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障害者自立支援法訴訟:応益負担を撤廃へ 国が方針転換表明--広島地裁弁論

 障害者自立支援法で定める福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)は、「障害者の生存権を侵害し違憲」として国などに負担撤廃を求めている集団訴訟の弁論が24日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。国側は応益負担撤廃を表明、全面的に争ってきた従来の姿勢を一転させた。集団訴訟では全国63人の障害児者が13地裁で係争中だが、国が一連の訴訟で方針転換を表明したのは初めて。

 集団訴訟で原告側は、「障害が重く支援が必要な人ほど負担が増す応益負担は、障害者の生きる権利を侵害している」と主張している。これに対し、国側は「障害者差別に当たらず合憲」と全面的に争ってきた。

 しかし広島地裁で開かれた弁論で、国側は「自立支援法は廃止し、応能負担の方針で制度を見直すことになった」と陳述。違憲性への言及は避けたが、「訴訟の遂行を検討する必要があり時間が欲しい」と、原告側との和解を模索する可能性も示唆した。今後、他の地裁の訴訟でも、同様の方針で臨む。

 原告側弁護団によると、国側から届いた17日付の準備書面には、応益負担を妥当とする従来通りの主張が展開されていた。しかし直後の19日、長妻昭厚生労働相が同法を廃止し、応能負担などを柱とする新法を制定すると明言した。このため、国側はこの日、17日付準備書面の留保を申請したうえで、口頭で応益負担廃止を陳述した。事前に出した準備書面を、法廷で事実上撤回するという異例の対応となった。

 原告側は10月1日に全国約20人が新たに訴えを起こす準備を進めてきたが、追加提訴に踏み切るかどうかは流動的だ。全国原告弁護団長の竹下義樹弁護士は、「新政権の下で自立支援法廃止を明言した以上、障害者たちの訴えに国が理解を示したと考えている」とコメントした。【夫彰子】

毎日新聞 2009925日 東京朝刊

障害者自立支援法訴訟:国が争う姿勢を転換へ 広島地裁

2009924 230分 更新:924 230

 障害者自立支援法で定める福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)は「生存権を侵害するもので違憲」として、全国の障害者が国などに負担撤廃を求めた集団訴訟で、全面的に争ってきた国が従来の姿勢を転換する方向で準備を進めていることが関係者への取材で分かった。長妻昭厚生労働相が19日、同法の廃止を明言したことを受けたもので、早ければ24日に広島地裁で開かれる口頭弁論で、主張撤回を表明する。

 自立支援法の違憲訴訟では、東京、大阪、福岡など全国29人の障害者が08年10月、各地の地裁に一斉提訴した。今年4月の2次提訴でさらに28人が加わり、現在、計57人が13地裁で係争中だ。

 24日に広島地裁で開かれる弁論は、一連の訴訟で、長妻厚労相の発言後に初めて開かれる弁論となる。関係者によると、国は応益負担の是非について原告側と今後は争わないとの考えを示し、各地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。ただ、違憲性に踏み込むかどうかは不透明だ。【夫彰子】

障害者自立支援法:
厚労相廃止発言 熊本「語ろう会」、「声が届いた」と歓迎 /熊本

 障害者の自立支援をめぐる問題を話し合う「気楽に語ろう会」が20日、熊本市大江の市障害者福祉センター希望荘であった。県内の支援団体など約50団体でつくる「障害者自立支援法をよくする連絡会」(田中外至(ほかし)さんら代表)が主催した。長妻昭厚労相が19日に自立支援法廃止を明言したことについて「改善を求める声が届いた」と歓迎する意見が出た。

 連絡会は、自立支援法が施行された06年に発足、学習会や講演会などを重ねてきた。障害者の生の声を聞く対話の場を持つため、初めて語ろう会を開いた。

 田中会長は「自立を促す法でありながら自立を阻害する運用に問題がある。皆さんがかねて思っている困ったことなどを語り合おう」とあいさつした。

 障害者や施設職員からは、日ごろの生活での悩みに加え、自立支援法について「医療費が5倍になり負担が増えた」「負担できずに施設を出る人が増えた」など窮状を訴える意見が出た。

 障害者・児の生活を豊かにする会の山本あや会長は「この声を新たな障害者支援法に反映させよう」と話した。【和田大典】

毎日新聞 2009921日 地方版

障害者自立支援法:廃止へ 厚労相、新制度に着手

 長妻昭厚生労働相は19日、同省内で記者団に対し、福祉サービスを利用する際に原則1割の自己負担を求めている障害者自立支援法の廃止を明言した。その上で「どういう制度にするかも今後詰めていく」と述べ、現行制度に代わる新たな障害者福祉制度の設計に着手する考えを示した。【佐藤丈一】

 同法は06年10月に完全施行された。それまでの支援費制度が所得に応じてサービス利用料を負担する「応能負担」だったのに対し、同法では利用したサービスに応じて定率で負担する「応益負担」への転換が図られた。

 国の財政負担軽減などが狙いだったが、もともと経済的に苦しい障害者の負担増につながる制度変更には当初から根強い反発があった。08年10月には東京、大阪など1都2府5県の障害者が「原則1割負担は障害者の生きる権利の侵害」などとして国や自治体を相手取り、全国8地裁に負担廃止などを求めて提訴した。

 こうした事態を受け、麻生太郎内閣と自民、公明両党は以前の「応能負担」に戻す改正案を3月に国会提出したが、衆院解散に伴い廃案となった。

 民主党は、衆院選のマニフェストで同法の廃止を明記。費用を応能負担とする「障がい者総合福祉法」(仮称)の制定などを提唱。社民、国民新両党との連立政権政策合意にも「利用者の応能負担を基本とする総合的な制度」創設を盛り込んでいる。

 また、長妻氏は19日、同省内で副大臣・政務官を交えた「政務三役」の初会合を開き、生活保護の母子加算の復活を年内に行う方針を改めて確認。復活時期に応じた工程表を複数案提示するよう関連部局に指示した。

 【ことば】障害者自立支援法

 自民党が圧勝した05年9月の衆院選直後の同10月に成立した。「小泉改革」の一環で、身体、知的、精神の3障害に対する支援を一元化するとともに、施設や事業の再編を図り、就労支援を強化して障害者の自立を促すのが目的。収入に関係なく利用料の原則1割を負担しなければならないことや、施設への報酬(公費)が減らされたことから、全国の共同作業所などで作る「きょうされん」などが抜本的な見直しを求めている。

毎日新聞 2009919日 2113分(最終更新 920日 119分)

ドキュメント・政権交代:民主が公約、自立支援法廃止 障害者期待と不安
 ◇「新法に現場の声を」

 衆院選で圧勝した民主党を、障害者らが期待と不安を込めて注視している。福祉サービス費に原則1割負担(応益負担)を課す「障害者自立支援法」の廃止と、新たな「障がい者総合福祉法」制定を、同党が公約したからだ。自公政権下、厚生労働省主導で策定・施行された自立支援法には、障害者らから「現場の実態を無視した官僚政治の典型」との批判が強い。新政権は「政治主導」を実現できるのか。障害者施策はその試金石の一つになりそうだ。【夫彰子、河津啓介】

 ■違憲訴訟原告

 「賃金から利用料を払って働かなければならない自立支援法はおかしい。お金だけではなく生きがいにつながる問題だ」

 全国57人の障害者が国などを相手取り、応益負担の廃止を求めて各地の地裁に提訴している自立支援法違憲訴訟。訴訟の弁護団、支援者ら約100人が6日、福岡市中央区天神で開かれた街頭活動で訴えた。

 原告の一人、福岡県田川市の通所施設「第2つくしの里」に通う平島龍磨さん(41)は施設でクッキーの製造・販売を担当する。月9000円弱の工賃に対し、「1割」など施設への支払いは月約8000円。「なぜ障害者だけが働いている所にお金を払うのか」。怒りから昨年10月の第1次提訴に加わった。原告団29人は、今春の2次提訴でさらに28人増えた。

 訴訟では、「生きるために不可欠の支援に負担を課すのは、障害者への差別。障害のない人と平等な社会を」と訴える原告側に対し、国側は全面的に争う構えを見せている。

 次期政権を担う民主党の障がい者総合福祉法案は、負担は所得に応じた「応能」で、現在行政が決めている「受けられる支援」の内容を障害者自身が選ぶという内容だ。だが、平島さんは「新法が自立支援法の看板だけ変えたものなら無意味だ」と言う。

 「厚労省が多くの障害者たちの反対を無視して作ったのが自立支援法。民主党が『官僚政治の打破』を目指すなら、新任の厚労相は裁判の傍聴に来て現場の声を聞いてほしい」と力説する。新法の中身を見極めるまで、訴訟は続けるつもりだ。

 ■施設の子たち

 自立支援法は施設で暮らす子供も直撃した。児童施設は従来、障害の有無に関係なく生活・医療・教育費を公費で保障する「措置制度」の対象だった。しかし同法施行後、障害児施設だけに自己負担の「契約制度」が導入された。

 鹿児島県の障害児施設長(45)は「自立支援法により『子どもの健全育成は国と自治体が責任を負う』と定めた児童福祉法から、障害児が除外された」と指摘する。

 この施設では6月、虐待で入所し、県が「障害児だから契約」と判断した高校生の少女(18)が、国民健康保険証を所持せず事実上の「無保険」になっていることが判明。その後、県は「障害児でも子供の権利が守られるか十分考慮し、契約が妥当か判断する」と方針を改めた。しかし国は「親が負担金を滞納すれば、障害児を退所させてもよい」との姿勢を変えていない。

 民主党のマニフェストには障害児支援の公的責任が明記されておらず、施設長は「医療・教育・福祉・雇用など多様な関係者が連携し、障害のある子供を社会全体で支える仕組みを作れるか注目していきたい」と話す。

 一方、厚労省障害保健福祉部は「我々は新しい政府の方針に粛々と従うだけ。今後どうなるかは、何も分からない」と話している。

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 ■障害者自立支援法を巡る経過■

03年 4月 障害者が施設と利用契約を結び、応能負担する支援費制度開始(障害児は対象外)

05年 9月 「郵政選挙」で自公圧勝
   10月 自立支援法が国会で可決成立
06年 3月 支援費制度廃止
06年 4月 自立支援法の一部施行
   10月 全面施行
09年 3月 政府与党が応能負担とする改正法案を国会に提出
    7月 衆院解散で、改正案が審議未了で廃案

毎日新聞 200997日 西部朝刊

障害者自立支援法:
違憲訴訟 支援者ら「岡山の会」 北区で原告窮状訴える /岡山

 障害者自立支援法の福祉サービス利用料の1割負担は生存権を侵害し、違憲として美咲町原田、清水博さん(61)が国と同町を相手取り、負担免除申請の却下処分取り消しを岡山地裁に求めた訴訟で6日、支援者らが「勝利をめざす岡山の会」を結成した。北区丸の内の県立図書館であった結成総会では清水さんが障害者の窮状を訴えた。約50人が出席し、同会世話人の吉野一正さん(68)が「障害者が人間らしく生きていくのは言うほど楽ではない。たくさんの不平等が存在している。清水さんを最後まで応援していきたい」とあいさつ。清水さんは「車いすの修理費にも応益負担が伴う。障害のない人が普通に通行している道や自宅の中をまるで有料道路を通行しているかのようだ。応益負担がある限り障害者の生存権や幸福追求権などの人権を侵害している」と強く訴えた。【石井尚】

毎日新聞 200997日 地方版

障害者自立支援法訴訟:法廷も視覚バリアフリー 神戸地裁、名乗ります
 ◇「裁判官の佐藤です」「被告の代理人です」

 障害者自立支援法が法の下の平等を定めた憲法に違反すると訴えている集団訴訟で、神戸地裁は、法廷で裁判官や訴訟関係者が発言する際、自分の立場などを名乗ることに決め、28日の第3回口頭弁論から適用した。原告や傍聴者に視覚障害者がいることを考慮した。原告側代理人によると、全国13地裁で行われている一連の訴訟では初の措置といい、「法廷のバリアフリー化に向けて前進」と評価している。

 前回の口頭弁論で原告側が「視覚障害者に発言者が誰か分からない」と、要請した。

 この日の口頭弁論で佐藤明裁判長が「どちらの代理人かを明らかにしてほしい」と要請。法廷では「裁判官の佐藤です」「被告の指定代理人です」などと名乗って弁論を行った。被告側は、答弁書などもパソコンソフトで音声化できるように原告側にデータでも提出したという。口頭弁論で意見陳述した原告で視覚障害者の今泉勝次さん(59)は「裁判がわかりやすくなった。訴訟の当事者として、進行状況が逐次、理解できることがうれしい」と話した。【吉川雄策】

毎日新聞 2009829日 大阪朝刊

障害者自立支援法:
県内初の提訴 美咲町の清水さん「1割負担は違憲」 /岡山

 障害者自立支援法が定める福祉サービス利用料の1割負担は「障害者の生きる権利を侵害し、違憲」として、美咲町原田の清水博さん(61)が25日、国と同町を相手取り、負担免除申請の却下処分取り消しなどを求めて岡山地裁に提訴した。

 同法を巡っては昨年10月、今年4、5月に全国12地裁で集団提訴があった。県内では初めての提訴で、原告は計63人になった。

 清水さんは昨年11月、同町に負担の全額免除を申請したが、却下された。北区内で弁護団と会見した清水さんは、「片道200円の交通費を節約するため、津山市内への通院を月1回から2カ月に1回にした。法の施行後、余暇を楽しめなくなった」などと訴えた。

 清水さんは脳性まひによる障害のため、車いすでの生活を送っている。訴状によると、清水さんの月収は月額8万2508円の障害基礎年金だけで、介護費用や車いすの修理費などの1割負担が生活を圧迫するようになったという。【石井尚】

毎日新聞 2009826日 地方版

障害者自立支援法訴訟:障害者1割負担「違憲」、28人が2次提訴

 障害者自立支援法が福祉サービス料の1割を利用者に自己負担させているのは障害者の生存権を侵害し違憲だとして障害者28人が1日、国と16市町を相手取り、負担廃止などを求めて全国10地裁に提訴した。08年10月に続く2回目の一斉提訴。


 提訴したのは25~71歳の身体、知的、精神障害者。内訳は▽北海道1人▽岩手1人▽滋賀4人▽京都8人▽大阪6人▽兵庫4人▽奈良1人▽和歌山1人▽広島1人▽福岡1人。

 訴えによると障害者は従来、ヘルパーの訪問介護やグループホーム利用でサービス料などを負担せずに済んだが、06年4月の同法施行で、収入に関係なく原則1割を自己負担することになった。原告側は「同法は障害者の外出や社会参加の機会を制限している」と主張し、既に負担した総額約540万円の返還や1人当たり10万円の慰謝料も求めた。

 政府は3月31日、サービス料の1割を上限に収入に応じて負担する内容の同法改正案を国会に提出。しかし全国弁護団長の竹下義樹弁護士は「障害者の負担は変わらず何も改善されない」と話した。【伊藤一郎、岸本桂司】

毎日新聞 200942日 東京朝刊


障害者自立支援法訴訟:2次提訴 旭川・川村さん参加「絶対おかしい」 /北海道

 障害者自立支援法違憲訴訟の第2次提訴に、道内から旭川市春光の川村俊介さん(28)が加わった。市と国を相手取り、福祉サービスの1割自己負担の全額免除などを求めている。

 川村さんは聴覚障害と知的障害、自閉症を抱え、うまく会話ができない。母和恵さん(56)は1日、支援団体が市内で開いた集会で「仕事に行っているのにお金を払わなければならないのは絶対おかしい」と、同法が福祉サービス利用料の1割を利用者に原則負担させる「応益負担」への怒りを訴えた。

 旭川地裁に出した訴状によると、川村さんは98年から市内の通所授産施設に通っているが、木工作業で得られる月約1万4000円の工賃に対し、利用者負担額は月1000円。さらに法導入前は不要だった給食費約4000円を負担している。川村さんの両親は無職で、父親の退職金を切り崩している状態という。

 支援集会には同じように施設に通う利用者や支援者ら100人余りが参加。弁護団は「全国で立ち上がっていることを示せた」と旭川での提訴の意義を強調した。【横田信行】

毎日新聞 200942日 地方版


障害者自立支援法訴訟:
一斉提訴 県内では38歳男性 /岩手

 障害者自立支援法は障がい者の生存権を侵害し憲法違反だとして、10地裁に一斉提訴があった1日、県内では、知的障がいがある藤沢町の男性(38)が国と以前住んでいた奥州市を相手取り、応益負担の廃止などを求めて盛岡地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は、06年4月の同法施行で、それまで必要なかった福祉サービス利用料を支払うなどし、生活が苦しい状態が続いているという。

 提訴後に会見した訴訟代理人の佐々木良博弁護士は、福祉サービス利用料の1割を利用者が原則負担する「応益負担」について、「障がい者の幸福追求権の侵害であり、法の下の平等に反する」と支援法の違憲性を強調した。原告男性の父親の佐々木直人さん(76)は「親が亡くなった後、障がい者基礎年金だけでは人間らしい生活はできない」と、訴えた。【岸本桂司】

毎日新聞 2009年4月2日 地方版


障害者自立支援法訴訟:
全国提訴に県内は4人 /兵庫

 障害者自立支援法は憲法違反として1日、全国の障害者らが一斉に起こした訴訟で、神戸地裁には4人が提訴した。原告側は利用料負担義務がないことの確認のほか、負担額返還などを求めている。

 提訴したのは、視覚障害を持つ神戸市垂水区の鍼灸師、今泉勝次さん(58)と妻の初子さん(57)▽四肢機能に障害を持つ宝塚市の無職、和田静栄さん(65)▽知的・身体障害を持つ尼崎市の無職、曽根一恵さん(36)の4人。このうち、今泉勝次さんは、支援法施行でガイドヘルパー利用料などで月額6000円の負担が生じたといい「障害は自己責任ではないのに負担を求めるのはおかしい」と訴えた。【吉川雄策】

〔神戸版〕

毎日新聞 2009年4月2日 地方版


障害者自立支援法訴訟:
「1割負担」違憲提訴 「普通の生活がしたい」 /和歌山

 ◇障害者の大谷さん「苦しみ知って」

 「普通に生活しようとしているのになぜ」--。障害者自立支援法に基づく福祉サービス利用料の原則1割負担は憲法違反だとして、全国10地裁で障害者らが1日、一斉提訴し、和歌山市北出島の大谷真之さん(34)も国と同市を相手取り、負担処分の取り消しなどを求め和歌山地裁に提訴した。大谷さんは「健常者と同じ生活がしたいだけ。不平等さや苦しみを知ってほしい」と訴えた。【藤顕一郎】

 大谷さんは脳性まひで、電動車椅子で生活する。料理や入浴にはヘルパーの助けが必要。同法の施行で、月4500円程度だったヘルパー利用料は、月9300円に。01年から1人暮らしをし、ヘルパー派遣事業を始めたが、利用控えなどで事業も苦しいという。06年4月から3年間の負担額約64万円の返還を求める。さらに、移動介護を無料で受けられる上限の月20時間を、50時間にするよう、同市に求める。

 提訴後の会見で大谷さんは、「20時間だと買い物に行くだけで精いっぱい。プライベートでも出歩きたい」と声をしぼりだすように語った。山崎和友・和歌山弁護団長は「すべての人が生きにくい世の中になってきている。障害者が先頭に立って、すべての人が生きやすくなる第一歩にしたい」と訴えた。国は応益負担から応能負担へと法改正する動きを見せているが、弁護団は「そもそも負担すること自体がおかしい」と訴えていく。

毎日新聞 2009年4月2日 地方版


障害者自立支援法訴訟:
新たに彦根の4人が提訴 /滋賀

 障害者が福祉サービスを利用する際、原則1割を自己負担とする障害者自立支援法(06年10月完全施行)は法の下の平等を定めた憲法などに違反すると訴えている集団訴訟で、1日、新たに彦根市の20歳代~60歳代の障害者の男女4人が国と彦根市に負担廃止と慰謝料など計約134万円を求めて提訴した。ほかに大阪や神戸、奈良など全国9地裁でも計24人の障害者が同日、提訴した。

 これら県内の二次訴訟原告団は提訴後、滋賀弁護士会館で記者会見。小児まひで足が不自由な原告の瀧本靖子さん(61)は「なぜ働きに行くだけでお金を取られるのか」と、作業所などの施設利用料の負担の不当性を訴えた。

 瀧本さんは携帯電話のストラップ作りや店舗でのレジ係として毎月約2万3000円の収入があるが、同法適用で、月1万円以上の自己負担が発生する。現在は国の軽減措置で月約2000円を支払うにとどまるが、「自分の車椅子の修理費すら支払うのが厳しい」と話した。

 また、原告の保護者らからも「この法律を残して死ねない」「親が働いているうちは払えるが、将来は分からない」など懸念の声が上がった。【後藤直義】

毎日新聞 2009年4月2日 地方版



障害者:自立支援法の負担廃止求め全国8地裁に一斉提訴
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障害者自立支援法の1割負担撤廃を求めて提訴し、会見に臨む原告の五十嵐良さん(左)ら=司法記者クラブで2008年10月31日午後5時25分、佐々木順一撮影

 障害者自立支援法が福祉サービス利用料の1割を利用者に原則負担させているのは障害者の生きる権利を侵害して違憲だとして、1都2府5県の障害者29人が31日、国や自治体を相手取り、負担の廃止などを求めて全国8地裁に一斉提訴した。

 地裁ごとの原告の内訳は▽東京2人▽さいたま7人▽大阪5人▽神戸7人▽京都1人▽大津4人▽広島2人▽福岡1人。利用料の負担義務がないことの確認のほか、実際に負担した総額約550万円の返還と、1人当たり10万円の慰謝料も求めている。

 訴状によるとヘルパーの介護を受けたり、車椅子を借りるといった福祉サービスを利用する際、障害者の大多数は利用料を負担せずに済んだのに、06年の障害者自立支援法の施行により、原則1割を負担させられるようになった。

 原告側は「社会参加を制限し、障害者を家に押し込めようとしている。障害者の所得水準は低く、障害が重いほど費用が高くなる」と指摘。「自立した生活を送る権利を侵害し生存権などを定めた憲法に違反しており、支援法は廃止を含めて抜本的に見直すべきだ」と主張している。【銭場裕司】

 ▽厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の話 訴状を見ていない段階でコメントできない。

 【コトバ】障害者自立支援法

 「小泉改革」の一環で05年10月に成立し、06年10月に完全施行された。3年ごとに見直すことになっている。身体、知的、精神に分かれていた障害者施策を一元化したほか、収入に応じた負担で福祉サービスを選択できる従来の「応能負担」を転換し、収入に関係なく利用料の原則1割を払う「応益負担」を導入した。障害者からの批判が強く、厚生労働省は今年度内に改正法案をまとめる。

毎日新聞 20081031日 2048


障害者:
自立支援法を違憲提訴 胸の思い吐き出す原告ら

 「障害者はこのままでは生きていけない」。31日、障害者自立支援法を違憲としてさいたま地裁に提訴後、東京都内で会見した原告の五十嵐良さん(34)は胸にたまった思いを吐き出すように語った。

 脳性まひで身体障害がある五十嵐さんは、さいたま市内の授産施設に通所して豆腐販売の事務をする。作業所で得られる工賃は月1万5000円だが、障害者自立支援法施行後は、施設利用料の一部を負担している。現在は軽減措置で月1500円に抑えられているが、今後どうなるか分からない。法施行後、利用料の負担を理由に一緒に働いた仲間が辞めていったという。

 東京地裁に提訴した深山一郎さん(35)は知的障害があり、ケアホームと作業所の利用料負担が月2万4600円に及ぶ。作業所の工賃は月2000円だけで、障害年金などでぎりぎりの生活を送る。母ヨシエさん(63)は「支援がなければ生活できないのに支援を受ければ負担が重くなる。自分も年を取り将来が不安」と話した。

 竹下義樹弁護団長は「コストを負担しないと人間らしい生活が与えられない。自立支援法が抱える矛盾を司法に訴えたい」と述べた。【銭場裕司】

毎日新聞 20081031日 2213


10月27日「勝利をめざす会」が発足しました!
 障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会
     発足集会に全国から160名が参加
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 よびかけ人代表あいさつで勝又和夫JD代表は、自立支援法の問題は、財政削減と利用抑制にまちがいのはじまりがあったと指摘、障害を「自己責任」とし、重ければ重いほど負担増となる応益負担に断固としてたちむかっていくとのべ、原告ととともに闘い、原告を物心両面で支えていくことを強調しました。太田修平事務局長による「経過報告」につづき、民主党・谷博之参議院議員、日本共産党・小池晃参議院議員が連帯のあいさつ。8名の原告がそれぞれ思いのこもった決意を表明しました(詳細後日)。
 80名の弁護団を代表して竹下義樹弁護団団長、藤岡毅弁護団事務局長がそれぞれ発言。発足集会アピールを採択した後、閉会あいさつで三澤了DPI日本会議議長が、いっしょになって闘っていくこと、「希望を捨てるわけにはいきません」と強調、31日の「
もうやめようよ!障害者自立支援法10.31全国大フォーラム」と全国一斉提訴を大成功させようと結びました。

10.27発足集会アピールnewlogo

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障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会
http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/suit/
の発足集会にご参加ください

日 時 10月27日(月)14:00~16:30
会 場 参議院議員会館・第1会議室
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_e05_01.htm

 「障害者自立支援法」は、「障害」があることによる社会的な支援を「益」であるとし、必要なサービスに「応益」負担を強制します。

 「障害があることは個人の責任」なんでしょうか。地域で普通にくらしたい!はたらきたい!社会に参加したい!そんなささやかな願いや希望をかなえるのがめざすべき方向であり、それを実現させる法律であるべきではないでしょうか。

 私たちは、この自立支援法の根幹の考え方をどうしても許せません。日本国憲法、障害者権利条約に反するこの法律を司法の場に訴えます。真の障害者福祉の実現をめざしてともに立ち上がりましょう!

●障害者自立支援法訴訟のご支援とご参加を心からよびかけます●
 内橋克人(経済評論家)大谷藤郎(国立ハンセン病資料館名誉館長)落合恵子(作家)勝又和夫(日本障害者協議会代表)香山リカ(精神科医・立教大学教授)金子勝(慶應義塾大学教授)堤未果(ジャーナリスト)仲村優一(日本社会事業大学名誉教授)樋口恵子(評論家・東京家政大学名誉教授)三澤了(DPI日本会議議長)
NPO IDO-Shien Forum