Expressway to Freeway
高速道路の無料化を実現しよう


前原国交相:法案不成立なら「高速1000円」継続も

2010425 1953分 更新:425 216

 6月からの実施を目指している高速道路の新料金制度について、前原誠司国土交通相は25日、「(提案中の関連法案が成立しなければ)自民党政権で考えられたものが続く」と述べ、審議が遅れれば、ETC(自動料金収受システム)車の土・日限定上限1000円などの割引制度が続く可能性があるとの考えを示した。

 関連法案が成立しなければ、割引のための財源の一部を高速道路建設費に回すことが難しくなる。また、割引制度は来年3月までの暫定措置が多いため、前原国交相は「何も対策を講じなければ、(来年4月以降)大幅な料金アップになる」と指摘。早期に新料金制度に移行することが必要だとした。

 前原国交相は、同日の橋下徹大阪府知事との会談で、道路建設財源に充てるため、国が認可した料金を自治体で上乗せできないかとの要望があったことも明かし、「検討する」と述べた。【寺田剛】

前原国交相:「二律背反」と小沢幹事長を批判 高速新料金

高速料金:首相値上げ幅圧縮示唆、前原氏には「見直さず」
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前原国交相:採用説明会出席へ 「官僚やはり重要」PR
前原国交相:成田に全身スキャナー 7月めどに実験開始へ


高速料金:首相値上げ幅圧縮示唆、前原氏には「見直さず」

2010422 128分 更新:422 1346

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高速道路の料金について記者の質問に答える前原国交相(中央)=東京・霞が関で2010年4月22日、西本勝撮影

 6月から導入する予定の高速道路の新たな上限料金制度を巡り22日、閣内の混乱が露呈した。政府・民主党が21日に新制度見直しを決定したことを受け、鳩山由紀夫首相は22日朝、記者団に「無料化の方向と矛盾しない形の中で(政府と民主党)双方が理解できる形で決着したい」と述べ見直しに意欲を示したが、その後、官邸を訪れた前原誠司国土交通相は、首相から「新制度を見直さない」ことについて了解を得たと記者団に明言した。米軍普天間飛行場の移設問題に続き、高速料金を巡っても政府・与党が迷走し始めた。

 前原氏は首相を訪ねた後、国交省内で記者団に対し、「公表した料金割引案は現時点では見直さない」と述べ、制度案の見直しを求める党側の意向には従わない姿勢を示した。前原氏は、鳩山首相と平野博文官房長官の双方から、料金を見直さないことについて「了解を得た」と語った。

 しかし、鳩山首相はこの日朝、値上げ幅の圧縮を目指す考えを示唆したばかり。21日の政府・民主党首脳会議で、同党の小沢一郎幹事長から新制度と衆院選マニフェストで掲げた高速道路無料化が矛盾する、と指摘されたのを受けたものだ。首相は22日朝、「国民の声を大事にされる党から見直した方がいいという話をいただいた。このままでは(国会の国土交通)委員会でもなかなか通らない」と述べ、「(党から)政府が引き取って見直すという発想になった」と説明していた。

 一方、平野官房長官は22日午前の記者会見で「一部修正はありうるかも分からないが、『はい分かりました、見直します』と、そんなバカなことはない」と述べ、新制度の見直しには慎重な姿勢を示すなど、首相との食い違いをみせていた。【寺田剛、青木純、横田愛】

【上限料金制って?】高速道路:上限料金制度を正式発表 割引廃止で実質値上げ

<高速道新料金>夜間・通勤3割引きに激変緩和で年度内
<高速道新料金>エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省
<記者の目>高速道路「上限2000円」の新料金
<小沢氏の指摘で>高速料金:政府、上限制度見直しを検討へ
<党首討論の鳩山首相>普天間移設で混迷ぶり露呈


高速料金:制度再検討 値上げ幅の抑制が焦点に

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政府・民主党首脳会議に臨む鳩山首相(左から2人目)=首相官邸で2010年4月21日午後6時6分、西本勝撮影

 21日の政府・民主党の首脳会議で、国土交通省が発表した高速道路の新料金制度が再検討されることになり、今後は高速利用者の反発をやわらげるため、新料金制度での実質値上げの幅をどこまで抑制できるかが焦点となる。一方、新料金制度は現行の高速料金の割引財源を道路建設に転用する内容で、値上げ幅を抑制した場合、道路建設と両立できるかも課題となりそうだ。【寺田剛、久田宏】

 前原誠司国交相が9日発表した新料金制度は、料金割引財源の使途を大幅に見直し、半分以上を道路建設に転用する方針を示した。

 現在の割引制度は、自公政権時代の09年3月からの「休日上限1000円」などのために手当てした「利便増進事業費」の約3兆円(18年までの時限措置)を財源にしており、うち約0.5兆円はすでに使い果たした。

 現行計画は残る財源のうち、道路整備は約0.3兆円にとどめ、割引に約2.3兆円を充てる予定だった。だが、道路整備推進を求めた昨年末の民主党要望を受け、政府は道路整備を約1.4兆円に拡大し、割引財源は約1.2兆円に縮小。これに見合った新料金制度として、現行の割引制度をほぼ全廃し、普通車は曜日を問わず上限2000円とすることなどを発表した。

 浮いた財源で建設すると発表したのは、未開通の東京外郭環状道(練馬-世田谷間16キロ)、名古屋環状2号(12キロ)と、暫定2車線で開通している4路線(上信越道、館山道、東海北陸道、高松道の一部)の4車線化。いずれも民主党議員が整備に賛成していた。

 だが、新料金制度では、高速を70キロ以上走行しなければ、料金は2000円には届かず、近距離のドライバーには実質的に値上げとなる。21日の首脳会議で、民主党の山岡賢次国対委員長は「70キロ圏内の料金が上がるのは納得されない」と主張。山岡氏は会議後、記者団に「(財源を)道路整備の1.4兆円と割引の1.2兆円に分けているが、1.2兆円をもうちょっと増やしていくことになると思う」と述べた。

 再検討で想定されるのは、道路整備を削減し、料金割引に回して、実質的な値上げ幅を圧縮することだ。「普通車上限2000円」の上限を数百円引き下げたり、新料金制度で廃止を打ち出した「平日昼間3割引き」などの時間帯割引を継続することなどが考えられる。だが、財源は時限措置のため、値上げ幅の圧縮も期間が限定される可能性が高い。

 さらに、いったんは建設を発表した区間の再凍結を決める必要があり、該当する地域からの反発は必至だ。

 参院選をにらんで、民主党の小沢一郎幹事長は地方を重視する可能性がある。事業費約8000億円が見込まれる東京外環道や、名古屋環状2号の建設取りやめが浮上しそうだ。

 もう一つ考えられるのは、国費から追加支出し、路線建設は予定通り実施しながら、実質的な値上げ幅も抑制する案。ただ、政府財政は厳しく、国費投入は難しいとの見方が強い。

馬淵副国交相:整備区間建設中止も
高速道に新たな枠組み
高速割引財源:道路建設転用は1.3兆円 政府方針
個所付け:直轄国道の休止は1カ所 140路線で事業継続
霞が関ウオッチャー:新高速料金で馬淵副国交相 「サンドバッグになる」
質問なるほドリ:高速料金の割引、なぜ小さくなるの?=回答・山本明彦

毎日新聞 2010421日 2137分(最終更新 422日 047分)


高速料金:政府、上限制度見直しを検討へ 小沢氏の指摘で

2010421 2130分 更新:422 057

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政府・民主党首脳会議に臨む鳩山首相(左から2人目)。右手前から2人目は同党の小沢幹事長=首相官邸で2010年4月21日午後6時6分、西本勝撮影

 政府・民主党は21日、鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長らによる首脳会議を首相官邸で開き、前原誠司国土交通相が6月から導入すると発表した高速道路の新たな上限料金制度について見直しを検討することで一致した。小沢氏が「一部値上がりしているのはおかしい」と指摘し、首相も「引き取らせてもらう」と受け入れた。政府がいったん公表した新料金制度を事実上撤回する方向になったことで、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題とともに「決められない政権」の姿が浮き彫りになった。

 昨年のガソリン税などの暫定税率維持に続き、小沢氏主導の政策決定過程が鮮明になり、民主党が掲げてきた「内閣による政策決定の一元化」が建前に過ぎないこともあらわになった。政権のさらなる求心力低下につながりそうだ。

 新料金制度は普通車は曜日を問わず2000円を上限などとする一方、休日上限1000円などの現行割引制度を廃止する。実質値上げとなるため、参院選への悪影響を懸念する党内から異論が出ていた。首相と小沢氏が出席する首脳会議の場までもつれこんだ背景には参院選対策を最優先する小沢氏の強い意向がある。

 小沢氏は会議で「いままで民主党が言ってきた高速道路無料化という概念に新料金制度は入るのか。こんなんじゃだめだ」と指摘し、新料金制度が09年衆院選の政権公約(マニフェスト)で掲げた「高速道路無料化」と矛盾すると突きつけた。出席者によると、会議で首相はほとんど言葉を発せず、小沢氏の指摘に「できるんじゃないか」と答えたという。

 平野博文官房長官は会議後、記者団に「ごろっと変えることはありえない」と強調する一方で「民主党が主張してきたことにあっているのか、もう一度検証させる」と述べ、基本的に小沢氏の考えに沿って見直す考えを示唆した。

 小沢氏が首相への直談判で見直しを求めたのは、参院選で重視する「組織・団体」と「地方」票に影響すると判断したためだ。

 トラック業界は最大3割引きなど手厚い現行割引がなくなる新料金制度に強く反対している。民主党トラック議連事務局長の石井章衆院議員が15日、国会内で小沢氏と会った際に全国の運送業者から苦情が多数寄せられていることを伝えると、小沢氏は「もう一回、精査しないといかんな」と業界側に配慮する考えを示した。

 一方、流通コスト増大でダメージを受ける地方からの反発も強い。小沢氏は川内博史・衆院国土交通委員長と4月初旬に会談した際「地方の不採算道路の建設に財源を回せと要望しただけだ」と語った。国交省は「実質値上げ」で生み出した財源を、東京外郭環状道路など都市部の道路建設にも使う方針だった。「地方の負担増が都市部に使われる」という構図が、地方からの民主党批判につながることを懸念したとみられる。

 割引廃止で浮いた財源を道路整備に回す道路財政特別措置法改正案は衆院で審議入りしているが、政府・与党は新料金制度見直しに伴う法案修正はしない方針だ。【大場伸也】

【上限料金制って?】高速道路:上限料金制度を正式発表 割引廃止で実質値上げ

<高速道新料金>夜間・通勤3割引きに激変緩和で年度内
<党内にも反対意見>高速料金制度:民主党の川内氏が異議 足並みの乱れが露呈
<高速料金>エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省
<記者の目>高速道路「上限2000円」の新料金=位川一郎


霞が関ウオッチャー:新高速料金で馬淵副国交相 「サンドバッグになる」

 「高速道路の新たな上限料金を発表させていただきました」。9日の記者会見翌日の土曜日、馬淵澄夫副国土交通相は地元・奈良市内で街頭演説していた。耳を傾ける人は15人ほど。「なめんじゃないよ!」とのやじまで飛んだ。

 「実質値上げ」と伝える新聞、テレビにどう反論するか。奈良に向かう新幹線の車中、「アパートの大家さん(道路会社)が、住人(ドライバー)に、さまざまな条件で割り引いた家賃(通行料金)を見直す代わりに、住民から要望された階段(東京外環自動車道)を取り付ける(建設する)」というたとえ話を考えた。それでも、中型トラックを近くに止めて聞いていた酒屋の男性(41)は「話が難しすぎる」と腕組みしたままだった。

 「工学部卒業後、ゼネコンでサラリーマンを経験。道路の細かなデータ、資料を分析できる」(国交省幹部)馬淵氏。関係者によると当初、時間帯や地域によって料金設定を変えて交通量を制御し、渋滞減らしにつなげることを目指していた。だが、民主党は12月、全国一律の料金体系や、割引縮小でできた財源を高速道路建設に回すよう求める「重点要望」を政府に提出。参院選勝利を最優先に据える小沢一郎幹事長が「この政権は高速道路を造らないのではと、地方に誤解されるのを恐れた」(政府関係者)ためだ。

 新料金体系は、馬淵氏の意向で、ETC(自動料金収受システム)無しでも割引対象とすることやエコカーへの優遇を盛り込んだ。同時に党要望を反映し、割引は縮小された。

 発表後の9日から12日にかけ、馬淵氏はテレビ局をはしごして「公平で納得できる料金」と熱弁をふるった。しかし評論家らの値上げ批判を前に防戦一方の場面も。「国民に理解いただくまで、サンドバッグになりますよ」と言い残し、スタジオを後にした。【寺田剛】

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毎日新聞 2010414日 東京朝刊


馬淵副国交相:整備区間建設中止も高速道に新たな枠組み

 馬淵澄夫副国土交通相は13日、毎日新聞のインタビューに応じ、国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で整備計画区間(9428キロ)に決まりながら建設が凍結されている区間について、「整備計画からの格下げ(建設の中止)もありうる」との考えを示した。格下げは国幹会議の前身である国土開発幹線自動車道建設審議会(国幹審)が始まった1957年以来初めて。高速道路建設のあり方が抜本的に改まることになりそうだ。

 馬淵副国交相は従来の国幹会議を「採算の取れない道路が議論なしにいくらでも建設できてしまう」と批判。一方、今国会に提出中の道路整備事業財政特別措置法改正案が、廃止される国幹会議に代わる枠組みを含んだものであることに触れ、「整備区間のうち、採算の取れる路線は残っていない。(改正案の適用で)整備計画からの除外も可能だ」との考え方を示した。

 国交省は9日、昨年4月の国幹会議で新たに整備区間に決まりながら、政権交代後に凍結していた東京外環道の練馬-世田谷間(16キロ)と名古屋環状2号の名古屋西-飛島間(12キロ)の計2区間の新規整備を決め、「高速会社が有料道路として新規整備するのは外環と名古屋2環で最後」と説明した。これについて、馬淵副国交相は「(これ以上)事実上造れないし造らないという宣言だ」と述べた。

 現在凍結されている区間は近畿自動車道大津-城陽間(25キロ)など4路線5区間がある。

 今後の高速道路建設について新政権では、採算が取れる有料道路を道路会社が料金収入で造り、不採算が見込まれる道路については、国費を投入して整備する方針。また、具体的な整備路線の決定については改正案では、国会、第三者機関、地方自治体でチェックする仕組みを取ることになる。【寺田剛】

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毎日新聞 2010414日 232分(最終更新 414日 1022分)


質問なるほドリ:高速料金の割引、なぜ小さくなるの?=回答・山本明彦

 <NEWS NAVIGATOR>

 ◆高速料金の割引、なぜ小さくなるの?
 ◇選挙にらみ建設優先 渋滞緩和、環境にも配慮

 なるほドリ 鳩山政権はもともと高速道路無料化と言っていたよね。なぜ、通行料金の割引を小さくするの?

 記者 割引のための財源2・6兆円のうち1・4兆円を、高速道路建設費に回すことが背景にあります。民主党は「料金を無料化し、高速道路は必要なものだけ税金で造る」と公約しましたが、財源を見つけるのは容易ではありません。さらに、小沢一郎幹事長が昨年12月、民主党の重点要望として、既存の割引制度の財源の一部を、道路会社による高速道路建設に充てるよう求めました。参院選を前に、地方などへの配慮を示す必要に迫られた鳩山政権は、割引よりも道路建設を優先させることにしたのです。

 Q 値上げすると鳩山政権の支持率がまた下がっちゃうよ。

 A 毎日新聞などの世論調査で、高速無料化を支持する人が少ないため「選挙をにらめば割引より建設」とみたのでしょう。また、高速料金が安いほど、鉄道など公共交通機関を使っていた人が車に乗り換えたり、渋滞が発生しやすくなって、二酸化炭素の排出量が増大。20年までに温室効果ガス排出量を90年比で25%削減する鳩山政権の目標と矛盾することになります。前原誠司国土交通相は9日の会見で「他の交通機関、環境への影響を考え、(料金の)最終形態を決めたい。今回の料金制度はその通過点」と訴えました。

 Q 「コンクリートから人へ」を掲げる民主党は、無駄な道路が多いと批判していたよね。

 A 高速道路はかつて、政府の計画に基づき、道路関係の公団が建設していました。ところが、採算の取れない道路を造りすぎたため、公団の借金は40兆円まで拡大。再建のため、小泉政権下の05年、4公団を高速道路会社6社に再編、民営化しました。民営化後は、各社が採算の合う道路だけを建設する原則となりました。不採算でも、地域生活に必要な道路を、税金で建設して無料開放する「新直轄方式」も創設されました。

 Q 無駄な道路建設がなくなったんだ。

 A そうとも言えません。金融危機を受けた景気対策のため、09年4月には、計画区間を10年ぶりに延ばしました。この中には採算の取れない道路もあるとされています。道路公団時代の借金を返さなくてはならないので、高速道路会社に不採算道路を造る余裕はありません。無駄な道路建設に歯止めをかけられなければ、借金が再び膨らんでいくことになります。(経済部)

==============

 ■割引財源転用で整備する区間

 【新規着工】

・東京外環道(関越-東名)

・名古屋環状2号線(名古屋西-飛島)

 【4車線化】

・上信越道(信濃町-上越JCT)

・館山道(木更津南JCT-富津竹岡)

・東海北陸道(白鳥-飛騨清見)

・高松道(鳴門-高松市境)

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 なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

英訳

社説:高速新料金 無料を掲げ値上げとは

高速道路:上限料金制度を正式発表 割引廃止で実質値上げ
高速道新料金:夜間・通勤3割引きに激変緩和で年度内
高速料金:エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省
どうなる? 高速道路/1 全国にのびる約1万キロ

毎日新聞 2010410日 東京朝刊


社説:高速新料金 無料を掲げ値上げとは

 政権交代後の重要施策として民主党が掲げていたのが高速道路料金の無料化だった。しかし、発表された新たな料金制度によると、長距離の利用以外は、負担が増えてしまう。

 無料化のための予算が大幅に削減されたほか、現在実施している料金割引のために用意された財源を高速道路建設に回すことにした。その結果、こうならざるを得なかったのだろうが、公約とは一体、何なのだろうかと考えさせられる内容だ。

 確かに、無料の区間もできる。しかし、地方の2車線区間を中心に37路線の50区間で、無料化対象外の首都高速と阪神高速を除く全路線の約18%にすぎない。

 料金の上限を普通車で2000円とした。現在の1000円よりは高いものの、休日に限り、対象車も自動料金収受システム(ETC)を搭載した普通車以下に限定されているのと比べ、わかりやすい。平日も対象となるため、休日に集中している渋滞は改善に向かうだろう。

 ただし、上限の2000円は約70キロを走行した場合の料金に相当し、これより短い場合は、現在の割引がなくなるため、値上げとなる。

 一方、恩恵を受けるのは長距離を運転する場合だ。どこまで走っても普通車ならいつでも2000円、中・大型車でも5000円だ。休日1000円がなくなるとはいえ、それでも十分に安い。しかも、ETCの搭載は不要だ。

 ただし、長距離の利用が増えれば、鉄道やバスが影響を受けることになる。鉄道から自動車へとシフトすれば、二酸化炭素の排出量は増える。温室効果ガスの削減で現政権が掲げている高い目標の実現と、どう整合するというのだろうか。

 料金割引の財源のうち1・4兆円を高速道路建設に回す。しかし、値下げの財源を建設に流用するのはルール違反だ。国会の監視をすり抜ける便法として、同様のことが繰り返され、無駄な道路の建設が続くことにつながらないか、心配だ。

 フェリーに配慮し、本州四国連絡道路は割高に設定したものの、減収となる鉄道やバスへの影響については、どう対応するのだろうか。

 簡素化などのメリットはある。しかし、無料化を掲げながら、利用者の多くが現状より値上げとなってしまう。しかも、それは、道路建設に資金を回すようにしたためだ。

 高速料金の無料化は、物流などのコストを下げて、経済の活性化につなげることが目的だったはずだ。この点も含め、昨年の総選挙での民主党の主張と、今回の高速料金制度がどのようにつながるのかを、へ理屈や言い訳、強弁ではなく、きちんと説明してもらいたい。

高速道新料金:夜間・通勤3割引きに
激変緩和で年度内
高速道路:上限料金制度を正式発表 割引廃止で実質値上げ
高速料金:エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省
どうなる? 高速道路/1 全国にのびる約1万キロ
高速道路:夜間・通勤、3割引き 激変緩和で年度内

毎日新聞 2010410日 231


高速道路:上限料金制度を正式発表 割引廃止で実質値上げ

201049 1114分 更新:49 153

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高速道路の新料金などについて会見する前原誠司国交相=東京・霞が関で2010年4月9日午前9時36分、長谷川直亮撮影

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新たな上限料金

 前原誠司国土交通相は9日、6月から実施する高速道路の新たな上限料金制度を正式発表した。現行の「休日上限1000円」など既存の割引をほぼ全廃し、普通車は曜日を問わず2000円を上限とするなど、車種別に上限料金を設ける。走行距離が70キロ未満の普通車は上限に届かないため恩恵を受けられない上、割引廃止で実質値上げとなり、反発も出ている。

 前原国交相は会見で、「上限1000円」などで休日に渋滞が集中している現状に言及し、「自公政権が導入した現行制度の課題を解消する」と新制度の意義を強調した。

 上限は軽自動車1000円、中・大型車5000円、トレーラーなどの特大車は1万円。政府が導入を促していたETC(自動料金収受システム)の有無にかかわらず対象となる。ガソリン1リットルで20キロ以上走行する「エコカー」は軽並みの1000円とするが、実施は7月以降。

 時間帯割引や大口・多頻度割引は、廃止されれば輸送業者などの負担が増すため、10年度に限り縮小して残す激変緩和措置を講じる。本州四国連絡高速道路の軽自動車と普通車は上限を1000円高くし、フェリー業界に配慮を見せた。

 新料金制度は、高速料金の一部無料化とあわせて実施。必要に応じて11年度以降に制度を見直す。

 また、首都高速と阪神高速は今年末から来年初めをめどに、関係自治体の同意を得た上で、現行の定額料金(普通車700円など)から、走行距離に応じて変わる距離別料金(普通車500~900円、大型車1000~1800円)に移行する。距離別料金はETC搭載車だけで、現金利用者には一律に上限料金が課されて値上げとなる。また、高速道路会社に投入した割引財源で、現在残っている2・6兆円のうち1・4兆円を、2車線路線の4車線化工事などに充てる。

 時間帯割引の全廃では、上限価格以下の利用が多い輸送業者は実質値上げとなる。休日限定だった普通車の上限料金が平日にも広がって長距離利用が増えれば、鉄道やバスの利用者は減りかねない。JRの旅客6社は「休日1000円」で年間計250億円の減収に見舞われたが、新料金で減収幅は倍増する見込みだ。【久田宏】

<ニュースがわかる>どうなる? 高速道路/1 全国にのびる約1万キロ

<ニュースボックス>1963(昭和38)年4月9日 「日本橋」の頭上に高速道路
高速割引財源:道路建設転用は1.3兆円 政府方針
高速道新料金:夜間・通勤3割引きに激変緩和で年度内
高速料金:エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省


高速割引財源:道路建設転用は1.3兆円 政府方針

 政府は8日、08年度から高速道路料金の割引に充てている「利便増進事業費」(総額3兆円)のうち、1.3兆円を道路建設に転用する方針を固めた。同事業は、過去の高速道路建設の債務3兆円分を政府が肩代わりし、「休日1000円」などの財源を捻出(ねんしゅつ)する仕組み。既に5000億円が使われたが、参院選をにらんで高速道路建設を進めたい民主党の要求を受け、残りの半分以上を道路建設に振り向け、割引制度は大幅縮小する。

 前原誠司国土交通相は9日にも、6月から導入する車種別の新料金上限制度を発表する。新制度では現行の割引制度はほぼ全廃、割引財源の残高の半分以上を道路会社による道路建設に転用し、残る1.2兆円を新たな料金制度の原資にする。既存の割引制度が廃止されれば、利用者には実質値上げとなる。

 民主党は従来、高速道路建設は抑制し、必要な分だけ国費で造ると主張してきたが、高速道路建設促進を掲げる小沢一郎幹事長の求めに応じ、方針を転換。道路会社(旧道路公団)が高速道路を建設する仕組みに後戻りし、建設財源に国費を投入する。

 政府は既に、料金割引を財政支援の対象とする「道路整備事業財政特別措置法」の改正案を今国会に提出し、財源を道路建設に転用する方針を打ち出していた。

 転用される1.3兆円は、暫定2車線で開通している6路線の4車線化や、関越自動車道と東名高速道路をつなぐ「東京外環自動車道」の建設などに充てる見通し。【寺田剛、久田宏】

鳩山首相:「会期内成立に全力を」
延長論にクギ
普天間問題:鳩山首相、米大統領に直接説明する意向
小沢幹事長:5月の訪米見送り
米核新戦略:鳩山首相が歓迎「まさに第一歩」
民主党:特別会計の検証開始 5月に提言へ

毎日新聞 201048日 1500


高速道新料金:夜間・通勤3割引きに激変緩和で年度内

201042 232分 更新:42 246

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3連休の初日で渋滞が続く名神高速道茨木IC付近=大阪府茨木市で2010年3月20日午前11時31分、本社ヘリから大西岳彦撮影

 高速道路の一部区間無料化に伴い、政府が6月に導入する新たな上限料金制度の全容が1日分かった。全廃する現在の割引制度のうち、「激変緩和措置」として、10年度に限り、現在5割引きの夜間割引(都市部のみ)と通勤割引(地方部のみ)をそれぞれ3割引きとするほか、トラック業界が継続を強く求めていた、月額利用額に応じて最大3割引きとする「大口多頻度割引」は継続する。

 従来の割引の廃止により、近距離利用者を中心に料金値上げとなり、09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「高速道路無料化」に逆行するとの批判も出そうだ。

 新たな上限料金制度は、走行距離が長くなっても普通車で2000円が上限。本州四国連絡高速道路だけはフェリー業界に配慮し、上限を普通車3000円とする。一方で「休日上限1000円」など現行割引を全廃する。

 また、政府のエコカー減税で自動車重量税が免税となっているハイブリッド車などの普通車に限り、料金を軽自動車と同じとするエコカー割引も新設する。ただ、6月の実施は間に合わない見込み。【大場伸也】

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高速料金:エコカー割引新設を検討 軽と同程度 国交省

 国土交通省が導入を目指している高速道路の上限料金制度で、低燃費車を優遇するエコカー割引の新設を検討していることが27日、分かった。政府のエコカー減税で自動車重量税が免税となっている普通車に限り、料金を軽自動車と同程度に割り引く。距離別料金を基本に一定距離以上は車種別に上限を定める上限料金制度は、近距離利用者の多くにとって値上げとなるため料金設定が難航しているが、環境への配慮を強調することで新制度導入に向け弾みを付ける狙いがある。【大場伸也、石原聖】

 エコカー割引の対象になるのは、12年4月末までのエコカー減税期間に自動車重量税が免税となっている電気自動車やハイブリッド車など環境性能の高い次世代自動車。軽自動車、トラックは対象外となる。

 政府は6月にも首都高速・阪神高速以外の高速道路(無料化区間除く)で、休日上限1000円などの現行割引を見直し、車種別の上限料金制度を導入する予定。軽自動車1000円、普通車2000円、トラック5000円とする案を軸に検討しているが、環境への影響が比較的小さいエコカーを軽自動車扱いする方針。

 ただ、「料金所でエコカーとその他の普通車を瞬時に判別するのは難しい」(関係者)との指摘もある。そのため、エコカー所有者に事前登録してもらい、自動料金収受システム(ETC)を利用している場合はその設定を変更したり、利用していない場合はエコカー証明書を交付して判別しやすくすることも検討している。事前登録制とするには、ある程度の準備期間が必要で、エコカー割引は上限料金制度を導入する予定の6月には間に合わず、遅れて実施する可能性もある。

 上限料金制度は、民主党の要求を受け、割引財源の一部を道路建設などに転用するため、近距離利用者を中心に全体として「値上げになる」(前原誠司国交相)見通し。一方で、鉄道やフェリー業界、現行割引の継続を求めるトラック業界などが強く反対しており、具体的な料金が決まらない状況が続いている。

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どうなる? 高速道路/1 全国にのびる約1万キロ

毎日新聞 2010328日 230分(最終更新 328日 930分)


個所付け:直轄国道の休止は1カ所 140路線で事業継続

 国土交通省は26日、10年度予算の公共事業の実施場所(個所付け)を発表した。鳩山政権が「コンクリートから人へ」をスローガンに掲げ、概算要求時に休止候補としていた主な直轄国道141路線(県と政令市にまたがる路線の重複を除く)のうち、実際に休止されたのは1カ所のみで、ほぼすべての路線で10年度も事業が継続されることが正式に決まった。

 鳩山政権は昨年11~12月、概算要求に基づいて原則3年以内に完成しない道路の事業費を「0~1億円」とし、休止候補であることを公表していた。しかし、夏の参院選を控え、建設継続を求める民主党や自治体の声を受け入れて「休止」扱いを避けたとみられる。

 概算要求時の休止候補で、実際に休止されるのは「五十崎内子拡幅」(愛媛県)のみ。他の140路線の大半は数千万円など少額の予算が付き、10年度の事業費は合計で134億円付いた。

 09年度補正予算の見直しを受け、概算要求段階で「検討中」として予算額が示されなかった東京外郭環状道路(東京)など高速道路9路線は、引き続き「検討中」の扱いになった。

 また「浪岡バイパス」(青森県)、「郡山バイパス」(福島県)、「阿蘇大津道路」(熊本県)は、概算要求時に休止が明記されていた。

 国交省は今年1月下旬、民主党の要請を受け、自治体に内示する前に個所付けの中間段階にあたる「仮配分」を党に提出。「お気に入りの人だけに情報を提供し、他の人に提供しないのは公開の精神に反する」(行政刷新会議議員の片山善博慶応大教授)などと世論の強い反発を受けた。【大場伸也】

毎日新聞 2010326日 2124分(最終更新 327日 012分)


高速道路:割引財源を建設にも使用 会社支援へ法改正検討

2010127 230分 更新:127 230

 政府が、これまで高速道路料金の割引などに充ててきた資金を高速道路会社による道路建設にも使えるようにする法改正を準備していることが26日、分かった。道路会社の建設費は料金収入でまかなうのが大原則だったが、夏の参院選をにらみ、方針転換を検討する。現行の割引制度が縮小され実質的に値上げになる可能性があり、利用者の反発も予想される。

 政府は道路整備事業財政特別措置法の改正案を通常国会に提出する検討をしている。同法は、道路会社が行う料金割引とスマートインターチェンジ(高速道に簡単な料金所を付けた出入り口)設置の二つを「利便増進事業」として、財政支援の対象としているが、改正案は対象を新規建設にも広げる。

 利便増進事業に対しては、08~18年度分として計3兆円の財政支援が既に実行された。国が過去の高速道路建設の借金の一部を肩代わりする形をとった。09、10年度分は各5000億円で、大半が「休日上限1000円」などの割引に使われる計画だった。

 政府は10年度に、現行の割引制度を全面的に見直し、「上限2000円」制度などを導入することを検討している。しかし、現在ある割引財源が建設費に使われた場合、新たな割引制度の規模が縮小される可能性も出てきた。

 民主党は従来、高速道路を原則無料化する一方、新規建設は抑制し、必要な道路は税金で造ると主張してきた。だが、小沢一郎幹事長が昨年12月に示した党要望は「高速道路会社による高速道路整備を推進するため」に、利便増進事業の見直しや、国が道路会社を財政的に支援する方式への転換を求めた。

 政府側は当初、「今まで(民主党が)申し上げてきたのとまったく違う考え方だ。道路会社にお金を渡して整備することは考えていない」(前原誠司国土交通相)と拒否する意向だった。しかし、建設推進を望む地方自治体に配慮し、党要望を反映した法案の検討に入った。【大場伸也】

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高速道路無料化:社会実験 曜日限定せず前原国交相
社説:視点 高速無料化 交通網の全体像が先だ=児玉平生


高速道路無料化:社会実験 曜日限定せず前原国交相

20091227 1924分 更新:1227 2130

 前原誠司国土交通相は27日、高速道路無料化に向けた社会実験の一環として導入する新たな「上限料金制度」について、曜日の限定をしない考えを明らかにした。テレビ番組出演後、記者団に語った。

 前原氏は「来年6月めどの一部区間無料化と同時に(新たな上限料金制度を)始める」と説明。無料化区間を決める来年1月末までに、車種ごとの上限料金も「すべて明らかにしたい」との意向を示した。自公政権が開始したETC(自動料金収受システム)搭載車限定の「休日上限料金1000円」など、現行の割引制度は廃止する。

 上限料金について政府は、▽普通車2000円▽軽自動車1000円▽トラック5000円--とし、ETC搭載車以外の現金客にも適用範囲を広げる方針。一方、首都高速、阪神高速について前原氏は「現状通り」として、対象から除外する考えを示した。【大場伸也】

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高速道:実験で新上限制、普通車2000円 ETC不要

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今年の秋の大型連休初日、上下線とも渋滞する名神高速道路。「休日上限1000円」など現行の割引制度は廃止となる=大阪府高槻市で2009年9月19日、本社ヘリから三村政司撮影

 政府は25日、高速道路無料化へ向けた社会実験として、10年度から普通車の料金を走行距離がいくら長くなっても最大2000円とする上限料金制度を新設する方針を固めた。軽自動車は1000円、トラックは5000円を上限とする。自公政権で開始したETC(自動料金収受システム)搭載車に限った「休日上限1000円」など現行の割引制度は全廃し、ETC搭載車以外の現金客にも上限料金制度を適用する。複雑すぎると批判された割引制度を利用者に分かりやすいものに変える。曜日設定はつめている。【大場伸也、石原聖】

 16日に民主党が政府に提出した重点要望では、(1)「休日上限1000円」の割引は抜本的に見直す(2)料金の割引率の順次拡大(3)軽自動車の負担軽減--などを求めており、配慮した。

 高速道路無料化へ向けた社会実験の費用については、10年度予算に1000億円を計上する。国土交通省は一般道の渋滞緩和、物流コスト引き下げなどに効果があるとして、6000億円を概算要求していたが、政府全体の予算圧縮方針を受け入れた。

 無料化については、前原誠司国交相が、ETC機器を搭載しない車でも無料にするほか、社会実験を「通年で行う」と表明している。これらの条件を満たした上で、交通量の少ない地方から着手する。

 政府は、全国30道府県に44ある2車線区間を、4車線区間より優先して実施する方針だ。ただ、09年度補正予算で4車線化を凍結した6区間は無料化しない可能性もある。

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高速道実験:「ETC以外も無料」前原国交相

毎日新聞 20091225日 1500分(最終更新 1225日 1500分)


高速道無料化:10年度予算案1千億円 2車線区間を優先

 財務省と国土交通省は22日、高速道路無料化へ向けた社会実験の費用について、10年度予算への計上額を概算要求の6000億円から1000億円に削減することで合意した。政府全体の予算圧縮方針を国交省が受け入れた。全国30道府県に44ある2車線区間を、4車線区間より優先して実施する案が政府内で有力になっている。

 合意では、(1)高速料金の割引率の順次拡大(2)軽自動車の負担軽減--など、予算に関する民主党の要望も取り入れた。実施中の「休日上限1000円」の割引も見直す方針。

 国交省は、実験は無料化しても渋滞する可能性の低い地方の路線から着手する意向だ。【大場伸也、清水直樹】

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毎日新聞 20091223日 230分(最終更新 1223日 230分)


高速道無料化:社会実験費用を大幅削減へ 国交省合意

20091222 1923分 更新:1222 217

 財務省と国土交通省は22日、高速道路無料化へ向けた社会実験の費用について、10年度予算案に盛り込む計上額を概算要求段階の6000億円から1000億円程度に大幅削減することで合意した。無料化の社会実験は民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた項目だが、国交省は政府全体の予算圧縮方針を受け入れた。

 国交省は、無料化後に渋滞しないことや環境への配慮を軸に、選定作業を進めているが、地方の交通量が少ない路線や、並行する一般道が渋滞している路線などが対象になるとみられる。前原誠司国交相は会見で「鉄道とか高速バスとかフェリーへの影響を考えないといけない」と述べ、他の交通機関への影響が小さい路線を選ぶ意向も示した。

 全国の高速道路の料金収入は年間約1.7兆円(首都高速、阪神高速を除く)。実験費用を6000億円にした場合、東名、名神など大都市を結ぶ基幹路線を除く多くの路線が無料になる可能性があった。費用の圧縮で、無料化区間は限定的なものになる見通しだ。本州四国連絡高速と東京湾アクアラインは無料化せず割引で対応する。

 ただ、前原国交相は「プラスアルファで利便増進事業を使うことになると思う」と述べ、現在行っている各種割引の見直しからも社会実験費用を捻出(ねんしゅつ)する考えを示した。【清水直樹】

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高速道路:国直轄建設の廃止民主要望に国交省困惑

 高速道路建設への民主党の重点要望を巡り、国土交通省に困惑が広がっている。不採算の高速道路を国が建設する「新直轄事業」の廃止など、旧日本道路公団の民営化前の姿に戻すような記述があるからだ。

 公団民営化に伴い国は03年度、新直轄を創設。高速道路会社は採算の取れる道路だけを建設、不採算でも必要な道路は新直轄で整備し、無料開放するよう改めた。料金収入と財政投融資資金の借り入れで不採算な高速道路を造り続けた結果、公団の借金が40兆円規模に拡大。金利負担軽減のため、国は年間2000億~3000億円の財政支援を余儀なくされていたためだ。

 ところが、「新直轄を取りやめ、これに見合う額を国が道路会社に支援する」とした今回の要望を受け入れれば、「国から財政支援された組織が高速道路を造る」という民営化前の手法に戻りかねない。道路会社が建設すると有料になる可能性もあり、国交省の高速道路無料化方針とも食い違う。国交省では「具体的に何を求めているのか、小沢(一郎・民主党)幹事長の真意が分からない」(幹部)との受け止めが大半。「参院選をにらみ、高速道路建設を望む地方に向けたアピールでは」(同)との見方も出ている。【位川一郎】

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毎日新聞 20091218日 2051分(最終更新 1218日 2320分)


高速道実験:「ETC以外も無料」前原国交相

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インタビューに答える前原誠司国交相=国土交通省で2009年12月10日、内林克行撮影

 前原誠司国土交通相は10日、毎日新聞のインタビューに応じ、高速道路無料化の影響などを調査する10年度の社会実験について「無料にするところはETC(自動料金収受システム)を使おうが現金客であろうが関係ない」と述べ、ETC機器を搭載しない車でも無料になるとの見通しを明らかにした。また、10年の通常国会に提出する考えを明らかにしていたダム事業中止に伴う補償法案については、提出時期が11年の通常国会にずれ込むとの見通しを示した。

 現行の「休日上限1000円」はETC機器搭載車のみが対象。高速道路無料の社会実験については、有料・無料区間をまたいで走る場合、ETC機器がないと料金徴収が煩雑になるため、利用対象をどうするかは明らかになっていなかった。また、前原国交相は、無料化は「通年でやる」と述べ、時期限定で実施するわけではないとした。ダム事業中止に伴う補償法案は、川辺川ダム(熊本県)を「モデルとして作成する」とした。

 同ダムは知事自ら白紙撤回を表明し、既に流域自治体でダムに頼らない治水策を協議中。ただ、「来年にならないと(流域の協議が)最終合意にはならないと思う」などとして、法案提出は「再来年の通常国会になると思う」と述べた。

 また、日本の航空業界の展望については、日本航空や全日本空輸が今後、格安航空会社(LCC)との提携などに乗り出す可能性について、「世界のすう勢を見ると、そういうオプションを持たないと経営が成り立たない」と述べ、可能性は高いとの見方を示した。前原国交相が設置した「JAL再生タスクフォース」は10月末、日航と海外LCCとの提携を提案している。【石原聖、大場伸也】

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高速無料化:実験は「混雑区間除外」 馬淵副国交相

 馬淵澄夫副国土交通相は25日の会見で、高速道路無料化へ向けた10年度の社会実験の対象区間について、「現状でも渋滞、混雑が発生しているところを選定するのは想定しにくい」と述べた。東京、大阪の近郊や東名高速道路、名神高速道路などを念頭に置いた発言とみられる。

 国交省は、(1)渋滞・混雑(2)二酸化炭素の発生(3)公共交通機関--への影響を考慮しながら、社会実験を行う区間を年内に決めるとしている。

 また、馬淵副国交相は現在実施中の「休日上限1000円」などの割引について「期限が到来して新たな仕組みができれば、それに切り替わる」と述べ、「1000円」の割引が10年度末で終了した後の割引制度について年内に決める意向を示した。【位川一郎】

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高速道路:休日割引は1月1~5日に実施日の変更検討

20091026 1811分 更新:1026 1828

 国土交通省は26日、年末年始に実施する予定の高速道路料金のETC(自動料金収受システム)搭載車対象の休日割引(上限1000円)について、実施日の変更を検討すると発表した。現在は休日に当たる12月26、27日と来年1月1~3日に休日割引を予定しているが、年末の26日から31日までを平日割引(昼間3割引き、通勤・深夜5割引き)とし、1月1~5日に休日割引を実施する。今後、国民の意見を聞きながら正式に決定する。

 12月26、27日は例年、トラックなど大型車の稼働率が高く、渋滞を防ぐために休日割引を見合わせ、平日割引とする。また、1月2、3日は例年、帰省からのUターンや年始あいさつなどで渋滞が発生しており、1~5日を休日割引とすることで交通を分散し、渋滞緩和を目指す。【大場伸也】


バス事業者:「高速無料化」反対を決議

2009107 1852

 国内のバス会社が国の運輸政策などについて話し合う全国バス事業者大会が7日、札幌市内のホテルで開かれた。土曜・休日の高速道路料金の上限1000円政策について「激しい交通渋滞やマイカーへの旅客の転移で高速バス事業は甚大な影響を受けている」と指摘。民主党がマニフェストに明記した高速無料化は「拙速な実施は高速バス事業の存立基盤を危うくするおそれがあり反対する」との大会決議を採択した。


高速無料化:「慎重な判断を」JR7社

 JR7社は2日、新政権が掲げる高速道路の原則無料化について「慎重な判断」を求める要望書を国土交通省に提出した。「休日1000円」の値下げだけで二酸化炭素(CO2)排出量が年間204万トン増えるとする試算結果も示し、環境政策上も問題があると指摘した。JR7社が連名で要望活動をするのは異例。

 財団法人「運輸調査局」が専門家の研究会でまとめた試算では、「1000円」で増えるCO2排出量は運輸部門の年間排出量の0.82%に相当すると推計。一般道の渋滞が減ることで排出量が13万トン減ることを考慮しても大幅な排出増になるとした。

 また、「1000円」で休日の高速道路の利用者数が年間36.0%増え、鉄道利用者数は6.6%減ると試算した。

 要望書は、無料化すればCO2排出量がさらに増えるとともに、鉄道、フェリー、バスなどの利用者が減り、交通体系のバランスが崩れるとの懸念を示した。【位川一郎】

毎日新聞 2009102日 1954分(最終更新 102日 2258分)


シルバーウイーク:30キロ以上の渋滞は66回高速道路

2009924 2026分 更新:924 2315

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渋滞する名神高速道路=大阪府高槻市で2009年9月19日午前9時27分、本社ヘリから三村政司撮影

 高速道路各社は24日、9月の大型連休(シルバーウイーク、19~23日)の高速道路の渋滞をまとめた。10キロ以上の渋滞が353回と予測(424回)を下回ったものの、30キロ以上の渋滞が66回と予測(35回)のほぼ倍。東北道下り佐野サービスエリア(栃木県佐野市)の約60キロを最大に上下線で50キロ前後の激しい渋滞が各地で起きた。

 今春の大型連休(GW)のうち、曜日配列が秋と同じ5日間で比較すると、10キロ以上の渋滞は今春は378回で93.4%と微減したが、30キロ以上は55回で120.0%と大幅増。期間中の1日当たりの交通量は6万2100台(GWは6万4800台)で、GW並みだった。

 現行のETC(自動料金収受システム)車を対象とした上限1000円割引が適用された。 

 ◇特に渋滞が激しかった地点◇


【下り】
21日午前9時半  東北道佐野サービスエリア  60.1キロ
          (栃木県佐野市)   
  午前11時35分 関越道花園インター    52.9キロ
          (埼玉県深谷市)
20日午前8時20分    同         51.9キロ

【上り】
22日午後5時55分 東名高速大和トンネル   55.3キロ
          (神奈川県大和市)
  午後6時50分 中央道小仏トンネル     52.7キロ
          (東京都八王子市)
21日午後10時5分 関越道鶴ケ島ジャンクション49.4キロ
          (埼玉県鶴ケ島市)


シルバーウイーク:高速道路のUターン混雑始まる

 秋の大型連休「シルバーウイーク」のUターンラッシュが22日、始まった。ETC(自動料金収受システム)搭載車の割引効果もあり、各地の高速道路ではピークを迎えた。新幹線や飛行機は23日が最も混雑しそうだ。

 日本道路交通情報センターによると、22日午後6時現在で▽東名高速道路上り・大和トンネル(神奈川県大和市)で約55キロ▽東北自動車道上り・矢板インターチェンジ(栃木県矢板市)で約41キロ▽上信越自動車道上り・藤岡ジャンクション(群馬県藤岡市)で約40キロ--の渋滞となった。

 一方、JR東日本によると、東北新幹線で午後1時17分新庄発東京行き「つばさ118号」が山形駅で自由席乗車率が110%の混雑だった。日本航空や全日空によると、22日午後と23日の東京に向かう国内線は、ほぼ満席状態という。

毎日新聞 2009922日 2042分(最終更新 922日 2117分)


高速道路料金:無料化の影響調査、環境省が着手 CO2排出量など

 小沢鋭仁環境相は19日夜のNHK番組で、高速道路無料化を実施した場合の二酸化炭素(CO2)排出量に関する調査を始めたことを明らかにした。

 小沢環境相は「国土交通省は無料化によってCO2排出量は減るとし、NGO(非政府組織)は増えるとしている。環境省としてできるだけ公平公正に(データを)持っておきたい」と話した。18日に同省に調査を命じたという。

 無料化をめぐっては、シンクタンク「環境自治体会議環境政策研究所」(東京)が、自動車の利用が増える一方、鉄道や航空機の利用が減少し、CO2排出量は年835万トン増加すると試算。国土交通省も実施前の33%にあたる年364万トン増えると推計した。いずれも、長距離での移動を対象とし、短距離は考慮していない。

 同省と国土技術政策総合研究所の別の試算では、一般道の渋滞が解消し、CO2排出量は年310万トン減るとしている。鉄道などからの振り替えは加味していない。【大場あい、足立旬子】

毎日新聞 2009920日 東京朝刊


小沢環境相:高速無料化で環境影響調査始める

2009919 2138分 更新:919 2356

 小沢鋭仁環境相は19日夜のNHK番組で、民主党が衆院選のマニフェストで掲げた高速道路無料化を実施した場合の二酸化炭素(CO2)排出量に関する調査を始めたことを明らかにした。

 小沢環境相は「国土交通省は無料化によってCO2排出量は減るとし、NGO(非政府組織)は増えるとしている。環境省としてできるだけ公平公正に(データを)持っておきたい」と話した。18日に同省に調査を命じたという。

 高速道路無料化をめぐっては、シンクタンク「環境自治体会議環境政策研究所」(東京)が、自動車の利用が増える一方、鉄道や航空機の利用が減少し、CO2排出量は年835万トン増加すると試算。国土交通省も実施前の33%にあたる年364万トン増えると推計した。いずれも、長距離での移動を対象とし、短距離は考慮していない。

 一方、同省と国土技術政策総合研究所の別の試算では、高速への移行で一般道の渋滞が解消し、CO2排出量は年310万トン減るとしている。鉄道など他の交通機関からの振り替えは加味していない。【大場あい、足立旬子】


シルバーウイーク:東海地方の道路 行楽地への車で混雑

 5連休がスタートした19日、東海地方の高速道路は、行楽地などへ向かう車で混雑した。日本道路交通情報センターによると正午現在、東名高速道路下りは岡崎インター付近で40キロ▽同上りの豊田-岡崎間で15キロ▽名神高速道路下りの一宮インター付近で10キロ--の渋滞が発生した。Uターンのピークとなる21~22日にかけても、各地で10~25キロ程度の渋滞が出る見込みだ。

 一方、JR東海によると、東海道新幹線は19、20日の午前中の指定席はほぼ満席。ピークは下りが19日午前で、上りは23日の見込みという。

 23日までに中部国際空港の国際線を利用する人は約9万7000人。出国のピークは19日で、05年の開港以来最高の約1万2700人に達する見込みだ。到着のピークは22、23日。行き先では韓国や中国などが人気という。また、台風14号により、グアム便が欠航するなどの影響が出た。【米川直己、河部修志】

毎日新聞 2009919日 1417


シルバーウイーク:各地の高速道路で早朝から長い列

2009919 1112分 更新:919 127

Pasted Graphic
「シルバーウイーク」初日の朝、渋滞する東名高速駒門パーキングエリア付近の下り線(右)。両脇は建設中の第2東名=静岡県御殿場市で2009年9月19日午前8時44分、本社ヘリから山本晋撮影

 秋の大型連休「シルバーウイーク」初日の19日、ETC(自動料金収受システム)搭載車の割引効果もあり、各地の高速道路で早朝から行楽地などに向かう長い列ができた。

 日本道路交通情報センターによると、午前11時半現在、東北自動車道下り線の国見サービスエリア(福島県国見町)を先頭に43キロ、東名高速道路下り線は岡崎インター(愛知県岡崎市)を先頭に41キロの渋滞。混雑のピークは下りが19~21日、上りが21、22日で最大50キロの激しい渋滞が予想されている。

 一方、JR東海によると、午前6時15分東京発の博多行き新幹線「のぞみ3号」で乗車率が150%に達した。混雑のピークは下りが19日、上りが23日とみられる。【堀智行】


世論調査:高速無料化に6割反対 分かれる政策評価

 民主党が衆院選マニフェストに掲げた目玉政策について毎日新聞の全国世論調査で賛否を聞いたところ、子育て支援や高校教育の無償化、温室効果ガスの削減目標には賛成が多く、高速道路の無料化には反対が6割を超えた。政権交代への期待の一方、個別政策への評価は分かれた。

 中学生以下に1人当たり月額2万6000円を支給する「子ども手当」については賛成が58%で、反対の39%を上回った。子育て世代の20~40代の支持が高く、特に30代では賛成が70%に達した。また、公立高校の授業料を無料にし、私立高校生には1人当たり年12万~24万円を助成する「高校教育の無償化」も賛成が61%に上った。20~40代の70%前後が支持したのに対し、70代以上では賛否が拮抗(きっこう)し、世代間で温度差が表れた。

 2020年までに温室効果ガスの排出量を90年比で25%削減する目標に対しては賛成が69%を占めた。麻生太郎前首相が打ち出した「90年比8%削減」に関する6月の世論調査では「妥当」が49%だった。より厳しい取り組みが必要となる民主党の目標の方が支持された形だ。

 一方、高速道路の原則無料化については賛成が33%にとどまり、反対は2倍近い63%に上った。民主党支持層でも反対が53%で賛成を8ポイント上回った。渋滞増加や過去の道路建設の借金返済に税金が使われることなどへの懸念が背景にあるとみられる。【西田進一郎】

毎日新聞 2009917日 2136


秋の連休:
旅行活況 ハワイ、アジア方面好調 高速1000円効果、近場・温泉も人気
 ◇19~23日「シルバーウイーク」実現

 祝日法の改正によって、初めての「秋の大型連休」が19~23日に実現する。5月のゴールデンウイークにちなんで「シルバーウイーク」とも呼ばれる5連休。不況のなか旅行業界や観光地は「めったにない書き入れ時」と期待を寄せる。国内、海外とも旅行の予約は好調という。【松谷譲二、馬場直子、松本光央】

 海外旅行大手のHIS(東京都新宿区)によると、近年は夏休みを9月にずらす人も多く、連休期間中のツアーはお盆期間分よりも早く予約が入り、既に完売したという。ホノルル、グアムなど一年を通じて人気がある観光地に加えバリ島、ソウル、バンコクといったアジア圏に向かう旅行者が多いという。担当者は「航空券を随時追加して仕入れているが、店頭に出しては売れ、出しては売れの状態が続いている」と話す。

 国内旅行もにぎわっている。近畿日本ツーリスト(東京都千代田区)によると、いわゆる「安・近・短」志向にかなう商品が好調で、期間中のツアーは完売状態。休日の高速道路料金割引のためか、首都圏から近い群馬や栃木などの温泉地の家族向け宿泊プランが人気を集めているという。草津温泉(群馬県)の旅館協同組合によると、加盟の約110のホテル・旅館の予約は22日までほぼ埋まっている。特に20、21日は全館満室状態という。

 日帰り圏の観光施設も混雑しそうだ。

 千葉県鴨川市の水族館「鴨川シーワールド」は5連休中の来場者数について「通常の連休より多め」の約2万人と予想する。65歳以上の入園料を半額にする特別割引を実施するなど、敬老の日(21日)にちなんだサービスを提供する予定だ。

 東京ディズニーランド(千葉県浦安市)を運営するオリエンタルランドの担当者は「秋の大型連休は初めてなので、はっきりとは言えないが、ゴールデンウイークやお盆並みの人出を予想している」と語った。

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 ■ことば
 ◇秋の大型連休

 03年施行の改正祝日法で、敬老の日が「9月の第3月曜日」になったことから今年、21日の敬老の日と23日の秋分の日に挟まれた22日が「国民の休日」となり、土日を含め5連休に。来年は敬老の日(20日)と秋分の日(23日)が離れ、しばらく秋の大型連休はなくなる。

毎日新聞 2009912日 東京夕刊


大型連休:9月の東北の高速道予測 10キロ以上渋滞23回 /宮城
 ◇ピーク下り19日、上り21~22日

 東日本高速道路東北支社は、今月の大型連休期間(19~27日)における東北地方の高速道路の渋滞予測を発表した。混雑のピークは下り方面が19日、上り方面が21~22日と予想され、10キロ以上の渋滞が23回発生する見込みだという。

 今月19~23日は祝日が重なり5連休となる、いわゆる「シルバーウイーク」で、同支社は5月のゴールデンウイーク並みの混雑を想定。ETC(自動料金収受システム)搭載車の高速料金割引の影響もあり、東北道と磐越道の合計で、10キロ以上の渋滞が下り線13回、上り線10回発生すると予測している。

 特に、30キロ以上の渋滞が、下り線では19日に安達太良サービスエリア(福島県)付近を先頭に、上り線では22日に福島トンネル付近を先頭に発生することが予想されるという。

 同支社は混雑が予想されるサービスエリアなどに、駐車場整理員を延べ1225人(1日当たり)配置し、仮設トイレも91基設置する。同支社広報課は「ゆとりある旅行計画を」と呼び掛けている。【鈴木一也】

毎日新聞 2009912日 地方版


渋滞予測:
9月の大型連休、東北道 ピーク下り19日 上りは21、22日 /岩手

 東日本高速道路東北支社は、9月の大型連休(19~27日)の東北道の渋滞予測をまとめた。混雑のピークは下りが19日、上りが21~22日で、ETC休日割引などの影響で今年のゴールデンウイーク並みの渋滞が予想されるという。【岸本桂司】

 東北道県内の渋滞予測は次の通り。

 <下り>19日午前8時~午後4時一関トンネル-築館IC(宮城)=20キロ▽20日午前9時~午後1時一関トンネル-若柳金成IC(同)=10キロ▽21日午前11時~午後2時一関トンネル-若柳金成IC=10キロ

 <上り>22日午後5時~同10時平泉トンネル-水沢IC=15キロ

毎日新聞 2009912日 地方版


高速道路料金:
無料化、容認できぬ 国交省に申し入れ、民主に陳情も--九州バス協会

 九州のバス事業者でつくる「九州バス協会」(会長、竹島和幸・西日本鉄道社長)は10日、民主党が公約する高速道路無料化について「公共交通体系が崩壊しかねない。容認できない」とする申し入れを国土交通省に行った。民主党にも陳情するという。

 申し入れ書は、「上限1000円」の割引の影響で、お盆はバス客が2~3割減り、高速が恒常的に渋滞したと指摘。「(無料化で)バスや鉄道など公共交通から自家用車へのさらなる転移が容易に推測でき、安易に実施されることは容認できない」とした。47都道府県のバス協会でつくる社団法人「日本バス協会」(東京都千代田区)は「対応を検討中」としている。【石原聖】

毎日新聞 2009911日 東京朝刊


高速無料化:「容認できぬ」九州バス協、国交省に申し入れ

2009910 2048

 九州のバス事業者でつくる「九州バス協会」(会長、竹島和幸・西日本鉄道社長)は10日、民主党が公約する高速道路無料化について「公共交通体系が崩壊しかねない。容認できない」とする申し入れを国土交通省に行った。民主党にも陳情するという。

 申し入れ書は、「上限1000円」の割引の影響で、お盆はバス客が2~3割減り、高速が恒常的に渋滞したと指摘。「(無料化で)バスや鉄道など公共交通から自家用車へのさらなる転移が容易に推測でき、安易に実施されることは容認できない」とした。

 同協会はゴールデンウイーク後の5月22日にも国交省に対し、1000円割引をお盆や平日に拡充しないよう申し入れていた。47都道府県のバス協会でつくる社団法人「日本バス協会」(東京都千代田区)は「対応を検討中」としている。【石原聖】


高速無料化:九州バス協会が「反対」/国交省に要請文

 九州バス協会(会長、竹島和幸・西日本鉄道社長)の高速バス専門委員会が7日、福岡市で定例会を開き、加盟20社から高速道路料金上限1000円が収益悪化をもたらしたと訴える声が相次いだ。これを受け、同協会は10日、民主党が掲げる高速道路無料化に反対する要請文を、国土交通省と日本バス協会に提出することを決めた。

 同委の中尾和毅委員長(西鉄常務執行役員)が「高速道路料金割引でバス事業の存続ばかりか、会社存続の危機になりかねない」と主張。西鉄は今月末から一般路線バス33路線を減便すると報告し、他社からも「運賃の値上げを検討せざるをえない」「冬のボーナスが出せない」といった切実な訴えが続出。西肥バス(長崎県佐世保市)と大分バス(大分市)は事業再生計画自体が狂ってきたと訴えた。

 民主党が導入方針を打ち出している高速道路無料化は、各社の経営に打撃を与えるのは必至で、各社が足並みをそろえ、協会として反対を表明する。宮崎交通の水間重雄取締役は「高速料金が無料化されれば、高速バスの収益で赤字路線を補てんできなくなり、過疎地のバスにまで影響が及ぶ」と話している。【綿貫洋】

200998


ルポ日本激動:
高速道無料化でフェリー死活問題「客来る理由なくなる」--明石-淡路

 民主党が目玉政策として掲げる「高速道路の無料化」が現実味を増す。自公政権が今春導入した「休日1000円」は日本の交通体系に大きな変化を及ぼしつつあるが、無料化が実現すれば、その影響は比較にならない。特に、航路の廃止や人員削減などに踏み切るフェリー業界にとっては死活問題だ。「会社はもうもたない」。現場では、不安を通り越して絶望感すら漂っている。【遠藤孝康】

 兵庫県明石市と淡路島を約20分で結ぶ明石淡路フェリー(愛称・たこフェリー)。選挙後の平日、淡路島の岩屋港に向かう船内は閑散としていた。定員は467人だが客室はがらがら。乗船した車は軽トラックなど5台だけで、あとはバイクが10台ほど乗る程度だ。

 航路と交差するように、明石海峡大橋の巨大な姿が横たわる。岩屋港の営業所長、雨堤正弘さん(57)は車が行き交う大橋を見つめていた。「橋は料金が割り引かれるのに、フェリーは支援なし。企業努力だけでは、もう太刀打ちできないよ」

 「休日1000円」といっても、影響は休日だけではない。明石海峡大橋を含む神戸淡路鳴門自動車道では、平日もETC(自動料金収受システム)搭載の全車種を対象に3~5割安くなる割引を導入しているからだ。この結果、平日でも、フェリーより最大2650円安く通行できる。

 結局、同社の売り上げは一気に半減した。「会社をやめるのは簡単やけど……」。大麻一秀社長は沈痛な表情で話す。そして絞り出すように言った。「社員約80人の雇用を守らなあかんのや」。乗組員には手当の削減やボーナス見送りが会社から提示されている。既に15人が退社した。

 船員歴20年以上の中野達也船長(43)は話す。「98年に大橋が開通した時も存続の危機はあった。それでも何とか共存してきた。でも、無料になったら、もう、客が来る理由はなくなる。将来どうなるのか。分かりません」

    ◇

 災害などの際の懸念もある。橋が不通になった場合、フェリーが代わりの交通手段になるからだ。フェリーで明石市に買い物に出るという淡路市の自営業の男性(67)は「阪神大震災の経験もある。橋が通行止めになってフェリーもなくなったらどうなるのか」と不安を口にした。

 自家栽培した野菜をトラックで明石市に届ける南あわじ市の自営業、中山洋司さん(65)は言う。「タダになれば高速を使うし、経費も浮く。でも、みんなが生きていけるように考えて政策を決めるのが政治じゃないのかな」

毎日新聞 200997日 大阪朝刊


高速無料化:客足遠のく国道沿い 利用者増でPAは増収

200996 926分 更新:96 1043

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早々と営業時間を終え、食器を片づける佐々木清高さん、悦子さん夫妻=秋田県由利本荘市松ケ崎で2009年9月3日午後3時すぎ、渡辺暢撮影

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日本海沿岸東北自動車道の有料区間と無料区間

 窓から小さな灯台が見える。日本海に面する秋田県由利本荘市。国道7号沿いで佐々木清高さん(67)が経営する老舗食堂「港ドライブイン」は、毎日午後3時には早々と店を閉める。「開けてもお客が来ないから」。妻悦子さん(65)が食器を片づける手を止めてぼやいた。

 秋田国体が開かれた2年前、国道7号と並行して高速道路が開通。秋田市内から南へ延びる有料の「日本海沿岸東北自動車道」(日沿道(にちえんどう))の一部だが、国と県が費用を負担する「新直轄方式」で建設されたため岩城インターチェンジ(IC)から本荘ICまでの21.6キロの通行料は無料。民主党が掲げる「高速無料化」が一足先に実現した格好だ。

 「以前は国道を渡るのが難しいくらい車が多かったのに」。国土交通省によると、無料区間開通後の国道の交通量は1日2万台から半減した。「店に寄りたかったけど高速行っちゃってたよ」。久しぶりに顔を出した常連客がこんな言い訳をすることもある。

 外国航路の船員だった清高さんが40歳前に退職金をつぎ込み店を開いて30年。バブルが終わるころまでは、海水浴客の多い夏場は朝7時から夜10時まで店を開けた。最盛期には1日約500人の客でにぎわい、従業員3人に加え、アルバイトを8人も雇っていた。

 ところが、国道沿いにコンビニエンスストアが増えると、同業者は次々と店を畳んだ。無料区間開通で客足はさらに遠のき、1日30人を切ることも。清高さんは「こんなことになるとは思わなかった」とあきらめ顔だ。

 無料区間を北上すると岩城ICから北は有料となる。車は次々と日沿道から国道7号へ降りて秋田市方面を目指す。高速を北上するのは、2割程度しかない。

 「えっ、そうなったら大変だわ」。有料区間を避けた車が行き交う国道7号沿いのラーメン店「喜怒哀楽」。店を切り盛りする今野保子さん(57)は、民主党の公約を知らなかった。

 不況のせいか、今年初めは売り上げが落ち込んだ。ようやく立ち直りかけてきたところに誕生する民主党政権。客の多くは、国道を走るドライバーだ。有料区間が無料化されれば、結果は港ドライブインを見るまでもない。「その公約、止まらないですかねえ」と、困惑の表情を浮かべた。

 衆院選公示前の8月1日、川崎市と千葉県木更津市を結ぶ「東京湾アクアライン」はETC(自動料金収受システム)搭載車の場合、普通車通行料が2320円から800円に値下げされた。8月の交通量は前年比で58%増加した。

 人工島から東京湾360度の眺望が楽しめる「海ほたるパーキングエリア(PA)」。平日もにぎわい、休日には駐車待ちの列が本線まで延びる。テナント店の8月の売り上げは前年比2~3割アップした。値下げの恩恵を受けた「勝ち組」だ。

 千葉県富津市で創業150年の伝統を誇る「かぢや旅館」も値下げで8月の宿泊客が前年より1割ほど増えた。それでも、黒川治雄社長(69)の表情はさえない。富津と神奈川県横須賀市を35分で結ぶ東京湾フェリーが、平日は3割以上減収という打撃を受けたからだ。

 「うちはフェリーとともに歩んできた」。地元の景勝地の鋸(のこぎり)山を訪れる観光客には高齢者も多い。「フェリーが減便したら、車を使えない人が来にくくなる。船旅を楽しみにしている人も多いのに」

 人やモノの流れを大きく変える高速道路の無料化。現実になれば、後戻りはできない。公約への期待と不安は高まっている。【渡辺暢、伊澤拓也】

 ◇ことば 高速道路無料化


 民主党が衆院選マニフェストで掲げた柱の一つ。高速道路を原則として無料化することで流通コスト引き下げや地域経済の活性化、渋滞の解消などを目指すとし「最大で7.8兆円の経済波及効果」と説明している。一方で、フェリーや鉄道など競合する交通機関の収益悪化や、料金所など道路会社職員の雇用問題、車が殺到して渋滞が増えることで二酸化炭素(CO2)排出量増加を懸念する声もある。


三重県知事:高速道の無料化「環境面考慮も」

 三重県の野呂昭彦知事は4日の定例会見で、民主党がマニフェストで掲げた高速道路無料化について「渋滞や環境問題などデメリットも指摘されている。慎重に検討したうえで決めていくのがよいのではないか」と、無料化の影響の十分な検証を求めた。

 野呂知事は「無料化すれば(県南部の)東紀州地域の人出にかなり影響があるだろう」と、観光客の増加に期待を示した。一方で「東名阪自動車道の渋滞がさらに激しくなる可能性がある」と指摘した。【岡大介】

毎日新聞 200995日 中部朝刊


交通渋滞予測:今月連休、GWより 中国道・宝塚で50キロ--西日本高速

 西日本高速道路会社は4日、9月の大型連休期間(19~27日)の高速道路の渋滞予測を発表した。ピークは下りが19日、上りが22日。今年3月から大都市以外の区間で導入している、土日祝日に乗用車の通行料金を上限1000円とする特別割引を受けて、10キロ以上の渋滞は今春の大型連休期間中の115回を上回る129回発生すると予測。分散利用を呼びかけ、休憩所での整理員配置や仮設トイレ設置の対策を講じる。

 主な長い渋滞は、下りが中国自動車道・宝塚東トンネルで19日に50キロ▽山陽道・福山サービスエリア(SA)で19日に30キロ。上りは山陽道・宮島SAで22日に40キロ▽名神高速道路・京都東インターチェンジ(IC)で19日に30キロ。本州四国連絡高速道路会社と阪神高速道路会社では、神戸淡路鳴門道・淡路ICで22日に40キロ▽阪神高速神戸線・深江付近で22、23日に30キロ、いずれも上りで渋滞が発生すると予測している。【清水直樹】

毎日新聞 200995日 大阪朝刊


玉野市:
フェリー支援、利用者に商品券を無料配布 土日祝日、実質980円 /香川
 ◇値下げ分と合わせ

 高速道路料金のETC割引に対抗するため、岡山県玉野市は5日から、宇野(同市)-高松を結ぶフェリー利用者に、同市内で使える商品券を無料で配る。フェリー2社も同日、運賃を引き下げる。民主党は高速道路無料化をマニフェストに掲げており、視界不良が続くフェリー業界だが、関係者は「利用客離れを食い止めたい」と望みをかけている。

 値下げ分と商品券を合わせると乗船料は実質980円で、瀬戸大橋(児島-坂出北)より20円安くなる。市はフェリー支援と観光客誘致のため、「商品券配布を決めた」としており、商品券は主に市内店舗で利用できる。対象は、土日祝日の宇高航路利用者で、片道で普通車1500円分、軽自動車1000円分を配る。期間は5日から来年2月末まで。国道フェリー(高松市)、四国フェリー(同)も同日から、土日祝日は片道で普通車2480円、軽自動車1980円に値下げする。

 商品券のデザインは、玉野市出身の漫画家、いしいひさいちさんが手がけた。市は1日当たり約400台の利用を見込んでおり、6月議会で予算約3400万円を議決。このうち、約3000万円分をフェリー利用者に配布する予定。予算がなくなり次第終了する。

 市商工観光課は「高速道路無料化がいつ始まるかわからないが、2月まではこれで進めたい」と話している。【椋田佳代】

毎日新聞 200995日 地方版


石田・西日本高速会長:高速の無料化反対「新政権に伝える」

 西日本高速道路会社の石田孝会長は3日の会見で、民主党が公約に掲げた高速道路の料金無料化について「新政権の大臣に高速道路会社の考え方を伝える場を持つことが望ましい」と述べ、東日本と中日本を含めた高速道路3社のトップとともに新政権の国土交通相を訪れ、無料化見直しを訴える考えを示した。石田会長はこれまでも高速道路の無料化について「受益者負担の原則に合わない」などとして、反対の姿勢を示してきた。【清水直樹】

毎日新聞 200994日 大阪朝刊


09衆院選:高速道路無料化、「日沿道が心配」 大館市長が懸念 /秋田

 大館市の小畑元市長は2日の会見で、民主党中心の連立政権発足の見通しとなったことについて感想を述べた。高速道路料金の段階的な無料化方針については「ネットワークができている首都圏では無料化は喜ばれるだろうが、現在工事中の日沿道(日本海沿岸東北自動車道)の大館市などの工事が果たして完成されるのか心配だ」と懸念を示した。【村川幸夫】

毎日新聞 200993日 地方版


日本が変わる:高速道路無料化、民主案(その1) 一部有料へ国交省模索
 ◇「最強布陣」で複数案準備

 「鳩山(由紀夫)代表に次官がごあいさつしたいと申しております」。国土交通省は1日に民主党側に申し入れた。2日現在まだ実現していない。

 7月24日付で同省事務次官に就任した谷口博昭氏は省内で「ミスター道路」と呼ばれる。道路局長経験者であり、自民党道路族の古賀誠元幹事長や二階俊博経済産業相とのパイプも太い。高速道路の無料化を目玉政策に掲げた民主党との公式接触だけに、国交省は面会の行方に神経をとがらせている。

 「新しい大臣には渋滞や競合する交通機関への影響もご説明し、指示を仰ぎたい」。谷口氏は8月31日の記者会見で高速無料化への対応についてそう答えた。簡単に実現できる政策ではないとの認識が言外ににじんだ。

 ただ、国交省は政権交代が現実味を増してきたころから、無料化への現実的な対応策を検討してきた。特に所管の有料道路課を軸に夏の定期異動を極力抑え、「考えられ得る最強の陣形」(道路局幹部)を敷いた。中堅職員の一人は「いろいろとシミュレーションして、A案からD案くらいまで複数考えている」と証言する。

 ベースになるのは自公政権が今春導入した「休日1000円」の効果と影響を分析したデータだ。東京から100キロ圏内の高速道路を無料にしたら交通がまひしてしまうとして、現実的な有料区間の設定を探る。別の幹部は「いきなりやれと言われても無理なので、こういう環境整備が必要ですとご進講しないといけない」と軟着陸を目指している。

 一方、小泉改革で民営化された高速道路会社は危機感を募らせている。民主党は首都高速と阪神高速を無料開放の対象外にする方針だが、その他の東日本、中日本、西日本の道路3社は料金収受にあたっている社員、パートら1万6000人の雇用問題に直面する。組織の解体にもつながりかねない。

 現場では既に「職を失う」と動揺が起きている。このため、東日本道路は衆院選翌日の先月31日朝、定例の役員会議で「お客さんへのサービスに専念するように」との八木重二郎会長(新日本製鉄出身)のメッセージを全社員に送ることも検討した。「新政権に誤解されてはまずい」との判断で見送られたが、無料化が高速道路会社にとって死活問題であることは変わりない。

 八木会長「高速道路は時速100キロの特殊な空間。(無料化で)安全を長期・安定的に確保できるのか」

 西日本の石田孝会長(神戸製鋼所出身)「無料化したら渋滞が激化し緊急医療の一助になるという社会的使命が果たせなくなる」

 道路3社の会長は7月から8月にかけ、一斉に無料化の問題点を指摘する論陣を張った。

 道路会社首脳は「社員一人一人の雇用がかかっている。新しい国交相が決まったら、3社の会長との対談の場を設けてほしい」と話している。

毎日新聞 200993日 東京朝刊


日本が変わる:高速道路無料化、民主案(その2止) 公平性に疑念も

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 <1面からつづく>
 ◇返済の原資、通行料から税金に

 民主党が高速道路の無料化公約に踏み込んだのは、(1)生活コスト・企業活動コストが下がる(2)地域間交流が活発になり経済が活性化する--などが主な理由だ。国土交通省の資料を引用して、無料化に伴う経済波及効果は、「最大で7・8兆円に上る」と主張している。

 現在の高速道路の枠組みは、旧日本道路公団などが民営化した05年10月に出来上がった。道路資産と過去の建設でかさんだ借金は独立行政法人の「日本高速道路保有・債務返済機構」が引き継ぎ、道路の維持・管理は民営化した六つの道路会社が担う「上下分離方式」だ。

 高速道路の料金収入は6社合計で年間約2兆3000億円(08年度)。このうち維持・管理費を除いた約1兆8000億円が、道路会社から機構に道路のリース料として支払われている。機構はこのリース料を借金(08年度末で約31兆円)の返済に充て、45年計画で2050年に完済する方式が採用された。

 これに対し、民主党は機構の借金を国に付け替えることで高速料金を段階的に無料にする方針。高速道路は国有になり、機構は廃止される。道路会社は統合した上で管理、建設などの機能ごとに分割する案を示している。料金収入がなくなるため、過去の借金は国が税金で支払うことになるが、45年を60年に延ばして年1・3兆円ずつ返済する。

 無料化スキームの策定にあたった民主党の馬淵澄夫衆院議員は「受益者負担の原則は土日1000円ですでに壊れている。無料化の経済効果で税収も増える」と主張する。高速道路を有効活用することで、むだな一般道を建設する必要もなくなるという。

 四方が丸く収まる「魔法の政策」のようにも見えるが、無料化への批判は根強い。8月31日のテレビ番組で、連立政権に参加する予定の福島瑞穂・社民党党首は、渋滞や二酸化炭素(CO2)排出量の増加を懸念した。民主党の岡田克也幹事長は「地方では(高速道路が)有料であるために、一般道が使われる。その方が効率が悪くて、ガソリンもたくさん消費している」と反論した。

 借金返済の原資が通行料から税に置き換わるため、高速道路を使わない人の負担は増える。道路会社幹部は、「首都高速、阪神高速が有料のままなら、料金の一部が地方の維持管理費に回る。首都高、阪高を使う人は納得するだろうか」と、公平性への疑念を指摘する。

 ◇JR輸送量減、一層渋滞の恐れ 「国民経済にロス」


 麻生政権下の「休日1000円」は5月の大型連休とお盆の大渋滞を招いた。無料化されれば一層渋滞が増す。早稲田大商学学術院の杉山雅洋教授は、無料化すると道路の需要がコントロールできなくなるとして「経済学者は無料化にくみしない人が圧倒的に多い」と話す。

 高速道路に乗客を奪われるフェリー業界では、選挙結果を受けて悲鳴が高まるばかりだ。神奈川県横須賀市と千葉県富津市を結ぶ東京湾フェリー(横須賀市)では「休日1000円」が始まった3月末以降、利用台数が前年同月比約3割減った。基本運賃は3880円だが、8月1日には川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインの通行料金が平日も含め普通車3000円から800円に引き下げられ、収益環境がさらに悪化した。

 同社の島崎敏行総務部長は「道路会社には値下げを国が補てんするが、海の道路のフェリーには何も支援がない」と憤慨する。日本旅客船協会によると、3月以降、瀬戸内海で就航しているフェリー3社の3航路が廃止されたという。

 JR各社の輸送量も3月の高速値下げ後、前年同期比で1割減になり、急速に悪化している。8月31日に就任したJR西日本の佐々木隆之社長は記者会見で「高速道路を無料化すれば、交通機関別のシェアが変わり、国民経済的に大きなロスだ」と問題点を突いた。

 無料化への流れは意外な余波も生んでいる。ETC(自動料金収受システム)人気に変化の兆しが見えてきたのだ。

 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、「休日1000円」の効果で今年1~7月のETC車載器の国内出荷数は前年同期の約2倍。現在も三菱電機など車載器メーカーは「フル生産」状態だ。ところが、埼玉県内のトヨタ自動車系ディーラーの営業担当者は「お盆明け以降、問い合わせがなくなった。『民主党政権で無料化になるなら取り付けても仕方がない』という声を聞く」と語る。

 「無料化したら二度と戻せない」(国交省幹部)だけに、無料化が日本の交通体系に与える影響は甚大だ。「国有化するなら、民営化の時の民営化委員会のように、有識者を集めた『国有化委員会』ができるんじゃないか。議論は何年もかかるだろう」と道路会社幹部の一人は予想する。【位川一郎、谷川貴史、石原聖、大場伸也】

毎日新聞 200993日 東京朝刊


ドキュメント・政権交代:知事や業界、注文続々 高速無料化は段階的に
 ◇高速無料化は段階的に 普天間県外移設、実現は--民主の主張

 衆院選での民主党大勝で新政権発足のカウントダウンが始まった31日、「公共事業費削減」や「高速道路無料化」などの公約が直結する首長や業界関係者らは、一斉に注文や要望を掲げた。

 ●苦境の「運輸」は

 高速道路料金割引で利用者の激減など深刻な影響を受けている運輸業界は、原則無料化を掲げる民主に対し、そろって厳しい注文をつけた。

 九州発着の長距離フェリー各社でつくる九州長距離フェリー協議会の米田真一郎会長は「原則無料化は、他の交通機関への影響を配慮しながら段階的に進めてほしい。低炭素社会実現の観点から、(自家用車から公共交通機関へ利用転換する)モーダルシフト法の制定など、強力な物流施策を期待する」とのコメントを発表した。

 高速道路料金割引に対抗し、9月の5連休に一部高速バスの30%値下げに踏み切る西日本鉄道の竹島和幸社長は「バラマキによる目先の効果追求でなく、日本の将来の発展を十分考慮した政策をお願いしたい」と訴えた。

 ●見え始めたズレ

 在日米軍基地を抱える自治体も、民主政権への期待と不安が交錯している。

 日米両政府が合意した米軍普天間飛行場の県内移設問題を抱える沖縄県。民主党県連役員は31日、那覇市内で会見し、党本部と同様に県外移設を求めていく考えを改めて示した。ただ、現実に政権政党となったことで、その実現性を巡り、微妙なズレも見え始めた。

 普天間飛行場は日米両政府が06年、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設で合意。県と市は建設地の沖合移動を求めている。

 沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は「移設は政府が事業者。民主党がどういう立場で臨むのか、考えを聞きたい」と出方を見極める考え。同党がマニフェストで日米地位協定の「改定を提起」と明記したことについては「前進するよう期待している」と述べた。

 ◇「東九州道は不可欠」--麻生知事


 全国知事会長の麻生渡・福岡県知事は、民主党がマニフェストに盛り込んだ地方の自主財源増加や国と地方の法定協議会設置などに触れ「地方に財源を渡し、考えてもらうスタイルに変えようとしている」と期待を寄せた。

 ただ、公共事業費削減方針にはくぎを刺し、「高速料金を無料にすると、東九州自動車道を建設している西日本高速道路は新たな投資ができなくなる。九州全体の発展には不可欠な道路だ」と警戒感を示した。

 衆院選出馬騒動があった東国原英夫知事・宮崎県知事は「私が総裁選のあり方などについて提案した時に自民は変わらなかった。あの時変わっていれば大敗はなかったかもしれない」と未練節も。

毎日新聞 200991日 西部朝刊


夏の総決算:夏物商戦盛り上がらず 高速割引で車利用増加

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混雑する東京湾アクアラインの「海ほたる」=千葉県木更津市沖で2009年8月1日午後6時9分、本社ヘリから手塚耕一郎撮影

 8月も残り3日。終盤を迎えたこの夏は、長雨や日照不足で野菜類の価格が高騰し、夏物商戦も盛り上がらなかった。新型インフルエンザの流行も暮らしにじわりと影響を与えている。一方、ETC(自動料金収受システム)を対象にした高速道路の大幅割引で行楽や帰省にマイカーを使う人は大幅に増えた。去りゆく夏を振り返ると--。

 ◇レジャー


 ETC効果で国内レジャーはマイカー利用が「独り勝ち」。お盆期間の高速道路の交通量は前年より14%増加し、30キロ以上の渋滞も2.3倍に増えた。

 これに対し、JRグループ6社の7月17日~8月18日の利用者数は前年比90%で、過去最大の落ち込み。JR東日本は「不景気と天候不順が響いた。ETC割引の影響もあるだろう」と分析する。空の便も低調で、お盆期間の利用者が10%減った全日空の担当者は「車で行ける場所を選んだ人が多かったのかも」と話す。

 千葉県鴨川市の水族館「鴨川シーワールド」は、入館者数が前年より6%増えた。広報担当者は「8月からETC車が東京湾アクアラインを800円で走れるようになった効果では」とほくほく顔。

 同じ千葉県でも勝浦市の海水浴場では、雨が多かった7月中の人出が約4万人と前年より4割も減った。8月以降はやや持ち直したものの、同市観光課は「雨にたたられた」と恨み節。

 ◇食


 野菜価格の高騰は家計を直撃した。農水省の17~21日の調査では、レタスは例年より6割高(1キロ当たり642円)▽ジャガイモは5割高(同422円)▽タマネギは3割高(同267円)。

 日本一のレタス生産量を誇る長野県川上村を抱えるJA長野八ケ岳の三石博之・農業部次長は「7月は長雨と日照不足。今は逆に干ばつ気味でダブルパンチ」と話す。県園芸畜産課などによると、レタスやキャベツなど露地栽培の野菜に特に影響が出ており、7月後半からの収穫量は平年の約3割減だという。

 コメどころ新潟県の水田では、稲穂がほぼ出そろい、実りの季節に入る。県農林水産部によると、お盆時期に晴天が続いたものの、気温が上がらなかったため、平年と比べ実がつくまで時間がかかりそうだという。

 ◇商戦に異変


 家電販売はエコポイント導入の効果が期待されたが、冷夏と不況でエアコン販売が伸び悩み、苦戦を強いられた。ビール類やアイスクリームなど定番商品の売り上げも落ち込む中で、特需に沸いたのが新型インフルエンザの感染予防商品だ。

 明治製菓(東京都中央区)では、うがい薬の注文が8月中旬から前年比5倍と急増。広報室は「秋から冬にかけてさらに流行が予想されるので、品薄にならないようにしたい」と話す。大幸薬品(大阪府吹田市)では、空気中に低濃度の二酸化塩素を発生させ、ウイルスを除去する製品が好調。7~9月の売り上げを前年比7.7倍と予測したが「これを上回る出荷状況で、在庫はほぼゼロ」(広報担当者)という。

毎日新聞 2009829日 1351分(最終更新 829日 1812分)


Uターン:各地の高速道路や成田空港はピークに 

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Uターンラッシュで渋滞する中央自動車道上り線=山梨県上野原市で2009年8月15日午後6時37分、本社ヘリから武市公孝撮影

 お盆を故郷などで過ごした人たちのUターンラッシュは15日、各地の高速道路でピークを迎えた。新幹線や飛行機は16日が混雑のピークになりそうだ。

 日本道路交通情報センターによると、15日午後8時現在、一部区間が通行止めとなった東名道の迂回(うかい)路となった中央道は約15キロの渋滞。東北道や常磐道の上り車線はそれぞれ約35キロの渋滞が発生した。

 一方、成田国際空港の帰国ラッシュもピークを迎え、この日だけで約4万3000人が帰国した。【松谷譲二、駒木智一】

毎日新聞 2009815日 2139分(最終更新 815日 2157分)


高速道料金:中央道へ迂回も1000円 4日間 地震で

 駿河湾を震源とする11日朝の地震で路肩の一部が崩落した東名高速道路で中日本高速道路は12日、通行止め区間を迂回(うかい)し、中央道などに乗り直しても、6時間以内であれば八つの乗り継ぎルートに限りETC(自動料金収受システム)車が高速に2度乗ったとカウントしないよう調整すると発表した。対象期間は13~16日。

 八つの乗り継ぎルートは▽御殿場IC(東名)-須走料金所(東富士五湖道)▽清水IC(東名)-増穂IC(中部横断道)▽富士IC(東名)-増穂IC▽西富士料金所(西富士道路)-増穂IC▽富士IC-河口湖IC(中央道)▽西富士料金所-河口湖IC▽富士IC-甲府南IC(中央道)▽西富士料金所-甲府南IC。

毎日新聞 2009812日 2217分(最終更新 813日 043分)


帰省ラッシュ:東名高速避け激しい渋滞 新幹線も混雑

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渋滞する中央高速下り線八王子料金所付近=東京都八王子市で2009年8月12日午前11時7分、本社ヘリから武市公孝撮影

 お盆休みの帰省や旅行などで各地の高速道路は12日、混雑が続いた。静岡県で震度6弱を観測した地震で東名高速道路の一部区間が通行止めになった影響で、東名高速を避けた車が流れた中央自動車道や周辺の一般道は激しい渋滞となった。

 日本道路交通情報センターによると、12日午前に関越自動車道下り線で最長33キロ、中央道下り線で上野原インターを先頭に31キロの渋滞が発生した。ETC(自動料金収受システム)搭載車の料金割引となる13、14日にピークを迎え、関越道や東北自動車道、中央道の下りで最長45~50キロの渋滞が予想され、東名通行止めの影響で中央道ではさらに激しい渋滞となる恐れもある。

 一方、東京駅も家族連れなどで混雑した。JR東日本などによると、東京発博多行き東海道新幹線「のぞみ7号」、東京発盛岡行き東北新幹線「やまびこ59号」が12日、いずれも乗車率130%に達した。13日にピークを迎える東北新幹線は多くで乗車率が100%を超え、東海道新幹線も各地で混雑が予想されている。【袴田貴行、樋岡徹也】

毎日新聞 2009812日 2021分(最終更新 812日 2233分)


高速道無料化:東日本高速道路会長、管理体制などで注文

2009812 185

 東日本高速道路の八木重二郎会長は12日、民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた高速道路の原則無料化について、実施する場合は(1)安全面などでの総合的な管理体制(2)料金収受員の雇用問題--に留意してほしいと記者団に述べた。

 八木会長は「高速道路は時速100キロのスピード空間で、一般道とはまったく異なる。私どもは365日24時間(安全のために)対応している」と強調。点検・補修などを含む維持管理に東日本、中日本、西日本の高速道路3社で年4300億円がかかっているとして、無料化で国に管理が移っても組織、費用の両面で運営体制が維持されるよう求めた。

 また、3社で約1万6000人の料金収受員がいることから、「雇用のあっせんを政府にきめ細かくやってもらわなければならない」と指摘した。【位川一郎】


1000円高速:マイナス面の試算も必要 国交省次官

 国土交通省の谷口博昭事務次官は10日の会見で、高速道路料金の「休日上限1000円」などの割引について、「プラスの効果だけでなく、負の側面も含め総合的に検討する必要がある」と述べた。同省は値下げにより、2年間で観光消費額が7300億円増えるなどのプラス効果があるとしていたが、渋滞などマイナス面の試算はしていなかった。

 値下げによる渋滞や新幹線の利用減でゴールデンウイークに東京-名古屋間で5億円近い社会的損失が出た、とする試算を有村俊秀・上智大准教授らがまとめたことに関連して述べた。民主党の高速道路無料化案も念頭に、課題を指摘したとみられる。【位川一郎】

毎日新聞 2009810日 1811


1000円高速:損失5億円 渋滞や新幹線利用減

200988 230分 更新:88 1329

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「休日1000円乗り放題」が始まり初の大型連休を迎え、渋滞する東名高速道路下り線=愛知県岡崎市で2009年5月2日、兵藤公治撮影

 高速道路料金を上限1000円に割り引く制度で、東京-名古屋間では今春の大型連休(4月25日~5月6日)に最大で5億円近い社会的損失が生じたとの試算を、有村俊秀・上智大准教授と岩田和之・日本学術振興会特別研究員がまとめた。渋滞による移動効率悪化や東海道新幹線の利用者減が主な要因という。二酸化炭素(CO2)排出量も昨年同期に比べ5割以上増えた。制度はお盆期間の平日も実施中だが、地球温暖化と経済対策の両面で検証を迫られそうだ。

 分析は東名高速を対象に実施。プラス効果では、割引の東名高速を昨年同期比6%増の111万7200台が利用したことで、利用者は計25億4200万円の得をした。

 最もマイナス影響を及ぼしたのは渋滞による時間ロスだ。10キロ以上の渋滞が昨年同期の39回を上回る82回発生。車1台の移動にかかる1分当たりのコストを約40円とした国土交通省の「費用便益分析マニュアル」などに基づき、昨年同期比で19億4700万円の損失と分析した。ガソリン代の支出増や同区間の新幹線の利用者減などで、マイナス分は30億1300万円となった。その結果、制度による社会への影響は4億7100万円のマイナスと見積もった。

 さらに、渋滞時の速度が時速40キロになったと仮定すると、ガソリン消費量は2353キロリットル増えた。それに伴いCO2排出量は昨年同期より、1000世帯の年間排出量に相当する5500トンが上乗せされたことになる。

 有村准教授は「全国でみれば、損失はさらに膨らむだろう。高速道路の無料化が議論されているが、混雑が生じる可能性のある区間や時間帯には適切な料金設定が必要だ」と話す。【大場あい】


高速道路料金:「1000円」平日スタート

 休日に限られていたETC(自動料金収受システム)を搭載する乗用車の高速料金割引(上限1000円)が6日から平日にも拡大された。首都圏、関西圏を除き、今週と来週は、木、金曜日(6、7、13、14日)も同額となる。6日は10キロ超の渋滞が各地で発生した。高速各社によると、通常の平日と比べて交通量が増えたが、予想した「例年の2倍程度」までの混雑には至らなかった。

 日本道路交通情報センターによると、6日の渋滞は正午までに発生。10キロ超は、東京外環道内回り新倉PA(埼玉県和光市)付近で約14キロなどだった。渋滞のピークは下りが13~14日、上りが14~16日。予想される渋滞の最長は下りが13日午前9時の中国道宝塚東トンネル付近(兵庫県宝塚市)の約65キロ、上りが14日午後6時と15日午後4時の東北道矢板IC付近(栃木県矢板市)の約50キロ。

毎日新聞 200987日 東京朝刊


高速料金:上限1000円、6日から平日にも適用

 休日に限られていたETC(自動料金収受システム)を搭載する乗用車の高速料金割引(上限1000円)が6日から平日にも拡大された。首都圏、関西圏を除き、今週と来週は、木、金曜日(6、7、13、14日)も同額となる。6日は10キロ超の渋滞が各地で発生した。高速各社によると、通常の平日と比べて交通量が増えたが、予想した「例年の2倍程度」までの混雑には至らなかった。

 日本道路交通情報センターによると、6日の渋滞は正午までに発生。10キロ超は、名神高速上り線茨木インター(IC、大阪府茨木市)付近で約20キロ▽中国道下り線宝塚IC(兵庫県宝塚市)付近で約18キロ▽東京外環道内回り新倉PA(埼玉県和光市)付近で約14キロなどだった。首都高など割引対象外の都市部の高速は、例年よりやや混雑した程度だったという。

 渋滞のピークは下りが13~14日、上りが14~16日。予想される渋滞の最長は下りが13日午前9時の中国道宝塚東トンネル付近(宝塚市)の約65キロ、上りが14日午後6時と15日午後4時の東北道矢板IC付近(栃木県矢板市)の約50キロとなっている。【石原聖】

毎日新聞 200986日 2058


夏休み調査:1000円高速効果? 「帰省」2位浮上

 明治安田生命保険が6日発表した「今年の夏休みの過ごし方」アンケートの結果によると、「実家に帰省する」とした回答の割合が39.8%と昨年(27.1%)から大幅に増えた。同社は「節約志向を反映し、ETC(自動料金収受システム)搭載車向けの高速道路料金割引を利用し、宿泊費も食費もかからない実家に戻る人が増えた」と分析している。

 夏休みの過ごし方はトップの「自宅」(66.2%)に次いで、「実家に帰省」が昨年の3位から2位に上昇。昨年2位の「国内旅行」は35.8%と3位に落ちた。4位以下は、「アウトドア」「遊園地・テーマパーク」「海外旅行」の順。海外旅行は原油高の直撃を受けた昨年に続いて低調だった。

 帰省の交通手段は「高速道路」が52.1%と最も多く、「新幹線」(14.7%)、「飛行機」(13.5%)を引き離した。

 夏休みの平均日数は7.7日と昨年より1.2日増えた。不況による雇用調整も影響したとみられる。調査は7月中旬、全国の20~59歳の男女1250人を対象にインターネットで実施した。【宇都宮裕一】

毎日新聞 200986日 1853分(最終更新 86日 1938分)


社説:09衆院選 高速道料金改革 潮流が見えているか

 国際的に高い高速道路料金について、自民、民主両党はそれぞれ見直しを掲げている。自民党は今春から、2年間限定でETC(自動料金収受システム)車載器をつけた乗用車だけが対象の「休日一律1000円」に踏み切った。民主党は「全日、全車両の無料化」を公約している。

 いずれも巨額の財政負担を伴う。年間で自民党は2500億円、民主党が1・3兆円。民主党の場合、過去の高速道建設でふくらんだ借金を国が全額引き継ぎ、国庫から毎年約1・3兆円ずつ60年かけて返さなくてはならない。直接利益を受ける利用者だけでなく、国民すべてに負担してもらう方式への大転換だ。ただ、工業製品や農漁業産品などの物流の費用を軽減させ、観光や地域の活性化にだけ目を向けるならば、民主党の公約のインパクトは大きい。休日・平日を区別せず、すべての車が対象なのもわかりやすい。

 高速道無料化は、03年11月の総選挙で民主党が初めて公約に掲げた。その当時、私たちは族議員や天下り公務員が影響力を持つ道路行政を改革し、経済的メリットも大きいため「新鮮な提案」と支持した。だが、その後、時代の流れが大きく変化したことも無視できない。

 地球温暖化防止に向けて二酸化炭素の排出を減らすという課題は、6年前にはない切迫感を伴っている。日本は低炭素社会実現のモデルとなるべき立場でもある。こうした大状況の中で、二酸化炭素を大量に出す自動車の利用を全国津々浦々、365日奨励する政策は、世界の潮流をきちんと受け止めているだろうか。

 自民党の「休日一律1000円」は、副作用を予測するうえで参考になる。フェリー路線は需要の急落で減便に追い込まれているが、さらに大きな打撃を受けるだろう。4~6月期決算が減収減益だったJR各社の経営も一段と圧迫されそうだ。船舶も鉄道もエネルギー効率が高い、低炭素型の交通手段なのにである。

 21世紀の日本の社会を見据えた交通体系を描くなら、自動車を運転しない、できない「交通弱者」の増加への配慮が欠かせない。縮小を続けている地域のバス路線の維持や、次世代路面電車(LRT)の導入を促す大胆な支援を考えてほしい。究極の低炭素型である自転車の利用を、大都市などで後押しする施策も求められるだろう。

 高速道無料化を歓迎する人は多い。とはいえ、環境問題や社会構造の変化を思えば「バラ色の政策」と考える人は少ないだろう。リスクの高い政策と認識したうえで、次につながる選択をしたいものである。

毎日新聞 200984日 009


東北道:パンク修理中の2人死亡 大型トラックにはねられ

 1日午前4時20分ごろ、岩手県金ケ崎町六原の東北自動車道北上金ケ崎-水沢インター間の下り線で、路肩に停車しパンク修理をしていた、さいたま市緑区大間木、バス運転手、河野剛さん(41)と同区山崎、無職、有賀喜平さん(67)が、後ろから来た秋田県由利本荘市石脇、運転手、高野孝容疑者(40)の大型トラックにはねられ、頭を打って死亡した。岩手県警高速隊は、高野容疑者を自動車運転過失致死容疑で現行犯逮捕した。

 同隊の調べでは、河野さんは有賀さんの娘婿で、家族6人が乗用車2台に分乗し、青森県に帰省途中だった。河野さんの車がパンクし、有賀さんも別の車から降りて2人でタイヤを交換していたとみられるという。

 事故の影響で、東北自動車道は現場付近が約6時間通行止めになった。【山口圭一】


毎日新聞 200981日 1106分(最終更新 81日 1254分)


アクアライン:値下げ効果さっそく 海ほたるPAにぎわう

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東京湾アクアラインの「海ほたる」=千葉県木更津市沖で2009年8月1日午後6時9分、本社ヘリから手塚耕一郎撮影

 東京湾アクアライン(川崎市-千葉県木更津市)で1日、ETC(自動料金収受システム)を搭載する全車種の通行料値下げが始まった。普通車はこれまでの平日2320円、休日1000円が、毎日800円に(ETC未搭載車は3000円)。東京湾に浮かぶ、海ほたるパーキングエリア(PA)は終日、家族連れなどでにぎわった。

 値下げは観光や物流の活性化を図る千葉県の社会実験で、11年3月までの期間限定。大型車も3830円から1320円に引き下げられた。

 アクアラインの08年度の1日平均通行台数は2万722台だったが、県は今回の値下げで2万7000台に増えると予測。県内の観光施設も、マザー牧場(富津市)が休日の入場者を約1000人増と予想するなど効果を期待している。

 ドライブの途中に家族と海ほたるPAを訪れた神奈川県秦野市の男性(48)は「800円になったので来た。千葉に着いてからどこに行くか考える」。息子2人を連れた千葉県鎌ケ谷市の男性(39)は「これまで通行料が高く、初めて来た。見晴らしがよくて驚いた」と話した。【黒川晋史】

毎日新聞 200981日 2119分(最終更新 81日 2320分)


東京湾アクアライン:ETC車、きょうから800円に値下げ

 川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインが1日からETC(自動料金収受システム)搭載車に限り、通行料金が普通車800円、大型車1320円に引き下げられる。従来の通行料金は普通車が3000円で、ETC搭載車は3月以降、休日のみ1000円になっていた。今回の引き下げは11年3月末までで、森田健作・千葉県知事が選挙公約に掲げていた。

毎日新聞 200981日 東京朝刊


アクアライン:通行料金 1日から800円に値下げ

 川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインが1日からETC(自動料金収受システム)搭載車に限り、通行料金が普通車800円、大型車1320円に引き下げられる。従来の通行料金は普通車が3000円で、ETC搭載車は3月以降、休日のみ1000円になっていた。今回の引き下げは11年3月末までで、森田健作・千葉県知事が選挙公約に掲げていた。【森有正】

毎日新聞 2009731日 2114


首都高速道路:大橋ジャンクションを公開 東京・目黒

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建設中の中央環状線大橋ジャンクション=東京都目黒区で2009年7月25日午後2時53分、本社ヘリから梅村直承撮影

 首都高速道路(東京都千代田区)は30日、中央環状新宿線の山手トンネルに建設中の大橋ジャンクション(目黒区大橋1)の内部を報道陣に公開した。

 大橋ジャンクションは、国道246号の約35メートル上を高架で走る首都高3号線と、山手通りの地下約36メートルに建設中の中央環状新宿線との高低差約70メートルをループ状の接続路でつなぐ。周辺には学校や住宅地があり、騒音・排ガス対策のためループは壁で覆われたトンネル構造になっている。1周約400メートルのループを景色が見えないまま2周するため、行き先を間違わないよう路面が色分けされている。

 首都高速によると、供用開始は来年3月。また目黒区は12年度までに、全国で初めてジャンクション屋上に公園を整備する計画だ。【石原聖】

 2009730


阪九フェリー:ETC、直撃 北九州・新門司-大阪・泉大津、1日2→1往復

 阪九フェリー(北九州市)は29日、新門司港(同市門司区)-泉大津港(大阪府)間を1日2往復している泉大津航路について、10月から1往復に減便する届け出を九州運輸局へ提出、受理された。減便期間は3カ月だが、需要回復がなければ延長する方針。

 同社によると、09年3月期の売上高は約115億円だったが、景気後退に加えて高速道路料金の割引が直撃して10年3月期は約30億円の減収を予想。このため減便でコスト圧縮を図る。社員約30人の関連会社への出向や他社派遣を検討する。

 減便されるのは、新門司午後8時10分発▽泉大津午後8時発--の2便。大人1人を最低価格4500円、乗用車1台を同9000円で乗せ、新門司-泉大津間を12時間半前後で結んでいる。

 高速料金割引の影響で、減便の動きが他社へ広がる可能性も高い。値下げされた今春の大型連休時には、北九州市発着のフェリー各社の乗用車利用台数は08年度同期比で9・1%減少した。【綿貫洋、平元英治】

毎日新聞 2009730日 西部朝刊


北九州市:フェリー岸壁使用料半額に--今月から /福岡

 北九州市は7月から3カ月間、船が市内の港に入る際にフェリー会社が市に支払う岸壁使用料などを半額に減免する。高速道路の料金値下げの影響で経営環境が厳しいフェリー各社を支援する狙いがある。

 対象は阪九フェリー(新門司-神戸、泉大津)▽名門大洋フェリー(新門司-大阪南港)▽オーシャントランス(新門司-徳島-東京)▽関西汽船(小倉-松山)--の4社。

 各社の3カ月間の平均負担額は、現在の1000万円程度から500万円前後になりそうだという。

〔北九州版〕

毎日新聞 2009730日 地方版


東京湾アクアライン:「800円」機に活性化を--木更津市 /千葉
 ◇観光客・企業誘致

 東京湾アクアラインの通行料が県の社会実験として8月1日から、ETC(自動料金収受システム)装着車は普通車800円(現在3000円)になることに伴い、木更津市は、アクアラインを活用した観光客呼び込み、定住人口増加、企業誘致に本腰を入れ始めた。「東京湾アクアライン活用戦略本部」を設置し、情報発信やイベント、街の景観づくりなどに取り組む。

 市によると、既に国が実施している休日通行料1000円化で、アクアラインの通行量は40%増、南房総地域の観光施設の入場者数は15%増となっている。

 社会実験は、11年3月末までの期間限定。市は800円化の波及効果を地域づくりに生かそうと、約3707万円の事業費をかけ、金田インターチェンジ付近に観光案内看板を設置▽東京・日本橋に「木更津河岸」を開設して観光情報を発信し、特産品も販売▽江戸前の食材を生かした食品、商品の開発に官民で取り組む「みなとまち大学校」開校▽JR木更津駅西口の寺町を中心に、店頭にのれんを飾って景観を演出--など23事業を進める。【児玉賢二】

毎日新聞 2009729日 地方版


DPJ manifesto promises child welfare payments, toll-free expressways

Opposition Democratic Party of Japan (DPJ) leader Yukio Hatoyama unveiled the party's manifesto ahead of the House of Representatives election on Monday, promising allowances for child welfare and toll-free expressways.

The manifesto outlined a four-year process for implementing the party's proposals, saying that the payment of child welfare allowances, the implementation of toll-free expressways and other policies would begin in fiscal 2010 -- the first fiscal year after the party would have taken power. The leaders said the party would aim to depart from bureaucracy, adding that the 16.8 trillion yen needed to carry out its policies in fiscal 2013 would be accumulated mainly though the elimination of unnecessary spending.

The pledges left the party heading into the election without clearly stating how it would raise money to carry out its pledges. Hatoyama stated that if the party was not able to carry out its pledges after he became prime minister, then he would "take responsibility as a politician."

In presenting the manifesto, Hatoyama said that the party would initiate politics led by the public.

"In contrast with the bureaucrat-led politics that have continued since the Meiji Restoration, we will produce politics in which the public plays a leading role. Historically it will be a major turning point," Hatoyama said.

The party introduced "five promises" for reforms targeting wasteful spending, child rearing and education, pensions and medical care, regional authority, and employment and the economy. It provided a schedule showing the fiscal years in which it would implement its main policies and the necessary expenses.

Policies to begin in fiscal 2010 included paying families half of the planned allowance of 26,000 yen a month for every child of junior high school age or younger, making public high school education free, abolishing provisional tariffs on gasoline tax, and making some expressways toll-free. The cost of these policies would reach 7.1 trillion yen.

In fiscal 2011, the party would pay the full amount of child allowances, and provide income subsidies for farmers -- bringing the level of required funds to 12.6 trillion yen. Expressways would gradually be made toll-free by fiscal 2012, and after designing a new pension system, the policy implementation cost for fiscal 2013 would reach 16.8 trillion yen.

To secure the necessary funds, the party would "completely modify" the makeup of the total budget of 207 trillion yen, the manifesto said. It would raise 9.1 trillion yen by slashing unnecessary expenses. It would also raise 5 trillion yen through the utilization of "buried funds" such as special account funds, and 2.7 trillion yen through revisions to the tax system, the party promised.

With regard to the materialization of such policies, the manifesto outlined a "structure for the Hatoyama administration," in which the policy decision-making system would be switched from a bureaucrat-led process to a politics-driven process. It said that the party would establish a national strategy bureau to decide on national vision and basic policies for the budget. The party would also position about 100 Diet members in such posts as Cabinet ministers, deputy ministers, parliamentary officials, ministerial aides, thereby unifying the government and the ruling parties. Under the jurisdiction of the national strategy bureau, the party would set up an administrative reform council consisting of politicians and experts to inspect all of the government's business and systems, and eliminate waste and illicit activity.

(Mainichi Japan) July 28, 2009


西日本高速道路:渋滞多い6地点の画像を携帯配信

 西日本高速道路会社は27日、携帯電話のインターネット機能を使った交通情報サービス「アイハイウェイ」で、8月5日から道路の実写映像を配信すると発表した。高速道路の「休日1000円」がお盆期間にも適用され、混雑が予想されることから、渋滞が多い名神高速道路の(1)吹田インターチェンジ(IC)(2)深草バス停、中国自動車道の(3)宝塚東トンネル(4)西宮名塩サービスエリア、西名阪道の(5)郡山IC、阪和道の(6)有田IC--の計6地点の様子を静止画像で配信し、5分ごとに更新する。渋滞状況を確認でき、ドライブ計画の検討に役立つ。

 同サービスは昨年11月に開始し、これまで地図や文字で渋滞情報を提供していた。アドレスはhttp://ihighway.jp/ 【清水直樹】

ハイウェイ交通情報 iHighway(アイハイウェイ)
http://ihighway.jp/

毎日新聞 2009727日 2159分(最終更新 727日 2313分)


民主党:子ども手当、高速道路無料化 マニフェスト発表

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民主党がマニフェストで掲げた重点政策(五つの約束)と政府・与党の政策比較

 民主党の鳩山由紀夫代表は27日、東京都内で記者会見し、衆院選の政権公約(マニフェスト)を発表した。「国民生活重視」の目玉政策として、子ども手当支給や高速道路無料化などに政権交代後の初年度(10年度)から着手することを明記した4年間の工程表を提示。政策決定システムの「脱官僚」化を図り、13年度に必要となる政策経費16.8兆円は無駄の根絶を中心に賄うとした。具体的な財源の捻出(ねんしゅつ)方法を明確に示さないまま衆院選に臨む形となり、鳩山氏は首相に就任して公約を実現できなかった場合は「政治家として責任を取る」と明言した。【小山由宇】

 鳩山氏は会見で「明治維新以来の官僚主導の政治に対し国民の皆さんが主役になる政治を作り出す。歴史的な大転換期だ」と強調。マニフェストでは(1)ムダづかい(2)子育て・教育(3)年金・医療(4)地域主権(5)雇用・経済--の改革を「五つの約束」とし、主要政策の実施年度と所要経費を工程表に明示した。

 10年度に即時着手する政策は、中学生以下に1人当たり月額2万6000円を支給する子ども手当の半額(1万3000円)実施▽高校無償化▽ガソリン税などの暫定税率廃止▽高速道路の一部無料化--などで、所要額は計7.1兆円。

 11年度は子ども手当の全額支給、農業者戸別所得補償などを実施し、所要額は12.6兆円に増加。高速道路は12年度までに段階的に無料化し、新たな年金制度の設計を終える13年度の所要額は16.8兆円とした。

 財源は、国の一般会計と特別会計を合計した総予算207兆円を「全面組み替え」し、無駄遣い根絶で9.1兆円▽特別会計などの「埋蔵金」活用で5兆円▽所得税の控除制度などの税制見直しで2.7兆円--を捻出するという。

 こうした政策を実行するため、政策決定システムを官僚主導から政治主導に転換する「鳩山政権の政権構想」を提示した。首相直属の「国家戦略局」を設置して国家ビジョンや予算の基本方針を策定。政府には与党の国会議員約100人を閣僚や副大臣、政務官、大臣補佐官などとして配置し、政府と与党の政策決定を「一元化」する。国家戦略局の下部機関として、政治家や有識者による「行政刷新会議」を設置し、政府の全事業や制度を点検して無駄や不正をなくすとしている。

毎日新聞 2009727日 1831分(最終更新 728日 034分)


News Navigator: Why are there tolls for Japanese expressways?

The Mainichi answers some common questions readers may have about the Japanese expressway toll system.

Question: Why does it cost money to drive on expressways in Japan?

Answer: The expressways run on a "repayment principle": drivers pay to repay the debt incurred building them. After World War II, building a modern road network was essential for Japan's economic development, but the government did not have the financial wherewithal to build that network. The funds for regular roads were created by creating a "special road fund" through a gasoline tax and other revenue raising methods, but construction on the expressways was started right away through borrowing the money to build them.

Q: Aren't there any routes where the debt has been paid off?

A: The debt incurred building the Meishin and Tomei expressways, which both opened in the 1960s, were finally paid off after 30 years, after which they were to become free for drivers. However, Prime Minister Kakuei Tanaka introduced the national toll pooling system in 1972. Under the new system, the tolls collected from all expressways in Japan flowed into one fund, and the Tomei Expressway became a cash cow, milked to repay the debt incurred building money-losing stretches of expressway.

Q: Are there any problems with the toll pooling system?

A: There has been strong criticism of the system for hiding the red ink reality of money-losing routes, while causing unnecessary highways to multiply unchecked. Furthermore, there have been questions raised about the fairness of the pool system, under which uniform rates are set for all routes across the country except those operated by the Metropolitan Expressway Co. and some others. The toll rate is decided by adding the 150 yen initial cost of getting on the expressway to the number of kilometers travelled times 24.6 yen, and many have called for cheaper rates on the Tomei Expressway.

Q: How much debt does the expressway system have?

A: When the four public corporations that operated the expressway system were privatized in 2005, they owed a total of about 40 trillion yen. Since then, the companies have paid a small portion of that debt back through road tolls, and at the end of fiscal 2007 the debt load was down to some 35 trillion yen. The current plan calls for all the debt to be repaid by fiscal 2049. However, there is fear that this deadline will not be met, as more loans will be obtained to expand the system. In any case, under the present plan, the day when all the system's debt has been paid off and drivers can use expressways for free is a distant one indeed.

Q: Are expressway tolls in other countries expensive?

A: Germany's Autobahn system, first built under the rule of the Nazis, is free except for some trucks. American Interstate expressways are also, as a general principle, free. However, discussion has begun on instituting tolls to pay for construction and maintenance of the system. The expressways in France and Italy have tolls, but the rates are less than half of those in Japan. The primary cause of this is the cost of buying up the land to build the roadways and of boring tunnels through Japan's many mountains, resulting in the "world's most expensive" expressway system. (Answers by Haruna Nembutsu, Political News Department)

(Mainichi Japan) July 21, 2009


質問なるほドリ:日本の高速道路は、どうして有料なの?=回答・念佛明奈

 <NEWS NAVIGATOR>

 ◆日本の高速道路は、どうして有料なの?
 ◇建設費を料金収入で返済 東名などが赤字路線を「救済」

 なるほドリ 高速道路はなぜ有料なの?

 記者 日本の高速道路は、建設費用に充てた借金を料金収入で返済する「償還主義」を取ってきたのです。戦後、日本経済が成長を遂げるには道路網の整備が不可欠でしたが、財源が足りません。そこで一般道路は揮発油(ガソリン)税などの「道路特定財源」で、高速道路は借金で整備を急いだのです。

 Q 借金の返済が終わった路線もあるんじゃないの?

 A 60年代に開通した「名神」や「東名」は30年かけて返済を終え、無料開放する計画でした。そうならなかったのは、田中角栄首相(当時)が72年に「全国料金プール制」を導入したからです。各路線の料金収入を一つの財布に集め、東名など「ドル箱」路線の収入を、赤字路線の借金返済に回しています。

 Q プール制に問題はないのかな?

 A 「不採算路線の実態を隠し、ムダな道路を野放図に増やす」という批判は根強いです。プール制の一環として、高速料金は首都高速など一部を除き全国一律で決まっています。基本的に「初乗り運賃150円+1キロ24・6円×走行距離」で計算されます。「東名の料金はもっと安くていいはず。不公平だ」との声もあります。

 Q 高速道路の借金は、いくらあるの?

 A 道路関係4公団が民営化された05年時で約40兆円ありました。その後、料金収入で少しずつ返済し、07年度末で35兆円まで減っています。49年度までに完済する計画ですが、今後も借金で高速道路を建設するため、返済が遅れる懸念もあります。いずれにせよ現行制度で借金がなくなり、高速料金がタダになるのは遠い先の話です。

 Q 海外も高速料金は高い?

 A ナチス政権下で整備が進められたドイツの「アウトバーン」は一部のトラックを除いて無料です。米国の「インターステート」も原則無料ですが、建設費や維持費を捻出(ねんしゅつ)するため有料化の議論が始まっています。フランスやイタリアは有料ですが、日本の半分以下。日本は用地取得費や山間部の建設費がかさむといった要因があり、「世界一高い」と言われています。(政治部)

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 ◇あなたの質問をお寄せください

 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係(naruhodori@mbx.mainichi.co.jp

毎日新聞 2009719日 東京朝刊


選択の手引:09衆院選 どうする高速料金(その1) 上限1000円/ずっとタダ
 ◇自・上限1000円/民・ずっとタダ
 ◇香川のうどん屋に行列フェリーは閑古鳥

 「讃岐(さぬき)うどん」で有名な香川県のうどん屋の中でも、高い人気を誇る「がもううどん」(坂出市)。7月最初の土曜日となった4日には、午前8時半の開店直後から50メートル以上の行列ができ、午後1時の閉店間際まで1玉130円のうどんを待つ県外客であふれた。

 例年を上回るにぎわいは、高速料金の「上限1000円」政策のおかげ。高額料金の象徴的存在だった「瀬戸大橋」(最短区間で普通車3500円)など三つの本州四国連絡橋も値下げされた。関西、中国地方から四国へ観光客がなだれ込み「がもう」の駐車場には県外ナンバー車が並ぶ。

 「何と言っても割安感がある」。広島市の会社員、下田規雄さん(57)は四国に車を走らせ、親類4人でうどん屋を4軒はしごした。香川県観光協会は「観光客が3~4割ほど増えた」と歓迎する。

 だが、逆に客足が遠のき、苦境に陥った業界もある。兵庫県明石市と淡路島を結ぶ「明石淡路フェリー」。運賃は、普通車1台で2050円だ。近くの明石海峡大橋(最短区間で普通車2300円)の料金が1000円になり、4~6月のフェリー乗客は前年同期の31万人から19万人へ4割も激減した。

 燃料高で赤字続きだったフェリーの経営状態はさらに悪化し、乗組員の3分の1に当たる16人が8月末までに退職する。国安亜津志・営業部次長は「フェリー会社だけの問題ではなく、車を持たないお年寄りなど、交通弱者も取り残される」と危機感を募らせる。

 ◇ともに経済効果狙う


 政府・与党が「高速料金1000円」に踏み切ったのは、移動コストの低減で人やモノの流れを活性化させ、景気を下支えするためだ。金子一義国土交通相は「地方を元気にする大きな効果が表れている」と強調する。

 現行の値下げ策が2年間の臨時措置なのに対し、民主党は恒久対策として「高速無料化」を訴える。首都高速などを除き、全国の高速道路網を原則無料とし、利便性を大幅に向上させ、日本経済を底上げする狙いがある。

 「時限的な値下げ」か、「無期限のタダ」か。ともに経済効果は期待できるが、フェリーなど他の交通機関の盛衰、車の排ガス増による地球温暖化、交通渋滞など影響はさまざまに及ぶ。次期衆院選を機に、「世界一料金が高い」と言われる日本の高速道路の在り方が問われている。

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 ◇GW中の交通量伸び率上位◇

(1)西瀬戸道              1.7倍

(2)北陸道(朝日-親不知)       1.7倍

(3)瀬戸中央道             1.6倍

(4)磐越道(猪苗代磐梯高原-磐梯河東) 1.4倍

(5)神戸淡路鳴門道           1.3倍

 高速道主要区間が対象。交通量は前年同期比。道路各社調べ。

 政府・与党は3月、首都高速などを除き全国の高速道路で「土日・祝日は上限1000円」とする料金制度を導入。対象は自動料金収受システム(ETC)搭載の普通車・軽自動車。平日はトラックなども含め、3割の料金値下げを実施した。

毎日新聞 2009719日 東京朝刊


選択の手引:09衆院選 どうする高速料金(その2止) 負担軽減に「死角」

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 ◇借金・財源、しわ寄せ誰に

 <1面からつづく>

 高い通行料金が当たり前だった高速道路を巡り、「値下げVSタダ」の論争が過熱する。政府・与党が今春から実施した「上限1000円」政策によって週末には「マイカー渋滞」が目立ち始め、ガソリンの高騰で車離れが起きた昨年とは状況が一変した。民主党が訴える無料化まで突き進めば、人やモノの流れを根本から変える可能性も秘めている。ただ、利用者の負担軽減を強調するあまり、与野党の議論には重大な「死角」が潜む。【念佛明奈、谷川貴史】

 ◇無料化で地域活性--民主


 高速道路の無料化は、03年の衆院選以来、民主党が掲げる目玉政策の一つだ。物流コストや国民負担の軽減を通じて企業の設備投資や家計の消費意欲を刺激し、地場産業や観光の振興で地域活性化を目指している。

 無料化の経済効果について、民主党は国土交通省の資料を引いて「最大で7・8兆円に達する」と説明する。高度経済成長期から続く「高速=有料」の図式を打ち破り、道路の在り方を抜本的に見直すことで国民に改革姿勢をアピールする。

 今年3月にまとめた民主党の「高速道路政策大綱」でも、高速の原則無料化を明記した。渋滞の増加が予想される首都高速など一部で料金の徴収を続け、当面はその収入を高速道路の管理費用に充てる方針も打ち出した。

 課題は、過去の高速道路建設で膨れあがった借金への対応だ。道路関係4公団から道路資産と債務を引き継いだ独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」は07年度末で約35兆円の借金を抱える。現行は料金収入で49年度までに完済する計画だ。民主党は、その借金を国が引き継ぎ、毎年1・26兆円を60年かけて返済する仕組みを提示する。

 ただ、同党は揮発油(ガソリン)税などの暫定税率廃止により、年間で2・5兆円の国民負担を軽減するとも主張している。無料化と合わせて実現すれば、自動車関連だけで年4兆円近く財政を悪化させることになる。

 借金の返済が円滑に進むかは不透明だ。麻生太郎首相は「借金の返済などを考えないのはいかがなものか」と指摘する。民主党は国の予算で約9兆円もの「ムダの排除」を訴えるが、「実際には財政負担が増える政策ばかり打ち上げ、矛盾だらけ」(政府関係者)との批判が出ている。

 ◇受益者負担崩さず--自民


 政府・与党が大幅な料金値下げを実施したのも、高速網をテコに経済を活性化させる狙いがある。それでも民主党の無料化案と「1000円札1枚」の差が出たのは、これまで堅持してきた「受益者負担」の原則を首の皮一枚で残したためだ。

 料金を徴収し続けながら、景気の底割れを防ぐため、時限的な大幅値下げを実施した。国費の投入額を2年間で約5000億円(08年度第2次補正予算)に抑え、深刻な財政事情にも目配りした結果、「上限1000円」は土日などに限定されることになった。平日料金は3割安にとどめ、自動料金収受システム(ETC)のない車はそもそも対象外となった。複雑で、無原則な景気刺激策になった感は否めない。

 実は05年度予算で国交省が国費を投入して高速料金を値下げしようとしたことがある。だが、01年に閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」が、当時の日本道路公団の事業について「02年度以降は国費を投入しない」と明記しており、財務省などの反対を受けて断念した。

 道路公団の民営化で「国民負担の軽減」をアピールした小泉政権だが、その後、1年ごとに政権が交代。「組織いじりをしただけ」とも批判された小泉改革は風化した。国費を投入した本格的な値下げが昨年10月に始まり、値下げの規模は今春の「上限1000円」政策で一気に拡大した。

 民主党で高速問題を主導する馬淵澄夫衆院議員は「政府は民主党の政策をまねただけ」と批判する。受益者負担の原則を残した理由を「料金収入は道路を造り続ける財源。無料化は国交省もやりたくないし、道路族議員にもできなかった」と分析し、道路権益に固執する「政-官」の思惑があると指摘する。

 ◇「ムダな道路」歯止めなく


 「値下げVSタダ」論争は、「今後の高速道路建設をどうするか」という問題もはらんでいる。

 国交省は4月27日、国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)を開き、4区間計71キロを高速道路の「基本計画」から「整備計画」への格上げを決定した。着工の前提となる整備計画への格上げは99年以来、10年ぶりだ。

 同会議で国交省は、料金収入と国費の双方を投入する新たな建設方式の導入を表明した。これまでは(1)「採算性の高い」路線は道路会社が料金収入で建設(2)採算性が低くても必要な路線は国費で建設し、無料で開放--の2方式だったが、不採算でも料金を取り続ける第3の方式に道を開いた。

 小泉純一郎首相(当時)は06年、「ムダな道路は造らない。(新規建設は)白紙だ」と宣言したが、そのわずか3年後に計画区間の拡大と新方式の採用がセットで決定された。政府・与党が鳴り物入りで「上限1000円」を打ち出す裏で、「ムダな道路」を建設し続ける構図が浮かび上がる。

 民主党は無料化後、国費で建設する方針だが、具体的な道筋は示していない。「料金収入」がなくなれば建設縮小・凍結を検討することは避けられなくなる。「地元に必要な道路を造れ」という党内世論を抑え、ムダな道路建設に歯止めをかけられるか、疑問は残る。

 国民生活に大きな影響を与える建設問題での議論は深まっておらず、「高速道路の在り方」の全体像は視界不良のままだ。

 ◇総合的交通対策の提示を--慶応大経済学部(財政学)・土居丈朗(どい・たけろう)教授


 高速料金を巡る議論で欠けているのは、大幅値下げや無料化で必要となる財政資金を誰が負担するのか、ということの説明だ。

 これまで高速道路の建設資金や維持・管理費は通行料金で賄ってきた。受益者に負担を求める発想だ。だが料金値下げなどを行えば財政上の負担が生じ、結果的に高速を利用しない人にまで重い負担を強いることになる。

 与野党とも経済効果など人目を引く話ばかりするのではなく、「道路を使わない皆さんの負担は重くなる。それでも賛成してほしい」と正直に訴えるべきだ。それを行わずに実行すれば、ある種、「だまし討ち」的に国民にツケを回すことになってしまう。

 高速道路の在り方を根本的に見直すのであれば、料金だけでなく総合的な交通体系をどうするか、幅広い議論が必要だ。鉄道や海運との連携、役割分担をどうするか。既存の空港の利便性を高めるため、どのような道路を造るのか。「交通網」の面だけでも検討課題は多い。

 地球温暖化問題とのかかわりも重要だ。車は鉄道などより輸送量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が大きい。高速料金を安くしたことで利用量が増えれば、CO2排出量が増えてしまう。環境にも配慮が必要だ。

 高速道路の建設資金では、地域別に負担することも含め示す必要がある。総合的な対策を政治主導でまとめ、議論を深めてほしい。

毎日新聞 2009719日 東京朝刊


皆既日食:赤字フェリーに特需 鹿児島7島「現状知って」

 国内では46年ぶりとなる皆既日食が22日に迫った。6分前後も見られる鹿児島県トカラ列島(十島村)の有人7島には、計約1100人の観測者が訪れる。村の人口の2倍弱で、各島も受け入れ準備を重ねてきた。各島への定期便は週2便の村営フェリー「としま」(約1300トン)だけ。限界集落となった島もある。日食を機に「島の現状を知ってほしい」と村関係者は期待する。【神崎真一】

 17日深夜、鹿児島市の鹿児島港。「としま」にツアー第1陣42人や警察官、医療関係者らが乗り込んだ。

 屋久島と奄美大島の間、南北約160キロに島々が連なる十島村は「日本一長い村」と呼ばれる。「としま」は週1回は宝島まで、もう1回は奄美大島の名瀬まで往復する。

 今は「日食特需」にわいている。観測者受け入れ用の発電機、水タンクなどの資材は6月下旬からピストン輸送され、工事関係者の乗船も多く、満杯状態だった。6月の売り上げは平年比約1000万円増という。

 だが、村航路対策室によると、特需も赤字を減らすだけだ。燃料高騰も響き、昨年の年間赤字額は約5億7000万円。1航海あたりでは約570万円の赤字となる。国と県の補助がないと成り立たない。港湾整備も財政難にあえいでいる。

 「汽船も亦(また)、道路なり」。中之島には、こんな言葉が刻まれた記念碑がある。かつて、村長が旧大蔵省幹部をこう口説き落とし、船の新造予算を認めさせたとされる。

 「フェリーは生活を支える『海の国道』。年5億の赤字も、国道維持費とみなせば、それほど過大な支出ではないはずだ」。福満征一郎副村長は訴える。

毎日新聞 2009719日 050


交通事故:馬輸送の男性、追突され死亡--滋賀の名神

 18日午前3時5分ごろ、滋賀県竜王町の名神高速下り線で、エンジントラブルのため路肩に停車していた北海道新ひだか町、会社員、壁岸正一さん(39)運転の馬輸送車に後続の大型トラックが追突。輸送車の前で点検しようとしていた壁岸さんが押し出された車の下敷きになり、頭を打って間もなく死亡した。車内にいた同乗の会社員、大津篤さん(42)=北海道日高町=は首に軽傷。県警高速隊は、追突したトラックの運転手、増子純一容疑者(26)=福島県郡山市安積町=を自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕した。容疑を同致死に切り替えて調べる。

 事故の影響で、下り線は早朝まで一部走行規制され、現場付近から最長約15キロ渋滞した。【豊田将志】

毎日新聞 2009718日 大阪夕刊


3連休:名古屋高速など ETCで3割安で混雑

 多くの子供たちが夏休みを迎え、3連休初日となった18日、行楽地などに向かう車で高速道路は渋滞した。

 東海地方各地の高速道路も、この日から名古屋高速と自動料金収受システム(ETC)のある県道路公社の5路線で通行料の3割値下げが始まったこともあり、値下げされた知多半島道路なども普段の週末より混雑した。

 日本道路交通情報センターによると午後1時現在、名神高速道路の一宮インター(愛知県)を先頭に、下り線で8キロ渋滞したほか、中央自動車道下り線の恵那山トンネル付近(岐阜県)を先頭に30キロの渋滞となった。東名高速では、岡崎インター(愛知県)を先頭に上り線で13キロの渋滞となった。【米川直己】

毎日新聞 2009718日 1409分(最終更新 718日 1415分)


雑記帳:ETC未搭載の客に「返金」伊豆の温泉旅館組合

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「ETCなくてもお得なキャンペーン」の宣伝パネル=伊豆の国市の伊豆長岡温泉旅館協同組合で、安味伸一撮影

 静岡・伊豆長岡温泉旅館協同組合は17日、自動料金収受システム(ETC)未搭載車で来た宿泊客に、最高2000円を「返金」するキャンペーンを始めた。組合加盟40館のうち36館が参加する。

 予約時に「ETCが付いていない」と伝え、宿泊日の東名高速か中央自動車道の領収書と引き換える。大人2人以上で1泊2食付き2万円以上の利用が条件。高速料金が2000円未満なら実費を返金する。

 遠出するほど割安なETCのあおりで、伊豆は「首都圏の行楽客に素通りされている」。ETC割引の逆を行くアイデアで逆転を狙う。11月8日まで。同組合(055・948・1666)。【安味伸一】

毎日新聞 2009717日 2001分(最終更新 717日 2010分)


南海フェリー:高速道に対抗 車と運転手料金、9300円が1000円に
 ◇宿泊など条件、18日から--和歌山-徳島

 「高速道路1000円」で苦境に陥った「南海フェリー」(本社・和歌山市、和歌山港-徳島港)と和歌山、徳島両県などは14日、運転手を含む乗用車の料金を、9300円から1000円に値下げすることを決めた。両県は割引費用の3分の2を負担する。

 18日~8月31日の夏休み時期に実施し、9月以降は改めて協議する。対象は両県ナンバーの車か、運転者が両県いずれかの宿泊施設を利用する場合。南海フェリーは「支援で何とか業績回復を目指したい」としている。問い合わせは同社(073・422・2156)。【最上聡】

毎日新聞 2009715日 大阪朝刊


民主党:暫定税率廃止で党内に溝

 民主党の次期衆院選マニフェストの主な柱となるガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止を巡って26日、岡田克也幹事長が「すべて(政権獲得の)初年度からやるのは難しい」と実施時期の先送りを主張し、「即時廃止」としてきた小沢一郎前代表の路線を踏襲する鳩山由紀夫代表らとの溝が露呈した。党税制調査会役員会は同日、「従来通り初年度から」との方針を確認。今後、党内の綱引きが激化しそうだ。

 党マニフェスト検討準備委員会(委員長・直嶋正行政調会長)では、岡田氏が「環境税との並行議論が必要」と主張したことを踏まえ、「政権獲得2年目」と従来より1年先延ばしする方針をいったん固めた。これに党税調が反発。26日の役員会では「即刻廃止」の主張がほとんどを占め、会長の藤井裕久最高顧問も同調した。

 岡田氏は26日の記者会見で、税調の結論に対し「恒常的な財源を見つけ出してから廃止することも考え方だ」と持論を展開し、党内で議論を続ける考えを示した。

 しかし、鳩山氏は同日、北海道苫小牧市での会見で「(即時廃止は)既成事実化されている」と強調。「最後は私自身が必要なら修正したい」と述べ、即時廃止へのこだわりをみせた。【小山由宇】

毎日新聞 2009626日 2108分(最終更新 626日 2133分)


高速道料金:「千円効果」さっぱり、近場の観光地素通り

2009614 30

 高速道路料金の「休日1000円」が導入されて2カ月余り。観光客増を狙った景気対策として始まったが、大都市から近場の観光地は素通りされるなど、明暗が分かれた。フェリーや鉄道、長距離バスは利用客が大きく減少。廃業に追い込まれたフェリー会社もあり、マイナス効果も表面化している。【石原聖、平井桂月】

 日本観光旅館連盟によると、高速割引が導入されて増えたのは、マイカーで遠出して宿泊せずに日帰りする客で、東京などに近い観光地からは「素通りされた」と恨み節が聞こえるという。

 伊豆・箱根の旅館約130軒でつくる連盟が5月12日に開いた総会では「観光客が減った」という声が相次いだ。割引対象のアクアラインがゴールデンウイーク(GW)期間中に交通量が2割増になったことも引き合いに出され、「房総に客を取られてしまった」と悲鳴が上がった。

 高速道路は伊豆半島の先端までは通っていない。静岡県は県道路公社が運営する有料道路「伊豆スカイライン」などを使った客に、旅館などで片道運賃をキャッシュバックするサービスで対抗しているが、効果は薄いようだ。

 JR東日本が企画した草津温泉(群馬県)ツアーはGW期間中、利用者が前年同期比82%の大幅減。しかし、群馬県によると同温泉の宿泊客は13万9305人と逆に同0.5%増えた。鉄道利用客がマイカーに流れたことがうかがえる。

 長野県はGW期間中、善光寺(長野市)の御開帳で前年比約1.8倍の観光客でにぎわった。しかし、隣の山梨県では、県内のインターチェンジを乗り降りする車の台数が前年同期比3%減った。「ここは通過点に過ぎず、割引効果はない」(県北東部の観光施設)との嘆きも聞こえる。

 フェリーはさらに深刻だ。広島県と愛媛県を結ぶ呉・松山フェリー(呉市)は5月26日、6月末で廃業すると発表。4月の利用台数は乗用車が約1640台と昨年同月比で半減し、トラックは40%減の1760台だった。

 JR東日本は5月の鉄道営業収入で、中長距離収入が前年同月比82.6%と、集計を始めた92年以降で最大の減少率となった。清野智社長は「国全体でCO2(二酸化炭素)をどう減らすか考える中でいかがなものか。公益的な交通機関が自信を持ってやっていけるような方法を考えてほしい」と国土交通省を批判した。全国約2300の事業者が加盟する日本バス協会もGW期間中、高速バスが渋滞に巻き込まれ定時運行ができなかったなどとして、国交省に改善を要望する。


東名高速道路:ハイウエー時代の幕開け 全線開通から40年

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東名高速道路開通:酒匂川橋と富士山=1969年(昭和44年)3月、本社ヘリから撮影

 東名高速道路は2009年5月26日、1969年の全線開通から40年を迎える。1964年には東海道新幹線が、翌65年には愛知県小牧市の小牧インターチェンジ(IC)を起点とする名神高速道路が開通。東名高速道路は東京から小牧ICをつなぎ、首都圏から関西圏までを結ぶ「東海道メガロポリス」構想を実現するための要として建設が進められた。

 当時、国内の輸送は主に鉄道に委ねられていた。建設費を融資するために来日した世界銀行の調査団は、鉄道輸送から道路輸送への転換によりコスト削減とスピードアップが可能になると指摘。これが高度経済成長を続けていた日本側の考えと一致し、東名高速道路建設の機運は一気に高まった。

 東名高速道路はまず東京厚木、富士静岡、岡崎小牧の3区間で飛び石開通した。建設には最新技術が用いられ、難所と言われた酒匂川橋の橋脚は高さ65メートルと建設当時、東洋一を誇った。また、東名高速道で最も長い日本坂トンネルはドライバーの視力負担を考えた照明や自動消火器の設置など安全面にも配慮。総延長の95パーセント(開通当時)はドライバーが居眠りしないよう、ドイツのアウトバーンでも採用された「クロソイド曲線」で設計された。

 駿河湾と富士山を望みながら走る静岡県の由比海岸沿いの区間は、当時の人々に新しい時代の東海道を連想させたに違いない。世銀調査団の一人、ラルフ・J・ワトキンス氏は調査当時「日本の道路は信じがたいほどに悪い」と述べたが、全線開通式では道路の仕上がりに感心の声を上げたという。東名高速道路の開通は日本経済や人々の暮らしに大きな影響を与えただけではなく、日本における本格的なモータリゼーション時代の幕開けを告げた。

 東名高速道路は現在、交通量増加に対応するため第二東名高速道路の建設が進められている。なお、NEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)は5月、東名高速道路の各サービスエリアで全線開通40周年の記念イベントを開催する予定。

 2009427


年末年始の節約術 ETCにPBブランド 割安企画を見逃さず

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プライベートブランド商品群=ダイエー碑文谷店で、森田剛史写す

 何かと物入りの師走。ボーナスの減額、非正規雇用者の相次ぐ解雇など暗いニュースが続き、例年になく厳しい年越しになりそうだ。不況風が吹き荒れる中でいかにして「生活防衛」を図るか。節約・家事アドバイザーの矢野きくのさんに、年末年始の賢い節約術を聞いた。
 ◇家庭用品はPBを活用

 節約するといってもなかなか削りにくいのが食費をはじめとする家庭用品だ。矢野さんが薦めるのはスーパーなどが展開しているプライベートブランド(PB)の活用。メーカーオリジナルのナショナルブランド(NB)と比較しても、品質が劣ることなく、価格は20~40%ほど安価と話す。たとえばポン酢(360ml)はNB198円に対しPB148円、ケチャップ(500g)はNB198円、PB128円(いずれもイオン価格)。割引率でみると25~35%引きとなり、いかに安いかが実感できる。

 さらにPB商品を一定額以上インターネットを通して購入すれば、送料が無料となるケースも多い。トイレットペーパーなどかさばるものや保存食品などをまとめ買いすれば、時間の節約にもつながるとアドバイスする。

 またPBの利用に加え、今のうちに利用したいのが円高差益還元。輸入の缶詰やパスタなどは値が下がっているので常備しておき、年末に忙しい時期に利用するといい。

 節約となるとスーパーの安売りちらしをみては東奔西走するケースも多いが、これは「効率が悪い」と矢野さんは指摘する。時間もかかるうえ、仮に安い品を求めて車で移動するとなると、なおさら。ガソリン代を考慮するとむしろ高いものになってしまうので、「ちらしにはくれぐれも踊らされずに」と助言している。
 ◇車での移動は賢くETC利用を

 帰省など車の移動が増えるこの時期、特に長距離移動は出費がかさんでしまう。そこで全国の高速道と一部の一般有料道で展開されいるETCの「深夜割引」「早朝深夜割引」は最大限活用したい。新幹線駅から少し離れた「鎌倉-奈良(東大寺近辺)往復」を例にとって矢野さんに試算してもらった。家族3人(夫婦2人子供1人)で電車を利用した場合は7万300円(新横浜-京都の新幹線代と鎌倉-新横浜、京都-奈良の在来線料金)かかるのに対し、車は2万790円(厚木IC~城陽IC、ガソリン代155円/1L)。車はETCの深夜割引(50%割引)を利用した金額で、総計での差額は約5万円にもなった。

 ただ、深夜の運転は危険がつきもの。夜間の運転に慣れていない人は避けたほうがいいと矢野さん。また深夜は道路がすいているので、知らず知らずにスピードを上げてしまったり、休憩せずに走り続けてしまうこともあるので注意したい。

 ETCを活用するにはカーナビゲーションとの組み合わせでも節約への近道に。矢野さんによると、最近発売されているカーナビには、ETC割引情報とIC通過予測時間を照合しより安い料金で通行できる「ETC割引ルート」や、坂道が少ない道を選ぶなど「省燃費ルート」を検索する機能がついたものが発売されているという。

 一方、電車や飛行機を利用する場合も、年末年始でも利用できる鉄道の割引キップや航空会社の株主優待券の利用がおすすめ。航空機の場合、繁忙期でも路線によっては空席が目立つ空港もあるので、目的地に近くすいている空港を利用し、そこから電車などを利用するのも一案という。
 ◇節約こそエコ

 矢野さんのお宅では、こたつにタイマー付コンセントをつけ、30分経ったら自動的にスイッチが切れるようにしてあるという。さらにこたつふとんの下に銀色シート、ダンボールの順に敷いておくと、ダンボールが床からの冷気をカットし、銀色シートが上からの温かい空気を逃さず、30分の通電だけでこたつの温かさは保てるそうだ。加えて矢野さんの場合、「部屋を暖める前にまず自分が温かくなる」ために、熱をもたせる下着やダウンベストの着用は必須という。

 このほか、煮物は30分程度火にかけた後は余熱で調理すること。火からおろした鍋を新聞紙やバスタオルでくるんでおいておくだけ食材に火が通るので、ことことと長時間煮る必要はない。特にダイコンは冷めた時に味がしみこむので、この方法は最適という。

 「生活の中に効率を求めていったら、節約とエコにつながった」と矢野さん。財布のひもを締めるための情報収集と活用は必要だが、そこは「ゆったりした気持ちで節約とエコを楽しんでほしい」と語っている。【江刺弘子】

20081219


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