Anti-poverty
反貧困キャンペーン2009
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路上生活者:34%に知的障害の疑い 東京・池袋で調査

201032 230分 更新:32 1239

 東京・池袋で臨床心理士らが実施した調査で、路上生活者の34%が知能指数(IQ)70未満だったことが分かった。調査グループによると、70未満は知的機能障害の疑いがあるとされるレベル。路上生活者への別の調査では、約6割がうつ病など精神疾患を抱えている疑いも判明している。調査グループは「どうしたらいいのか分からないまま路上生活を続けている人が大勢いるはず。障害者福祉の観点からの支援が求められる」と訴えている。

 調査したのは、千葉県市川市職員で路上生活者支援を担当する奥田浩二さん(53)ら臨床心理士、精神科医、大学研究者ら約20人。池袋駅周辺で路上生活者を支援する市民団体と協力し、本格的な研究の先行調査として昨年12月29、30日に実施。普段炊き出しに集まる20~72歳の男性168人に知能検査を受けてもらい、164人から有効回答を得た。

 それによると、IQ40~49=10人▽IQ50~69=46人▽IQ70~79=31人だった。調査グループは「IQ70未満は統計上人口の2%台とみられることからすると、10倍以上の高率」としている。先天的な障害か、精神疾患などによる知能低下なのかは、今回の調査では分からないという。

 調査グループは、IQ40~49は「家族や支援者と同居しなければ生活が難しい」▽50~69は「金銭管理が難しく、行政や市民団体による社会的サポートが必要」▽70~79は「日常生活のトラブルを1人で解決するのが困難」と分類している。

 調査結果は3日、国立精神・神経センター精神保健研究所(東京都小平市)の主催で開かれる専門家のシンポジウムで発表される。【桐野耕一】

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生活保護:受給者の生活施設、6割が高齢者向け

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 厚生労働省は20日、生活保護受給者が生活する有料老人ホームなどの法的位置づけのない施設について、初の全国調査結果を公表した。今年1月時点で1437施設に1万2587人が生活し、6割が高齢者向け施設で、入所者の4割以上が介護保険サービスを利用していた。

 施設数は▽北海道211▽大阪府166▽沖縄県108--の順で多かった。自治体別の利用者数では▽大阪府2529人▽北海道1530人▽愛知県1207人。

 利用者別では▽高齢者向け825カ所6879人▽路上生活者向け127カ所1715人▽アルコール依存症者向け41カ所461人▽薬物依存者向け39カ所216人。

 利用者のうち、介護保険サービスの利用者は5517人と43.8%。障害者福祉サービスの利用者が2191人と17.4%だった。【野倉恵】


貧困率:日本15.7% 先進国で際立つ高水準

20091020 131分 更新:1020 144

 長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータで日本は加盟30カ国の中で、4番目に悪い27位の14.9%で、悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。

 相対的貧困率は、国民の年収分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合。今回政府はOECDの算出方法を踏襲した。06年の17歳以下の「子供の相対的貧困率」は14.2%で、同様に03年のOECDデータの13.7%(30カ国中、19位)より悪化している。

 03年のOECDデータで貧困率がもっとも悪いのは、メキシコ(18.4%)で、トルコ(17.5%)、米国(17.1%)と続く。最も低いのはデンマークとスウェーデンの5.3%。

 長妻厚労相は「OECDの中でもワーストの範ちゅうに入っており、ナショナルミニマム(国が保障する最低限度の生活)と連動して考えたい。来年度から支給する子ども手当で貧困率がどう変化するかもシミュレーションしていく」と述べた。【佐藤浩】


生活保護:母子加算12月初旬に復活、10年度も継続

20091020 230分 更新:1020 89

 鳩山由紀夫首相は19日夜、首相官邸で長妻昭厚生労働相と会談し、昨年度まで支給されていた生活保護の母子加算について、12月初旬をめどに復活させる方針で一致した。長妻氏は「衆院選前から言い続けたことで、年内に復活しなければならない」と述べ、首相も「(政権交代の)象徴的な話なので全力で取り組んでほしい」と応じた。財務省は所要額約60億円を予備費から出す方向だ。新政権は10年度の概算要求で、母子加算を金額を示さない「事項要求」にとどめたが、09年度中の復活が固まったことで、10年度も予算がつく見通しとなった。

 首相は会談後、記者団に「(年内復活は)約束だから」と述べた。母子加算は今年3月末で廃止された。【塙和也】


反貧困ネット:貧困オバケを人文字で表現 対策を訴える

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反貧困のシンボルマーク「ヒンキー」のマークをつくる集会参加者たち=東京都港区の芝公園で2009年10月17日午後3時16分、本社ヘリから内林克行撮影

 貧困問題に取り組む「反貧困ネットワーク」(代表・宇都宮健児弁護士)が17日、東京都港区で貧困対策への取り組みを新政権に訴える集会を開いた。シンボルマークの貧困オバケ「ヒンキー」を人文字で表現、反貧困をアピールした。

 集会は、各国で貧困問題に対する取り組みが行われる「世界貧困デー」に合わせて企画された。約700人が参加し、シングルマザーや障害者、失職した派遣労働者らが現状を訴え、貧困層の割合を示す貧困率の測定や貧困層の縮小目標を立てることを強く求めた。

 あいさつした厚生労働省の山井和則政務官は「貧困率は測定して公表する。貧困率の削減は政府として大きな課題になる」と述べた。

 新政権の国家戦略室に参与として参加する同ネットの湯浅誠事務局長は「約半世紀にわたる(貧困への)無関心から抜け出し、誰もが人間らしく暮らせる『形』をつくろう」とする宣言文を読み上げた。【東海林智】

毎日新聞 20091017日 1941分(最終更新 1017日 1951分)


反貧困世直し大集会2009 ~ちゃんとやるよね?!新政権~

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新政権発足から1ヶ月。
日本はこれから本当によくなるのか?期待と不安が渦巻いています。
新政権からは、すでに母子加算の早期復活、障害者自立支援法・後期高齢者医療制度の廃止が打ち出されています。その流れを私たちは歓迎しつつ、その時期や内容についてはたくさんの心配もあります。
労働者派遣法の抜本改正はどうなるのか?
人々の生活は本当に立て直されるのか?
新政権はちゃんとやってくれるのか?
それは、私たちの行動にかかっているのだと思います。
去年に引き続き、世界反貧困デーに合わせて「反貧困世直し大集会」を行います。
ご参集ください。

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【日時】10月17日(土)13:00~15:30(雨天決行・入場無料)

【場所】
芝公園4号地(東京都港区)
都営三田線「御成門駅」A1出口すぐ。都営浅草線・大江戸線「大門駅」A6出口徒歩6分。東京メトロ日比谷線「神谷町駅」3番出口徒歩7分。JR山手線「浜松町駅」徒歩12分。
【スペシャルゲスト】
加藤登紀子さん(歌手)
ギュスターブ・アッサーさん(ソーシャル・ウォッチ・ベナン)
【内容】
母子加算・派遣法・障害者自立支援法・後期高齢者医療制度
・・・注目される各分野からの当事者発言
各政党政治家から
世界の貧困と日本の貧困
・・・日本の貧困削減目標作成の呼びかけ
新政権に贈る集会宣言
貧困をなくすための意思表示「スタンドアップ」
・・・みんなで反貧困メッセージをつくろう!
アフリカNGO活動家から日本の貧困問題へのメッセージ

【主催】
反貧困ネットワーク

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1)集会賛同団体になってください。
以下の集会概要・趣旨にご賛同いただける団体は、団体賛同をお願いします(無料)。
あて先:
hanhinkon.net@gmail.com(〆切:10月15日)
==========
団体名(公表します):
連絡先電話番号(公表しません):
メールアドレス(公表しません):
メッセージ(公表します):
==========

2)各地でスタンドアップ(「反貧困」の意思表示)をお願いします。
お金も時間もかかりません。必要なのは意思だけです。
「スタンドアップ」の概要については、以下をご参照ください。
http://www.standup2015.jp/

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貧困対策:
揺らぐ足元 増える生活保護世帯、対応に限界 ケースワーカー不足、深刻化

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受給者と今後の生活などについて話し合う中谷芳明さん(奥)。毎月30軒は定期訪問したいと思うが、20軒程度が限界だという=横浜市内で小林多美子撮影

 生活保護の受給者が増え続け、今年7月には45年ぶりに170万人を超えた。しかし手続きや自立支援を担う福祉事務所では、ケースワーカーの人手不足が深刻化。貧困が広がるなか、セーフティーネットの足元が揺らいでいる。【小林多美子】

 「目の前のことへの対応に追われ、受給者の自宅に定期訪問することもままならない」。横浜市の福祉事務所で働くケースワーカー歴31年のベテラン、中谷芳明さん(56)は嘆く。現在担当する生活保護受給世帯は約100世帯。昨年の世界同時不況以降は毎月3~4件の新規受給がある。中谷さんの一日に同行した。

 午前8時半、市役所の開庁とともに受給者4人が訪れた。週3日ほどの仕事を見つけたばかりという中年男性は現在、簡易宿泊所に住む。貯金をしてアパートを借りる目標を立て、「半年間頑張ってみましょうね」と励ました。

 次に来たのは、派遣切りで失職した30代の男性。求職活動をしていることを証明する報告書の書き方をアドバイスする。男性は不安そうに聞いていたが、中谷さんに「なかなか仕事が見つからないようだったら、就労支援の専門員を紹介しましょう」と言われて、深くうなずいていた。

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 窓口には介護保険の要介護認定を受けたばかりの高齢男性も訪れた。事情や環境はさまざま。各人に合った支援策を考えるには、性格や生活習慣も把握しなければならない。

 およそ1時間半で面接を終えると、今度は高齢夫妻の家に向かった。引っ越しの手続きに立ち会うためだ。夫妻とも介護が必要になり、今の住まいでは狭すぎる。新しい部屋を見学し、広さやバリアフリー対策が十分かを確認する。

 午後は1時間半電車に揺られ、横浜市外の病院へ。交通事故で入院中の男性受給者の様子を確かめるためだ。回復のめどは立っていないが、満床状態が続く病院側は近く転院してほしい様子だ。本人を見舞うと、まだ言葉もうまく出せない。新たな病院探しを急がなければならない。

 生活保護の目的は最低限度の生活の保障と自立の支援。中谷さんが言った。「仕事を見つけて収入を得ることだけでなく、その人のできる範囲内で一歩ずつ進んでいくことも自立。きめ細かい支援のためには、ケースワーカーの力がもっと必要なんです」

 病院を出たのは午後5時ごろ。職場に戻れば、一日の記録をつける作業が待っている。

    *

 ケースワーカー不足は各地で深刻化している。

 「担当世帯が100を超えると、受給者の生活に寄り添うどころか、淡々と事務処理をこなすだけでも精いっぱい」

 「人員不足を現場のやりくりのみで埋めていていいのか。たくさんの矛盾を感じながら仕事をしている」

 今年7月、弁護士らでつくる「生活保護問題対策全国会議」が開いた集会では、現役のケースワーカーたちからの切実な報告が相次いだ。支援を必要とする人は増えているのに、人手不足で十分な対応ができない苦しさがにじんだ。過労や精神的なストレスから燃え尽き、心身を壊す人も珍しくない。

 国と地方自治体の財政状況の悪化も、ケースワーカーの立場を厳しくしている。生活保護制度に詳しい首都大学東京の岡部卓教授は「財政削減は受給者数を抑制する無言の圧力となる。まじめな職員ほど、行政内外からの圧力と相談者の間に挟まれ、精神的につらい状況に置かれることになる」と指摘する。

 人員不足が招くのは職員の過剰な負担だけではない。「業務がこなせなくなることを恐れ、ケースワーカーが新規の受給を抑制するようになる」と岡部教授。

 専門家の試算では、生活保護を必要とする生活困窮世帯のうち、実際に受給をしている世帯数の割合は10~20%。昨年秋からの大量派遣切り以降、新規受給のハードルはやや低くなったものの、申請拒否や受給の打ち切りによる餓死・孤独死が後を絶たない。今年4月には北九州市で福祉事務所に相談に訪れていた30代の男性が孤独死。三重県桑名市でも生活保護を打ち切られた50代の男性が餓死した。

    *

 こうした状況を受け、ケースワーカーの人員や財源確保を国に求める動きが出ている。日本弁護士連合会(日弁連)は昨年11月、生活保護法の改正要綱案をまとめた。市町村負担のケースワーカーの人件費を国の負担にすることや、ケースワーカーの人員数を、受給者60人(郡部は40人)に1人と義務化することなどを盛り込んでいる。

 一方、貧困問題の解決に意欲を見せる鳩山新政権は発足直後、今年3月末で廃止された生活保護のひとり親世帯への上乗せ支給「母子加算」を復活すると宣言した。だが、制度の担い手であるケースワーカー不足をどう解消していくのかは、見えてこない。

 ◇「充足率」減り続け


 ケースワーカーの負担が増えた背景には、受給者の増加だけでなく、00年度に施行された地方分権一括法により、ケースワーカーの配置の規定が変わったことがある。それまでは国が地方自治体に「80世帯(郡部は65世帯)に1人配置する」ことを義務づけていたが、同法の施行後、この数字はあくまで目安(標準数)となり、強制力がなくなった。

 標準数に対する実際のケースワーカーの割合を計算した「充足率」は、96年に全国で100%を切り、04年には79・9%まで落ち込んだ。人数にすると、2854人足りないことになる。

毎日新聞 20091012日 東京朝刊


生活保護:福岡市、失業で76%増 7月末、過去最高3174世帯

 福岡市は8日の市議会決算特別委員会で、失業などが原因で生活保護の受給対象となった世帯が前年同月比76%増加し、過去最高の3174世帯(7月末現在)になったと報告した。昨秋以降の急激な景気悪化で雇用を打ち切られる人が続出したほか、厚生労働省が今年3月、ホームレス状態の人からも生活保護申請を受け付けるよう自治体に通知したことなどが影響したとみられる。

 伊藤嘉人議員(自民)の質問に答えた。吉田宏市長は「世界的な雇用関係の悪化などに、生活保護制度が十分対応できていない。新たなセーフティーネットのあり方を検討する時期がきている」との考えを示した。

 市保護課によると、市内で生活保護の受給対象となっている世帯の総数は、7月末現在で2万2726世帯。前年同月の1万9821世帯から2905世帯も増えた。

 増加世帯の内訳は、失業した世帯などが1374(前年同月比47・4%増)と約半数を占め、高齢者677(同23・3%増)▽傷病者553(同19・1%増)▽障害者184(同6・3%増)▽母子家庭112(同3・9%増)--と続く。

 失業世帯の急増は、市が厚労省の通知を受け、ホームレスからの申請を積極的に受け入れるよう方針転換したことも一因という。

 一方、市の一般会計予算に占める生活保護費は、08年度で553億円にのぼり、07年度の503億円から跳ね上がった。景気回復の兆しが見えない今年度も増加は確実で、市の財政を圧迫している。同委員会では「生活保護制度のあり方について、国に見直しを働きかけるべきだ」との意見も出た。【門田陽介】

毎日新聞 2009109日 西部朝刊


母子加算:年内復活へ 財務省が予備費の拠出容認

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 政府は、生活保護のひとり親世帯に昨年度まで支給されていた母子加算について、年内に復活させる方針を固めた。財務省が予備費から経費を拠出する見通しとなった。

 母子加算は、ひとり親の生活保護世帯に上乗せして支給する制度。都市部で子供1人の場合、04年度までは月約2万3000円支給されていた。厚生労働省は、母子加算を含めた生活保護費が一般の母子家庭世帯の消費支出額を上回っているとの調査をもとに段階的に支給額を削減。3月末で廃止された。

 しかし打ち切りで生活が困窮した家庭からの根強い批判を受け、民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で復活を明記。社民党、国民新党との3党連立政権の政策合意にも盛り込まれた。政権交代後は早期復活を目指す厚労省と、財務省との間で必要な財源を巡って調整が続いていた。

 これについて財務省首脳は7日、「臨時国会で長妻昭厚労相が必要性を表明すれば、予備費での復活は可能だ」と言及。月末に開会する臨時国会で復活が正式に決まれば、大臣告示を経て、年内支給分から上乗せされる。


生活保護:受給世帯が過去最多 3.9%増

 08年度の生活保護受給世帯は1カ月平均114万8766世帯で、前年度(110万5275世帯)に比べ3.9%増え、過去最多を更新したことが厚生労働省の社会福祉行政業務報告で分かった。受給者数も159万2620人と、前年度(154万3321人)比3.2%の増。雇用情勢の悪化が影響したとみられる。生活保護世帯は01年度から過去最多の更新が続き、05年度からは100万世帯を超えている。

 類型別で最多だったのは高齢者世帯で、全体の45.6%を占める52万3840世帯(前年度比5.3%増)。障害者・傷病者世帯は40万7095世帯(同1.5%増)▽母子世帯は9万3408世帯(同0.5%増)▽「その他の世帯」が12万1570世帯(同9.2%増)だった。

 「その他の世帯」の増加が際立った点について厚労省保護課は「失業し、働きたくても働けない世帯主が含まれるのだろう」と分析している。【佐藤浩】

毎日新聞 2009107日 1928


長妻厚労相:労働者派遣法の改正検討を諮問 労働政策審に

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 長妻昭厚生労働相は7日、労働行政のあり方を審議する厚労相の諮問機関、労働政策審議会(諏訪康雄会長)に、労働者派遣法の改正を検討するよう諮問した。同審議会は昨年、日雇い派遣の原則禁止などを柱とする改正の方向を答申、改正案が提出されているが廃案になっている。厚労相は製造業務への派遣禁止などより規制を強化した検討を求めており、抜本的改正へ向け動き出す。

 厚労相の諮問では、廃案となった改正案の提出後、雇用情勢の悪化で派遣労働者の雇い止めなどが多発するなど雇用環境が大きく変化したとの認識を示した。その上で、製造業務への登録型派遣のあり方や派遣先への直接雇用の促進などを追加検討するよう求めている。

 審議会は労働組合、経営側、公益委員の3者で構成。民主党はマニフェストで専門業務を除く製造業務への派遣禁止や、違法行為があった場合、派遣先に直接雇用を通告できる「直接みなし雇用制度」の創設などを主張している。【東海林智】


「貧困率」調査:厚労相が指示 関係部局に

 長妻昭厚生労働相は5日、国民の経済格差を表す指標となる「貧困率」の調査を行うよう関係部局に指示した。広がる貧困層の実態を調べ、対策を講じるのが目的。国の統計データなどを収集、子どもの貧困率も含めて算出し、削減目標も新たに設定する方針。

 貧困に関する国の調査には、旧厚生省が1953~65年に生活保護受給世帯の平均的な消費水準を下回る世帯を「低消費水準世帯」とし、その世帯数や全世帯に占める割合を推計、公表した時期がある。【佐藤丈一】

毎日新聞 2009105日 1930


緊急雇用対策:策定に着手で一致 長妻厚労相と菅氏

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 長妻昭厚生労働相は5日、内閣府で菅直人国家戦略担当相と会談し、厳しい雇用情勢を踏まえた緊急雇用対策の策定に着手する方針で一致した。近く菅氏が窓口となり、関係省庁と協議を始める。

 長妻氏は会談後、記者団に「介護はこれまでコストととらえていたが、むしろ投資。雇用も作れる」と語り、介護など社会保障分野を柱にした雇用拡大策を打ち出す意向を表明。平野博文官房長官も同日午前の会見で、緊急雇用対策本部を政府が設置することについて「今後の進展によっては当然考えなければならない」と述べ、前向きに検討する考えを示した。【塙和也】


講演:現代の貧困、実例挙げ紹介 NPOの湯浅さん、佐賀市で /佐賀

 NPO「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の湯浅誠事務局長が3日、佐賀市で「現代の貧困と社会保障」と題して講演した。県社会保障推進協議会主催。

 湯浅さんは、学用品をそろえられなかったり修学旅行に行けないなど、現代の貧困を実例を挙げて紹介。現在の日本を、生活上のトラブルが起きていったん転がり始めたら歯止めが利かない「すべり台社会」と表現し、「政府は経済成長率だけでなく貧困率の調査をすべきだ」と訴えた。

 また、民主党政権に一定の期待を示しつつ「政策が後回しにされないように社会的機運を作る必要がある」と述べ、貧困対策には社会全体の関心が必要だとの認識を示した。【関谷俊介】

毎日新聞 2009105日 地方版


貧困率:政府として調査する方針固める 長妻厚生労働相

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 長妻昭厚生労働相は4日、山井和則厚労政務官と協議し、格差問題の解決に本格的に取り組むため、国民の「貧困率」を政府として調査する方針を固めた。5日にも担当部局に対し、全国的なデータ収集と貧困率の削減目標設定を指示する。山井政務官が4日夜、NHKのテレビ番組で明らかにした。

 貧困率とは、全国民の平均的な年収の半分に満たない人の割合とされるが、政府は正式な指標として算出していない。06年に経済協力開発機構(OECD)の発表したリポートで日本の貧困率が先進国中、米国に次ぐ2位という悪い結果となり、貧困問題に取り組むNPO(非営利組織)などが政府に調査を求めていた。民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)に「貧困の実態調査を行い、対策を講じる」と明記している。【佐藤丈一】


母子加算:10月復活は困難 山井・厚労政務官が認識

 3月いっぱいで全廃された生活保護の母子加算の復活時期について、厚生労働省の山井和則政務官は25日夜、10月の復活は難しいという認識を示した。長妻昭厚労相は年内に復活させる方針だが、11月以降の見通しだ。

 長妻厚労相は同日午前の閣議後会見で「10月か11月かの線で進めている」と語ったが、「(生活保護の)支給は基本的には月初だ。地方自治体の手続きなどもある」とも述べ、10月支給は時間的に困難であると受け取れる発言をしていた。

 山井政務官は「10月は難しいという理解だ」と述べ、長妻厚労相との共通認識だとした。【佐藤浩】

毎日新聞 2009925日 2211


反貧困ネットワークふくしま:27日に設立 支援体制の強化図る /福島

 失業者やホームレスらの生活を支援する県内の団体や弁護士、大学教授らが27日、「反貧困ネットワークふくしま」を設立する。多重債務の解消や生活保護の申請など、各団体が個別に行っていた活動を連携させ、支援体制の充実を図る。呼びかけ人の丹波史紀・福島大准教授は「貧困問題は多岐にわたり、横の連携が必要。実態を目に見えるかたちにして支援する」と話している。

 同ネットは07年に東京で設立され、その後、全国に同様の組織が広がっている。県内では丹波准教授のほか、母子家庭を支援する「しんぐるまざーず・ふぉーらむ福島」や「あしなが育英会」の代表ら20人(15日現在)が呼びかけ人に名を連ねている。今後、各団体の意見交換や無料相談会、集会での政策提言などをするという。

 27日午後1時半から、福島市黒岩の県青少年会館で「結成のつどい」があり、全国ネットの宇都宮健児代表が「『反貧困』のネットワークを広げよう!!」と題して講演する。問い合わせは丹波准教授の研究室(024・548・8290)へ。【関雄輔】

毎日新聞 2009917日 地方版


春日井市:父子家庭に朗報、「手当」配慮の条例案 /愛知

 春日井市は、父子家庭に支給している「子ども福祉手当」を所得に加算しないよう配慮する条例改正案を市議会の9月定例会に提出した。国が母子家庭に支給している児童扶養手当は所得加算されないため、同等の扱いにする。これまでは支給された手当が所得とみなされ、所得が制限額を超えると翌年度は支給対象とならかった。

 同市は昨年8月、県内では初めて市独自で「子ども福祉手当」を創設。国の児童扶養手当は母子家庭だけが対象のため、父子家庭にも同額を支給している。母子家庭と同じ年間所得230万円未満の世帯が対象で、7月末現在、64世帯に月額9850~4万1720円を支給している。

 今回の改正は年1回行う世帯調査に合わせて実施するもので、条例案が可決されれば今年度から適用される。【花井武人】

毎日新聞 2009912日 地方版

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 ほんとうに日本は貧困社会になってしまった。そこらのオヤジと話すと「うん、たしかに今の日本人は心が貧しい・・」なんて、事態の深刻さが分かっていなかったりするが・・

 石油危機にもバブル崩壊にも、なんとか耐えてきた日本経済だったが、その代わり労働組合も社会党も滅亡してしまった。ぼんぼん政治家の安い芝居にだまされ、うかうか3分の2の議席を与えて・・

 それからは、やりたい放題やられているわけだけど、やはり小選挙区と消費税という二大システム、大きい方が必ず勝ち、負けるやつは負けつづける、凶悪な支配ツールを導入されていては・・

 敗戦後の焼け跡に立ちすくみ、子供らにだけは二度とひもじい思いをさせないと誓い、脇目もふらずに働きつづけたお父さん、お母さんたる日本国民に対して、これ以上の裏切りがあろうか・・

 亡くなった父や母たちに、いまも給食費を払えない子がいる、お年寄りには高額の医療費を払わせる、そんな社会だと言えるだろうか、情けなくて涙がでてくる。だから・・反・貧困なんです。

移動支援フォーラム 長谷川


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反貧困全国キャンペーン2009スタート
~総選挙目前!私たちが望むこと~集会宣言

 総選挙が一ヵ月後に迫っています。問われているのは「どの政党の誰がふさわしいか」だけではありません。私たちが、どのような政府、どのような「国の形」を求めるのかが問われています。

 以前から進行していた生活の不安定化に昨年秋以降の大不況が拍車をかける形で、日本社会の貧困化が止まりません。生活相談・労働相談・自殺防止相談の各種窓口はどこもパンク状態で電話もつながらず、ホームレス状態にある人たち向けの炊き出しに並ぶ人々は昨年の2倍から3倍に急増しています。年末年始の派遣村以降も、「雇用壊滅」とも言われるさらなる雇用環境の悪化や雇用保険切れなどの影響で、事態はますます深刻化しています。

 しかしながら、「第二のセーフティネット」は依然として始まらず、労働者派遣法の抜本的改正も果たされませんでした。生活の成り立たなくなった人たちの多くが放置されている状況は、依然として何も改善されていません。そして、この現状の改善を政治に反映させたくても、少なからぬ人たちが投票によって意思表示する機会を奪われている状態です。

 私たちは以前から、貧困化する日本社会の状況を憂い、「人間らしい生活と労働の保障」を求め、そして「貧困問題に取り組まない政治家はいらない」と訴えてきました。今、それを改めて、より一層強調する必要を感じています。

 貧困問題に関心を寄せる私たちは、すべての候補者に国としてただちに貧困率を測定し、貧困率の削減目標を立てるよう求めます。そして、次期首相が国会の施政方針演説で、日本国政府としてその実行を宣言することを求めます。

 国の経済力は経済成長率で表されてきました。国の健全さを表す指標は何でしょうか?

 90年代以降、経済成長を遂げれば人々の生活も豊かになり、貧困も解消していく、という相関関係は崩れました。経済成長率と貧困率は独立の変数として見る必要があります。経済成長を遂げても、貧困が増えるのであれば、「何のための経済成長か」と問われる必要があります。二つの指標が政策評価指標として十全に機能して初めて、一人一人の健全な生活を基礎にした成長、「安心」と「活力」を両立できる社会と言うことができるのです。

 私たちは、貧困の少ない社会、貧困を減らしていくプロセスにこそ、国の健全さを見出します。貧困の多い国は病んでいます。貧困があるのに、それを直視できない政府はもっと病んでいます。

 OECDは、日本の8人に1人が貧困状態にあると指摘しました。子どもの貧困率は7人に1人、一人親世帯では3人に2人に達します。相対的貧困状態にあると言われるこれらの人々の多くは、服を着て靴を履いています。一日三食ではないかもしれないが、ご飯も食べているでしょう。それを見て「まだ余裕がある」と言う人がいるかもしれません。しかし、私たちが築いてきた社会は、そんな情けないものだったのでしょうか。政府から「まだまだ絞れる」と言われる社会が、私たちの社会なのでしょうか。私たちが求めているのは、誰もが人間らしく暮らせる社会、そしてそれを可能にする政府です。

 政府は1965年以来、貧困率の測定を行っていません。つまり私たちが求めているのは、貧困問題に関する半世紀ぶりの政策転換です。すでに複数の官民による信頼できる試算がなされており、貧困率の公認は、貧困問題を直視し、それに立ち向かおうとする政権の「意思」の問題となっています。貧困問題を解決する「意思」を欠く政府に、私たちは私たちの生活を任せることができない。

 貧困と向き合う政治的な意思、それを可能にする選挙結果を、私たちは「反貧困キャンペーン2009」に参加する全国各地の人々とともに、求めます。

 以上、宣言します。

2009年7月31日 集会参加者一同

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『バリアフリーの街づくり』アクション(6)
~派遣村アクションと移動支援フォーラム

 08年暮れの派遣村アクションは、世界不況をきっかけとし、わが国の雇用・契約の脆弱さ、これほどまでに人間が軽んじられる社会であることを浮き彫りにしました。それと同時に、これ以上の貧困を許さないという国民の意志も示されました。
http://ido-shien.mobi/safety-net/hakenmura/action.html

 つづく春の派遣村「相談会」は、いっこうに収まる気配を見せない派遣切りの嵐が、年度末に向けてピークを迎えることを予測し、雇用・住宅・生活(生活保護)に加えて、疾病・障害や女性問題の専門家を配するなど満を持して開催されました。

 予想どおり多数の相談者が地方からも上京されました。多くの方が住まいにも困っておられ、まず生活保護を申請することになります。また相談者の4割ほどに何らかの疾病・障害が見られ、その一部には病院や福祉事務所への送迎も必要でした。
http://ido-shien.mobi/safety-net/hakenmura/action2.html

 ある意味で派遣村実行委員会の予想が的中してしまいました。その後も実行委員会は相談支援を継続してきましたが、なにぶん昨年暮れの非常事態に対応するだけの体制です。東京の派遣村実行委員会として一旦活動を停止すると決定されました。

 これからもつづく相談支援には、DPI日本会議、生活保護懇談会などの担当者が当たります。また移動支援のニーズに対しては、移動支援フォーラムが窓口になり、さまざまな市民グループの協力を得て、必要なサービスを提供するつもりです。

 以上のことが企画と予算をともない、派遣村の第三者機関で決定されました。これまでに経験したことのない活動です。移動支援フォーラムでも全力を尽くします。どうか全国の仲間のみなさんには、変わらずお力添えくださるようお願いします。

移動支援フォーラム 長谷川



「反貧困」2千人が集会 派遣労働者やフリーターら

朝日新聞 2008年10月20日

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反貧困を訴え街頭をパレードする若者ら
=19日午後6時15分、東京・原宿、中田徹撮影


Pasted Graphic 1
集会で「STAND UP」の文字とともに貧困問題解消を訴える人たち
=19日午後、東京都新宿区の明治公園、中田徹撮影



 市民団体「反貧困ネットワーク」が19日、東京・明治公園で開いた集会に派遣労働者やフリーター、生活保護受給者ら約2千人が参加した。国連の「貧困撲滅のための国際デー」(17日)に合わせた世界同時アクションの一環として、「STAND UP」の文字とともに立ち上がり、国内外の貧困問題の解消を訴えた。

     ◇

 人間らしい生活と労働の実現を――。東京都内で19日に開かれた「反貧困 世直しイッキ大集会」(主催・反貧困ネットワーク)では、派遣労働者やシングルマザー、生活保護受給者などの参加者たちが、次々と窮状を訴えた。集会の狙いは、貧困対策を次の総選挙の争点にすることだ。

 反貧困ネットワークは1年前、市民団体や法律家、労働組合などが集まり設立。今年7月から3カ月余りかけて「反貧困全国キャラバン」が全国を回り、各地で無料相談会などを開いてきた。19日に東京の会場にゴールした。会場には約2千人が集まった。

 広島県から集会に参加した契約社員の太田潤さん(34)は、中国のコールセンターで働いた体験を話した。

 「成長著しい中国で語学を身につけ成功しよう」。4年前、ネットでそんな魅力的な宣伝文句を見つけた。専門学校を卒業後、就職はしたものの営業職になじめず退職し、派遣に。ボーナスも昇給もない、細切れ雇用の生活に不安を感じ始めていた時だった。

 コールセンターで働きながら語学を学べるという会社の仲介で、旅費などは自己負担し、中国・大連へ。「どうせ非正規から脱出できないなら、中国に未来をかけてみよう」という思いだった。

 業務は、日本のメーカーが生産をやめたワープロの技術サポート、居酒屋チェーンのアルバイトの受け付けなど。午前9時から午後6時まで、日本からの電話に応対した。

 一緒に働いていた約100人のうち半数が日本人。製造業派遣で疲れ切った人、心を病み薬を手放せない人……。「日本が嫌で出てきた人も多かった。お互い深くは話さないが、一緒にいて気楽だった」と振り返る。

 しかし、現実は厳しかった。時給はわずか20元(当時は約300円)。月給は5万円程度にしかならず、家賃や食費で消えた。中国語の講習は週1回90分ほど。納得できず、上海の別のコールセンターに転職したが、派遣時代にためた100万円が底をつき、2年前に帰国した。

 「非正規労働者の心のすき間につけ込み、中国で安く働かせる。そんな会社は許せない」

 前回05年の衆院選は、急な解散で在外投票の手続きが間に合わず投票できなかった。次の衆院選では「雇用の安定」を実現できそうな政党に投票するつもりだ。

 集会では、労働や社会保障などテーマ別に12の分科会が開かれた。

 「老人は死ねというのか」といったのぼりの下で開かれた後期高齢者医療制度の分科会。参加者からは「医療費を抑制するために、高齢者や障害者などの働けない人は、ある程度の水準の医療で我慢してくれという制度だ」と批判の声が上がった。

 労働分科会では、東京都品川区の老人保健施設で働く中塚聖子さん(28)が、「基本給は主任手当がついても9万2500円。手取りは14万円で、時給制だった非常勤の時より悪くなった」と介護労働の低賃金の実態を報告した。
NPO IDO-Shien Forum