for The Disabled Act
障害者自立支援法廃止へ
Services and Supports for Persons with Disabilities Act

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10.30:長妻厚生労働大臣挨拶

どうも、みなさま、こんにちは!(拍手)

本当に、この会に厚生労働大臣の立場でお招きをいただきまして、深く感謝を申し上げます(拍手)
私も野党時代、自立支援法が国会で審議をされている最中、
みなさま方が、国会の周辺や議員会館の前で、この法律をなんとか止めてほしい。
雨の日も風の日も国会のまわりで、そして全国で、
みなさま方がお訴えられていた姿は、私も覚えているところでございます(拍手)

そして、政権交代が起こりました。
政策が変わります。

私どもといたしましては、この応益負担という、
非常にみなさまに重い負担と苦しみと尊厳を傷つけるこの障害者自立支援法を廃止をするということを決断をしているところでございます(大きな拍手)

これは、私ども民主党だけではございません。
国民新党、社会民主党、連立を組む3党の合意文章の中にも盛り込まれているものでございます。
これから私どもといたしましては、4年間の政権の1期の中で、この応益負担から応能負担に変える新しい制度を創設をしていく。
ただしその際には、本当にみなさま方お一人お一人のご意見をできる限り拝聴して、
みんなで一緒によりよい制度をつくっていきたい。
こういうふうにも、我々は考えてございますので(大きな拍手)

ぜひみなさま方、そしてみなさまのご家族、そして地域のみなさま、
専門家の方々だけではなくて、広く利用される方々の声も、
われわれ謙虚に耳を傾けて、新しい制度をつくっていきたい
いうふうに考えておりますので、
今後ともご指導を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。

本当に、本日はお招きをいただいてありがとうございました(大きな拍手)

09年10月30日/日比谷野外音楽堂


障害者自立支援法:廃止求め1万人集会、厚労相初めて出席

20091031 1018

 障害者自立支援法の即時廃止と新法制定を訴えるフォーラムが30日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開かれ、障害者や支援者ら約1万人が参加した。長妻昭厚生労働相が歴代大臣として初めて出席し、同法廃止を改めて明言。新法策定の中で障害者の意見を十分聞く考えも示した。

 フォーラムは障害者団体の主催で毎年開かれ5回目。実行委員会事務局長の太田修平・日本障害者協議会理事が、新法制定にあたっては法的根拠のある当事者との協議機関を設置する▽障害の定義を障害者権利条約に合わせて見直す--などの要望を盛り込んだアピール文を読み上げた。

 長妻厚労相は「4年以内に新制度を創設する。皆さん一人一人の意見をできる限り拝聴したい」とあいさつ。参加者はフォーラム終了後、「新法では私たちの声を聞いて」などと訴えながら国会周辺などを練り歩いた。


障害者応益負担:軽減対象拡大へ長妻厚労相が方針

2009107 230

 障害者が福祉サービスを利用する際に原則1割を自己負担(応益負担)させる障害者自立支援法の廃止を明言した長妻昭厚生労働相は、所得に応じた応能負担を基本とする新制度の創設までの間、新たな負担軽減措置を実施する方針を固めた。利用者側から反発が強い現行法を巡っては自公政権下で2度、負担上限額が軽減されるなどにより、実質的な負担率は約3%になった。新たな負担軽減策も上限額見直しや対象範囲の拡大などを図るとみられ、実施時期を詰める。【佐藤浩】


障害者自立支援法:
障害児新指針 「根本解決にならぬ」専門家ら、契約存続前提を批判

 自治体の判断次第で生活費が全額公費負担か一部保護者負担か分かれる、施設入所障害児の問題。親が負担金を支払わず子供が施設を出されそうになるなどの事態が相次ぎ、厚生労働省はようやく改善通知を出すことを決めた。ただ背景には、障害者自立支援法が福祉に契約制度を導入したことがあり、新通知も契約制度の存続を前提にしている。専門家や障害児施設は「新通知が出ても問題の根本は解決されない」と厳しい目を向けている。

 社会保障法に詳しい鹿児島大法科大学院の伊藤周平教授は「契約に基づいて事業者は福祉サービスを提供し、障害者はその対価を払う仕組みになって、行政は福祉を行う義務を負わなくなり、障害児という最も弱い存在がしわ寄せを受けた。契約制度という『福祉の商品化』自体が問題なのに、新指針案は契約制度の存続を前提にしている」と批判する。

 そのうえで「通知後も、弱い人ほど福祉が保障されない根本的問題は解決されない。障害児は全員、行政が措置制度で守る仕組みに戻すべきだ」と話す。

 また、鹿児島県の障害児施設長は「余りにひどい実情を改善するためには新通知は一歩前進だが、(国と自治体の公的責任を明記した)児童福祉法で子供を守るという課題は手つかずのままだ」と指摘。千葉県の施設長は「新通知は自立支援法が廃止されれば自動的に失効し、今後は新法の中身が重要になるが、民主党案は障害児支援の位置付けが不十分。新法をつくる前に、子育てに行き詰まり無理心中を図るなど障害児のいる家庭の現実を見てほしい」と訴える。【夫彰子】

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 ■解説
 ◇新政権は法改正検討を

 障害児への契約制度の運用を巡る都道府県格差に対し、厚労省の新通知案は一定の改善を期待できる内容だ。が、06年10月の開始当初から問題点が指摘されながら、政権交代で障害者自立支援法の廃止が決定的になるまで放置した点で、対応の遅さは否めない。

 東京都では、生活苦から家賃を滞納し住居も失った父親や、知的障害と精神疾患がある母親とも「契約が可能」と判断した例が判明。鹿児島県では、性的虐待を受けた疑いのある女児や、母親の養育拒否で入所し国民健康保険証も持たない「無保険児」にも契約制度を適用した。同様の例は全国各地にある。

 自立支援法は、支援が必要でも相応の負担ができなければ受けられない、という仕組みだ。その最大の弊害は、必要な福祉を当人や保護者の自己責任に帰し、措置制度が国と自治体に義務付けてきた「福祉を行う責任」を激減させたことだ。

 00年施行の介護保険法により高齢者で始まった契約制度は、06年に自立支援法で障害者に拡大、更に保育制度への導入も検討され、児童福祉全体へ広がりつつある。今回の新通知は、不適切な契約の適用例を多少は減らすだろうが、一方で「制度が悪いのではなく、従来の通知で不十分な文言を改善した」(厚労省)と、契約制度の正当化を許すもろ刃の剣でもある。

 先月、長妻厚労相は「自立支援法廃止」を明言したが、新法の前提となる民主党の障がい者総合福祉法案は、1割負担撤廃など自立支援法の手直しに留まる。新政権が福祉の公的責任の重要性を認識するなら、抜本的な法改正を検討すべきではないか。【夫彰子】

毎日新聞 2009106日 西部朝刊


障害者自立支援法:虐待児保護へ新基準 公費入所拡大

 障害児の保護者が福祉サービス費の原則1割などを負担する障害者自立支援法の契約制度について、厚生労働省は子供の事情に応じた新たな運用基準を都道府県に通知する方針を決めた。契約制度を巡っては、虐待で施設入所した子供にも適用し、保護者が負担金を支払わず親元に戻される恐れが出るなど、全国で不適切な運用例が相次いでいた。【夫彰子】

 長妻昭厚労相は同法廃止を明言したが、厚労省は廃止までの暫定的な改善策として、年内にも新通知を出す考えだ。

 従来、児童施設で暮らす子供は、生活・医療・教育を公費で保障する「措置制度」だった。しかし厚労省は06年の同法施行で障害児にだけ契約制度を適用し、都道府県に「保護者が不在、虐待、精神疾患のいずれかの場合は障害児も措置(制度の適用)が可能」との判断基準を示していた。

 ただ、厚労省は同時に示した「運用例」で措置制度の適用を厳しく制限。保護者が(1)入院や服役中でも所在が明らかなら不在と認めない(2)成年後見人がいなければ精神疾患と認めない(3)負担を滞納した場合、施設は契約を解除し子供を退所させてよい--などとした。これをどこまで順守するかで都道府県の対応は分かれ、日本知的障害者福祉協会の08年調査では、措置制度が適用された子供の割合は、自治体によって1割未満~7割超まで大きな差が出た。

 このため厚労省が設置した有識者による障害児支援の検討会は昨夏、格差の是正を提言。厚労省は新通知案で「保護者の契約意思の有無に関係なく、児童の個別事情を勘案し、必要があれば措置にする」と明記した。

 また、契約制度を適用された児童やその家族への児童相談所の支援は、従来「義務ではない」としてきたが、一転「措置・契約に関係なく継続的に適切な支援をする」と事実上義務化。厚労省障害保健福祉部は「新通知はあくまで措置率格差の改善が目的」と話している。

 【ことば】児童施設

 児童福祉法に基づき原則18歳未満の子供が入所または通所する。入所施設には、親の養育拒否などの事情で家庭で暮らせない子供のための乳児院や児童養護施設のほか、障害児のための肢体不自由児施設や知的障害児施設がある。全国に約1200カ所あり、入所児童数は約5万人。うち障害児が約3割を占める。契約制度が適用されるのは障害児施設の子供だけで、他の児童施設の子供は生活・医療・教育費などをすべて公費で保障する措置制度が無条件で適用される。

毎日新聞 2009106日 230


介護者割引:志木市説明必要 東京高裁、原告敗訴取り消す

2009101 150分 更新:101 151

 身体障害者の長女(58)を介護する男性=埼玉県志木市=が、介護者も鉄道・バス運賃が半額になる制度の説明を受けなかったため余計な運賃を支払ったとして、志木市に約1万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京高裁は9月30日、請求を棄却したさいたま地裁の2審判決を取り消し、同地裁に審理を差し戻した。加藤新太郎裁判長は「自治体には介護者の割引制度も説明する義務がある」と認めた。同地裁で損害額が審理される。

 訴えによると男性は06年1月、市役所で長女の身体障害者手帳を受け取った際、長女の運賃半額について説明を受けたが、介護者も同じ扱いになるという説明は受けなかった。JR職員から制度を教えられた同11月までの間に、山形県や福島県に介護者として旅行した際の鉄道料金について、割引価格との差額分の支払いを求めた。

 1審でさいたま簡裁は市に全額支払いを命じたが、2審のさいたま地裁は「介護者の割引は付随的制度に過ぎず、自治体の説明義務を定めた法令は見当たらない」と原告の逆転敗訴とした。

 東京高裁は「障害者にとって移動の自由の保障は大きな意義があり、介護者の割引を付随的制度と過小評価するのは相当でない」と指摘。自治体の責務を定めた障害者自立支援法の趣旨から、介護者の割引制度も「障害者の福祉に必要な情報」に当たると結論づけた。【伊藤一郎】


障害者自立支援法訴訟:応益負担を撤廃へ 国が方針転換表明--広島地裁弁論

 障害者自立支援法で定める福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)は、「障害者の生存権を侵害し違憲」として国などに負担撤廃を求めている集団訴訟の弁論が24日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。国側は応益負担撤廃を表明、全面的に争ってきた従来の姿勢を一転させた。集団訴訟では全国63人の障害児者が13地裁で係争中だが、国が一連の訴訟で方針転換を表明したのは初めて。

 集団訴訟で原告側は、「障害が重く支援が必要な人ほど負担が増す応益負担は、障害者の生きる権利を侵害している」と主張している。これに対し、国側は「障害者差別に当たらず合憲」と全面的に争ってきた。

 しかし広島地裁で開かれた弁論で、国側は「自立支援法は廃止し、応能負担の方針で制度を見直すことになった」と陳述。違憲性への言及は避けたが、「訴訟の遂行を検討する必要があり時間が欲しい」と、原告側との和解を模索する可能性も示唆した。今後、他の地裁の訴訟でも、同様の方針で臨む。

 原告側弁護団によると、国側から届いた17日付の準備書面には、応益負担を妥当とする従来通りの主張が展開されていた。しかし直後の19日、長妻昭厚生労働相が同法を廃止し、応能負担などを柱とする新法を制定すると明言した。このため、国側はこの日、17日付準備書面の留保を申請したうえで、口頭で応益負担廃止を陳述した。事前に出した準備書面を、法廷で事実上撤回するという異例の対応となった。

 原告側は10月1日に全国約20人が新たに訴えを起こす準備を進めてきたが、追加提訴に踏み切るかどうかは流動的だ。全国原告弁護団長の竹下義樹弁護士は、「新政権の下で自立支援法廃止を明言した以上、障害者たちの訴えに国が理解を示したと考えている」とコメントした。【夫彰子】

毎日新聞 2009925日 東京朝刊


障害者自立支援法訴訟:国が争う姿勢を転換へ 広島地裁

2009924 230分 更新:924 230

 障害者自立支援法で定める福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)は「生存権を侵害するもので違憲」として、全国の障害者が国などに負担撤廃を求めた集団訴訟で、全面的に争ってきた国が従来の姿勢を転換する方向で準備を進めていることが関係者への取材で分かった。長妻昭厚生労働相が19日、同法の廃止を明言したことを受けたもので、早ければ24日に広島地裁で開かれる口頭弁論で、主張撤回を表明する。

 自立支援法の違憲訴訟では、東京、大阪、福岡など全国29人の障害者が08年10月、各地の地裁に一斉提訴した。今年4月の2次提訴でさらに28人が加わり、現在、計57人が13地裁で係争中だ。

 24日に広島地裁で開かれる弁論は、一連の訴訟で、長妻厚労相の発言後に初めて開かれる弁論となる。関係者によると、国は応益負担の是非について原告側と今後は争わないとの考えを示し、各地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。ただ、違憲性に踏み込むかどうかは不透明だ。【夫彰子】


障害者自立支援法:
厚労相廃止発言 熊本「語ろう会」、「声が届いた」と歓迎 /熊本

 障害者の自立支援をめぐる問題を話し合う「気楽に語ろう会」が20日、熊本市大江の市障害者福祉センター希望荘であった。県内の支援団体など約50団体でつくる「障害者自立支援法をよくする連絡会」(田中外至(ほかし)さんら代表)が主催した。長妻昭厚労相が19日に自立支援法廃止を明言したことについて「改善を求める声が届いた」と歓迎する意見が出た。

 連絡会は、自立支援法が施行された06年に発足、学習会や講演会などを重ねてきた。障害者の生の声を聞く対話の場を持つため、初めて語ろう会を開いた。

 田中会長は「自立を促す法でありながら自立を阻害する運用に問題がある。皆さんがかねて思っている困ったことなどを語り合おう」とあいさつした。

 障害者や施設職員からは、日ごろの生活での悩みに加え、自立支援法について「医療費が5倍になり負担が増えた」「負担できずに施設を出る人が増えた」など窮状を訴える意見が出た。

 障害者・児の生活を豊かにする会の山本あや会長は「この声を新たな障害者支援法に反映させよう」と話した。【和田大典】

毎日新聞 2009921日 地方版


障害者自立支援法:廃止へ 厚労相、新制度に着手

2009919 2113分 更新:920 119

 長妻昭厚生労働相は19日、同省内で記者団に対し、福祉サービスを利用する際に原則1割の自己負担を求めている障害者自立支援法の廃止を明言した。その上で「どういう制度にするかも今後詰めていく」と述べ、現行制度に代わる新たな障害者福祉制度の設計に着手する考えを示した。【佐藤丈一】

 同法は06年10月に完全施行された。それまでの支援費制度が所得に応じてサービス利用料を負担する「応能負担」だったのに対し、同法では利用したサービスに応じて定率で負担する「応益負担」への転換が図られた。

 国の財政負担軽減などが狙いだったが、もともと経済的に苦しい障害者の負担増につながる制度変更には当初から根強い反発があった。08年10月には東京、大阪など1都2府5県の障害者が「原則1割負担は障害者の生きる権利の侵害」などとして国や自治体を相手取り、全国8地裁に負担廃止などを求めて提訴した。

 こうした事態を受け、麻生太郎内閣と自民、公明両党は以前の「応能負担」に戻す改正案を3月に国会提出したが、衆院解散に伴い廃案となった。

 民主党は、衆院選のマニフェストで同法の廃止を明記。費用を応能負担とする「障がい者総合福祉法」(仮称)の制定などを提唱。社民、国民新両党との連立政権政策合意にも「利用者の応能負担を基本とする総合的な制度」創設を盛り込んでいる。

 また、長妻氏は19日、同省内で副大臣・政務官を交えた「政務三役」の初会合を開き、生活保護の母子加算の復活を年内に行う方針を改めて確認。復活時期に応じた工程表を複数案提示するよう関連部局に指示した。

 【ことば】障害者自立支援法

 自民党が圧勝した05年9月の衆院選直後の同10月に成立した。「小泉改革」の一環で、身体、知的、精神の3障害に対する支援を一元化するとともに、施設や事業の再編を図り、就労支援を強化して障害者の自立を促すのが目的。収入に関係なく利用料の原則1割を負担しなければならないことや、施設への報酬(公費)が減らされたことから、全国の共同作業所などで作る「きょうされん」などが抜本的な見直しを求めている。


社会福祉法人:全精社協が補助金1800万円流用

 全国の障害者施設などでつくる社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京都)が厚生労働省の補助金約1800万円を不正流用したことが全精社協元幹部らへの取材で分かった。使途不明金は数千万円に上るとの証言もあり、一部が前衆院議員や元厚労省幹部に、パーティー券や商品券の形で流れた疑いがあることも分かった。厚労省は今年4月から特別監査中で、検察当局も近く実態解明に乗り出す模様だ。

 元幹部や関係資料などによると、07年、基本財産6000万円のうち2000万円を、運営する精神障害者支援施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)の運営経費用に厚労省に無断で取り崩した。この穴埋めのため、08年3月、1800万円を不正流用したという。この補助金は障害者自立支援について調査、研究する目的で07年度、計3130万円が支出されたものだった。

 厚労行政に詳しい自民党前衆院議員の政治資金パーティー券を3回分計60万円で購入したり、障害者施策を担当していた元厚労省幹部に商品券数十万円分を渡した疑いも出ている。

 一方、全精社協が08年、ハートピアきつれ川の土地建物を取得した際、舛添要一厚労相が便宜を図る文書を出していたことが分かった。文書は08年6月11日付で、同施設の土地建物に4億5000万円の抵当権を持つ独立行政法人「福祉医療機構」(東京都)の理事長に対し、「特段の配慮」を依頼する内容で、その後、同機構は抵当権を解除し債権放棄した。厚労相が補助金の不正流用が疑われる団体へ協力したことになり、判断の是非が問われそうだ。

毎日新聞 2009916日 1500分(最終更新 916日 1525分)


ドキュメント・政権交代:民主が公約、自立支援法廃止 障害者期待と不安
 ◇「新法に現場の声を」

 衆院選で圧勝した民主党を、障害者らが期待と不安を込めて注視している。福祉サービス費に原則1割負担(応益負担)を課す「障害者自立支援法」の廃止と、新たな「障がい者総合福祉法」制定を、同党が公約したからだ。自公政権下、厚生労働省主導で策定・施行された自立支援法には、障害者らから「現場の実態を無視した官僚政治の典型」との批判が強い。新政権は「政治主導」を実現できるのか。障害者施策はその試金石の一つになりそうだ。【夫彰子、河津啓介】

 ■違憲訴訟原告

 「賃金から利用料を払って働かなければならない自立支援法はおかしい。お金だけではなく生きがいにつながる問題だ」

 全国57人の障害者が国などを相手取り、応益負担の廃止を求めて各地の地裁に提訴している自立支援法違憲訴訟。訴訟の弁護団、支援者ら約100人が6日、福岡市中央区天神で開かれた街頭活動で訴えた。

 原告の一人、福岡県田川市の通所施設「第2つくしの里」に通う平島龍磨さん(41)は施設でクッキーの製造・販売を担当する。月9000円弱の工賃に対し、「1割」など施設への支払いは月約8000円。「なぜ障害者だけが働いている所にお金を払うのか」。怒りから昨年10月の第1次提訴に加わった。原告団29人は、今春の2次提訴でさらに28人増えた。

 訴訟では、「生きるために不可欠の支援に負担を課すのは、障害者への差別。障害のない人と平等な社会を」と訴える原告側に対し、国側は全面的に争う構えを見せている。

 次期政権を担う民主党の障がい者総合福祉法案は、負担は所得に応じた「応能」で、現在行政が決めている「受けられる支援」の内容を障害者自身が選ぶという内容だ。だが、平島さんは「新法が自立支援法の看板だけ変えたものなら無意味だ」と言う。

 「厚労省が多くの障害者たちの反対を無視して作ったのが自立支援法。民主党が『官僚政治の打破』を目指すなら、新任の厚労相は裁判の傍聴に来て現場の声を聞いてほしい」と力説する。新法の中身を見極めるまで、訴訟は続けるつもりだ。

 ■施設の子たち

 自立支援法は施設で暮らす子供も直撃した。児童施設は従来、障害の有無に関係なく生活・医療・教育費を公費で保障する「措置制度」の対象だった。しかし同法施行後、障害児施設だけに自己負担の「契約制度」が導入された。

 鹿児島県の障害児施設長(45)は「自立支援法により『子どもの健全育成は国と自治体が責任を負う』と定めた児童福祉法から、障害児が除外された」と指摘する。

 この施設では6月、虐待で入所し、県が「障害児だから契約」と判断した高校生の少女(18)が、国民健康保険証を所持せず事実上の「無保険」になっていることが判明。その後、県は「障害児でも子供の権利が守られるか十分考慮し、契約が妥当か判断する」と方針を改めた。しかし国は「親が負担金を滞納すれば、障害児を退所させてもよい」との姿勢を変えていない。

 民主党のマニフェストには障害児支援の公的責任が明記されておらず、施設長は「医療・教育・福祉・雇用など多様な関係者が連携し、障害のある子供を社会全体で支える仕組みを作れるか注目していきたい」と話す。

 一方、厚労省障害保健福祉部は「我々は新しい政府の方針に粛々と従うだけ。今後どうなるかは、何も分からない」と話している。

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 ■障害者自立支援法を巡る経過■

03年 4月 障害者が施設と利用契約を結び、応能負担する支援費制度開始(障害児は対象外)
05年 9月 「郵政選挙」で自公圧勝
   10月 自立支援法が国会で可決成立
06年 3月 支援費制度廃止
06年 4月 自立支援法の一部施行
   10月 全面施行
09年 3月 政府与党が応能負担とする改正法案を国会に提出
    7月 衆院解散で、改正案が審議未了で廃案

毎日新聞 200997日 西部朝刊


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