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空の旅が大きく変わる


日航、操縦士を自社養成した米の訓練所閉鎖へ 経費節減1/2ページ)

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8月に訓練が終了した日本航空ナパ運航乗員訓練所の駐機場には、今も日航の塗装を施した訓練機が並んでいる=9日午前、米カリフォルニア州ナパ

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森田進治所長=8日午後、米カリフォルニア州ナパ、永田写す

 【ナパ(米カリフォルニア州)=永田工】経営再建中の日本航空が、パイロットを養成してきた当地のナパ運航乗員訓練所を閉鎖する。経営合理化の一環で、年約25億円の経費節減を見込む。訓練所は同社が1971年に日本の航空会社で初めてパイロットの養成を始めた施設で、約2200人の訓練生が卒業した。

 日航は経営破綻(はたん)後の今春にパイロット候補として入社した訓練生に、地上職への配置転換か早期退職を求めており、訓練所の閉鎖で日航は自社での養成を事実上断念したことになる。

 日航によると、訓練は8月12日に終わり、訓練生や駐在員の大半はすでに帰国した。日航は操縦士の削減にも着手しており、「多額の固定費がかかる訓練所を維持し続けることは経済合理性に乏しいとの結論に至った」と説明している。当面、航空大学校の卒業生を含めてパイロット採用の予定はない。

 ナパは年間を通じて気候が安定し、訓練に適している。訓練所では7月現在で約7万平方メートルの施設と訓練用の小型機33機を所有している。日本の航空会社では、全日空が91年から米国の訓練所で自社養成を開始。日航系のジャルエクスプレスも豪州で養成していたが、現在は中断している。

開設から39年、2200人が巣立つ

 日航ナパ運航乗員訓練所の森田進治さん(58)は、最後の所長になった。入社から35年間で3度、ここで訓練に携わった。経営破綻した会社の浮沈に複雑な思いを抱えながら、訓練所の閉鎖とともにパイロット人生にも区切りをつけようとしている。

 8日午後、周辺にワイナリーやブドウ畑が広がる米カリフォルニア州北部のナパ郡空港。森田さんとマネジャーの白井一弘さん(50)、渡辺慎太郎さん(49)が淡々と閉鎖の準備を進めていた。

 訓練生はすでに帰国し、職員も去った建物は静まりかえる。開設から39年間。ここを巣立った操縦士は約2200人。一定の操縦資格をもって入社する航空大卒業生と異なり、「自社養成」と呼ばれる一般大卒の訓練生は、ここで初めて飛行機を操る。最初はプロペラ一つの小型機、そしてプロペラが二つある双発機に進み、単独での飛行も経験。地上が見えない高度を飛ぶこともある旅客機を想定して窓を覆い、計器だけを見て飛ぶ訓練も積む。ナパでの訓練生活は16カ月。中には適性がないとみなされ、途中帰国する訓練生もいる。

 最後の訓練は8月12日だった。25年前に日航ジャンボ機が群馬・御巣鷹の尾根に墜落した日に偶然、重なった。米国人も含むスタッフらと全員で黙祷(もくとう)し、安全運航を改めて誓った。


日航、操縦士を自社養成した米の訓練所閉鎖へ 経費節減2/2ページ)

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 その翌日。日航のロゴをつけた訓練用の小型機で最後のお披露目飛行に臨んだ。訓練生や米国人教官、スタッフらが見守る中、タッチ・アンド・ゴーや低空飛行など訓練課題を実演した。40分ほどの飛行の最後、滑走路の中心に引かれた白い点線にぴたりと着地すると、訓練生から感嘆の声が漏れた。

 「どうや」。訓練生時代からの口癖を心の中でつぶやいた。誘導路では地元の消防車が放水のアーチを掛けて出迎えた。

 ナパは、航空大を卒業して日航に入社した翌年の76年、初めて訪れた外国だった。英語の訓練に戸惑い、管制官の指示が聞き取れず苦しんだ。2度目は副操縦士になった15年後。相談相手として9人の訓練生と毎日のように訓練日誌を交換して励ました。

 そして昨年2月から所長として3度目の赴任。初めての単独飛行に出る訓練生を送り出すと、無事に戻ってこられるか気をもんだ。パイロットへの道を絶たれた訓練生は、帰国の際に抱きしめて見送った。

 13日にナパを離れ、これまでの訓練記録を携えて帰国する。パイロット養成の前途は不透明だが、「貴重な知的財産」と本社に引き継ぐ。

 今月末、定年まで1年半を残して日航を去る。8月の飛行は、自身にとって日航での最後の飛行にもなった。「ナパで人を育てるすばらしさを知った」と未練はない。会社に残る後輩には「再生をめざして力を合わせて」と期待する。

 71年以来、ナパでの訓練の総時間は62万1093時間52分。この間、人身事故は一件もなかった。

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日航株:2円で取引終了、前日比3円安

2010120 1842分 更新:120 2229

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日本航空の株価が前日比3円安の2円まで値下がりしたことを示す株価ボード=東京都中央区で2010年1月20日午後6時22分、佐々木順一撮影

 20日の東京株式市場で、日本航空株は前日比3円安の2円で取引を終えた。19日の会社更生法の申請で売り注文が膨らんだ。売買高は4億7677万株で東証1部で首位。

 日航株は今後100%減資により、株式としての価値がなくなるが、短期の売買で利ざやを稼ごうとする個人投資家の取引は引き続き活発だった。

 日航株は19日、上場廃止となったことを通告する「整理銘柄」に指定されたが、取引は上場廃止前日の2月19日まで行われる。市場では「株価は近く最低価格の1円まで下落し、取引量も細っていく」(大手証券)との見方がある。【工藤昭久】

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日本航空:更生法申請から一夜、混乱なく

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 日本航空の会社更生法適用申請から一夜明けた20日、同社の国内便・国際便は通常通り運航されている。政府が燃料や航空機リースの債権保護の周知に努めていることもあり、海外の取引先が現金決済を求めるなどの混乱は起きていない。また、空港の窓口業務も通常通り行われており、利用者に影響は出ていない。

 政府は19日、「運航の継続と確実な再生を図るため、必要な支援を行っていく」との声明を発表し、日航が就航している三十数カ国・地域に対し、安定運航に向けた協力を要請している。

 01年に破綻(はたん)んしたスイス航空では、1日半にわたり運航が停止した。仮に日航の運航が停止した場合は、全日本空輸など他社に代替輸送を依頼する方針だったが、20日午前の時点では運航ダイヤの乱れも出ていない。【大場伸也】

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日航株:一時2円に下落 前日比3円安

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 20日の東京株式市場で、日本航空の株価が一時、前日終値比3円安の2円に下落した。19日、会社更生法適用を申請したため、東京証券取引所は日航株を整理銘柄に指定。2月20日に上場廃止となるため、換金目的の売りが先行している。【工藤昭久】

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日本航空:整備は、サービスは利用者は不安とエール

2010119 2035分 更新:119 214

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JALの空港カウンター前に設置された企業再生支援機構による支援決定によるお知らせ=羽田空港で2010年1月19日、尾籠章裕撮影

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通常通りの業務が続く日航のカウンター=羽田空港で2010年1月19日、西本勝撮影

 日本航空が経営破綻(はたん)した19日、利用者の間では安全運航への不安と再建を期待する声が交錯した。社員たちは必死に前を向こうとしているが、日航が就航する地方空港の関係者からは路線縮小を懸念する声も出ている。

 羽田空港の日航カウンターには、「安全・定時運航を維持します」との「お知らせ」が掲示された。

 観光の帰りの福岡県大野城市の主婦(65)は今後も日航を利用するというが「人員削減で整備が手抜きにならないか」と不安を口にする。同県嘉麻市の久保山鉄允さん(66)は「親方日の丸でサービスも良くなかった。お客様目線の会社に変わって」と注文した。

 松山市のダムのコンサルタント会社に勤める重永允さん(67)は帰りの便を全日空から日航に変えた。「ダムも日航もたたかれ、お互い大変だから。生き残ってほしい」とエールを送った。

 社員にとっては、今後の人員削減など不安が山積だ。

 30年以上の経験を持つベテラン機長の男性が入社したのは、機体に鶴のマークがあった時代。国を代表する航空会社「ナショナルフラッグキャリアー」の一員という使命感があり、「自衛隊機が飛べない場合でも飛ばそうという気概でやってきた」と振り返る。経営破綻については「現場が持っている実力を考えれば考えられない事態」と悔しさを見せたが、「現場は絶対にミスできないという緊張感でやっている」と社内の士気が下がっていないことを強調した。

 女性社員は「経営手法が変わっても、航空機を安全に飛ばすことに変わりはない。動揺してはならない」と自分に言い聞かせた。

 一方、国内線は日航のみの青森空港。空港ビルを管理運営する「青森空港ビル」(青森市)の田村優一社長は「これまで同様、運航を続けてほしい」。空港の売店で働く竹内順子さん(30)は「ここ1~2年、目に見えて客が減った。便数が減ると売り上げも減り、店員も減らされる」と懸念を隠さない。

 青森県の空港担当者は「日航の運休案に県内の青森、三沢両空港は含まれていない。利用促進活動は従来以上に必要だ」と気を引き締めた。【馬場直子、後藤豪】

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日本航空:会社更生法の適用申請再生機構も支援決定

2010119 1755分 更新:119 2146

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支援機構の日航支援の仕組み

 経営危機に陥っていた日本航空は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、負債総額は2兆3221億円(グループ2社含む)に上り、金融機関を除く事業会社の経営破綻(はたん)としては過去最大規模。日本を代表する航空会社だった日航だが、08年金融危機後の航空需要急減などに直撃され、自力再建の道を断たれた。【大場伸也】
 ◇負債、過去最大2.3兆円

 官民共同出資の企業再生支援機構が申請直後に日航の支援を決定、グループで1万5700人の人員を削減するなどの事業再生計画を発表した。機構は管財人として3年以内の再建を目指す。政府も同日、日航支援の声明を発表し、資金繰りや安全運航に万全を期す方針を表明した。また、日航は、本業のもうけを示す営業損益が10年3月期に2651億円の赤字に転落する見通しを発表した。

 日航の西松遥社長は19日付で引責辞任し、京セラの稲盛和夫名誉会長が2月1日付で実質的な最高経営責任者(CEO)として会長に就く。東京都内で会見した西松氏は「ご迷惑をかけ、心からおわびします。我々は最後のチャンスをいただいた。再び強い会社として生まれ変わると確信している」と述べた。

 機構によると、日航は約8600億円の債務超過。金融機関などの債権約7300億円をカットするとともに、機構が3000億円以上を出資し、債務超過を解消する。経営の重荷となっていた企業年金は、OB・現役社員が減額に同意し、年金基金は存続する。

 機構は、主力行の日本政策投資銀行と合わせ6000億円のつなぎ融資を実施する。6月末までに詳細な更生計画案を提出し、8月末までの裁判所認可を目指す。

 政府は19日、日航が就航している三十数カ国・地域に、安定運航への協力を要請した。前原誠司国土交通相は会見で「今日が再生の出発点となる。安心して日航を利用し、取引を継続していただける」と語った。
 ◇会社更生法

 経営に行き詰まった企業の再建手続きを定めた法律。同じ法的整理でも会社をなくす破産と異なり、会社を存続させて再建を図る。裁判所は申請の受理後、再建の見込みがあると判断すれば更生手続きを開始。経営陣は原則退任し、裁判所が選任した管財人に経営を委ねる。管財人は通常1年以内に再建策を盛り込んだ更生計画案を策定。債権者らの集会で可決されれば、裁判所が計画を認可する。

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日航:19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請へ


日本航空:会社更生法の適用申請を決定 臨時取締役会

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 日本航空は19日午後、臨時取締役会を開き、東京地裁に会社更生法の適用を申請することを決めた。


日航株:午前終値1円安の4円 最安値を更新

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 19日の東京株式市場で、日本航空株は前日終値比1円安の4円で午前の取引を終え、02年の旧日本エアシステムとの統合後の最安値を連日で更新した。

 日航は同日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、法的整理の手続きに入る。上場廃止を見越して大量の見切り売りが出る一方、短期の大量売買で利ざやを稼ごうとする個人投資家などの買い注文が続いているとみられる。【工藤昭久】

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日航:1000億円国民負担も 融資回収不能分


日本航空:会社更生法適用、きょう午後に申請

 日本航空と子会社2社は19日午後、東京地裁に会社更生法の適用を申請する。官民が出資する企業再生支援機構がほぼ同時に支援を決定。約3000億円を出資し、スポンサーとして約3年後まで支援する。これを受け、政府は同日中に、日航の安定運航を支援する声明を内外に向けて発表する予定だ。負債総額は、金融を除く事業会社では過去最大の2兆円規模に膨らむ可能性がある。

 同日夕には機構の西沢宏繁社長と瀬戸英雄企業再生支援委員長、日航の西松遥社長らがそれぞれ会見し、更生法を活用した理由や再建に向けた道筋などを説明する予定だ。また前原誠司国土交通相も会見し、政府の支援姿勢を明らかにする。

 西松社長は一連の責任を取って同日付で退任し、京セラの稲盛和夫名誉会長が2月をめどに実質的な最高経営責任者(CEO)として会長に就く。最高執行責任者(COO)の役割を担う社長は、グループ内から昇格させる。管財人には、支援機構の中村彰利専務が選任される見通しだ。【位川一郎】

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日航:19日支援機構下に 更生法申請も同日政府決定

毎日新聞 2010119日 1057分(最終更新 119日 1201分)


自治体管理空港:黒字わずか4カ所 「採算度外視」響く

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 地方自治体が管理する全国54空港(定期便就航空港)のうち、着陸料などの収入で空港維持管理などの費用を賄える「黒字空港」が08年度でわずか4空港にとどまったことが、毎日新聞の調査で分かった。収支ゼロが1空港。残り49空港が「赤字」だった。今後も、景気悪化による旅客数の低迷や日本航空減便の影響などを受け、各空港で業績がさらに悪化する見通し。採算度外視で乱立した地方空港の窮状がより鮮明になった。

 全国97空港のうち、会社管理空港(成田、関西、中部)の決算は公表されており、国が管理する空港(羽田、伊丹など26空港)も国土交通省が今年7月に06年度の空港別損益の試算を発表した。しかし自治体管理空港については一般会計で処理される場合が多いため統計的なデータがなく、毎日新聞は、定期便が就航する54空港を管理する23都道県3市に08年度の収支状況を聞いた。

 着陸料等収入と土地・建物等貸付料収入の収入2項目で維持管理費(人件費、物件費)などを支出した場合の収支状況を検討したところ、秋田、富山、神戸、石垣(沖縄・石垣島)の4空港が黒字だった。最も黒字幅が大きかったのは秋田空港で1億2200万円。

 これに対し、収支ゼロの名古屋飛行場を除く49空港が赤字で、うち28空港の赤字幅が1億円を超えた。最も大きかったのは、広島県が経営からの撤退を表明している広島西飛行場で5億4700万円。長野県の松本空港も2億1500万円の赤字だった。不採算空港に対しては管理する地方自治体の一般会計などから不足分が補てんされており、厳しい自治体財政を圧迫している。【坂口雄亮、藤田剛】

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