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春の派遣村アクション
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派遣村:日比谷公園「閉村」 入村者それぞれの道へ一歩

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年越し派遣村から新しい家に引っ越したばかりのころのカズさんの部屋。この時はカーテンもなかった=東京都葛飾区で2009年3月、三浦博之撮影

 仕事や住まいを失った派遣労働者らを支援するため、昨年末、東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」が、30日で活動を終える。村は、この不況で最も追い詰められた人々の現実を社会に印象づけた。開村から半年。新たな仕事を見つけて再出発した人もいれば、自立を模索中の人もいる。入村者の「その後」は一様ではないが、「派遣村が訴えた問題を忘れないで」との思いは同じだ。【工藤哲、東海林智】

 午前6時半。人影まばらな都内の食品工場のゲートに、岩手県出身で、カズさんと呼ばれる男性(29)が現れた。緑の作業服を着て取りかかったのは、建物周りの清掃作業。竹ぼうきで植栽の落ち葉やごみを掃き出していく。作業はきついが、「自立したい」との思いが体を動かす。

 東北地方の工業高校でインテリアの勉強をし、将来は建築の仕事に携わりたいと思い描いた。しかし、98年の卒業当時は就職氷河期。非正規社員として社会に出ざるをえなかった。職場を何度か替えた末、期間従業員として地元の自動車工場に勤務したが、体を壊し、上司から「1カ月でラインに入れる体にならないならクビだ」と言われ、辞表を出した。昨年暮れ、所持金が15万円になり「路上生活か」とあきらめかけたころ、派遣村を知り、駆け込んだ。

 スタッフと一緒にハローワークに行き、今の清掃会社の職を見つけた。初めて手にした「正社員」の肩書。スタッフの協力で、家賃5万円の1Kのアパートを借り生活保護や家賃の保証会社のことも知った。

 月給は15万円。初の支給日には、焼き肉店で1皿400円のホルモンを腹いっぱい食べた。「派遣村はスタートラインを引いてくれた。あとは何とか自分の力で切り開きたい」とカズさんは話す。

 一方、昨年末に派遣村に入村した東京都中野区の男性、シマさん(37)=仮名=は、求人が少ない中で仕事が見つからず、今も求職活動を続けている。造園の仕事を中心に5社に履歴書を送った。だが、面接にこぎ着けたのは2社だけ。うち1社は「サービス残業が前提」と言われた。しかし、10万台前半の賃金では生活が成り立たない。シマさんは「残業代も払ってもらわないと生活できない」と訴えた。会社は「そういう人は来なくていい」とあっさり不採用になった。

 低賃金を我慢して働くことも考えたが、生活できない賃金では、また住居を失いかねないと思い直した。造園業の職業訓練が受けられないかハローワークに相談した。大学では建築学を学んでいた。どうにか職業訓練を受けられそうだ。「急がば回れですかね」とシマさん。生活保護で住居があることのありがたさを思う。

 派遣や期間工を繰り返した日々。社会は自分を疎外する場所と思い込んでいた。シマさんは言う。「派遣村で多くの善意の人にふれ、もう一度、社会の中で頑張ってみようと考えが変わった」。道を切り開こうと仕事探しに向かい合う。


年越し派遣村:東京は30日解散「生活安定してきた」

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東京派遣村の閉村式であいさつする湯浅誠村長(中央奥)=東京都墨田区で2009年6月28日、須賀川理撮影

 労組や市民グループが昨年末、東京・日比谷公園に開設し、失職した派遣労働者らを支援してきた「年越し派遣村」が、30日で活動を終えることになった。28日に東京都墨田区で開かれた「『派遣村』全国シンポジウム」で「入村者の生活が安定してきた」として実行委員会が月内の解散を表明した。村長を務めた湯浅誠さん(40)は「今後も暮らしやすい社会に変える活動を続ける」と述べた。

 シンポジウムには、派遣村の活動に賛同し、北海道から鹿児島まで全国各地で同様の課題に取り組む12の実行委員会の関係者ら約500人が参加した。東京以外の実行委は今後も活動を続ける予定。

 湯浅さんはあいさつで、派遣労働者の大量失職など労働市場が劣化している実態を挙げ、「派遣村の活動で、労働問題と生活保護の共同が重要だと分かった。セーフティーネットが機能せず貧困のサイクルから抜けられない現実がいまだにある」と述べ、村の意義と社会的な取り組みの必要性を訴えた。

 アルバイト先に解雇されて野宿生活に陥り、岐阜県のサポートセンターで支援を受けた20代の男性は「自立するための一歩を踏み出させてくれた。こうした支援の場所が全国に必要だ」と強調した。

 東京の派遣村が今月実施した元村民260人へのアンケートによると、回答のあった108人の8割が生活保護を受けていた。就職できたのは13人にとどまっており、55人が就職活動を続けている。残りの40人は病気療養中などだった。多くが生活保護制度を利用して当面の生活を安定させつつも、相変わらず仕事探しに苦労している実態が浮かぶ。

 東京の実行委は、年末年始の活動が一段落した後も、生活保護の受給申請や職探しなどの支援を行ってきた。5000万円を超えるカンパがあり、2000万円余りの残金については、弁護士や学識経験者5人で作る有識者会議に活用や管理を委任するという。【東海林智】


派遣村:相談者の3割が生活保護申請 愛知・三河

 愛知県三河地方で今年3~5月に開設された「派遣村」へ相談に訪れた人の3割がその後、生活保護申請手続きを行っていたことが主催団体の調査で分かった。景気が底を打ったとの観測が広がる一方、自動車産業が集積する三河地方では「非正規労働者を中心に雇用環境がむしろ悪化している」と主催団体は分析する。調査結果は、28日に東京都内で開かれる「派遣村全国シンポジウム」で報告される。【高橋恵子】

 愛知の派遣村は、岡崎市(3月21、22日)▽知立市(4月26日)▽豊橋市(5月31日)の3会場で、愛知派遣村実行委員会(藤井克彦委員長)など3団体が主催した。

 計4日間開設され、延べ297人が相談に訪れた。実行委は各会場で収入や悩みを相談票に記入してもらった。相談者の平均年齢は44歳で、再就職が難しい世代が目立った。相談者数は、3月128人▽4月60人▽5月109人と、昨年11月のトヨタショックから半年経過しても、生活困窮者が減らない状況がうかがえる。

 実行委は、相談者のうち約4割の130人が生活保護が無ければ生活できない状態にあると判定。約3割の89人の生活保護申請手続きを手伝った。トヨタ自動車本社のある豊田市でも、1~5月の生活保護申請件数が昨年同期の約4.5倍に増えたことが市の調査で明らかになっている。

 相談者に収入を尋ねたところ、記載があった171人のうち「ない」と答えたのは約4割の68人。「ある」と答えた残り103人の平均月収も約12万円にとどまった。

 また、3月の岡崎会場では、54.6%が派遣やアルバイトでの収入があると答えていたが、5月の豊橋会場では54.8%が収入は失業保険金と回答した。

 実行委メンバーで、金城学院大の大山小夜准教授(社会学)は「3月末に多くの派遣労働者が雇い止めされた。その失業給付が切れる7~8月はさらに深刻な状況になるのでは」と警告する。全国シンポは、東京都墨田区のすみだリバーサイドホールで午後1時半から行われる。

毎日新聞 2009627日 1500


   *――――*―――*――*―*――*―*――*―――*――――*
                   「派遣村」全国シンポジウム
       「派遣村から見えてきたもの」
       -今こそ労働者派遣法の抜本改正とセーフティネットの構築を-
   ――――――――――――――――――――――――――――――――
    東京・日比谷公園で行われた「年越し派遣村」が示したのは“生存す
   ら危うくなった労働者”の姿でした。それは、家族と一緒におせち料理
   を食べるという牧歌的・伝統的な日本の正月イメージに、日本社会はこ
   こまで来てしまっているという現実を対置しました。
    
    その後、全国津々浦々で同様の取組みが行われ、“生存すら危うくな
   った労働者”は、もはやあらゆる地域・学校・職場に、私たちのすぐ隣
   にいることを明らかにしました。
    
    都市部の労働者の背景には、地方の貧困がある。ワーキング・プアの
   前後には、貧困状態で暮らす子どもや高齢者がいる。それもまた、覆い
   隠しようのないことになっています。
    
    目を背け続けることは、もう限界です。ごまかそうとする人たちには、
   もうガマンできません。私たちは、この社会の一員として、この社会の
   衰退と先細りを、これ以上黙って見過ごすことはできない。
    
    各地の派遣村的な取り組みの中から、この社会を立て直すためのどの
   ような課題が見えてきたのか、全国各地の取り組みを踏まえて、考えて
   みたいと思います。

   【日 時】 2009年6月28日(日)13:30~17:00
   【主 催】 派遣村全国シンポジウム実行委員会
   【会 場】 浅草「すみだリバーサイドホール」
        東京都墨田区吾妻橋1-23-20 電話03-5608-6430
        交通 = 営団地下鉄銀座線・浅草駅、都営地下鉄浅草線・
        本所吾妻橋駅、東武伊勢崎線・浅草駅より、徒歩5分程度
   【タイムスケジュール】
   13:30~ 主催者あいさつ 
           小久保哲郎(大阪・弁護士)
   13:40~ 派遣村からの提言「派遣村的活動の到達点と改革試案」
           湯浅誠(東京派遣村・村長)
   14:10~ 政党、諸団体からのあいさつ 
   14:35~ 休憩
   14:50~ シンポジウム
          コーディネーター 新里宏二(宮城・弁護士)
          パネラー 藤田孝典(埼玉・NPO法人ほっとポット)
                関根秀一郎(東京派遣村・派遣ユニオン)
                 森 弘典(愛知・弁護士)
   15:25~ 各地の取り組み、元村民からの報告
   16:50~ 閉会あいさつ
   17:00   終了予定

   ――――お問い合わせ・ご連絡―――――――
   派遣村全国シンポジウム実行委員会  
   〒116-0014 東京都荒川区東日暮里1-36-10
   派遣村実行委員会気付 
   電話 03-3801-4867 FAX 03-6458-3670
   メールアドレス
hakenmura@mail.goo.ne.jp
   ―――――――――――――――――――――


派遣切り:神奈川県営団地、入居延長を検討松沢知事

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 失業した元派遣社員らを受け入れた神奈川県営いちょう上飯田団地(横浜市)の入居期限が今月末に迫っている問題で、同県の松沢成文知事は9日の会見で「8月までは入居期限の延長も含めて検討している」と述べた。

 同団地の入居者は9日現在72人。松沢知事は延長を8月までとする理由として(1)9月には新たな入居者が予定されている(2)国の補正予算で夏には職業訓練参加者への生活費支給が始まる--を挙げた。5月22日時点の入居者74人中53人が回答した県のアンケートでは「6月下旬退去予定」と答えたのは23人(43.4%)だったが、松沢知事は「再就職や自立できる最大限の努力をしてもらう」とも述べた。

 一方、昨年末から失職者に6カ月の期限で県営住宅の提供を始めた茨城県も、再就職の意思やハローワークへの相談実績を確認したうえで半年間の延長を認める方針だ。県住宅課によると、今月4日現在51戸を失職者に提供しており、3戸が今月末に退去期限を迎えるという。【木村健二、八田浩輔】


派遣切り:元社員が住居入居延長を要請 期限が6月末で

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 昨年来の不況で職と住まいを失い、神奈川県の支援で横浜市の県営住宅に入居した元派遣社員らが8日、国会内で厚生労働省の担当者に面会し、住まいの確保や雇用支援策の拡充を申し入れた。県営住宅の入居期限が今月末に切れるが、県が延長に応じていないためだ。入居者側は国と県に「職が見つかるまで支援して」と訴える。昨年12月以降、3000戸近くの公営住宅に元派遣社員らが入居しており、期限を巡るせめぎ合いは他の自治体でも起きそうだ。

 要請したのは、県営いちょう上飯田団地(横浜市泉区)に入居する男性4人(54~29歳)。県は昨年12月、解雇に伴い社員寮などからの退去を余儀なくされた離職者らを対象に入居者を募った。敷金は不要で、通常1世帯当たり月額2万円前後の家賃は、1人当たり3300~4100円に設定。入居期限を6月末としていた。

 今年1月までに83人、3月の追加募集でさらに9人が入居。今月5日現在、再就職などで退去したのは、このうち18人にとどまり、依然74人が住み続けている。雇用情勢の回復が遅れる中、新たな職を探せない人が多いとみられる。

 入居者側は先週、入居期限を巡って県と交渉した。しかし、両者は平行線のままだ。県住宅課の担当者は「当初から入居期間を説明しており、延長は考えていない」と説明する。

 入居者を支援する労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「入居者が路上に放り出されれば、昨年末と同じ事態が起こる。単に問題が先送りされただけだ」と指摘。入居者の多くは失業給付も半年で切れるため、収入と住まいを再び失いかねない。昨年11月に電気部品工場を解雇された入居者の男性(29)は「家も就職も決まらなければ、ホームレスになってしまう」と訴える。

 国土交通省によると、離職者の居住安定確保を狙い公営住宅の活用を促す通知を出した昨年12月以降、411自治体と都市再生機構が離職者に公営住宅を提供した。供給されたのは計7019戸で、延べ2726戸が使われたが、通知では住宅の提供期間を「1年を超えない期間」と規定していた。期間延長の可否については「個々の自治体の判断」(住宅総合整備課)としている。【木村健二】


派遣切り:「社長さんに会いたい」労組が責任問い訪問

 自動車製造関連で雇い止めや解雇で失職した派遣や期間労働者とその支援に取り組む6労組が2日、トヨタや日産、日野自動車など東京都内の自動車会社6社を訪ね、社長に要請行動した。社長が対応した会社はなかったが、昨秋以降の「派遣切り」の雇用責任を問いただした。

 要請は「自動車会社の社長さんに会いたいツアー」と銘打ち、全日建連帯日野自動車ユニオンや全日本金属情報機器労働組合(JMIU)、首都圏青年ユニオンと、失職した当事者ら約30人が参加。現場での生産が戻るとされる中、昨秋以降の安易な雇い止めを反省すべきだとして、失職し住居も失った当事者の声をトップに聞いてもらおうと企画した。

 日産への要請では、5年間派遣や期間従業員として働き3月末に雇い止めになった男性や、派遣で期間制限の3年を超え4年8カ月、事務で働き5月末で雇い止めになった女性が訴えた。首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「人をもののように扱い捨てるのか、社会は会社を見ている。人を大切にする会社なら誠意を持って話し合いに応じるべきだ」と主張。日産側は「話を聞くことしかできない」と述べた。【東海林智】

毎日新聞 200962日 2240


派遣法改正案:民主、社民の協議は平行線

 民主党の菅直人代表代行と社民党の福島瑞穂党首は2日、国会内で会談し、労働者派遣法改正案を巡って意見交換した。民主党は従来の独自案だった「60日以内の派遣労働は禁止」より規制を強化し「製造業への派遣は原則禁止し、例外で専門的な知識が必要な業務は認める」とする案を提示した。しかし社民党は「製造業は全面禁止すべきだ」と譲らず、協議は平行線に終わった。週内にも再度協議する。

毎日新聞 200962日 2232


派遣切り:
管理職ユニオン・関西が「相談村」 大阪市役所南側で30、31日 /大阪

 派遣など非正規労働者の雇用が悪化を続ける中、個人加盟労組「管理職ユニオン・関西」(大阪市北区)などは30、31日、大阪市役所南側で「派遣切り相談村関西」を開く。「派遣切り」の波は、製造業から他の業種にも波及し、4月以降も非正規労働者の雇用状態は改善されていないとして、相談会を開く。失業や雇用保険などの労働問題や生活保護について相談を受ける。電話での相談も受ける。

 また、1日2回カレーライスの炊き出しもする予定。午前9時から午後7時まで。炊き出しは午前11時と午後5時から。電話相談は06・6586・5005。【日野行介】

毎日新聞 2009527日 地方版


提訴:派遣切り撤回求め15人が 日本郵便輸送など相手に

 不当な派遣切りで解雇されたなどとして、元派遣労働者14人が22日、日本郵便の子会社で貨物自動車運送事業会社の「日本郵便輸送」(東京都港区)などに、社員としての地位確認と計約2772万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。さらに、別の元派遣労働者の女性(59)も同日、「三菱東京UFJ銀行」(千代田区)と派遣会社「三菱UFJスタッフサービス」(中央区)に銀行社員としての地位確認と約220万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。

 訴状などによると、日本郵便輸送は夜勤ドライバーとして勤務させていた派遣労働者について、法律上許される受け入れ期間(3年)が満了した07年11月、いったん直接雇用し、さらに4カ月後に派遣に戻し解雇するなどした。銀行のケースは女性を直接雇用していたが、02年にスタッフサービス社の派遣労働者とし、今年3月に解雇した。日本郵便輸送と三菱東京UFJ銀行はいずれも「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。【伊藤一郎】

毎日新聞 2009522日 2036


登録型派遣事業:許可基準厳しく 厚労省通達

 厚生労働省は18日、登録型派遣を中心に行う一般労働者派遣事業の資産要件を引き上げるなどとする許可基準見直しの通達を出した。一般派遣事業は許可制になっており、昨年末から派遣労働者の解雇や雇い止めが相次いでいることから、安定した事業運営を求め要件を厳しくした。

 改正で、1事業所の資産から負債を引いた資産要件は、これまでの1000万円から2000万円に、現金・預金額は800万円から1500万円となった。また、派遣元責任者となる要件が、雇用管理経験がこれまでの1年以上から3年以上になった。新規許可は今年10月1日から、許可の更新は10年4月1日から適用される。【東海林智】

毎日新聞 2009518日 1847


派遣切り:減産で休業扱い いすゞに賃金支払い命令

 いすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)の元期間従業員、松本浩利さん(46)ら3人が減産による休業扱いで賃金を6割に減額されたとして、契約期間(1~4月)中の賃金支払いを求めた仮処分申請で、宇都宮地裁栃木支部(橋本英史裁判官)は12日、同社に約82万円の未払い賃金の支払いを命じた。

 橋本裁判官は「一方的な減額は労働者側にとって過酷で重大な不利益」と指摘。減産などを理由とした同社の休業処分について「合理性を認めることは困難」とした。

 栃木工場は08年11月、松本さんら期間従業員約1400人に解雇予告をしたが、後に撤回。契約の残り期間を休業扱いとし平均賃金の6割を支払っていた。

 松本さんらは記者会見で「100点満点の内容。いすゞには非を認めてもらいたい」と述べた。いすゞ自動車(東京都)は「決定文が送達されていないのでコメントできない」としている。【吉村周平】

毎日新聞 2009512日 2107


メーデー:雇用問題一色に 東京で中央集会

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第80回中央メーデーに集まった全労連の労働者ら=東京・渋谷の代々木公園で2009年5月1日午前10時15分、津村豊和撮影

 労働者の祭典「メーデー」の1日、全労連(大黒作治議長)と全労協(藤崎良三議長)は東京都内でそれぞれ80回目の中央メーデーを開いた。この日は、全労連を中心に全国の350カ所以上でメーデー集会があったが、厳しい経済状況を背景に、非正規労働者の雇い止め、正社員のリストラ阻止を訴える雇用一色となった。

 全労連は、東京都渋谷区の代々木公園で中央メーデーを開催、3万6000人(主催者発表)が参加した。会場には「なくせ失業と貧困」「大企業は内部留保を使って雇用を守れ」などのスローガンが並んだ。大黒議長は「メーデーを契機に貧困と失業をなくし、暮らしの向上と平和を求める闘いをいっそう発展させよう」と呼びかけた。

 集会には、失職した非正規労働者を支援した年越し派遣村の名誉村長、宇都宮健児弁護士も参加し「派遣村の成功は労働組合と市民団体が力を合わせたから。労働運動は職場の中の運動から、社会的な運動へと進むべきだ」とあいさつした。

 全労協は東京・日比谷公園で「日比谷メーデー」を開き、労働者派遣法の抜本改正や雇用確保などを訴えた。

 両グループは、それぞれメーデー宣言を採択、都内をデモして労働問題を訴えた。【東海林智】

毎日新聞 200951日 1159分(最終更新 51日 1346分)


第80回メーデー:労働者の生活に危機感 3万6千人参加

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第80回メーデー中央集会でプラカードを手にする男性=東京・渋谷の代々木公園で2009年4月29日、小出洋平撮影

 連合の第80回メーデー中央大会が29日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれ、約3万5880人(主催者発表)が参加した。厳しい雇用状況を反映して「労働者の使い捨ては許さない」とのスローガンが掲げられ、高木剛会長は「正規も非正規労働者も連帯し、労働者の生活と権利を改善し、立て直していこう」と訴えた。政府の雇用政策は不十分とし、雇用創出やセーフティーネット強化などを求める宣言を採択した。

 この日打ち出された要求は、低賃金や雇用不安、過酷な長時間労働解消と、労働者の権利が確立されず、不況だった1920年の第1回大会(5月2日)と重なった。

 中央大会後、公園内で開かれた非正規労働者問題を考えるシンポジウムには第1回の三つの要求「最低賃金の設定」「失業の防止」「8時間労働制の即時実現」が掲げられた。司会の連合非正規労働センター、龍井葉二総合局長は「第1回の要求は今抱えている問題と同じ」と苦笑した。

 3万人を超える参加者で埋まった会場で、電機連合の一団にいた男性組合員(42)は「春闘で定期昇給は凍結され、ボーナスもボロボロ。給与明細を見るのが怖い」と話す。企業に公的資金を投入する産業再生法案も衆院を通過したため「リストラが公然と行われるだろう。職場は不安でいっぱいだ」と嘆いた。中小の機械部品会社の男性(50)は「大企業のリストラは、製品単価の切り下げなどで下請けにしわ寄せがくる。今は生産調整で週3日休み。これ以上増えたら生活できない」とこぼしていた。

 会場には、非正規労動者の労働相談コーナーも設けられた。労組に属していない派遣社員の女性(29)は「契約は1カ月更新でいつ雇い止めになるかびくびくしている。無駄なお金は使わないようにして貯蓄しているけれど、何か対策はないかと思って来てみた」と話した。パネリストとしてシンポに参加した派遣村の湯浅誠村長は「派遣村を言いだしたのは労組の人たち。労組は組合員でない人たちとも、同じ社会の担い手として一緒にやる方向に打って出るべきだ」と注文を付けた。

 大会には、舛添要一厚生労働相や民主党の小沢一郎代表、社民党の福島瑞穂党首らも参加、雇用対策の内容や政権交代などそれぞれの立場であいさつした。この日は全国23県で大会が開かれ、他の地方連合組織や全労連、全労協は5月1日を中心にメーデー集会を開く。【東海林智】

毎日新聞 2009429日 2049分(最終更新 430日 109分)


派遣村:第2の安全網を「恒久的制度に」実行委が要望書

 年末年始に失職した非正規労働者らを支援した派遣村実行委員会(湯浅誠村長)は27日、政府の09年度補正予算案に盛り込まれた非正規労働者への生活支援などの「第2のセーフティーネット(安全網)」について、恒久的な制度にするよう求める要望書を各政党に提出した。要望書では「住宅手当」や「つなぎ資金貸し付け」などの支援策を評価し、「単年度措置ではなく恒久的な制度として進める必要がある」としている。労働者派遣法の抜本改正や社会保障費2200億円削減の撤回も求めている。【東海林智】

毎日新聞 2009428日 020分(最終更新 428日 045分)


働くナビ:非正規労働者支援で「第2の安全網」が拡充されます。

 ◆非正規労働者支援で「第2の安全網」が拡充されます。
 ◇「失業=生活保護」防ぐ 3年間の時限措置で
 ◇職業訓練の拡充/最大20万円の生活支援

 27日に国会に提出される09年度補正予算案に盛り込まれた雇用対策で、雇用保険に次ぐ「第2のセーフティーネット(安全網)」と呼ばれる非正規雇用労働者への支援策が注目されている。雇用保険に加入できず失業手当を受けられない人が、失職と同時に「最後の安全網」と言われる生活保護を受けなくとも済むようにする仕組みだ。7000億円の「緊急人材育成・就職支援基金」を設置し、雇用保険から漏れた人の就職を支援する。

 基金による支援は、職業訓練の拡充と訓練中の生活支援の2本柱からなる。

 現在の職業訓練は、基礎的知識を身につけている人でないと受講するのが難しい。このため、新たに「初級編」に当たる訓練メニューを導入し、徐々に技術を習得して就職できるよう支援する。

 訓練中の生活費は現在、最大で月額12万円の貸付制度しかないが、今回、月10万~12万円の給付制度を新設する。そのうえで上限月8万円の貸し付けも設け、最大20万円の支援を受けられるようにする。基金とは別枠で、最長6カ月間、家賃(地域ごとに上限あり)を支給する住宅手当なども設ける。

 ●普及進まず

 雇用対策は08年度の1、2次補正予算でも拡充してきた。訓練中の生活支援を始めた当時(昨年4月)は月に4万6200円の生活費を貸し付けるだけだったのが、11月には上限を10万円にアップし、訓練終了後半年以内に就職すれば返還を免除するようにした。今年1月からは12万円に増額し、対象を派遣労働者(過去1年以内に離職)にも広げた。

 しかし、依然普及していないのが現状だ。拡充後の昨年11月から今月24日までの申請件数は、わずか104件。貸し付けが決まったのは65件に過ぎない。厚生労働省は、昨年10月から今年6月までに19万人を超す非正規労働者が失職する(した)とみており、実際に制度を利用した人との差はあまりに大きい。

 ●「効果は不透明」

 ある自治体の生活保護の相談窓口に、妻と子供のいる男性が生活保護の申請相談にやってきた。男性は職業訓練中の生活費、月10万円の貸し付けを受けていたが、「10万円では苦しい」と生活保護を申請したという。

 結局、住宅・医療扶助もある生活保護の方が「第2の安全網」より手厚いことが判断材料になったという。元ケースワーカーは「既存の制度の拡充では効果は不透明だ」と疑問を投げかける。それでも、雇用保険と生活保護のすき間を埋める議論が出てきたことは評価しているという。

 ただ、今回の対策は3年間の時限措置だ。一時しのぎでない安全網構築に向けた議論は、今後も必要となる。【鈴木直】

 ◇雇用保険未加入者増加に対応


 政府が「第2の安全網」の整備に乗り出すようになった背景には、非正規雇用労働者の増加で、雇用保険ではカバーできない人が増えている事情がある。

 3月31日の雇用保険法改正で、雇用保険の加入要件は、それまでの「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上」に、失業手当を受け取るのに必要な加入期間も「1年間」から「6カ月」にそれぞれ短縮され、派遣労働者も加入しやすくなった。ただ、厚労省の試算では、法改正によって新たに雇用保険の加入対象となるのは、未加入者1000万人のうち150万人程度にすぎない。

毎日新聞 2009427日 東京朝刊


労働者派遣法:抜本改正求め2000人が集会 東京で

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派遣労働者の直接雇用などを求めシュプレヒコールをする集会参加者=東京・日比谷野外音楽堂で2009年4月22日、東海林智撮影

 雇用情勢や景気の悪化への緊急対策を求める集会が22日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開かれた。契約途中で解雇された派遣社員や期間労働者約80人が出席、支援者ら約2000人とともに労働者派遣法の抜本改正などを訴えた。

 全労連や農業者、自営業者の団体などでつくる実行委員会が主催。解雇された派遣社員らは不安定な非正規雇用の現状を語り、農業や自営業、建設土木などの団体も不況による生活苦を訴えた。

 山口県内の自動車工場に勤務し、失業した派遣の男性は「一方的に仕事を切られ、あぜんとした。年200万円に満たないワーキングプアで十分な貯蓄をする余裕もなかった。解雇をしたことに誰も責任を取らない。腹の底から怒りがわく」と語った。

毎日新聞 2009422日 2104分(最終更新 422日 2115分)


派遣村:横浜公園に開設 労連や司法書士、弁護士が実行委 /神奈川

 ◇「直接雇用、正社員化の流れを」

 ◇30日と5月1日、炊き出し300人分 医療相談、生活保護申請も

 景気悪化の影響で解雇された非正規労働者らを支援する「かながわ『派遣村』in横浜公園」が4月30日と5月1日の2日間、横浜公園(横浜市中区)に開設される。訪れる労働者に炊き出しや相談活動を行い、運営ボランティアも募る。

 神奈川県労働組合総連合(神奈川労連)や弁護士、司法書士の有志でつくる実行委員会などが主催する。1日は神奈川労連のメーデーと同時開催する。正社員だけが参加する従来のメーデーのあり方を転換し、解雇された非正規労働者を手助けしようと企画した。

 炊き出しは30日午後5時と1日正午を予定し、おにぎりと豚汁を各300人分を振る舞う。公園内にテント5張を立て、弁護士や司法書士、医師ら約20人が待機。雇用や医療の相談を受け、市に対し生活保護などの集団申請をする。

 厚生労働省のまとめによると、昨年10月から今年6月の間に失職となる非正規労働者は、県内で5849人に上る。水谷正人・実行委員長は「労働者の生きる権利や働く権利を回復し、直接雇用、正社員化の流れを作っていきたい」と話している。

 ボランティアの集合時間は30日が午前10時、1日が午前9時。問い合わせ先は神奈川労連(045・212・5855)。【木村健二】

毎日新聞 2009418日 地方版


派遣村:「府中緊急派遣村実行委」が発足--18、19日に相談会 /東京

 大企業が集まる多摩地区での「派遣切り」や正社員の解雇などに対応しようと地元で活動する労働組合や市民団体が「府中緊急派遣村実行委員会」を設立し、18、19日、府中公園(府中市府中町3)で大相談会を開く。

 相談会では実行委員会のスタッフ約40人が生活保護の申請方法や退職を強要された際の対処法などの相談に応じるほか、午後2時から6時まで弁護士2人による法律相談もある。19日は医師も参加するため、健康状態をチェックすることもできる。

 炊き出しも予定し、テントも用意している。希望者には寝床を提供することもできる。さらに20日にはスタッフが生活保護の受給希望者と共に役所を訪れて申請をする予定で、昨年末の日比谷公園での年越し派遣村のように行政にも働きかけていくという。

 村長を務める松野哲二さんは「雇用を失ったのは決して自分の責任ではないことに気付いて、相談に来てほしい」と呼びかけている。【野口由紀】

〔多摩版〕

毎日新聞 2009411日 地方版


春の面談・電話相談村:蓄え尽きSOS 相談、前日の倍以上

 ◇春の派遣村


 年度末に大量解雇された非正規労働者らを支援する「春の面談・電話相談村」は9日、最終日を迎え、会場の日本青年館(東京都新宿区)には前日の2倍以上の89人が相談に訪れ177本の電話相談があった。

 2日間、電話相談を担当した首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「仕事の紹介があると思って電話をしてくる人が多い」と話す。栃木県の自動車工場の元派遣労働者の男性(56)は昨年4月に雇い止めとなり次の仕事が見つからない。失業給付も切れ、貯蓄を崩しながら妻のバイト代10万円でしのいできたが「とにかく仕事が欲しい」と訴えたという。

 相談に来て生活保護申請を決めた元派遣労働者の男性(38)は、自動車関連の工場で約8年間働いたが3月末に雇い止めにされ5日前に寮を追い出された。昨年10月から労働時間が1時間減らされたうえ休日も増え、20万円近い月収は9万円まで下がった。蓄えを切り崩す生活が半年間続き貯蓄が底をついた。

 男性は「派遣で転々とする中、住民票も失った。安定した住居を得て仕事を探したい」と訴える。【東海林智、工藤哲、森禎行】

毎日新聞 2009410日 東京朝刊


派遣村:最終日、78人が面談 電話相談も77本

200949 2015

 年度末に大量解雇された非正規労働者らを支援する「春の面談・電話相談村」は9日、最終日を迎え、会場の日本青年館(東京都新宿区)には前日の2倍の78人が相談に訪れ、77本の電話相談があった。

 2日間、電話相談を担当した首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「仕事の紹介があると思って電話をしてくる人がすごく多い」と話す。栃木県の自動車工場の元派遣労働者の男性(56)は昨年4月に雇い止めとなり次の仕事が見つからない。失業給付も切れ、貯蓄を切り崩しながら妻のバイト代10万円でしのいできたが、「とにかく仕事が欲しい」と訴えたという。

 相談に来て生活保護申請を決めた元派遣労働者の男性(38)は、自動車関連の工場で約8年間働いたが、3月末に雇い止めにされ、5日前に寮を追い出された。工場でワークシェアリングが始まり、昨年10月から労働時間が1時間減らされたうえ、休日も増えて、20万円近い月収は9万円まで下がった。蓄えを切り崩す生活が半年間続き貯蓄が底をついた。

 上京後は野宿を余儀なくされたが、眠れずコンビニなどで過ごしてきたという。男性は「派遣で転々とする中、住民票も失った。安定した住居を得て仕事を探したい」と訴える。

 また、相談に来た人の4分の1が心不全や腎不全などで体調を崩している。湯浅誠村長は「補正予算で対策も打ち出されているが、今を生きる人たちの緊急の課題にどう対処するかという課題は残ったままだ」と話した。【東海林智、工藤哲、森禎行】


春の面談・電話相談村:「春の派遣村」、目立つ解雇の正社員--東京

 ◇「給与半額、生活できない」 元村民「恩返しのつもり」ボランティア


 年度末の非正規雇用労働者の大量失職を受け、職や住居を失った人たちを支援するために8日、東京都新宿区の日本青年館で始まった「春の面談・電話相談村」(企画・派遣村実行委員会)に34人が面談に訪れ、171本の電話相談があった。年末年始の「年越し派遣村」と違い、解雇された正社員から「次の仕事が見つからず住居を維持できない」との相談も目立った。【東海林智、工藤哲、森禎行】

 面談に訪れた人のうち、路上生活者や職がなく住居を維持できなくなった13人は、ボランティアが同行して生活保護を申請した。元派遣社員の男性(39)は中学卒業後、正社員になれず、漁業や自動車の期間工、日雇い労働などをしてきた。しかし仕事が減り、所持金は400円。相談の結果「安定した住居を得て正社員の仕事を探したい」と生活保護申請を決めた。申請は受理され、8日夜から都心の施設への入所、交通費と一時金が支給されることになった。

 男性は施設に直行しボランティアに「今後を思うと複雑だが、居場所ができて良かった」と話したという。

 電話相談した埼玉在住の元派遣労働者の男性(63)は、08年末に契約途中で仕事を切られ、月8万円の失業給付を受給しているが、給付は5月で切れ手持ちの金も底をつく。「バイトでも何でもと思って探しているが仕事がない」と男性は訴えた。妻子のいる正社員からは「給与を半額にされ生活できない」との相談もあった。

 会見した湯浅誠村長は「当面の生活費がなく生活保護を申請するしかないのが現状だ。住宅は、社員寮など空いている場所を利用すれば、国の経済対策に比べ、わずかな資金で路頭に迷わずに済む対策がとれるはずだ」と話した。9日も面談は午前9時~午後2時、電話相談はフリーダイヤル(0120・833・890)で午前10時~午後8時。問い合わせは実行委(080・4123・7027)へ。

      ◇

 「春の面談・電話相談村」を手伝ったボランティアの中には「年越し派遣村」の元村民の姿もあった。横浜市在住で求職中の元村民(48)は、元派遣社員の男性(39)の生活保護申請に同行。「恩返しのつもり。どんなに苦しくても自立への道は開けることを新しい相談者にも伝えたい」とエールを送った。

毎日新聞 200949日 東京朝刊


派遣村:面談に34人、電話相談は171本

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元年越し派遣村村民のボランティア(左)に付き添われ、生活保護申請に訪れた男性=2009年4月8日、東京都文京区役所前で工藤哲撮影

 年度末の非正規雇用労働者の大量失職を受け、職や住居を失った人たちを支援するために8日、東京都新宿区の日本青年館で始まった「春の面談・電話相談村」(企画・派遣村実行委員会)に34人が面談に訪れ、171本の電話相談があった。年末年始の「年越し派遣村」と違い、解雇された正社員から「次の仕事が見つからず住居を維持できない」との相談も目立った。

 面談に訪れた人のうち、路上生活者や職がなく住居を維持できなくなった13人は、ボランティアが同行して生活保護を申請した。元派遣社員の男性(39)は中学卒業後、正社員になれず、漁業や自動車の期間工、日雇い労働などをしてきた。しかし仕事が減り、所持金は400円。相談の結果「安定した住居を得て正社員の仕事を探したい」と生活保護申請を決めた。申請は受理され、8日夜から都心の施設への入所、交通費と一時金が支給されることになった。

 男性は施設に直行しボランティアに「今後を思うと複雑だが、居場所ができて良かった」と話したという。

 電話相談した埼玉在住の元派遣労働者の男性(63)は、08年末に契約途中で仕事を切られ、月8万円の失業給付を受給しているが、給付は5月で切れ手持ちの金も底をつく。「バイトでも何でもと思って探しているが仕事がない」と男性は訴えた。妻子のいる正社員からは「給与を半額にされ生活できない」との相談もあった。

 会見した湯浅誠村長は「当面の生活費がなく生活保護を申請するしかないのが現状だ。住宅は、社員寮など空いている場所を利用すれば、国の経済対策に比べ、わずかな資金で路頭に迷わずに済む対策がとれるはずだ」と話した。9日も面談は午前9時~午後2時、電話相談はフリーダイヤル(0120・833・890)で午前10時~午後8時。問い合わせは実行委(080・4123・7027)へ。【東海林智、工藤哲、森禎行】

 ◇「恩返し」


 「春の面談・電話相談村」を手伝ったボランティアの中には「年越し派遣村」の元村民の姿もあった。横浜市在住で求職中の元村民(48)は、元派遣社員の男性(39)の生活保護申請に同行。「恩返しのつもり。どんなに苦しくても自立への道は開けることを新しい相談者にも伝えたい」とエールを送った。病気療養中の別の元村民は「自殺しようと思っていたが、村で救われた。自分が助かっただけでなく、他の人へも手を差し伸べたい」と話した。

毎日新聞 200948日 2105分(最終更新 49日 1020分)


春の面談・電話相談村:仕事・住居まだ深刻、相談次々--東京・日本青年館

 年度末の派遣など非正規雇用労働者の大量失職を受け、職や住居を失った人々を支援する「春の面談・電話相談村」が8日、東京都新宿区の日本青年館を会場に2日間の日程で始まった。相談者は、仕事や住居について真剣な表情で訴えた。

 企画したのは、年末年始に東京・日比谷公園で「年越し派遣村」を開催した労働組合や市民グループなどで構成する「派遣村実行委員会」(湯浅誠村長)。年末年始とは異なり、ハローワークや福祉事務所などの行政機関が開いていることから、寝場所や食事は用意せずに、相談を中心にした。

 会場には八つのブースが作られた。今年に入り製造業だけでなく事務職の派遣労働者の雇い止めや解雇が目立っており、女性もいるとみられることから、女性専用の相談スペースも設けられた。受け付けが始まった午前9時には10人が並んだ。

 電話には切実な相談が寄せられた。実行委によると、京都府内の元派遣社員の女性(37)は、がんの父親(72)と2人暮らし。年度末に派遣の仕事が期限を迎えたが、父親を介護しなければならず、時間の融通がきくと聞いて介護の仕事を選んだ。だがフルタイム勤務を求められ辞めざるを得なかった。女性は「2人の生活を支えるにはどうしたらいいのか」と訴えたという。

 湯浅村長は「これを問題提起のきっかけにして実態について考えてほしい」と話した。

 面談時間は9日も午前9時~午後2時。電話相談はフリーダイヤル(0120・833・890)で午前10時~午後8時。問い合わせは実行委(080・4123・7027)。【東海林智、工藤哲】

毎日新聞 200948日 東京夕刊


派遣村:春の面談・電話相談始まる 東京

200948 1147分 更新:48 1206

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年越し派遣村実行委員会が開催した「春の面談・電話相談村」で、スタッフと真剣なやりとりをする相談者たち(手前)=東京都新宿区で2009年4月8日午前9時45分、梅村直承撮影

 年度末の派遣など非正規雇用労働者の大量失職を受け、職や住居を失った人々を支援する「春の面談・電話相談村」が8日、東京都新宿区の日本青年館を会場に2日間の日程で始まった。相談者たちは、仕事や住居について真剣な表情で訴えた。

 企画したのは、年末年始に東京・日比谷公園で「年越し派遣村」を開催した労働組合や市民グループなどで構成する「派遣村実行委員会」(湯浅誠村長)。年末年始とは異なり、ハローワークや福祉事務所などの行政機関が開いていることから、寝場所や食事は用意せずに、相談を中心にした。

 会場には八つのブースが作られた。今年に入り製造業だけでなく事務職の派遣労働者の雇い止めや解雇が目立っており、女性もいるとみられることから、女性専用の相談スペースも設けられた。受け付けが始まった午前9時には10人が並んだ。

 電話には切実な相談が寄せられた。実行委によると、京都府内の元派遣社員の女性(37)は、がんの父親(72)と2人暮らし。年度末に派遣の仕事が期限を迎えたが、父親を介護しなければならず、時間の融通がきくと聞いて介護の仕事を選んだ。だがフルタイム勤務を求められ辞めざるを得なかった。女性は「パートの仕事も今なかなかない状態。2人の生活を支えるにはどうしたらいいのか」と訴えたという。

 湯浅村長は「相談する人はいろんな業種に及ぶ。私たちができることは微々たることだが、これを問題提起のきっかけにして実態について考えてほしい」と話した。

 午後は相談をもとに、ボランティアが同行してハローワークでの融資手続きや福祉事務所での生活保護申請の手続きなどを行う。面談時間は9日も午前9時~午後2時。電話相談はフリーダイヤル(0120・833・890)で午前10時~午後8時。問い合わせは実行委(080・4123・7027)。【東海林智、工藤哲】


090406派遣村声明

関係各位

派遣村のために別の相談者を追い返しているのだとしたら、それは私たちの要求とはまったく無縁の、弊害しかない対策である

派遣村実行委員会
(村長 湯浅 誠)
代表携帯:080-4123-7027

 私たち派遣村実行委員会は、48日(水)9日(木)に「春の派遣村アクション」として「面接・電話相談村」を開催する。

 私たちは、年越し派遣村の経験に基づき、1月下旬から一貫して、全国に緊急避難的な宿泊所の開設と総合相談窓口の設置を求めてきた。特に年度末には、年末年始を上回る人たちが居所を追われる可能性があることから、早期の対応が本人の生活再建にも、また社会的対応のコスト面からもはるかに有益であることを訴え続けてきた。

 しかし行政サイドは、文字通り「喉元過ぎれば・・・」という状態で、年明け以降、国と自治体の縦割り、省庁間の縦割りの壁の前に立ち止まり、具体的な対策を打たずにきた。結果として、さまざまな施策からこぼれた人たちが、市民団体・労働組合に押し寄せ続けている(路頭に迷っている人たちが、日々どのような扱いを受けているか。その一端を【資料1として添付する)。

 追加経済対策合計何十兆円という傍らで、数十億円規模の対策さえあればつないでいける命が放り出され、無視し続けられているのがこの国の現実である。これで「自殺防止」などとは笑止千万である。

 年度末危機にほとんど対応できない国・自治体の無能力が露呈したとき、私たちは「春の派遣村アクション」の開催を決め、厚労省および東京都に通告した。すると今度は、89日の生活保護の集団申請に向けて、東京都が現時点での新規相談者の施設入所をストップさせて施設を空けているらしい、という情報が飛び込んできた。

 これまでの3ヶ月、何の有効な対策もとらず、私たちのような民間団体が小さなアクションを起こそうとすると、それにさえ対応できずに、今度はそのためにより弱い諸個人に皺寄せする・・・もし、そんな情けないことが事実だとしたら、私たちはなんと不幸な国に生まれたことか、と悲しくなる。

 社員寮は都内でもがらがらで、現に「即入居可」の状態で賃貸に出されている物件がいくつもある(【資料2)。所有者は、借り手がつかずに困り果てている。他方には、住居なく路頭に迷い、就職活動さえできない人たちがいる。ここまで明確な需要・供給のマッチングさえできずに、雇用のミスマッチを語るなどとは片腹痛い。

 私たちが望むのは、等しく困窮している人たちを押しのけて、派遣村だけに彌縫的・場当たり的に対応することなどではない。経済対策全体の0.1%でいいから、文字通り捨てられて、潰されていく人々に目を向け、人間を生かそう、社会の活力を維持しようという姿勢を国・自治体が持つことである。

 もしそのような情けない対応で急場しのぎだけを考えているのならば、そのような姑息な手段でより一層人々を路頭に迷わせるようなことは即刻止め、借り手がいなくて困り果てている社員寮の大家たちに一声かけるべきである。今からでも遅くない。善処を期待する。
以上


派遣村アクション「春の面談・電話相談会」
~移動支援ボランティアへの参加・協力を・・

 4月8日(水)9日(木)と東京の日本青年館で「春の派遣村アクション」が開催されます。この年度末に大量の「派遣切り」が予想されるなか、「労働」「生活(生活保護)」「債務」「疾病・障害」「女性」など、それぞれ直面する問題について面談・電話相談を受けます。

 実行委員会では相談に来られるには移動上の制約がある、あるいは生活保護の申請ほか行政窓口への訪問など、送迎について可能な限りサポートしたいと考えています。そこで市民による移動支援を実践している仲間のみなさんに、次のようなご協力をお願いしたいと思います。

1)4月8日(水)9日(木)9~20時に車両を提供できる
2)同時間帯にドライバーを派遣、またはドライバーとして参加する
3)相談会が終了したのち、10日以降に通院ほかサポートできる
4)これから派遣村が自分たちの地方で開催されれば協力したい

 以上、いずれか協力できそうな個人ないし団体があれば、このメールに返信してくださると助かります。
 また、この件に関する緊急連絡は下記までお願いします。
携帯電話:090-8567-6123(イージーライダー)

移動支援フォーラム 長谷川


派遣村:8、9日に面談と電話相談

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派遣など非正規労働者を支援する「春の面談・電話相談村」の実施計画を説明する派遣村実行委員会の湯浅誠氏(左)=厚生労働省で2009年4月2日午後4時、東海林智撮影

 年末年始に東京・日比谷公園で失職した非正規労働者の支援を行った「派遣村実行委員会」(湯浅誠村長)が8、9の両日、東京都新宿区の日本青年館で「春の面談・電話相談村」を開く。事務職で働く派遣社員の雇い止めも進んでいることから、女性専用の相談ブースも設置、雇い止めや解雇への対応マニュアルを約1万部作成して会場などで配布する。

 年末年始の派遣村では、仕事と住居を失った労働者に食事と寝場所を提供した。今回は雇用や生活、医療など全般にわたり、面談と電話で相談を受け付け、行政機関の支援を受けられるよう、ハローワークや福祉事務所に同行する。

 湯浅村長は「年度末の大量失職に備え、住居と仕事を失った人への居所が必要だと行政に訴えてきたが、例えば、都は40人分しか用意していない。居所がないという理由で役所に追い返されることがないよう支援したい」と話している。

 面談は両日とも午前9時から午後2時、電話相談はフリーダイヤル(0120・833・890)で午前10時から午後8時まで。パンフレットも含め、問い合わせは実行委員会(080・4123・7027)へ。【東海林智】

毎日新聞 2009年4月2日 22時57分


切るな!切らせるな!春の派遣村アクション 第二弾企画
 「春の面談・電話相談村」開催します

 さて、昨年末から不況のあおりを受け三月末での雇い止めや解雇が急増すると予想されています。
 今回、派遣村実行委員会では、労働相談を中心に、生活・医療・住まいの相談を同時に受ける体制を作り、電話と来所の相談会を開催します。
 「年越し派遣村」は年末年始で行政の窓口が閉じている中で、行政に代わり緊急の宿泊場を提供するのが私たちの大きな役割でありましたが、今回私たちは宿泊をあえて設けず、相談を平日に開催し、行政に本来の仕事をやっていただくべく、各種雇用対策の情報提供や生活保護申請などの行動をとって行きたいと考えています。

開催日:4月8日(水)、9日(木)
相談用電話番号:0120-833-890
時 間:電話相談10時~20時
来場相談9時~14時
    ハローワーク同行・生保申請同行:随時
場 所:日本青年館(東京都新宿区霞ヶ丘町7番1号)
○JR中央線・総武線 千駄ヶ谷、信濃町駅より徒歩9分
○地下鉄銀座線 外苑前駅より徒歩7分(3番出口)
○地下鉄大江戸線 国立競技場駅より徒歩9分


「切るな!切らせるな!春の派遣村アクション」

 ■日時:4月8日(水)、9日(木)
     来場相談 9時~14時(10ブースの予定)
     電話相談 10時~20時(5回線の予定)
     申請同行 4月10日(金)

 ■場所:日本青年館
 ■主催:派遣村実行委員会

 ■趣旨:昨年末からの不況のあおりを受け、3月末での雇い止めや解
     雇が急増すると予想されています。今回、派遣村実行委員会
     では、労働・生活・医療・住まいの相談を同時に受ける体制
     を作り、電話と来所の相談会を行います。

「春の面談・電話相談村」ボランティア説明会のごあんない

 3月末での雇い止めや解雇が急増すると予想されています。今回、派遣村実行委員会では、労働相談を中心に、生活・医療・住まいの相談を同時に受ける体制を作り、電話と来所の相談を4月8、9日に受けます。

 「年越し派遣村」は年末年始で行政の窓口が閉じている中で、行政に代わり緊急の宿泊場を提供するのが私たちの大きな役割でしたが、今回私たちは宿泊をあえて設けず、相談を平日に開催し、行政に本来の仕事をやっていただくべく、各種雇用対策の情報提供や生活保護申請などの行動をとって行きたいと考えています。

 現在私たちは相談の当日、受付、相談、生活保護申請者の聞き取りなどのボランティアを募集しています。ボランティアにご協力いただける方を対象に以下の日程でボランティア説明会を開催します。

 当日の運営や労働、生活、障がい、こころ、女性の相談ポイントについてご説明いたしますので、ご参加いただけますよう、よろしくお願いいたします。

 なお、ボランティアへご協力いただける方で、この説明会への参加が難しい方は、お名前、ご連絡先、ボランティア可能な日時、を明記の上、実行委員会へご連絡ください。よろしくお願いいたします。

「春の面談・電話相談村」ボランティア説明会

 ■日時:4月2日(木)19時~(18時30分開場)
 ■場所:総評会館(千代田区神田駿河台3-2-11)
 ■交通:
 <地下鉄>
 東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅B3出口(徒歩0分)
 東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅B3出口(B3出口まで徒歩5分)
 都営地下鉄新宿線 小川町駅B3出口(B3出口まで徒歩3分)
 <JR>JR中央線・総武線 御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)

□派遣村実行委員会
http://blog.goo.ne.jp/hakenmura/
mailto:hakenmura@mail.goo.ne.jp
NPO IDO-Shien Forum