イスラエルによるガザ爆撃、地上軍侵攻、パレスチナ人に対する無差別大量殺戮

レバノン:
ロケット撃ち込み、ヒズボラは関与を否定

 【エルサレム高橋宗男】レバノン南部からイスラエル北部に少なくとも3発のカチューシャ・ロケットが撃ち込まれた問題で、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは8日、関与を否定した。シニオラ同国首相は声明で「国連安保理停戦決議1701に違反する行為で許容できない」と述べ、「国連レバノン暫定軍と協力し、再発を防ぐ」と強調した。

 攻撃は、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区侵攻に絡んだ、レバノンのパレスチナ系武装組織によるものとみられている。イスラエル側は「単発の攻撃」と受け止めている。
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毎日新聞 2009年1月9日 22時57分

ガザ情勢:
イスラエル侵攻続行…激化する条件闘争

 【エルサレム前田英司】イスラエルは9日、パレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦を求めた国連安保理決議を無視して、侵攻の続行を決めた。政府内には「出口」を模索する向きもあるが、自国へのロケット弾攻撃を阻止できない現実を前に、強硬姿勢に振れた形だ。対峙(たいじ)するイスラム原理主義組織ハマスにも、ただちに停戦する用意はなく、事態収拾に向けた「条件闘争」が激化している。
 ◇ハマスも「徹底抗戦」

 イスラエル政府は安保理決議の採択から一夜明けた9日、緊急の治安閣議を招集した。議題は、安保理決議の見極めと、ガザ攻撃を巡る今後の方針。閣議に先立ち、リブニ外相は「国民の安全と自衛の権利という『我々の考え』に基づいて行動する」と述べ、安保理決議の採択に左右されない姿勢を強調した。

 イスラエル紙ハーレツによると、ガザ攻撃で掲げた「ハマス弱体化」の命題を巡り、オルメルト首相、リブニ外相、バラク国防相の見解が割れていた。

 出口戦略を探る国防相は外交的な調停に傾いたが、外相はハマスを停戦の「当事者」とみなすことに激しく反発。一方的に攻撃を停止して部隊を引き揚げ、ロケット弾攻撃が続く場合にはただちに反撃する選択肢を確保したい考えだった。一方、オルメルト首相は戦闘の泥沼化を懸念しながらも、目標に掲げる「ハマス弱体化」を達成できていないとして、本格的な市街戦を辞さないガザ攻撃の「第3段階」突入も視野にあった。

 これに対し、中東の衛星テレビ・アルジャジーラによると、ハマスの報道官は安保理決議について「我々を拘束するものではない」と指摘した。イスラエルが攻撃続行を決めたことで、ハマスも徹底抗戦の立場を維持する模様だ。

 ただ、イスラエルも、即時停戦を求める国際社会の声を無視し続けるのは容易でない。イスラエル、ハマス双方は「暴力の連鎖」を続けながら、少しでも有利な停戦条件を引き出そうと相互に圧力を強めるとみられる。

 停戦案を提示したエジプトが仲介する調停は継続しており、戦闘に並行して、水面下の駆け引きが過熱しそうだ。
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毎日新聞 2009年1月9日 22時13分(最終更新 1月9日 23時06分)

イスラエル:
首相、作戦継続を表明…安保理決議、拒絶

2009年1月9日 21時44分 更新:1月9日 21時49分

Pasted Graphic
9日、イスラエル軍の爆撃によってガザ地区北部から上がる煙=AP

 【エルサレム前田英司】イスラエルのオルメルト首相は9日、国連安保理が8日に採択したパレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦決議の受け入れを拒絶し、軍事作戦を継続するとの声明を発表した。首相は声明の中で「(イスラム原理主義組織ハマス側による)今朝のロケット弾攻撃は、決議が機能せず、パレスチナ組織によって順守されないことを示している」と強調した。

 イスラエルは9日、治安閣議を招集して今後のガザ情勢を協議している。安保理決議の受け入れは拒否したものの、エジプトとフランスが提示した停戦案を巡る調停を通じ、ハマスのロケット弾攻撃停止とエジプト境界からの武器密輸を阻止するメカニズムの確立を目指す意向とみられる。

 エジプト仲介に関しパレスチナ自治政府のアッバス議長は同日、ハマスの代表団は10日にそれぞれカイロ入りし、エジプトと個別協議に入る予定。しかしハマスは「ガザ地区の封鎖解除が停戦の前提条件」だとして、即時停戦を先決とするエジプト・仏提案に難色を示しており、協議は難航しそうだ。

 イスラエル軍は9日、国連安保理が即時停戦を決議した後も、ガザ地区への侵攻を継続して8日夜以降、ハマスの関連施設50カ所以上を空爆した。イスラエル放送によると、ガザからのロケット弾攻撃も続き、30発以上がイスラエル側に発射された。AFP通信によると、先月27日の空爆開始後のパレスチナ人死者は782人に上った。
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イスラエル軍:
安保理決議後もガザ戦闘を継続

 【エルサレム前田英司】イスラエル軍は9日、国連安保理の即時停戦決議採択後も、パレスチナ自治区ガザ地区への侵攻を継続し、8日夜以降、イスラム原理主義組織ハマスの関連施設50カ所以上を空爆した。イスラエル放送によると、ガザからのロケット弾攻撃も続き、30発以上がイスラエル側に発射された。AFP通信によると、先月27日の空爆開始後のパレスチナ人死者は少なくとも782人に上った。
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毎日新聞 2009年1月9日 21時05分(最終更新 1月9日 21時50分)

イスラエル軍:
住民を住宅に集め砲撃…30人死亡 ガザ

Pasted Graphic 1
パレスチナ自治区ガザ地区の地図

 【エルサレム高橋宗男】国連人道問題調整事務所(OCHA)は9日、パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市近郊のザイトゥン地区で5日、イスラエル軍が約110人のパレスチナ人市民を1軒の住宅に集めた上でそこに複数回砲撃を行い、子供を含む約30人が死亡したと発表した。負傷者が運び込まれた同市のシーファ病院は死者数を32人としている。

 OCHAは住宅内にいた半数は子供だったとし砲撃を非難、同病院の救急医療部長も「虐殺だ」と非難している。イスラエル軍は毎日新聞の取材に対し「情報を持っておらず、調査する」とコメントしている。

 OCHAによると、イスラエル軍は地上侵攻を開始した3日夜から7日にかけてザイトゥン地区全域で集中的な砲撃を行っていた。その間、救急隊の同地区入りを妨げた。

 砲撃から生き残った主婦、オーラさん(29)が、ガザ市在住の毎日新聞助手に語った話によると、数十人の武装イスラエル兵が4日朝、ザイトゥン地区の一角に固まって住む市民100人以上を、銃を突きつけ1軒の建設中の平屋建て住宅に集め、「動くな。何もするんじゃない」と言い残し、立ち去った。

 ところが5日朝、戦車が住宅を砲撃、1発は住宅を直撃し、もう1発は敷地内に着弾した。オーラさんの子供6人のうち2人は死亡。オーラさんと夫は、負傷した他の子供たちを抱きかかえ外へ避難したという。

 オーラさんは「半分屋根のないような狭い住宅で、私たちは羊のように押し込められていた」と語った。

 OCHAによると、一部の生存者は主要道路まで2キロ歩き、通りがかった車で病院に運ばれた。5カ月の乳児を含む子供3人が病院到着直後に死亡したという。

 赤十字国際委員会は7日、3時間の攻撃停止時間中に初めて同地区に入り、3軒の住宅で15体の遺体を発見、負傷者18人を含む生存者計30人を救出した。しかし、同地区内には依然として相当数の死傷者が取り残されたままとみられる。
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ガザ情勢:イランが外交活発化…ハマスやシリアと連携

毎日新聞 2009年1月9日 21時01分(最終更新 1月9日 22時48分)

ガザ情勢:
イランが外交活発化…ハマスやシリアと連携

 【テヘラン春日孝之】パレスチナ自治区ガザ情勢を巡り、イランが外交活動を活発化させている。イスラエルが攻撃目標とするイスラム原理主義組織ハマスや、ハマス支援のシリアと連携を強める一方、国際社会で「反イスラエル」の世論を一層高めたいとの狙いがあるとみられる。

 イランのラリジャニ国会議長は7日、シリアの首都ダマスカスでアサド大統領、シリア亡命中のハマスの政治指導者マシャール氏と相次ぎ会談。エジプトとフランスによる停戦案などについて協議したとみられる。停戦案には、ハマスへの武器供給路とみられるエジプト・ガザ境界の密輸トンネルの監視強化も含まれている。

 イランのジャリリ最高安全保障委員会事務局長は先のシリア、レバノン訪問に続き、9日にはトルコを訪れ、エルドアン首相らと会談する予定だ。

 一方、イランのメヘル通信は7日、アフマディネジャド大統領が欧州とアジアの各国に計22人の特使を派遣したと伝えた。「(パレスチナを)強奪したシオニスト政権(イスラエル)の攻撃を即時停止させるのが目的」としている。

 イラン外務省のガシュガビ報道官は「(イスラエルの)攻撃は大国が中東の一部国家と共謀して進める陰謀の一部だ」と主張、米英などが国連安保理で先のイスラエル非難決議案に反対したことを批判していた。
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毎日新聞 2009年1月9日 20時16分

パレスチナ:
アッバス議長が任期満了…なし崩し的「延命」

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治政府のアッバス議長は9日、基本法(憲法に相当)が規定する任期を満了した。イスラム原理主義組織ハマスはこれまで、満了後の残留を図る議長の正統性を追及していたが、イスラエル軍のガザ侵攻で事態は急変。議長はなし崩し的に「延命」した形だ。

 アッバス議長は05年1月から現職。基本法上の任期は4年だが、05年夏の選挙法改正で、次の議長選に限り「評議会選挙(国会に相当)との同時実施」と決められた。評議会選は来年の予定で、議長はこの例外規定を盾に残留を主張。しかし、最高法規である基本法は未改正のため、ハマスが反発し、両者の対立が深まっていた。

 ロイター通信によると、アッバス議長は8日、首脳会談のため訪問したスペインで「民主主義を死守する」と強調。議長として残留し、ガザ情勢の早期打開に努める姿勢をアピールした。これに対し、イスラエル軍と対峙(たいじ)しているガザのバルフーム・ハマス報道官は「我々は今、もっと重大な問題に直面している」と発言。議長の任期を巡るごたごたは先送りされた。
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毎日新聞 2009年1月9日 19時40分

ガザ停戦国連決議:
米は消極的合意 孤立恐れ拒否権回避

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8日、ニューヨークの国連本部で協議する(左から)クシュネル仏外相、ライス米国務長官、サルーフ・レバノン外相=AP

 【ワシントン草野和彦】パレスチナ自治区ガザ地区の軍事紛争を巡り、米国が国連安保理決議採択の棄権という形で「消極的合意」を示したのは、イスラエル支持の立場を保つ一方で、拒否権発動による国際社会での孤立を防ぐためのぎりぎりの選択だった。

 ブッシュ政権は、イスラエルの攻撃開始直後から「自己防衛に必要な行動」(国家安全保障会議のジョンドロー報道官)と理解を示し、イスラム原理主義組織ハマスの責任を追及する姿勢を保ってきた。ガザ市民の犠牲についても、ブッシュ大統領は「ハマスが戦略的に市民の居住地に隠れていることが原因」とした。

 「即時停戦」よりも、ハマスの攻撃停止が先決とする「持続可能な停戦」を強調する米国に対し、特にアラブ社会から反発が高まっていた。停戦仲介に向けた中東訪問を見送っていたライス国務長官も6日、国連入り。関係国との直接交渉を開始した。米当局者はロイター通信に「米国はガザの状況に無関心」との非難を防ぐのが目的の一つ、と説明した。

 ライス長官は国連があるニューヨーク滞在を延ばす一方、7日だけでもイスラエルのリブニ外相と7回、オルメルト首相と2回、電話協議。停戦条件でイスラエルがのめる「落としどころ」を探りながら、米国の立場も説明し、事態打開を図ったとみられる。

 だが、イスラエルの攻撃開始以来のパレスチナ人死者が800人に迫る現状では、米国は調停能力の低下を露呈したといえ、「米国の威信回復」を掲げるオバマ次期政権は、さらに重い課題を背負うことになった。
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毎日新聞 2009年1月9日 14時48分(最終更新 1月9日 15時32分)

ガザ停戦国連決議:
当事者双方は「保証」要求 神経戦続く

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治区ガザ情勢で、国連安保理は即時停戦を求める決議を採択したが、当事者のイスラエル、イスラム原理主義組織ハマスはいずれも、事態の収拾には自らの主張が実現する「保証」を要求して譲らない。エジプトが仲介する停戦案を巡る調停で、ぎりぎりの神経戦が続きそうだ。

 イスラエルがガザに侵攻した最大の狙いは、自国の安全保障を脅かすハマスを弱体化し、今後の再武装を阻止することだ。そのためには、武器の密輸経路とされるエジプト境界の地下トンネルの根絶が不可欠であり、国際部隊を配置するなどして監視・摘発する「枠組み」の構築を要求している。

 オルメルト首相は安保理決議採択前の8日、「作戦目標はまだ達成していない」と発言していた。攻撃の手を緩めないのは、外交調停でどこまで密輸阻止を実現できるかわからない、との警戒からだ。

 一方、ハマスは「停戦ありき」でなく、まずはイスラエル軍が侵攻を止めて、ガザの封鎖を解除する確約を要求している。エジプトが提示した停戦案には、この点が明確でないとして対応を留保している状態だ。事態の収拾を模索する政治部門と、徹底抗戦を叫ぶ軍事部門には温度差も指摘されている。イスラエル非難の薄れた安保理に反発を強めるとの見方もある。

 ただ、停戦に向けた流れが強まるのは確実で、今後、関係者間の「条件闘争」が激化するとみられる。
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毎日新聞 2009年1月9日 14時44分

ガザ侵攻:
国連難民機関の車が砲撃受け1人死亡 活動中止

 【エルサレム高橋宗男】パレスチナ自治区ガザ地区で活動する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の車列が8日、イスラエル軍戦車の砲撃を受け、運転手1人が死亡した。UNRWAはガザでの活動中止を発表した。一方、赤十字国際委員会(ICRC)は同日、現場の救急活動が妨害されているとイスラエル軍を非難する声明を発表した。

 AFP通信によると、UNRWAの車列はガザ北部の検問所に人道支援物資を受け取りに行く途中、攻撃を受けた。軍は経緯の調査を始めた。UNRWAはガザ住民約75万人への食糧支援などを展開している。また、ICRCによると、ガザ市郊外の民家で7日、母親の遺体に寄り添い、衰弱した幼児4人を救出した。ICRCは4日からこの付近の安全確保を軍に要請していたが、戦闘の激化で近寄れなかったという。

 人道物資搬入のための1日3時間の攻撃停止が7日に始まったことで、それまで取り残されていた死傷者の発見が相次いでいる。
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ガザ侵攻:停戦案にイスラエル前向き姿勢 仏・エジプト案

毎日新聞 2009年1月9日 11時49分

ガザ侵攻:
国連安保理が即時停戦決議を採択 米国は棄権

 【ニューヨーク小倉孝保】パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で、国連安全保障理事会は8日夜(日本時間9日午前)、双方に即時停戦を求める決議案を採択した。ハマス側に原因があるとして早期停戦に慎重だった米国は拒否権を行使せず、棄権した。米国はテロ行為批判を決議案に盛り込むことでイスラエルを非難していたアラブ諸国と歩み寄ったが、棄権によってイスラエルに配慮した格好だ。決議案の採択に踏み出したことで、安保理は停戦実現に向け主導力をアピールした。

 決議案は英国が提出し、米国以外の日本を含む14カ国が賛成した。前文で一般市民に多くの犠牲が出ている現状に強い懸念を表明し、(1)即時停戦とガザからのイスラエル軍撤退(2)テロ行為の非難--などを盛り込んだ。

 イスラエル軍が地上部隊を侵攻させたことをアラブ諸国は強く非難し、エジプトやヨルダン、サウジアラビアなどは外相を国連に派遣、イスラエルを非難して停戦を求める決議案採択を安保理各国に働きかけていた。一方、米国は、停戦の必要性を理解しながらも、ハマスの攻撃が続いている現状での決議案採択に反対し、ハマスの攻撃停止を保証するメカニズムを作ることが必要だと主張していた。

 アラブ各国外相はニューヨーク滞在を1日延ばし8日、最後の外交交渉を続けてきた。米国も多大の犠牲者が出る中、停戦決議に反対し続けるのは得策でないと判断、テロ行為を非難する文言を盛り込むことで妥協したようだ。安保理は先月末、この問題で報道者向け声明を出している。

 安保理決議は加盟国に対する強い拘束力を持ち、違反は制裁などの対象になる。AFP通信によると12月27日の空爆開始後のパレスチナ人死者は774人に達している。

 ◆ガザ国連停戦決議要旨◆

▽即時の持続的、完全な停戦を求め、イスラエル軍のガザからの完全撤退を実現

▽ガザ全域への人道援助のスムーズな供給、輸送ルート確保

▽市民に対する暴力・敵対行為、すべてのテロ行為を非難

▽ガザへの武器弾薬の密輸防止と検問所の継続的な開放保証

▽中東和平交渉の進展と包括的和平の実現に向けた取り組みを奨励
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毎日新聞 2009年1月9日 11時43分(最終更新 1月9日 13時13分)

ガザ侵攻:
レバノンからロケット弾3発 イスラエルも報復

Pasted Graphic 6
レバノンとイスラエルの地図

 【エルサレム高橋宗男】イスラエル北部ナハリヤなどに8日朝、レバノン南部から少なくとも3発のカチューシャ・ロケットが撃ち込まれ、イスラエル市民2人が負傷した。イスラエル軍は報復として発射地点付近に砲弾約3発を撃ち込んだ。同国北部境界で不穏な空気が漂い始めた。

 レバノン治安当局などによると、パレスチナ系武装勢力による攻撃との見方が強い。イスラエルはガザ情勢に絡み、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラによるハマス「援護射撃」を警戒してきた。
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クラスター:被害者「財政支援を」「早く一掃を」

毎日新聞 2009年1月8日 23時26分(最終更新 1月9日 0時51分)

ガザ侵攻:
停戦交渉が本格化 イスラエル高官、カイロに

 【エルサレム高橋宗男】イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区侵攻を巡り、イスラエルの国防省高官が8日、カイロ入りし、停戦を仲介するエジプト当局と個別協議を開始。事態収拾に向けた動きが本格化した。一方、停戦の動きとは別にイスラエル軍は7日夜以降、ガザ南部のエジプト境界への空爆を強化し、AFP通信によると、先月27日の空爆開始後のパレスチナ人死者は763人に達した。

 エジプトの仲介はフランスと共同でまとめた停戦案を基にしており、アブルゲイト外相は協議に先立ち「2~3日以内に暫定停戦は可能」との見通しを示した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、イスラエル側は停戦案の修正を要求。(1)「暫定停戦」を「恒久停戦」にする(2)ガザ・エジプト境界監視に米軍などを展開させる--との内容に変えるよう求めたという。9日にはパレスチナ自治政府のアッバス議長がカイロ入りし、協議を行う。もう一方の当事者であるイスラム原理主義組織ハマスとの協議日程は明らかになっていない。

 イスラエル軍は7日に続き8日も人道物資搬入のため3時間、ガザ地区への攻撃を中断したが、オルメルト首相は当面の間、作戦を継続する意向を明らかにした。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は8日、ガザ地区内での活動を停止すると発表した。ガザ市南部では8日、対戦車砲による攻撃でイスラエル兵1人が死亡し、イスラエル側の死者は市民3人を含む計11人となった。
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ガザ侵攻:
怒り、失望そして疲弊…ヨルダン川西岸住民

Pasted Graphic 7
ガザ侵攻の抗議集会で、口をテープでふさぐなどして不満を訴える参加者たち=ヨルダン川西岸ラマラで2009年1月6日、前田英司撮影

 【ラマラ(ヨルダン川西岸)前田英司】イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻を受け、アッバス自治政府議長のひざ元・ヨルダン川西岸自治区のパレスチナ人たちは、反イスラエルの怒りを募らせる一方、事態を収拾できない議長やアラブ諸国の指導者への不満をうっ積させている。抗議デモは西岸各地で起きているが、政治不信にイスラエル占領下の疲弊が輪をかけて、激化していないのが現状だ。

 西岸の中心都市ラマラで5日、地元の大学生がガザ侵攻の抗議デモを企画し、ラマラ北部にあるイスラエル軍の検問所に向けて行進した。同校OBのハッサンさん(24)も約200人の学生とともに参加。道すがら、パレスチナ治安部隊に中止を命じられた。一部の学生が制止を振り切ろうとすると、治安部隊が警棒で殴りかかり、強制解散に乗り出した。「ガザで深刻な事態が起きているのに、なぜパレスチナ人がパレスチナ人に暴力を振るうのか」。ハッサンさんは憤慨する。

 12月27日のガザ空爆開始以降、抗議デモは西岸各地であり、一部はイスラエル兵に投石などして小競り合いに発展した。だが、ハマスの亡命指導者メシャール氏が呼びかけるような、新たな反イスラエルの抵抗闘争に発展する気配は薄い。

 「抵抗意欲をそいでいるのは自治政府だ」。ラマラで飲食店を経営するマヘルさん(40)はアッバス議長を痛烈に非難した。議長がガザの惨事の責任をイスラエルだけでなく、ハマスに転嫁したことが納得できない。「我々を売ったも同然だ」

 NGO職員のオマルさん(35)は、長年のイスラエル占領下で人々は疲れ切っているといい、「新たな抵抗闘争を始めたところで何を得られるのか」と失望感を吐露。「ハマスと(議長の出身母体)ファタハの対立も、これまでに和解の機会はあった。問題の根源は市民でなく、指導者たちだ」と嘆いた。

 ラマラで6日あった抗議集会では、参加者が口や目をテープでふさいでいた。パレスチナの現状に「誰も耳を貸さない、目を向けない」とのメッセージだった。
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毎日新聞 2009年1月8日 11時51分(最終更新 1月8日 11時52分)

イスラエル軍:
ガザ都市部で本格交戦、侵攻後最大規模に

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治区ガザ地区に地上侵攻したイスラエル軍は5日夜、主要都市ガザ市東部で、イスラム原理主義組織ハマスの戦闘員と激しく交戦した。3日の侵攻以来、最大規模で、都市部での本格的な衝突は初めて。ガザ北部を中心に地上戦が激化の様相を呈している。

 AFP通信などによると、先月27日の空爆開始後のパレスチナ人死者は少なくとも555人に達した。地上侵攻で一般市民への被害が拡大しており、救急関係者によると、うち死者の約100人は子供。国連のホームズ事務次長(人道問題担当)は「人道危機が急速に悪化している」と指摘。攻撃にクラスター爆弾が使われたほか、現地では飲み水や燃料、食料、医薬品が不足していると訴えた。

 イスラエル軍は、ハマス系のテレビやラジオ放送に割り込み、ベイトラヒヤやジャバリヤなどガザ北部の住民に対し、自宅から退避するよう警告。これを受け、多数の住民らが学校施設などに駆け込んでいるという。

 ガザからの情報などによると、イスラエル軍の地上部隊は5日夜、ガザ市東部から市街地方面へ進軍。待ち伏せしていたハマス戦闘員に背後をつかれ、激戦に発展。ハマスとは別のイスラム原理主義組織イスラム聖戦のメンバーも戦闘に加勢したという。この戦闘でイスラエル軍戦車の誤射で同軍兵3人が死亡、24人が負傷した。

 イスラエル軍は空と海からの爆撃も継続。ガザ南部ラファのエジプト境界の地下トンネルや、ハマス政府庁舎などを空爆した。

 ロイター通信によると、ガザ中部のブレイジ難民キャンプでは、戦車の砲撃で親子3人が死亡した。
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イスラエル軍:ハマス攻撃を継続 市民の死者64人に
パレスチナ議長:ハマスに和解呼びかけ 対立に歩み寄りも

毎日新聞 2009年1月6日 12時03分

イスラエル軍:
ハマス攻撃を継続 市民の死者64人に

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伝えられるイスラエル軍の侵攻ルート

 【エルサレム福島良典】パレスチナ自治区ガザ地区に侵攻したイスラエル軍の陸上部隊は4日、ガザ市周辺を中心に同地区北部の要衝を制圧し、イスラム原理主義組織ハマス戦闘員に対する攻撃を継続した。AP通信によると、イスラエル軍による3日夜の地上侵攻開始後、ガザ地区の市民の死者は64人に上った。

 イスラエル軍戦車部隊はガザ市を南北から包囲しており、ガザ市の東側や、ジャバリヤ難民キャンプの東側、旧ユダヤ人入植地ネツァリム近くの海岸沿いの幹線道路などが激戦地という。CNNテレビによると、イスラエル軍はハマス軍事部門の幹部3人を殺害した。

 ガザ地区最北部ベイトラヒヤでは子供4人を含む10人が死亡。ロイター通信はイスラエル軍の戦車がガザ市の商店街地区を砲撃し、市民5人が死亡、40人が負傷したと伝えた。

 一方、イスラエル軍は4日、ハマス戦闘員との交戦で同軍兵士1人が死亡、三十数人が負傷したと発表した。地上侵攻の開始以降、ハマス戦闘員数十人を殺害したという。ガザからイスラエル領には4日、少なくとも32発のロケット弾が撃ち込まれた。

 イスラエルはエジプトからガザへの武器密輸を阻止するための国際的な枠組みを求めている。AFP通信によると、欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は4日、即時停戦を呼びかけ、欧州諸国が停戦監視員を派遣する用意があると述べた。

 フランスのサルコジ大統領は5日に現地入りして早期停戦の必要性を訴える。一方、ロイター通信によるとハマスは同日、エジプトに代表団を派遣する予定で、外交交渉を通じてイスラエルに攻撃停止を求めるとみられる。

 だが、イスラエルのペレス大統領は4日、米ABCテレビに対し、「ハマスの攻撃が続く中で我々が停戦を宣言するといった考えは受け入れられない」と語り、ハマスとの即時停戦を拒否する考えを示した。

 ガザからの報道によると、先月27日の空爆開始からのパレスチナ人死者は512人、負傷者は約2600人に達した。
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毎日新聞 2009年1月5日 11時16分(最終更新 1月5日 11時41分)

イスラエル軍:
ガザに地上侵攻…数千人、3方面から

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4日、パレスチナ自治区ガザの北部に地上侵攻するイスラエル軍部隊=ロイター

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伝えられるイスラエル軍の侵攻ルート

 【エルサレム福島良典、前田英司】イスラエル軍は3日夜(日本時間4日未明)、イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区に地上侵攻し、ハマス戦闘員と交戦した。先月27日に空爆が始まったイスラエル軍のガザ攻撃は地上戦という新段階に入り、一般市民の被害拡大と、イスラエルとハマスの「報復の連鎖」悪化が懸念される情勢となった。
 ◇クラスター爆弾使用か

 地上侵攻は05年9月にガザからイスラエル軍が撤退して以来、最大規模。イスラエル軍報道官は同国へのロケット弾攻撃を封じ込めるためハマス軍事部門を解体することが目的と説明している。

 イスラエル放送などによると、ガザ地区との境界に集結していた戦車・歩兵・砲兵部隊など数千人が北部、東部、南部の3方面から侵攻して地区を分断。ロケット弾発射拠点や幹線道路を制圧して主要都市ガザ市を包囲した。同市近郊で激しい戦闘が展開された。

 AFP通信によると、地上侵攻開始から市民22人を含むパレスチナ人40人が死亡。イスラエル軍は同軍兵士1人が死亡、三十数人が負傷したと発表した。

 地上侵攻に先立ちイスラエル軍は境界からガザに砲撃を加え、イスラエル民間テレビ・チャンネル10は不発弾による市民被害の深刻なクラスター爆弾が使用されたと伝えた。ガザへの空爆、海上からの砲撃も続いた。

 オルメルト・イスラエル首相の報道官は「ガザを再占領するつもりはない」と強調した。だが、軍は招集予備役の増強に着手しており、バラク国防相は「必要なだけ軍事行動を拡大、強化する。作戦は短期でも、たやすくもない」と長期戦の可能性も示唆した。

 これに対し、ハマス報道官は「ガザはイスラエル兵の墓場になる」と徹底抗戦の構えを強調。ガザからイスラエル領には4日、少なくとも32発のロケット弾が撃ち込まれた。

 サルコジ仏大統領が5日から中東訪問を予定するなど、早期停戦を目指す国際社会の仲介が本格化する矢先だった。地上侵攻を受け、イスラエルとハマスに停戦を求める国際圧力が高まっている。

 イスラエル紙ハーレツによると、イスラエルは半年前からガザ攻撃準備に着手。先月27日から9日連続の空爆でハマスの軍事・行政拠点を破壊した。ロイター通信によると、空爆開始以来のパレスチナ人死者は市民を含め500人を超えた。
 ◇ハマス

 イスラム教スンニ派の原理主義組織。87年創設。イスラエルとの和平に反対し、全パレスチナを含むイスラム国家樹立を目指す。政治部門と軍事部門に分かれ、武装闘争と並行し、難民や貧困層に焦点を当てた教育・医療福祉活動で支持を拡大、06年1月のパレスチナ評議会(国会に相当)選挙で圧勝した。その後穏健派ファタハとの対立を深め、07年6月にガザ地区を武力制圧した。
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毎日新聞 2009年1月4日 20時36分(最終更新 1月5日 1時11分)
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