行政手続きなどのサポートを受ける。

 男性が「気持ちが高ぶっているときにやること」と書かれたリストを見せてくれた。買い物をしたらすぐ帰る▽なるべく部屋で過ごす--。原子さんと2人で考えたという。スタッフだけでプランを立てるのでなく、利用者と話し合い、利用者の言葉で文書化する。本人の希望に沿った支援をするのが基本理念だ。

 自分で初めて借りたアパートの居間で、男性は「病院には自由がなかった。機会があれば退院したかった」と話した。原子さんが「病院の方が楽だったこともあるんじゃないの?」と聞くと「今の方が自分のためになる」。症状が落ち着き、この1年で抗精神病薬が半分に減った。目標は「お年寄りや困っている人の役に立つ」こと。スタッフが可能なボランティアや研修会を探している。

 午後5時。事務所に戻ってきたスタッフが10分間のミーティング。スタッフの一人がある利用者について「症状が安定しない。夜電話がかかってくる可能性が高い」と報告した。朝までの連絡用に携帯電話があり、その日の当番が持ち歩く。

 原子さんは「アクトの特徴はチームで責任を持つこと。利用者は多様な視点でケアが受けられる。スタッフも抱え込んで燃え尽きることが防げる」と話す。ただ活動を広げるには課題もある。経営をどう安定させるかだ。自宅への訪問は診療報酬が請求できるが、行政機関への同行や家族支援、精神保健福祉士の訪問など「活動の3割は報酬の対象外」という。

   *

 ACT-Jは03年度に国の研究事業として活動が始まり、08年4月からNPO法人に引き継がれた。研究班が利用者118人を対象に行った調査では、アクトを利用した人は利用していない人に比べ、入院日数が減った▽就労率が伸びた--などの結果が出た。

 研究を担当した国立精神・神経センター精神保健研究所の伊藤順一郎・社会復帰相談部長は「アクトでは一人一人の個性を認め、支えている。その理念は誰にとっても生きやすい社会の実現につながるはずです」と話す。【柴田真理子】

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 ◇ACT

 Assertive Community Treatmentの略。日本では「包括型地域生活支援プログラム」とも呼ばれる。重い精神障害のある人たちが頻繁に入退院を繰り返したり、退院後も自宅にひきこもることのないよう、訪問活動を軸に本人の希望に沿った形で安定した生活を支える。特徴はスタッフ1人に対して利用者は10人程度▽チーム全員が情報を共有する▽保健・医療・福祉サービスを直接提供する▽24時間体制--など。NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボのACT-IPSセンター(電話047・320・3873)で研修などを行っている。

毎日新聞 2009625日 東京朝刊


自立支援法運用:障害少女に「措置」認めず無保険鹿児島

 鹿児島県が障害者自立支援法に基づく「契約制度」を適用し知的障害児施設に入所する高校生の少女(18)が、国民健康保険証を所持せず事実上の「無保険」状態になっていることが、関係者への取材で分かった。少女は従来、医療費が全額公費助成となる「措置制度」の対象だったが、契約では医療費は自己負担で、無保険の場合は10割負担となる。施設側は「病気のリスクが高い障害児もおり、命も守られない契約制度は問題」と訴える。【夫彰子】

 少女は母子家庭。00年1月、県の児童相談所がネグレクト(育児放棄)を理由に措置入所させた。しかし児相は06年10月、自立支援法に基づく契約入所に切り替えた。施設は事前に、障害児の保護者が虐待の場合は「措置」にできるとした厚生労働省基準に少女が該当すると県に文書で主張したが、「虐待者でも契約締結は可能」と認められなかった。

 県障害福祉課や施設によると、少女の母親が昨年12月末に郵送してきた短期保険証は3月末で期限が切れた。施設側は保険証の更新のため、電話や家庭訪問で母親との接触を試みたが、連絡が取れない状態という。このため、既に鹿児島市が母親あてに郵送で交付した4月以降の少女の短期証が、施設に届かないままになっている。

 契約入所は措置と異なり医療費が自己負担で、施設に保険証があれば窓口負担の3割を施設が立て替え、保護者に請求する。保険証のない少女の場合、同課は「窓口負担は原則10割。短期証交付を確認後に7割を返還する」と説明。そのうえで、同市から「受診先の医療機関が市に連絡すれば、特例的に窓口で保険適用したい」と報告があったことを明らかにした。

 母親は3月末時点で施設利用料など計20万円超を施設に滞納。最後の支払いは約1年半前という。施設側は「医療費を立て替えても保護者が払うか分からないから病院に行かせず、子供の症状を悪化させる施設が出たら、国や県はどうするのか」と憤る。一方、同課は「厚労省と相談し少女への対応を決めたい」と話している。

措置と契約

 障害者自立支援法の契約制度は、低所得層も施設利用料の原則1割や医療・教育費を自己負担する。子供の入退所は施設と保護者の契約で決まり、児相には児童や家族への継続的ケアの義務がない。障害がなければ児童福祉法の措置制度が適用され、児童の生活・医療・教育費を全額公費で保障。保護者は所得に応じ徴収金を都道府県に納めるが、滞納しても児童の生活は保障される。厚生労働省は障害児の保護者が▽虐待▽不在▽精神疾患--の際は措置にできると定めるが、都道府県によって障害児の措置率に1割未満~7割前後まで大きな差がある。鹿児島県は4月1日現在6%。厚労省の検討会は昨年7月、措置か契約かの判断基準見直しを提案する報告書をまとめたが進んでいない。

毎日新聞 2009622日 1159


ひと:小林千恵さん 障害がテーマのフリーペーパーを創刊

 表紙には両手を上げてジャンプする人々の写真が写り、英字のメッセージが躍る。6月創刊のフリーペーパー「ユニバーサルハンズ」はおしゃれなデザインだ。

 障害がテーマの革新的なマガジンだ。ページをめくれば一線で活躍する障害者のインタビュー。その人選など企画、広報を担当。「障害者と健常者の垣根を越え、双方が読みやすい冊子にしたかった」

 発行元の人材コンサルティング「ジェイブレイン」(東京)で障害者の就職支援などの仕事をしている。朝8時には出社し残業もする。同僚とカラオケに繰り出し、朝まではじけることもある。

 先天性緑内障で20回以上手術し、10歳で全盲に。「だれも恨みたくない。満足できる人生を生きようと思った」

 三療(はり・きゅう・マッサージ)の資格は取ったが、それ以外の選択肢が乏しい。研究者の先輩を知り希望を抱くも大学院入試に失敗。「『当たり前』の仕事がしたい」と、事務職を目指して約150社を受けIT(情報技術)企業を経て現職に。

 「髪にピンが留められてえらいわね」と声をかけられることがあるが「日常生活ができればいいわけではない。仕事の成果で認めてほしい」。

 パソコンの音声読み上げソフト、点字の電子手帳を駆使する。精力的な働きぶりだ。「いずれは一般の人材紹介をしたい。障害者も健常者の職探しを助けられる」【柴田真理子】

 【略歴】こばやし・ちえ 東京都町田市出身。冊子は年4回発行で、配布場所の拡大を目指している。発行元は電話03・5250・7180。32歳。

毎日新聞 2009622日 026


フォーラム:教育のバリアフリー、800人が参加

 東京大大学院教育学研究科バリアフリー教育開発研究センターの開設を記念する公開フォーラム「教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育」(同研究科主催、毎日新聞社共催)が20日、東京都文京区の東大安田講堂で開かれ、約800人が参加した。

 視覚・聴覚障害者でバリアフリー研究に取り組んでいる福島智・東大先端科学技術研究センター教授が基調講演した後、パラリンピック水泳金メダリストの成田真由美さんらがパネルディスカッションをした。

毎日新聞 2009621日 東京朝刊


フォーラム:バリアフリー教育考える 東大で20日

 東京大大学院教育学研究科は「バリアフリー教育開発研究センター」開設を記念する公開フォーラム「教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育」(同研究科主催、毎日新聞社共催)を20日午後1時半~5時、東京都文京区本郷の東大安田講堂で開催する。入場は無料。

 同センターは4月、バリアフリーの教育研究と人材育成を目的に設立された。フォーラムでは視覚・聴覚障害者でバリアフリー研究に取り組んでいる福島智・東大先端科学技術研究センター教授が「教育のバリアフリー化が社会を変える」と題して基調講演するほか、脚本家の小山内美江子さん、パラリンピック水泳金メダリストの成田真由美さんらがバリアフリーのあり方についてパネルディスカッションをする。

 申し込みは、はがきに住所、氏名、電話番号、人数を書いて〒113-0033文京区本郷7の3の1 東大大学院教育学研究科バリアフリー教育開発研究センターへ。ホームページ(http://www.p.u‐tokyo.ac.jp/cbfe/)からも可能。問い合わせ先は事務局(電話03・5841・1406、月~木曜日午前11時~午後4時)。

毎日新聞 2009611日 東京朝刊


BOOK:『最新版 快適なリフォーム&模様がえ』=主婦の友社・編

 設備の老朽化や家族のライフスタイルに応じて、マンションや一戸建てのリフォームを成功させたい人に役立つ事典。こだわりを実現させた11のお宅を訪問、写真や平面図、設計者のコメントを添えて紹介する。リフォームできることとできないことの基礎知識や法規、資金計画など、事前に知っておきたいことも満載。バリアフリー対策や風水の知識、業者紹介欄もある。(主婦の友社、1365円)

毎日新聞 2009525日 東京朝刊


とーい君!:重度障害児の春/1 条件付きで認められた地元小入学 /京都
 ◇友に囲まれ、笑顔増えた

 4月7日朝、木津川市州見(くにみ)台の自宅を出た戎崎(えびすざき)和幸さん(36)一家5人を、さわやかに晴れ渡った空が出迎えた。この日の主役は、市立州見台小学校の入学式に出席する長男統唯(とうい)君(6)だ。全介助が必要な重度障害児。黄色い帽子をかぶった統唯君の車椅子を長女くるみさん(9)が押し、母綾子さん(38)と次男統也君(4)も付き添う。

 突然「とーい君おはよう!」という声が。幼稚園時代に友だちになった女の子だ。「またよろしくね」と綾子さんも笑顔で応え、一緒に校門をくぐった。

 自宅から学校までわずか90メートル。けれど、この日を迎えるまで長い道のりがあった。

   ◇   ◇

 統唯君は02年12月に奈良県の病院で生まれた。出生直後は泣き声が弱くなかなか目を合わさない。綾子さんは気になりながら「こんなものかな」とも思ったという。しかし家族と喜びの面会後、医師の説明に気持ちは暗転する。

 「下あごが小さく、舌が落ちるから呼吸が困難。上あごに亀裂もある」。ピエールロバン症候群だった。急きょ転院。新生児集中治療室で小さい体に管を付けられた統唯君を見た綾子さんは涙が止まらなかった。生後1カ月にあった原因不明の一時心停止の後遺症で、全介助が必要になるという事態が追い打ちをかけた。

 綾子さんは当時の様子を日記に残している。そこではこう書いた。「目を背けても何もよくならない。現実を受け止めることが親の務めではないか」

   ◇   ◇

 10カ月後に退院し、自宅での生活が始まった。のどに付けた人工鼻で息をする統唯君。心拍数が変化するとすぐモニターのアラームが鳴る。「トイレで目を離すことさえ不安でたまらなかった」と綾子さん。たんの吸引も5分~1時間ごとに必要で、幼いくるみさんも吸引を手伝った。

 明日のことも考えられない毎日だったが、次第に両親にある思いが募る。「地元の幼稚園や小学校に通わせたい」。周りに理解してもらうことが統唯君の自立にもつながる、という思いからだ。

 多くの賛同署名も集まって、幼稚園では週1~2回の交流保育が認められた。しかし小学校については、市教委は当初「医療ケアの体制が取れない」と難色を示した。最終的に「緊急時の安全確保は保護者が責任を持つ」などの条件を提示。綾子さんが一緒に登校して介助することを約束し、やっと認められた。

 それから約1カ月。肢体不自由児の特別支援学級は統唯君だけだが、交流をする協力学級には、服に名札付けを手伝ってくれる友だちも新たにできた。

 学校に行くとかえって体調がよくなるようで、たんの吸引回数は少なくなった。そして時折見せる笑顔は多くなってきた。綾子さんは「学校で過ごす時間、統唯は生き生きしてる」と目を細めた。

 多くの困難を克服して、統唯君の小学校生活が始まりました。ただ、学校でのカリキュラム作りや介助・医療ケア体制など、解決すべき課題はむしろこれからです。読者の皆さんには、戎崎さんの家族だけの問題としてではなく、自分自身のこととして考えてほしいと思います。次回からは、幼稚園時代からの友だちとの交流や支援体制について考えていきます。(この連載は藤田健志が担当します)

毎日新聞 200954日 地方版


入学式:
脳性まひ障害児・住谷栞音ちゃん、熊本市内の小学校で新生活スタート /熊本

 ◇学校に早く慣れてね


 熊本市内の市立小学校で10日、約6500人の新1年生が入学式を迎えた。同市長嶺東の託麻南小では、脳性まひの障害がある住谷栞音(しのん)さん(6)が同級生158人と共に新しい学校生活を始めた。

 脳性まひの障害がある子どもは養護学校に進む場合が多いが、姉の乃杏(のあ)さん(8)の「一緒に通えないの? どうして駄目なのか分からないよ」という素朴な疑問から、両親と学校が教育委員会と協議を重ねてきた。同校には特別支援学級が2クラスある。今回、栞音さんの入る1年2組の隣に「たんぽぽ学級」が新たに作られ、看護師が学級支援員として派遣されるなど一定の受け入れ態勢が整った。

 川野富士夫校長は式で「一人一人顔が違うように成長の様子も違います。違っていて当たり前だと、気づいて仲良く助け合って過ごして下さい」と新入生に呼びかけた。

 父親の裕司さん(35)は「受け入れる側には不安もあるだろう。すべてが他の子と同じようにはいかないが、少しずつ学校生活に慣れていってほしい」と話した。【結城かほる】

毎日新聞 2009411日 地方版


重度障害児:
「統唯君、仲良くしようね」 木津川・州見台小入学、家族感無量 /京都

 たん吸引や常時介助が必要な重度障害児の戎崎統唯(えびすざきとうい)君(6)=木津川市州見台(くにみだい)=が7日、新年度から通う市立州見台小学校(尾崎昌功校長、659人)の入学式に出席した。市教委の同小への就学通知は3月2日付で、一緒に登校した家族も感無量の様子だった。

 統唯君はこの日朝、黄色の帽子にスーツ姿、車椅子には緑色のランドセルを付けて、姉や弟、両親と登校。通学途中や校内で、同じ新入生の児童が「とーい君だ」と言って声を掛ける姿も見られた。

 統唯君は医療的ケアが常時必要なため、家族が付き添うことが入学の条件。市教委は、統唯君のために新たに肢体不自由児用の特別支援学級を設置。統唯君は他の二つの特別支援学級の児童らと朝の会を受ける。

 この日の入学式では、尾崎校長が新入生児童約130人に対し、「返事やあいさつをし、みんなと仲良く、交通事故に遭わないという約束をしっかり守って元気に学校に来て下さい」と話した。特別支援学級では、担任の多々納美佐子教諭が「元気に通いましょう」と統唯君に話しかけた。

 母綾子さん(38)は「ほっとした。不安がないわけではありませんが、これから学校生活が始まると思うと楽しみです」と話した。【藤田健志】

毎日新聞 200948日 地方版


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