Noto Earthquake
能登半島地震から2年


千枚田:ろうそく3万本 震災復興願い 石川・輪島

2009104 120分 更新:104 125

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ろうそくの明かりで彩られた千枚田=石川県輪島市で、小川昌宏撮影

 日本の棚田百選に名を連ねる石川県輪島市の千枚田で3日夜、あぜ道にろうそく約3万本を並べるイベントがあった。暗がりに千枚田の幾何学模様が浮かび上がり、幻想的な雰囲気を演出した。

 07年3月の能登半島地震からの復興を願って県、市などで作る実行委員会が昨年に続き開催。今年は前回の1.5倍以上の約8000人が来場した。地元の主婦、山下静枝さん(76)は「こんなにたくさんの人が輪島に来てくれるなんて感無量です」と話した。【小川昌宏】


能登半島地震:「絆」伝える明かり 25日で2年

 能登半島地震から25日で2年を迎える石川県輪島市門前町で21日夕、復興のモニュメントにろうそくの明かりを並べるイベントがあり、被災者らが暮らし再建を祈った。

 モニュメントは、激励のメッセージが書かれた板を仮設住宅から日本海に向かって200メートル敷き詰めた「絆(きずな)の木道(こみち)」。復興に汗を流したボランティアと住民のきずなを伝えるため、市教委が昨年から作った。

 この日は、被災者が廃油で作ったろうそく1000個を板の両端に並べ火をともした。先月末に仮設住宅から自宅に戻った同町の主婦、中村瀧子さん(64)は「つらく大変な2年だったが、自宅でやっと安心して寝られる。少しずつ元の生活を取り戻したい」と話した。【栗原伸夫】

毎日新聞 2009321日 2200

能登半島地震:
復興だより 穴水町挙げコン、28日に地元で合同ステージ /石川

 ◇町民合唱団+OEK、穴水中ブラバン部も 小学生作詞「ふるさと能登」など演奏

 能登半島地震(07年3月25日)からの復興を願って、被災地・穴水町の町民合唱団とオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)によるコンサートが28日、開かれる。町企画情報課は「3年目も頑張っていこうというメッセージを込めたい」と意気込んでいる。

 合唱団は昨年6月、歌で町を元気にしようと結成した「ふるさとコーラス隊」。70歳代までの115人が参加、毎月1回の練習を行ってきた。

 今回はOEKに穴水中学校のブラスバンド部員24人が加わる。メーンは、町内の小学生が復興への思いや穴水の風景を取り入れて作詞した「ふるさと能登」。他に「上を向いて歩こう」など計4曲を歌い上げる。

 ほかに、OEKとブラスバンド部による合同ステージやOEK単独の演奏など盛りだくさん。指揮は東京混声合唱団コンダクター・イン・レジデンスの山田和樹さんが務める。

 会場は同町内浦、のとふれあい文化センター。午後2時開演。全席自由で1500円。チケットは同課(0768・52・3625)。【栗原伸夫】

毎日新聞 2009312日 地方版

能登半島地震:
復興だより 災害公営住宅は完成するが…輪島市が入居説明会 /石川

 ◇高齢被災者に不安の影--10日から順次、鍵渡し
 ◇「提出書類が大変」「借家は初めて」自宅全壊「跡地の固定資産税心配」

 07年3月25日の能登半島地震から間もなく2年を迎える被災地では、復興が徐々に進んでいる。輪島市では自宅を失った被災者が入居する災害公営住宅が順次完成しており、4日夜、入居の説明会が同市山岸町の仮設住宅で開かれた。だが、高齢の被災者には、年金だけが頼りで資金面で心配する声があり、課題も残されている。【栗原伸夫】

 ピーク時に329世帯、736人が入居した仮設住宅の入居期限は4月末。輪島市では、自宅再建を断念した49世帯85人が市の災害公営住宅に入居する予定。10日から順次、鍵の引き渡しが始まる。

 説明会には宅田地区(12戸)に入居予定の13人が参加。市職員2人が、所得に応じて決まる家賃や、入居に必要な敷金、提出書類などを説明した。市は13日を書類提出日としたが、入居予定者は「東京の息子に書類を書いてもらうので、そんな早く出せない」と戸惑う場面もあった。

 説明会に来た泉英子さん(74)は1DKで1人暮らしを予定しているが、初めての賃貸借契約に困惑気味だ。地震で自宅が全壊し、跡地に年間10万円以上の固定資産税がかかる。収入は月5万円ほどの年金で「何をどうしたらいいか分からない」と頭を抱えていた。

 輪島市によると公営住宅は広さ1DK~3DK。家賃は最低で1万5900円。退去時に返還されるものの、入居には家賃3カ月分の敷金が必要。引っ越しなどに費用もかかり、入居者の負担は大きい。

毎日新聞 2009年3月6日 地方版

能登・雪割草まつり:
地震から復活アピール--石川・輪島の総持寺通り /北陸

 能登半島地震(07年3月25日)から間もなく2年。震度6強を観測した最大の被災地である石川県輪島市門前町の総持寺通りで21、22日、「能登・雪割草まつり」が開かれる。雪割草の展示販売や押し花づくり(200円)のほか、地元特産品の「門前そば」などを販売。元気になった能登をアピールする。イベントは午前10時~午後3時。

 早春に色とりどりの花を咲かせる雪割草は輪島市の市花。22日午前10時から、国内有数の雪割草群生地として知られる猿山岬周辺を歩くツアーがある。おにぎりとお茶、雪割草の苗付きで、先着50人。参加費は一般2000円、中学生以下1500円で、事前予約が必要。問い合わせは能登・雪割草まつり実行委員会(0768・42・1111)。【柿沼秀行】

毎日新聞 2009年3月6日 地方版

能登半島地震:
復興だより ろうそく1000個 21日、輪島でイベント /石川

 ◇ボランティアとのきずな、忘れない--「絆の木道」沿いなど

 能登半島地震から2年が経過するのを前に、輪島市門前町道下地区の仮設住宅に隣接するグラウンドゴルフ場で21日、ろうそくの火をともすイベントがある。同ゴルフ場に復興モニュメント「絆(きずな)の木道」の設置を進める推進委員会が主催する。

 絆の木道は、激励のメッセージを書いた板を仮設住宅から日本海に向かって敷き詰め、260メートルの道を造るもの。被災者と復興に汗を流したボランティアとのきずなを将来に伝えるため、輪島市教委が昨年から始めた。

 当日は被災者が廃油で作った1000個のろうそくを、絆の木道の両側やゴルフ場に並べる。推進委は「2年を前に、助けてくれた多くのボランティアへ感謝を示し、震災を忘れないという決意を伝えたい」とし、参加を呼び掛けている。

 22日昼には、諸岡、黒島両地区の住民と語り合う「感謝の集い」も、同ゴルフ場で予定されている。

 問い合わせは推進委事務局(0768・23・1176)。【栗原伸夫】

毎日新聞 2009年3月5日 地方版

能登半島地震:
もうすぐ2年 元気よく、復興の証し「そばの市」--輪島 /石川

 ◇総持寺通り、笑顔に満ち 40店出店、繁盛--輪島市門前町

 輪島市門前町の総持寺通り商店街で1日、特産の門前そばを振る舞う「そばの市」があった。同町は能登半島地震で最も大きな被害が出たが、道路などの復興は着実に進み、被災者には笑顔も戻った。地震から2年となる25日を前に、住民らは復興を力強くアピールしている。

 総持寺前で約700年前、住民に振る舞われたのが門前そばの発祥。地元で採れる天然の山芋をつなぎに、そば粉を練り上げるのが特徴だ。太めのそばは食べ応えがあり、各家庭で作り方が受け継がれている。

 この日は40店が出店。門前そばの他、かきなど地元食材を使った能登丼、鹿鍋や干物などが販売された。そばを二人羽織で早食いする企画や、和太鼓の披露もあった。また総持寺も座禅の体験コーナーを置き、修行僧「雲水」が毎朝食べるかゆを200食用意した。

 同商店街の店主らも、手作りのこんにゃくや漬物などの販売で大忙し。総持寺通り協同組合理事長の五十嵐義憲さん(61)は「多くの人に来てもらってありがたいね」。商店街で喫茶店「もんぜんや」を切り盛りする高本裕美さん(46)は「普段の何十倍も忙しい」と笑顔だった。

 訪れた同町の無職男性(60)は「普段は人出がなく寂しい場所だから、イベントで他の地域の人に復興の様子を見てもらうことが大切」。東京から仕事で輪島市を訪れたという建築士の男性(48)は、「能登は地域の色合いが強く残っているところ。観光客向けに整備されておらず、街並みが印象的だ」と話していた。【栗原伸夫】

毎日新聞 2009年3月2日 地方版

研修会:
平時の備えで震災被害軽減 ボランティア60人、救援ノウハウ学ぶ /石川

 ◇「能登」の教訓生かし--日赤県支部

 大地震などで救援活動にあたるボランティアの研修会が28日、金沢市の日本赤十字社県支部であった。赤十字のボランティア登録者ら約60人が参加。能登半島地震の体験談を聞いて被災者への接し方を学んだほか、電話不通時に使う無線実習も実施。災害時に備えて知識と意識を高めた。【野上哲】

 07年3月の能登半島地震で、同支部は直後から医師や看護師ら救護班を派遣。ボランティアも毛布など救援物資の搬送、炊き出し、ニーズ調査などで大きな役割を果たした。この経験と教訓を生かし、東海地震などに備えようと開かれた。

 研修では、能登半島地震で被災した門前高校の養護教諭、高千令(たかちはる)さん(46)=輪島市=が講演。倒れた棚が重なる職員室など当時の写真も交え「家の片付け、続く余震。疲れはじわじわ募り、ついに無気力に陥る」と被災者の心理を説明。「かける言葉も『次に何しますか』よりは『いつでも声かけて』。『がんばって』よりは『がんばろう』。想像力が大切」と説いた。一方で、保健室通いだった生徒が災害ボランティアを通じて立ち直るなど「子どもたちは地震をきっかけに精神的にたくましくなった」と話した。

 企画した樋本和倫・同支部事業推進係長は「東海地震が起きれば石川は中部北陸の赤十字の拠点になる。県内でも森本富樫断層がありいつ災害が起きてもおかしくない。普段から考え、備えることが被害軽減につながる」と指摘。今後も心のケア研修会などを開く。

毎日新聞 2009年3月1日 地方版

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