Typhoon Morakot
台湾「死者500人超」台風8号


台湾大地震10年:「防災体制確立を」水害で要求高まる

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 【台北・大谷麻由美】台湾中部で99年9月、2400人以上が死亡した「台湾大地震」から21日で10年となった。台湾では8月にも台風による水害で多くの犠牲者を出し、馬英九政権の対応の遅れが批判されたばかり。台湾メディアは地震と水害を比較し「10年たっても政府の防災・救援体制に進歩なし」と批判しており、与野党の対立を超えた体制確立を求める声が高まっている。

 馬政権は水害の復興に経費を回すため、地震関連の行事中止を決めている。このため、21日は、地震被害の大きかった南投県など地方政府が避難訓練や討論会、写真展など小規模な行事を開催した程度だった。

 水害の不手際で大きな批判を浴びた馬政権は、内閣総辞職で人心一新を図り、支持率は若干持ち直している。しかし、水害の際の政府の体制を見れば、10年前の地震の経験が生かされていないことは歴然としている。地震後に今後の課題をまとめた成功大学防災研究センターの謝正倫主任は聯合報の取材に「10年前の報告書を数字だけ置き換えれば、水害の報告書になる」と語るほどだ。

 8月の水害では村、県市、中央政府とつながる情報系統の混乱が被害拡大の原因となったが、地震の際も情報管理の一元化が課題として挙げられていた。10年前に提言のあった防災と救援の機能をあわせ持つ「防災総署」はいまだに設立されていない。未整備の責任は陳水扁前政権の8年間の執政にもある。

 聯合報は20日の社説で「台湾はこの10年で2度の政権交代を果たしたが、民主主義が成就する中で民衆の生活改善を忘れてはならない」と戒めた。「りんご日報」も、選挙による対立激化から、与党・国民党の北部と野党・民進党の南部の支持基盤の亀裂が深まっているとして、「北部にいる馬政権が南部の水害に意識が及ばず、対応の遅れの一因となった」と指摘した。馬総統は中央から地方にネットワーク化された「災害防災救援署」の設立などを約束している。


台湾:大水害、政局揺るがす馬総統に試練

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 【台北・大谷麻由美】台風8号による大水害への馬英九・台湾政権の対応の遅れは、7日の劉兆玄行政院長(首相)の辞任で内閣総辞職にまで発展、台湾政界を大きく揺るがした。台風被害の発生から8日で1カ月。馬総統は7日、高雄市で開かれた犠牲者追悼会で早期再建を約束したが、信頼回復への道は険しい。

 大水害への対応の遅れの原因のひとつとして、馬総統による行政院(内閣)や側近の人選が「エリートの学者に偏り、庶民に寄り添っていなかったため」との批判が上がっていた。このため、馬総統は7日、地方政府首長の経験がある呉敦義・国民党副主席を次期行政院長に任命、地方に詳しく柔軟性のある内閣をアピールした。

 馬総統は7日の追悼会で「政府は最大限の力で被災者の生活を助ける。安心してほしい」と呼びかけた。また、80カ国を超える国際的な支援が届けられたと紹介。中国の義援金が約50億台湾ドル(約142億円)と最大だったことにも言及した。

 馬総統は「血は水より濃いという気持ちが十分に示された」と関係改善を進める中国に配慮を示したが、台風被害によって低下した支持率の下では「対中関係で大胆な政策は進めにくい」(研究者)とみられ、中台関係にも余波が及びそうだ。


台湾:内閣総辞職へ大水害対応遅れ

 【台北・大谷麻由美】台湾の首相にあたる劉兆玄行政院長(66)は7日、台北で会見し、台風8号による大水害への対応の遅れの責任をとり、辞任すると発表した。内閣は10日に総辞職する。馬英九総統は新内閣の発足で信頼回復を図る考えだが、馬政権の不手際に対する住民の不信感は根強く、年末の地方首長選挙にも影響を与えそうだ。

 劉院長は会見で、大水害の死者・行方不明者が700人を超えたことに触れ、「政府に政治責任があり、誰かが責任をとらなければならない」と語った。劉院長は8月中旬にも馬総統に辞意を伝えたが、被災地の復旧を優先するため慰留に応じていた。馬総統は7日、次期行政院長に、与党国民党の呉敦義副首席(61)を任命した。

 馬総統は先月18日の緊急会見で、9月初旬までに内閣改造を含め行政責任を明確にすると表明。その直後から閣僚らの辞意表明が相次ぎ、政権の求心力は急速に低下していた。

 台湾紙「中国時報」の世論調査によると、馬総統の支持率は今年6月には60.7%と好調だったが、大水害後は29.6%にまで落ちた。信頼回復には時間がかかると予想され、しばらくは低支持率が続き、厳しい政権運営を強いられそうだ。

毎日新聞 200997日 2016分(最終更新 97日 2105分)


ダライ・ラマ:台風被災地で犠牲者を供養 台湾

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土石流で大勢の村民が生き埋めとなったままの小林村で供養をするダライ・ラマ14世(手前右から2番目)=台湾・高雄県甲仙郷小林村で2009年8月31日、大谷麻由美撮影

 【高雄(台湾南部)大谷麻由美】台湾を訪問しているチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は31日、台風8号による8月9日未明の土石流で500人近くが生き埋めとなったままの台湾南部・高雄県甲仙郷小林村を慰問した。行方不明者に敬意を表し、「仏教徒の身分でここに来ました。これほど多くの死傷者が出たことはとてもつらい」と述べ、犠牲者を供養した。また、今回の訪台は「純粋な宗教の旅であり非政治的な活動」と強調した。

 中台関係については「両岸(中台)関係の進展を喜ばしく見ているが、台湾は民主主義を大事にすべきだ」と発言。初めて訪台した97年には多くの政治家と会談したという経験を語り、今回は政治的な活動を控えた訪問であることを示唆した。

 被災者の大半は台湾の先住民族で、8~9割はキリスト教徒。このため、訪台の意義を疑問視する声もあるが、小林村で親族を亡くした道教徒の女性は供養の様子を見て「宗派は異なっても、心の安らぎを得られた」と涙ながらに語った。

 ダライ・ラマは31日に予定された記者会見を前日、急きょ中止。「多くの被災者に会いたいから」と説明したが、中国は「祖国の分裂をたくらんでいる」と非難しており、政治的発言が中国を刺激して、馬英九政権を窮地に追い込むことを避けたとの見方もある。

 今回の訪台は、台湾南部の民進党系の地方自治体首長らが内密に招請を進めた。「人道的、非政治的」な訪問とされ、訪台を許可した馬英九総統と面会する予定はない。

毎日新聞 2009831日 1907分(最終更新 831日 2103分)


ダライ・ラマ14世:台風被災地慰問で台湾到着

 【台北・大谷麻由美】チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は30日深夜、8年ぶりに台湾を訪問した。台風8号で被害を受けた南部・高雄県小林村などの慰問が目的だが、中国は「断固反対する」と訪問に強く反発。馬英九総統はダライ・ラマの訪台を許可したものの、接触は避ける方針だ。ダライ・ラマの滞在は当初予定より1日延びて9月4日まで。

毎日新聞 2009831日 132分(最終更新 831日 909分)


ダライ・ラマ14世:訪台、馬総統許可 苦渋の選択 災害で批判、民心配慮

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は27日、台風被災地の慰問を目的とした、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の8年ぶりの訪台を許可した。災害対応の遅れで批判を浴びるなか、苦渋の選択だった。馬総統は昨年5月の就任以来、対中関係の改善を最優先課題としてきたが、ダライ・ラマの訪台に反対する中国への配慮を優先させると、民心の政権離れを加速させる恐れが強いと判断したとみられる。

 劉兆玄・台湾行政院長(首相)は27日、ダライ・ラマの訪台について「人道的な観点と被災者の心の傷を癒やすのが目的」と純然たる宗教活動であることを強調。中台間で政治問題に発展することを避けたい意向をにじませた。総統府の王郁〓報道官も「両岸(中台)関係は非常に進展しており、影響はないはずだ」と述べ、人道的活動であれば中国側の理解は得られるとの期待を示した。

 今回の水害では、中国各界からの義援金総額が7億8180万元(約107億円)、支援物資は2500万元(約3億4300万円)相当に達した。中国の建国以来、最大の対外援助となっている。中国の「善意」に台湾との一体化を進める狙いがあるのは間違いないが、ダライ・ラマの訪台予定はそれに冷や水を浴びせた。

 ダライ・ラマの訪台を要請したのは、台湾独立を綱領に掲げる野党・民進党系の地方自治体首長ら。中台関係の接近を警戒する民進党には、ダライ・ラマの訪台を後押しすることで、中台間に波風を立てようという意図があるとみられている。

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 ■ことば
 ◇チベット問題

 中国政府は50年にチベットを制圧、翌年に中国の一部とする協定をチベット側に締結させた。僧侶の抵抗が拡大し、59年にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が亡命、インド北部ダラムサラに亡命政府が成立した。中国は65年に自治区を設けたが、昨年3月にも大規模な暴動に発展した。

毎日新聞 2009828日 東京朝刊


中国:ダライ・ラマ訪台でチベットとの連携を警戒

 【北京・浦松丈二】10月1日の建国60周年に向けて社会の安定を重視する中国は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の台湾訪問をきっかけに、台湾とチベットの独立勢力が連携を強めることを警戒している。

 新華社電によると、中国国務院台湾事務弁公室の報道官は27日、ダライ・ラマの訪台について「いかなる形式であっても断固反対する。単純な宗教家ではなく、分裂活動に携わっている」と述べた。

 中国は馬英九・台湾総統が昨年12月にダライ・ラマ側の訪台申請を「適切な時期ではない」と拒否したことを高く評価していた。それだけに、今回の台風被災地訪問を理由にした訪台を拒否できなかった馬総統に失望しているのは確実だ。

 中国の華僑向け通信社・中国新聞社は27日、「台湾当局がダライ(ラマ)の台湾入りに同意したことは、(台湾)島内各界から厳しい批判を招いている」と指摘し、野党の攻勢に抵抗できなかった馬政権への失望をにじませている。

 ◇チベット問題


 中国政府は50年にチベットを制圧、翌年に中国の一部とする協定をチベット側に締結させた。僧侶の抵抗が拡大し、59年にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が亡命、インド北部ダラムサラにチベット亡命政府が成立した。中国は65年にチベット自治区を設けたが、住民の反発は続き、昨年3月にも大規模な暴動に発展した。

毎日新聞 2009827日 2020分(最終更新 828日 018分)


ダライ・ラマ14世:訪台へ 馬総統、台風被災地慰問を許可

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は27日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が台風8号で大きな被害を受けた台湾南部を慰問することを許可したと明らかにした。ダライ・ラマは今月31日から9月3日の日程で訪台することになる。訪台への中国側の反発は必至で、関係改善の進む中台関係に影響が出そうだ。

 ダライ・ラマは昨年、台湾メディアに訪台の意思を表明したが、馬総統は対中関係に配慮して拒否していた。しかし、台風被害への対応の遅れを批判されている馬政権は、台湾でも人気の高いダライ・ラマの訪台を拒否することができない状況にあった。

 訪台を要請したのは、台湾野党・民進党の地方自治体首長が中心。台湾南部・高雄市の陳菊市長らが26日、ダライ・ラマ側に慰問を要請したことを発表した。陳市長は会見で「被災者もダライ・ラマの慰めがあれば、きっと元気付けられる。人道的な配慮に基づき、政治を超えて、ダライ・ラマの訪台に同意してほしい」と馬総統に呼びかけた。ダライ・ラマは97年と01年に訪台している。

毎日新聞 2009827日 東京夕刊


台湾:馬総統 ダライ・ラマの台風8号被害地慰問を許可

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は27日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が台風8号で大きな被害を受けた台湾南部を慰問することを許可したと明らかにした。ダライ・ラマは今月31日から9月3日の日程で訪台する予定。97年と01年に続いて3回目となる。訪台への中国側の反発は必至で、改善の進む中台関係に影響が出そうだ。

 総統府の王郁報道官はダライ・ラマの訪台について「両岸(中台)関係は非常に進展しており、影響はないはずだ」と述べ、人道的活動であれば中国側の理解は得られるとの期待を示した。

 ダライ・ラマは昨年、台湾メディアに訪台の意思を表明した。一方、馬総統は昨年5月の就任以来、対中融和政策を推進しており、中国が「祖国の分裂をたくらむ」と非難しているダライ・ラマに訪台を許せば中国の反発を招くと警戒、訪台を拒否していた。

 しかし、台風被害への対応の遅れで厳しい批判にさらされている馬政権は、これ以上、中国への配慮を優先すれば、民心の政権離れを加速させる恐れが強いと判断。「人道」を強調する形でダライ・ラマの訪台を許可することになった。

 ダライ・ラマの訪台を要請したのは、台湾独立を綱領に掲げる野党・民進党の地方自治体首長ら。高雄市の陳菊市長は26日の記者会見で「人道的な配慮に基づき、訪台に同意してほしい」と馬総統に呼びかけた。

 中台関係の接近を警戒する民進党の訪台要請には、台風被害者の人道支援だけでなく、ダライ・ラマの訪問を後押しすることで中台間に波風を立てようという政治的意図も含まれているとみられている。

 王へんに奇

毎日新聞 2009827日 1128分(最終更新 827日 2122分)


台湾:馬英九総統が「激やせ」 台風8号被災地行脚などで

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8月22日、台風8号で被災した台湾南部高雄県小林村で村民から抗議を受ける馬英九総統=ロイター

 【台北・大谷麻由美】台湾南部の台風8号被災地を行脚している馬英九総統が「激やせ」し、目を引いている。各地で頭を下げて救援活動の遅れを謝罪し続ける日々は、心身ともに厳しいようだ。

 馬総統は18日に台北で記者会見した時は、まだそれほど変化は見られなかったが、その後、各被災地や避難所を連日視察して回っている間に目は落ちくぼみ、げっそりした。さすがに24日は休息を取ったようだが、25日も午前中は被災地に入り、午後、台北に戻って通常執務に戻った。

 台湾紙によると、馬総統は7月下旬には体重が80キロを超え、「太った」と指摘されていたという。

毎日新聞 2009825日 1943分(最終更新 825日 2311分)


台湾:水害から22日で2週間被災地に残る先住民族

2009821 1950分 更新:822 034

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15日、土石流に見舞われた高雄県小林村で家族の死を悼む遺族たち=ロイター

 【台北・大谷麻由美】台湾中南部で起きた大雨による水害から22日で2週間となる。被害は山間部の先住民族の村に集中。住民の多くは避難し、今後は村の移転や仮設住宅の建設が焦点となるが、一方で陸の孤島と化した被災地には、今なお先住民族ら約2万6000人が残っている。「山が私たちの家。生活の糧はこの土地にある。山を下りたら民族は滅びる」。先住民族たちは毎日新聞の電話取材に対し、故郷を離れない意思を訴える。

 高雄県茂林郷多納村のルカイ族、柯阿香さん(65)は「山を下りても生活を立て直すには時間も金もかかる。平地でどうやって生きていけばよいのか分からない」と避難しない理由を語った。山では道路も橋も寸断し、停電が続く。ヘリコプターから空中投下される支援物資で食いつないでいるが、被災地での困難より平地での生活への不安の方が勝る。

 観光名所の嘉義県阿里山郷新美村も外部と断絶したままだ。ツオウ族の汪安森村長(50)は「平地には我々の居場所がない」として、約300人の村人と共に村に残る。ヘリで物資運搬が続くことに「無駄遣いだ」との批判も出ているが、気にはしていない。

 先住民族は台湾の人口2300万人の2%弱。台湾の総面積の7割を占める山間部で、昔から漁業や狩猟で生計を立ててきた。17世紀以降は、大陸から移住してきた漢族の統治下に置かれた。言葉、文化、生活習慣の違いによる両者の隔絶は大きく、収入や教育にも格差が残る。

 高雄県桃源郷梅蘭村のブヌン族、謝張梅さん(50)はヘリで避難する時、上空から見渡して初めて被害の大きさを知り「もう戻れないかもしれない」と思った。

 しかし、政府が平地に移転先をあっせんしても移住はしたくないという。山には以前から政府が先住民の立ち入りを禁じてきた管理区域があり、水害時にはそこで難を逃れた。謝さんは「私たちの財産はすべて山の中にある。移住ではなく、私たちの祖先が暮らしていた安全な土地を返してほしい」と訴える。


台湾:閣僚辞意相次ぐ 政権基盤の弱体化も台風対応遅れ

2009820 2052分 更新:820 2057

 【台北・大谷麻由美】台風8号による台湾での大水害を巡り、馬英九政権の対応の遅れに批判が集まる中、閣僚らの辞任や辞意表明などが相次いでいる。馬総統は9月初旬の内閣改造で難局を乗り切る考えだが、最近の支持率は30%を下回っており、政権基盤の弱体化は避けられない状況だ。

 馬総統は18日の緊急会見で、水害の救援活動が「遅くて混乱していた」と認め、「すべて私が責任を取る」と語った。その上で馬総統は、9月初旬までに内閣改造を含め、行政責任を明確にすると表明した。

 直後の19日、薛香川・行政院(内閣)秘書長、陳肇敏国防部長(国防相)、陳伸賢水利署長が辞意を表明。劉兆玄行政院長(首相)も辞意を漏らしているという。いずれも保留になっている。20日には総統府の国策顧問、林火旺・台湾大学教授の辞任が明らかになった。

 行政院の劉院長や薛秘書長は水害当日の8日、家族と食事などをしていたことが発覚。危機管理のお粗末さに、馬政権への国民の信頼感は急激に低下していた。

 台湾紙「中国時報」が19日に実施した世論調査によると、馬総統の支持率は29.6%。就任1年の今年5月の56.1%から半分近くに急落した。馬政権を「信頼しない」との回答は46.7%で、「信頼する」の39.7%を政権発足以来初めて上回った。

 台湾行政院は20日、水害の復興対策として総額1000億台湾ドル(約2851億円)の特別予算を承認した。馬総統の信頼回復は復興の成果にかかっている。


台湾:台風被害援助で医師や看護師ら5人を派遣外務省

 外務省は19日、台風8号で多くの死傷者が出た台湾に、医師や看護師ら5人の国際緊急援助隊・専門家チームを派遣すると発表した。21日に現地に到着し、活動を開始する。

毎日新聞 2009820日 006


台湾:馬総統が土石流被害地を初視察 対応の遅れを謝罪

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は19日、台風8号による土石流で約380人が生き埋めとなって死亡したとみられる台湾南部・高雄県小林村を被災後、初めて視察した。政府の対応の遅れを被災者らに謝罪したが、村民らは「間違った政策は殺人よりひどい」と批判した。

 馬総統は18日に台北市内の総統府で記者会見を開き、救援作業の遅れや混乱を認めたうえで、「今回の過失はすべて私が責任を取る」と語った。9月初旬までに内閣改造を含め行政責任を明確にすると方針を示したが、19日には災害への対応で批判を受けた薛香川・行政院(内閣)秘書長と陳肇敏国防部長(国防相)が辞意を表明。馬英九政権の求心力は急速に低下している。

毎日新聞 2009819日 2158


台湾:台風被害調査でJICA職員現地へ 援助内容を検討

 【台北・大谷麻由美】国際協力機構(JICA)職員2人が19日、台風8号によって大きな被害を受けた台湾南部・高雄県に入り、日本の支援内容を検討するための現地調査を始めた。日本の対台湾窓口機関「交流協会」が11日、1000万円の緊急支援を表明。17日夜には総額1億円を上限とする緊急追加支援を行うと発表した。5000万円は無償資金協力とし、残りを保健・衛生関連の援助物質にあてる予定。台湾中南部では現在、米国や中国、欧州連合、カナダ、豪州など各国の人的・物的支援が本格化している。

毎日新聞 2009819日 2140


台湾:米軍機が2度、人道支援物資運ぶ 中国は反発せず

 【台北・大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号による大水害で、人道支援物資を運ぶため、米軍のC130輸送機が16、17の2日間に2度、台湾入りした。1979年の米台断交後、初となる米軍機の台湾上陸に、中国側が反発することはなかった。台湾メディアは「米国が事前に打診し、中国も人道支援のため反対しなかった」と報じた。中台関係が改善しつつある中、米中台関係も変化が起きているようだ。

 国防部(国防省)は米軍の台湾入りに「世界各地で人道支援は行われている」と述べ、特別視していないという。中国を刺激しかねない事態だが、「人道支援」の名の下にタブーが乗り越えられている。

 中央災害対策本部によると、米軍は沖縄基地から台湾空軍基地にC130輸送機で消毒薬を輸送した。台湾側が要請した救援ヘリコプターについては、17日午後に米軍最大のCH53E輸送ヘリ1機とSH601機が到着。今後各1機が派遣される。

 一方、中国からも救援ヘリ提供の申し出があった。しかし、中国軍の台湾入りに反発は当然強い。中央災害対策本部は16日、中国からは仮設住宅1000組の提供を受けることを強調しながら「米国のヘリ配備とあわせて検討したい」と慎重な姿勢を示した。

毎日新聞 2009817日 2243


台湾:台風被害 米軍が支援--断交後初

 【台北・大谷麻由美】台風8号で大きな被害を受けた台湾に人道支援物資を運ぶため、米軍のC130輸送機が16日、沖縄の米軍基地から台南の台湾空軍基地に到着した。1979年の米台断交後、米軍機が台湾入りするのは初めて。今後は米海兵隊などが使用している米軍最大のCH53E輸送ヘリコプターも派遣される見通し。

 一方、中国からは仮設住宅や毛布、消毒器などの支援物資が提供されることが決まった。シンガポール、イスラエル、オーストラリアなどからも物資が台湾に到着している。

毎日新聞 2009817日 東京夕刊


台湾:台風被害で支援の米軍機到着 断交後初

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 【台北・大谷麻由美】台風8号で大きな被害を受けた台湾に人道支援物資を運ぶため、米軍のC130輸送機が16日、沖縄の米軍基地から台南の台湾空軍基地に到着した。1979年の米台断交後、米軍機が台湾入りするのは初めて。今後は米海兵隊などが使用している米軍最大のCH53E輸送ヘリコプターも派遣される見通し。

 一方、中国からは仮設住宅や毛布、消毒器などの支援物資が提供されることが決まった。シンガポール、イスラエル、オーストラリアなどからも物資が台湾に到着している。


台湾:台風被害 対応遅れ、馬総統が謝罪

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は15日、台風8号で大きな被害を受けた中部の南投県を視察した際、政府の救助活動の遅れが被害を拡大させたとの批判について「当然謝罪しなければならない」と述べた。馬総統が対応の遅れを認め、謝罪したのは初めて。台湾メディアが同日報じた。

 馬総統は視察中に台湾メディアから政府の対応について問われた際、「もっと適切に、もっと早く(対応)できるはずだったのにできなかった」と述べた。

 防災当局は15日昼すぎまでに、台風8号による死者は123人、行方不明者は54人と発表した。最終的に死者は500人を超えると見られている。

毎日新聞 2009816日 東京朝刊


台風8号:台湾の馬英九総統 救助活動の遅れを認め陳謝

 【台北・大谷麻由美】台湾の馬英九総統は15日、台風8号で大きな被害を受けた中部の南投県を視察した際、政府の救助活動の遅れが被害を拡大させたとの批判について「当然謝罪しなければならない」と述べた。馬総統が対応の遅れを認め、謝罪したのは初めて。台湾メディアが同日報じた。

 馬総統は視察中に台湾メディアから政府の対応について問われた際、「もっと適切に、もっと早く(対応)できるはずだったのにできなかった」と述べた。

 防災当局は15日昼すぎまでに、台風8号による死者は123人、行方不明者は54人と発表した。最終的に死者は500人を超えると見られている。

毎日新聞 2009815日 2018


台風8号:
台湾「死者500人超」 「救助遅すぎる」 災害本部に不明者家族が殺到

 【甲仙郷(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号の被害は14日、死者が500人を超える見通しとなった。本格化した救助作業により救出される被災者もいるが、「どうしてもっと早く救えなかったのか」との周囲の不満の声は高まるばかりだ。台風上陸からすでに1週間が過ぎながら、現地の災害対策本部は、心配する家族らで前日にも増してごった返していた。

 跡形も無くなった3本の橋、勢いの衰えない茶色の濁流。土石流による生き埋めで約380人の生存が絶望視される高雄県甲仙郷小林村から7キロほど下流にある甲仙郷市区の楠梓仙渓。地元の村の人の話では、今になって上流の小林村や同県那瑪夏郷から遺体が流れ着いているという。寸断された道路や橋の復旧作業は相当の時間がかかりそうだ。

 同県桃源郷欺和村から13日昼にヘリで救助された関求福さん(36)と蔡香貞さん(37)夫婦は、大雨を避けて村の高台に避難した後、土石流で家を流された。避難中は村民たちと運び出した食料で何とかしのいだ。だが、「村は壊滅してしまった。故郷に戻ることはできない。今後どうやって暮らしていくのか想像もつかない」と疲れ切った顔で話した。

 高雄県の災害対策本部が置かれた旗山中学校のグラウンドでは、14日も早朝から、約50キロ離れた被災地の村民を運ぶ救援ヘリが発着を繰り返した。

 プロペラ音が遠くから響き始めると、集まった500人を超える家族らが校舎から空を見上げる。

 ヘリが着陸すると、降りてくる被災者を一刻も早く確認したくて駆け出そうとするが、警官が笛を吹いて制止した。

 何回も繰り返されてきた光景に、桃源郷にいる家族を待つ江育欣さん(18)は「とにかく救助が遅すぎる」と、ため息をついた。

 また、親族を待ち続けている洪栄彰さん(58)は「きょうは過密に救援ヘリの往来がある。なぜもっと早くこういう態勢がとれなかったのか」と憤った。

 台湾軍は14日までに救援ヘリを延べ643機飛ばし、被災者2500人余りを救助したと成果を強調する。また、「救援活動の遅れ」との批判に、山間部の厳しい地形、道路や橋の寸断、川の増水など初動の難しさを説明する。しかし、台湾で発生した10年前の大地震の際、発生2日目に軍人約1万5000人が投入されたのに対して、今回はわずか1946人だったという。批判の声が収まる気配はない。

毎日新聞 2009815日 東京朝刊


台湾:台風被害 「死者500人以上」 馬総統、初めて公表

 【甲仙郷(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾の馬英九総統は14日、昨年5月の総統就任以来、初めて国家安全会議を招集し、台風8号による死者が500人以上との見方を示した。台湾中南部で大きな被害が出てから約1週間たち、同会議がようやく開かれて全体の被害規模が公表されるなど、対応の遅れに市民からは失望感が広がっている。

 馬総統は会議で、ちょうど50年前の1959年8月に667人が死亡した大水害と比較し、「程度は今回の方が上回る」と指摘。台湾全体で救済と復興を進めていく方針を示し、「被災者が早く正常な生活に戻れるようにしないといけない」と話した。また、土石流による生き埋めで300人前後の死亡が13日にほぼ確実になった高雄県甲仙郷小林村については、約380人が生き埋めになったとみられると述べた。

 防災当局は14日夜までに、死者121人、行方不明者53人と発表。家を失った人は7000人余りで、財産の損失は500億台湾ドル(約1450億円)超に上る。

毎日新聞 2009815日 東京朝刊


台湾:被災者悲痛、「救助遅すぎる」 台風8号被害拡大

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土石流による多数の死者を出した小林村から下流の楠梓仙渓で倒壊した橋=台湾高雄県甲仙郷で2009年8月14日、大谷麻由美撮影

 【甲仙郷(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号の被害は、土石流の発生から1週間近くとなる14日、死者500人を超える見通しとなった。軍は「救援活動の遅れ」との批判に、山間部という厳しい地形、道路や橋の寸断、川の増水など初動の難しさを説明する。取り残された被災者の救助活動はここ数日、急ピッチで進められているものの、現地の災害対策本部では救出を待つ家族らが前日に増してごった返している状態だ。

 跡形も無くなった3本の橋、勢いの衰えない茶色の濁流。土石流による生き埋めで約380人の生存が絶望視される高雄県甲仙郷小林村から7キロほど下流にある甲仙郷市区の楠梓仙渓。復旧作業が続くが、寸断された道路や橋の完全復旧にはかなりの時間がかかりそうだ。地元の村民の話では、今になって上流の小林村や同県那瑪夏郷から遺体が流れ着いているという。

 一方、高雄県災害対策本部が置かれた旗山中学校のグラウンドでは、14日も早朝から、約50キロ離れた被災地の村民を運ぶ救援ヘリコプターが発着を繰り返した。

 プロペラ音が遠くから響き始めると、集まった500人を超える家族らが校舎のベランダから空を見上げる。グラウンドの草と実の茂ったヤシの木々を大きく揺らしてヘリが着陸。家族らはヘリから降りてくる被災者を一刻も早く確認しようと駆け出そうとするが、警官が笛を吹いて制止する。

 もう何百回も繰り返されてきた光景に、同県桃源郷に残された家族を待つ江育欣さん(18)は「とにかく救助が遅すぎる」と、ため息をついた。

 また、被災した親族を待ち続けている洪栄彰さん(58)は、「きょうは過密に救援ヘリコプターの往来がある。なぜもっと早くこういう態勢がとれなかったのか」と不満を漏らした。

 一方、土石流の発生以来、「毎日来て、待っている」と話していた白春桃さん(46)一家は14日、姿を見せなかった。一部の家族の間では、あきらめの感も漂う。

 台湾軍は13日までに救援ヘリを延べ363機飛ばし、被災者1254人を救助したと成果を強調した。しかし、災害の発生当初から、軍の救援活動の遅れは指摘されてきた。台湾で発生した10年前の大地震の際、発生2日目に軍人約1万5000人が投入されたのに対して、今回はわずか1946人だったという。

毎日新聞 2009814日 2216分(最終更新 814日 2223分)


台湾:台風8号の死者は500人以上 馬総統

2009814 199分 更新:815 044

 【甲仙郷(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾の馬英九総統は14日、昨年5月の総統就任以来、初めて国家安全会議を招集し、台風8号による死者が500人以上との見方を示した。台湾中南部で大きな被害が出てから約1週間たち、同会議がようやく開かれて全体の被害規模が公表されるなど、対応の遅れに市民からは失望感が広がっている。

 馬総統は会議で、ちょうど50年前の1959年8月に667人が死亡した大水害と比較し、「程度は今回の方が上回る」と指摘。台湾全体で救済と復興を進めていく方針を示し、「被災者が早く正常な生活に戻れるようにしないといけない」と話した。

 また、土石流による生き埋めで300人前後の死亡が13日にほぼ確実になった高雄県甲仙郷小林村については、約380人が生き埋めになったとみられると述べた。

 防災当局は14日夜までに、死者121人、行方不明者53人と発表。家を失った人は7000人余りで、財産の損失は500億台湾ドル(約1450億円)超に上る。


台湾:台風被災地で日本人も救助

 【高雄(台湾南部)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号で大きな被害を受けた高雄県内で12日から14日までに、被災地に取り残されていた観光客を含む日本人男性3人がヘリコプターで救助されたことが分かった。日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所が14日、明らかにした。高雄県内ではこのほか、日本人と結婚するなどして日本国籍を取得した台湾出身者3人も救助された。ほかに被災地に取り残されている日本人は今のところいないという。

毎日新聞 2009814日 東京夕刊


台風8号:台湾の被災地 孤立の日本人観光客ら救助

 【高雄(台湾南部)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号で大きな被害を受けた高雄県内で12日から14日までに、被災地に取り残されていた観光客を含む日本人男性3人がヘリコプターで救助されたことが分かった。日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所が14日、明らかにした。

 高雄県内ではこのほか、日本人と結婚するなどして日本国籍を取得した台湾出身者3人も救助された。ほかに被災地に取り残されている日本人は今のところいないという。

 宝来村や六亀郷では8日から9日にかけて土石流が発生し、陸の孤島になっていた。村民がヘリによる救助を待つ間も、せき止め湖が決壊するなど非常に危険な状態だった。

毎日新聞 2009814日 1154分(最終更新 814日 1407分)


台湾:台風被害 土石流、死者300人 馬政権への批判必至

 【旗山(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号による豪雨で、山間部にある高雄県小林村で9日早朝に発生した土石流で300人前後が死亡したことがほぼ確実になった。台風の上陸から13日で1週間。全体の死者数は400人を超えると予想され、50年前に667人が死亡した大水害と同規模の惨事となる。馬英九政権の災害対策への批判が高まりそうだ。

 防災当局は小林村の生き埋め情報についてこれまで明言を避けてきた。

 しかし13日、楊秋興・高雄県長は「死者数は300人前後」と初めて認めた。

 高雄県災害対策本部が置かれた旗山中学校はこの日も、山間部に取り残された被災者の救助を待つ家族らでごった返した。

 小林村に住む姉(49)の安否が不明な白春桃さん(46)は「そろそろ受け止めなければならない時期と考え始めた」と進まない捜索活動に「姉の生存」をあきらめ始めていた。9日早朝の土石流で多数が生き埋めになったとの情報を知って同本部に駆け付け、以来、毎日通っている。「死亡300人」の情報には言葉を失った。

 現状では、生存者の救出が優先され、生き埋めなどの行方不明者の安否や人数の確認にまで手が回っていない。

 防災当局は13日夕までに116人死亡、59人行方不明と発表。台湾紙「聯合報」は同日、生き埋めなども含めて「行方不明者536人」と報じた。人数確認に慎重すぎる当局の姿勢も、災害の全体像をつかめない原因となっているようだ。

 高雄県内では救助を待つ被災者は約3200人。「全員を避難させるには、あと1週間かかる」(同本部)という。被災者の家族は「救助が遅すぎる」と口をそろえるが、馬英九総統が12日に視察で同本部を訪れた際に救援ヘリは飛ばず、同日午後は4機しか移送できなかったという。

 災害の発生当初から、軍の救援活動の遅れが指摘されていた。馬総統に対して「統帥権をお忘れか」(台湾紙「中国時報」)と指導力を疑問視する声も上がっている。

毎日新聞 2009814日 東京朝刊


台湾:台風8号、土石流死者300人 馬政権への批判必至

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13日、土石流に見舞われた台湾南部の嘉義県の村で、軍の兵士に救出される住民ら=ロイター(軍事新聞通信社提供)

 【旗山(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台湾中南部を襲った台風8号による豪雨で、山間部にある高雄県小林村で9日早朝に発生した土石流で300人前後が死亡したことがほぼ確実になった。台風の上陸から13日で1週間。全体の死者数は400人を超えると予想され、50年前に667人が死亡した大水害と同規模の惨事となる。馬英九政権の災害対策への批判が高まりそうだ。

 防災当局は小林村の生き埋め情報についてこれまで明言を避けてきた。しかし13日、楊秋興・高雄県長は「死者数は300人前後」と初めて認めた。

 高雄県災害対策本部が置かれた旗山中学校はこの日も、山間部に取り残された被災者の救助を待つ家族らでごった返した。

 小林村に住む姉(49)の安否が不明な白春桃さん(46)は「そろそろ受け止めなければならない時期と考え始めた」と進まない捜索活動に「姉の生存」をあきらめ始めていた。9日早朝の土石流で多数が生き埋めになったとの情報を知って同本部に駆け付け、以来、毎日通っている。「死亡300人」の情報には言葉を失った。

 現状では、生存者の救出が優先され、生き埋めなどの行方不明者の安否や人数の確認にまで手が回っていない。防災当局は13日夕までに116人死亡、59人行方不明と発表。台湾紙「聯合報」は同日、生き埋めなども含めて「行方不明者536人」と報じた。人数確認に慎重すぎる当局の姿勢も、災害の全体像をつかめない原因となっているようだ。

 高雄県内では救助を待つ被災者は約3200人。「全員を避難させるには、あと1週間かかる」(同本部)という。被災者の家族は「救助が遅すぎる」と口をそろえるが、馬英九総統が12日に視察で同本部を訪れた際に救援ヘリは飛ばず、同日午後は4機しか移送できなかったという。

 災害の発生当初から、軍の救援活動の遅れが指摘されていた。馬総統に対して「統帥権をお忘れか」(台湾紙「中国時報」)と指導力を疑問視する声も上がっている。

毎日新聞 2009813日 2036分(最終更新 814日 154分)


台湾:台風8号被害拡大、死者107人に

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13日、災害対策本部に被災地から救援ヘリコプターで親族が運ばれてくるのを待つ人々=台湾高雄県旗山で、大谷麻由美撮影

 【旗山(台湾南部・高雄県)大谷麻由美】台風8号が台湾に上陸して13日で1週間がたつが、大きな被害の出た台湾中南部の山間地帯では救助を待つ住民が1万人を超え、土石流による生き埋めの被害状況の確認も遅れるなど救助活動は手間取っている。防災当局は12日夜までに死者が107人に増えたと発表。犠牲者数は拡大の一途をたどっている。

 多数が生き埋めになっているとの情報がある高雄県小林村では12日までに400人を超える住民の無事が確認された。一方、連絡のつかない住民もおり、依然100~200人が生き埋めになっている可能性も指摘される。

 災害対策本部のある高雄県旗山で、小林村の隣村に住む7人の親族の帰りを待つ洪栄彰さん(58)は「救援ヘリコプターの台数が少なすぎる。これでは救援を待つ人を運びきることはできない」と憤りをあらわにしていた。

 12日夜には高雄県新発村で32人の死亡が確認された。今回の水害で初となる多数の生き埋めによる被害報告だった。土石流は高雄県内など各地で発生しており、被害状況が徐々に明らかになっていくとみられる。

毎日新聞 2009813日 1122分(最終更新 813日 1421分)


台湾:台風被害 死者103人、不明61人 土石流発生、1万人以上が家失う

 【台北・大谷麻由美】台湾の防災当局は12日、台湾中南部での台風8号による大雨被害が、死者103人、行方不明者61人になったと発表した。いくつもの場所で土石流が発生。高雄県甲仙郷小林村や、その南約20キロの新発村が埋まったが、避難民の救出を優先しているため、死者・行方不明者の確認が遅れている。屏東県など他の山間部で救助を待つ被災者も多数おり、家を失った被災者は1万500人に上るとされる。台風上陸から13日で1週間。被害は更に拡大しそうだ。

 12日、高雄県は約4000人、嘉義県は阿里山に約6500人が山間部で救助を待っているとの見方を示した。また、地元メディアは、なお1000人近くの人と連絡が取れないと伝えている。

 小林村が埋まった土石流は、8~9日に那瑪夏郷から甲仙郷までの約10キロで断続的に発生した。山間部にある同村は9日午前6時すぎ、山の斜面が約100ヘクタールにわたって崩れ落ち、一面が土砂で平らになってしまった。

 被災した村民は、台湾メディアに対し「地面が揺れたと思ったら大きな地響きがした。山の上の方で上がった砂煙が下りてきたと思ったら、一瞬のうちに家が見えなくなった」と模様を語った。

 同村は、約200世帯、人口約1300人。山間部の村落では町に出稼ぎに行く労働者が多く、人口の把握が難しい。日曜日で一時帰郷していた離村者もいるとされ、事故当時は約600人がいたとみられているが、当局は人数や安否を確認できていない状況だ。無事を待つ家族はいら立ちを募らせている。

 防災当局は当初「100人が生き埋めになった可能性もある」と発表。現地入りした台湾軍は11日、小林村など計5村の被災状況を調べた結果、「被災者からの報告では、多数が生き埋めとなっている状況は今のところない」としたが、台湾紙「自由時報」は12日、「約300人の安否確認ができていない」と報じるなど情報は混乱している。

 これまで確認された死者は、水死などが中心だった。今後は、今も被害状況が明確になっていない土石流による生き埋めの被害者が徐々に確認されるとみられる。道路や橋が寸断され、ヘリコプターが救助の中心だが、台数に限りがあり、情勢把握にも手間取っている。馬英九総統は12日、高雄県旗山の災害対策本部を訪れ被災者を待つ家族らの話に耳を傾けた。

毎日新聞 2009813日 東京朝刊


台湾:台風死者103人、不明61人 土石流、各地で発生

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11日、軍用ヘリで被災地から救出された被災者ら=AP

 【台北・大谷麻由美】台湾の防災当局は12日、台湾中南部での台風8号による大雨被害が、死者103人、行方不明者61人になったと発表した。いくつもの場所で土石流が発生。高雄県甲仙郷小林村や、その南約20キロの新発村が埋まったが、避難民の救出を優先しているため、死者・行方不明者の確認が遅れている。屏東県など他の山間部で救助を待つ被災者も多数おり、家を失った被災者は1万500人に上るとされる。台風上陸から13日で1週間。被害は更に拡大しそうだ。

 12日、高雄県は約4000人、嘉義県は阿里山に約6500人が救助を待っているとの見方を示した。また、地元メディアは、なお1000人近くの人と連絡が取れないと伝えている。

 小林村が埋まった土石流は、8~9日に那瑪夏郷から甲仙郷までの約10キロで断続的に発生した。山間部にある同村は9日午前6時すぎ、山の斜面が約100ヘクタールにわたって崩れ落ち、一面が土砂で平らになってしまった。

 被災した村民は、台湾メディアに対し「地面が揺れたと思ったら大きな地響きがした。山の上の方で上がった砂煙が下りてきたと思ったら、一瞬のうちに家が見えなくなった」と模様を語った。

 同村は、約200世帯、人口約1300人。山間部の村落では町に出稼ぎに行く労働者が多く、人口の把握が難しい。日曜日で一時帰郷していた離村者もいるとされ、事故当時は約600人がいたとみられているが、当局は人数や安否を確認できていない状況だ。無事を待つ家族はいら立ちを募らせている。

 防災当局は当初「100人が生き埋めになった可能性もある」と発表。現地入りした台湾軍は11日、小林村など計5村の被災状況を調べた結果、「被災者からの報告では、多数が生き埋めとなっている状況は今のところない」としたが、台湾紙「自由時報」は12日、「約300人の安否確認ができていない」と報じるなど情報は混乱している。

 これまで確認された死者は、水死などが中心だった。今後は、今も被害状況が明確になっていない土石流による生き埋めの被害者が徐々に確認されるとみられる。道路や橋が寸断され、ヘリコプターが救助の中心となっているが、台数に限りがあり、情勢把握にも手間取っている。馬英九総統は12日、高雄県旗山の災害対策本部を訪れ被災者を待つ家族らの話に耳を傾けた。

毎日新聞 2009812日 1913分(最終更新 813日 248分)


NEWS25時:台湾 台風での死者62人に

 台湾の台風8号による被害は11日夜までに、62人の死亡と57人の行方不明が確認された。土石流で多数が生き埋めになっているとの情報があった台湾南部の高雄県小林村では、空軍が調査したところ、そのような状況は見当たらなかったという。無事だった住民は次々にヘリコプターで救助された。【台北】

毎日新聞 2009812日 東京朝刊


台湾:台風による死者62人に

 台湾の台風8号による被害は11日夜までに、62人の死亡と57人の行方不明が確認された。土石流で多数が生き埋めになっているとの情報があった台湾南部の高雄県小林村では、空軍が調査したところ、そのような状況は見当たらなかったという。無事だった住民は次々にヘリコプターで救助された。

毎日新聞 2009811日 2200分(最終更新 811日 2331分)


台風8号:台湾で23人死亡、56人不明 多数の生き埋め情報も

 【台北・大谷麻由美】台湾では7~8日に上陸した台風8号に伴う暴風雨で10日夜までに23人が死亡、32人が負傷し、56人が行方不明となった。50年前に667人が死亡した大水害以来最悪の被害となっている。

 被害の大きい南部では、高雄県と屏東県を結ぶ双園大橋など8カ所で橋が倒壊。台東県知本温泉では6階建てホテルが増水で地盤が緩み倒壊した。宿泊客らは無事だった。屏東県や嘉義県では降り始めからの雨量が2500ミリを超えた。堤防の決壊で100カ所以上の道路が水没し、10万戸以上で停電と断水が続いている。

 また、山間部の高雄県小林村では8日深夜、土石流が発生して民家を埋め尽くした。500人前後の住民がいたとみられ、10日夜までに百数十人の生存が確認された。多数は連絡が取れず生き埋めとなっている可能性もある。道路が寸断されており、ヘリコプターによる救助・捜索活動が続けられている。

毎日新聞 2009811日 東京朝刊


台風8号:台湾、50年来で最悪被害 死者不明多数

 【台北・大谷麻由美】台湾では7~8日に上陸した台風8号に伴う暴風雨で10日夕までに15人が死亡、32人が負傷し、55人が行方不明となった。50年前に667人が死亡した大水害以来最悪の被害となっている。

 被害の大きい南部では、高雄県と屏東県を結ぶ双園大橋など8カ所で橋が倒壊。台東県知本温泉では川沿いの6階建てホテルが増水によって地盤が緩み倒壊した。宿泊客らは全員避難して無事だった。屏東県や嘉義県では降り始めからの雨量が2500ミリを超えた。堤防の決壊で100カ所以上の道路が水没し、10万戸以上で停電と断水が続いている。

 また、山間部の高雄県小林村では8日深夜、土石流が発生して民家を埋め尽くした。村には500人前後の住民がいたとみられ、10日夜までに百数十人の生存が確認された。多数は連絡が取れず生き埋めとなっている可能性もある。道路が寸断されており、ヘリコプターによる救助・捜索活動が続けられている。

毎日新聞 2009810日 1801分(最終更新 810日 2317分)



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